更新日:2024/5/9

神経管閉鎖障害と葉酸にはどんな関係がある?赤ちゃんの先天異常をサプリメントで予防しよう【助産師執筆】

赤ちゃんの先天異常をサプリメントで予防しよう
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妊活で気をつけたいことについて調べると、「神経管閉鎖障害を予防するために葉酸を摂りましょう」という内容の記事をよく目にすると思います。

「神経管閉鎖障害」は、赤ちゃんの後遺症や命に関わる先天異常です。葉酸を摂取することで発症を予防することができるといわれています。

今回の記事では神経管閉鎖障害はどんな病気なのか、葉酸との関係性を含めて詳しく解説していきます。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

赤ちゃんの神経管閉鎖障害と葉酸の関係

神経管閉鎖障害とは「神経管」をつくる過程で起こる赤ちゃんの先天性異常のことです。

神経管をつくるためには、細胞増殖に必要なDNA合成をサポートする栄養素である葉酸が必要となります。

神経管は妊娠4週ころから作られ始め、だいたい7週までには完成します。この時期に葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害が起こるリスクがあるのです。

様々な研究結果から、神経管閉鎖障害となるリスクを減らすためには、およそ妊娠1か月以上前から妊娠3か月まで葉酸を十分に摂取する必要があるとされています。

葉酸(プテロイルグルタミン酸)は水溶性ビタミンB群に分類される必須栄養素であり、人間のカラダの中ではつくることができません

そのため食品やサプリメントなどの栄養補助食品から摂取する必要があります。

2000年には、日本でも「妊娠の可能性がある女性が通常の食事からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂取することによって胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性」について、厚生労働省が通知を出しています。

現在の「日本人の食事摂取基準」にも、『妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400µg/日摂取することが望まれる』と明記されており、葉酸の必要性が提言されています。

参考:葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果

なお「狭義の葉酸」とは、サプリメントなどの栄養補助食品や葉酸添加食品などに使用される合成型の葉酸「モノグルタミン酸型葉酸」を指します

葉酸にはこの合成型葉酸である「モノグルタミン酸型葉酸」と、食品などに存在する天然葉酸である「ポリグルタミン酸型葉酸」の2種類があります。

葉酸は「モノグルタミン酸」として小腸で吸収されますが、食品中に含まれる「ポリグルタミン酸型葉酸」は、モノグルタミン酸に変換される代謝過程で様々な影響を受け、吸収率が激減してしまいます。

一方で、モノグルタミン酸型葉酸は、ポリグルタミン酸型葉酸と比較するとカラダの中での利用率が高いことがわかっています。

そのため厚生労働省では、安定して葉酸を摂取できるようにサプリメントによる葉酸の摂取を推奨しているのです。

妊娠中の葉酸がなぜ必要かについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にご覧ください。

妊娠中の葉酸はなぜ必要?効果から効率的な摂取方法まで完全ガイド

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神経管閉鎖障害とは

神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)は、お腹の中にいる赤ちゃんが妊娠4週から7週の間に神経管をつくりあげる過程で起きる先天異常です。

神経管閉鎖障害にはいくつかの種類があり、神経管をつくる過程でいつ障害が起きるかによって変わってきます。

ここでは神経管のつくられる過程と神経管閉鎖障害の種類について解説していきます。

神経管ができる過程

人間のすべての神経系のもととなるのは、受精後に受精卵が成長していく過程で出来上がる「胚」の中にできる神経板(しんけいばん)という組織です。

1枚の板状の神経板が、細胞分裂が盛んに行われることで左右が盛り上がり、真ん中の部分がくぼんでいきます。

盛り上がってきた左右の神経板はやがてくっつき、管状の神経管となります。この神経管が将来的に脳や脊髄の中枢神経系となります。

神経管は受精後22日ころに中心からつくられはじめ、だんだんと頭側(脳のもととなる)とお尻側(脊髄のもととなる)に向かって伸びていきます

頭側は受精後25日ころに閉鎖し、お尻側はだいたい2日遅れで閉鎖するといわれています。

神経管はこのようにつくられていきますが、この過程で頭側で障害が起こると「脳瘤」や「無脳症」お尻側で起こると「二分脊椎」という神経管閉鎖障害が発症してしまいます。

二分脊椎(にぶんせきつい)

「二分脊椎」は、神経管閉鎖障害の中でも日本で発症率が最も多い病気です。

脊髄は本来、脊椎の中を通っているため守られていますが、お尻側の神経管がうまく閉鎖しなかったことで、脊髄神経の一部がむき出しになっている状態です。

神経が損傷しやすい状態であり、もし傷ついてしまうと、足の筋力低下による歩行困難や皮膚の感覚を感じにくくなる、尿や便のコントロールが難しくなることがあります。

適切な治療やケアをすれば、多くの赤ちゃんが元気に生活できますが、腎臓の機能が低下したり感染症になったりと合併症が起こることで命に関わることもあります。

また、背中の皮膚に欠損があり、外に神経がむき出しの場合には出生後すぐに閉鎖する手術が必要となりますが、その重症度によって手術をする必要があるのか、いつ必要なのかなどは変わってきます。

二分脊椎には、重症度によって「潜在性二分脊椎」「嚢胞性二分脊椎」などの分類があります。

潜在性二分脊椎

二分脊椎のうち最も軽い病気です。骨だけが欠損していて、脊髄と髄膜は正常な状態です。欠損部分は皮膚によって覆われているため、外からは問題なく見えることもあります。

通常は症状が起きることはありませんが、骨の欠損が大きい場合には神経が損傷しやすく、症状が出ることもあります。

嚢胞(のうほう)性二分脊椎

二分脊椎のうち最も重い病気です。閉鎖せず開いたままの椎骨の部分から髄膜(ずいまく)や脊髄の組織が外に出てしまう状態です。

髄膜だけが飛び出た「髄膜瘤(ずいまくりゅう)」、脊髄組織だけが飛び出た「脊髄瘤(せきずいりゅう)」、髄膜と脊髄組織が飛び出た「脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)」があります。

組織が飛び出ている場合は、脳や脊髄が傷つきやすくなり、症状も出やすいです。

また、髄膜が飛び出ている場合には髄膜炎になりやすく、赤ちゃんの命に関わることもあります。

脳瘤(のうりゅう)

脳瘤」は頭蓋骨の一部が欠損することで、本来頭蓋骨の中で守られているはずの脳や髄膜が外に飛び出た状態です。髄膜と脳組織が飛び出た状態は「髄膜脳瘤(ずいまくのうりゅう)」といいます。

治療には外科的手術が必要となり、状態によっていつ手術をするかなどが変わってきます。

脳瘤は後頭部にできることが最も多く、こぶが目で見てわかります。

後頭部の脳瘤は適切に治療することで長期的生存が期待できることが多く、知的機能も問題ないことが多いようですが、脳瘤の位置や合併症を起こしている場合には発達が遅れることもあります。

脳瘤がある場合には、側脳室拡大や水頭症などの合併症が起こることがあります。合併症は、その症状によって都度対応が必要になります。

無脳症

「無脳症」は神経管閉鎖障害の中で最も重症な病気です。神経管の頭側が閉鎖しなかったときに起こり、脳が欠損した状態をいいます。

生きていくのに必要な脳幹の形成がされないため、発症したお腹の中の赤ちゃんは、流産・死産となることが多いです。出産したとしても、生後1週間以上生きることは難しい赤ちゃんの命に関わる病気です。

神経管閉鎖障害はどうやってわかる?

ここからは、神経管閉鎖障害はいつどのようにしてわかるのか、検査方法について解説していきます。

超音波検査(エコー検査)

妊婦健診では、妊娠週数に応じて超音波検査でお腹の中の赤ちゃんの発育状態を確認します。

無脳症の場合には脳が欠損しているのがエコーで見えるため、妊娠11〜14週と比較的早い段階でわかります

二分脊椎側脳室の拡大を起こしていることが多く、妊娠中期(16週以降)のエコー検査で発覚することが多いです。

母体血清マーカー検査(クアトロテスト)

クアトロテストとは、妊婦さんから10cc程度の少量の血液を採って血液の中の成分を調べる検査です。

あくまでもスクリーニング検査のため、クアトロ検査によって確定診断はできません。確定診断は羊水検査によって行われます。

検査は妊娠15週0日から21週6日まで可能ですが、クアトロテストの結果を見てから羊水検査を行うか決めるため、遅くても妊娠17週までに受けるのが望ましいとされています。

クアトロ検査では、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管欠損症の3つの病気が検査対象となります。

お腹の中の赤ちゃんに神経管閉鎖障害がある場合には、妊娠中のお母さんの血液や羊水のアルファフェトプロテイン値が高いといわれています。

神経管閉鎖障害の原因

神経管閉鎖障害の原因は、大きく「栄養的要因」「環境的要因」「遺伝的要因」に分けられています。

ここでは、3つの原因について詳しく解説します。

栄養的要因

数多くの研究から胎児の器官形成期である妊娠初期は細胞増殖が盛んであるため、この時期に葉酸が不足した状態だと神経管閉鎖障害のリスクが高まることがわかっています。

慢性的な食糧不足で栄養状態が良くない発展途上国では、神経管閉鎖障害を発症する赤ちゃんが今でも多くいます。

葉酸はDNAの合成に必須の栄養素であり、受胎前後のモノグルタミン酸型葉酸の摂取が世界中で推奨されています。

葉酸サプリメントを摂取することで、神経管閉鎖障害の発症リスクを40~80%低くすることができるという研究結果もあるほど、葉酸不足は神経管閉鎖障害の原因となり得るのです。

参考:Prevention of neural-tube defects with folic acid in China. N Engl J Med 1999

また、妊娠初期にうなぎなどに多く含まれるビタミンAを過剰摂取することでも、神経管閉鎖障害の発症リスクが上がるといわれています。

環境的要因

胎児が発育する環境的要因としては、妊娠中の女性が抗てんかん薬を内服していることが大きく関係します。ただし薬の影響は、種類によっても異なります。

また、妊娠中の女性が持病に糖尿病を持っていたり、高度肥満(BMI30以上)の場合にも神経管閉鎖障害を発症するリスクを高めるといわれています。

遺伝的要因

過去に神経管閉鎖障害の胎児を妊娠している場合に、次の胎児が同じく発症するリスクは、既往のない場合に比べて高いとされています。

神経管閉鎖障害を予防するためにできること

医学が進歩した現代、赤ちゃんの命に影響することは少なくなった神経管閉鎖障害ですが、できることなら発症するリスクを少しでも減らしていきたいですよね。

ここでは、神経管閉鎖障害を予防するためにできることについて解説していきます。

適切に葉酸を摂取する

これまで発表されたさまざまな研究結果から、適切に葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができるといわれています。

そして多くの国で葉酸の摂取が推奨され、日本でも2000年から「妊活中~妊娠中の葉酸の摂取」を厚生労働省が勧めています。

神経管閉鎖障害を予防するための適切な葉酸の摂取について解説します。

葉酸の摂取時期

神経管閉鎖障害を予防するためには、お腹の中の赤ちゃんの器官形成期である妊娠4週にはお母さんのカラダに十分な葉酸がある状態が望ましいです。

そのため、妊娠する1ヶ月以上前から十分に葉酸を摂取することが推奨されています。

多くの人が妊娠したことを自覚するのは早くても妊娠4週以降です。妊娠に気がついてから葉酸を摂取し始めるのでは少し遅いのです。

そのため、赤ちゃんを授かりたいと思ったときから葉酸を摂取することが大切です。

葉酸の摂取を始める時期について、もっと詳しく知りたい人はこちらの記事もどうぞ。

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葉酸の摂取量

神経管閉鎖障害を予防するためには、カラダに十分な葉酸がある状態を維持する必要があります。

18歳以上の一般的な男女が必要な葉酸は1日240μgですが、葉酸の必要性が高まる妊活中や妊娠初期には、1日240μgにプラスして400μg、合計640μgが必要となります。

葉酸の摂取方法

葉酸はホウレン草やブロッコリー、動物のレバーなどに含まれていて、食品から摂取することもできます。しかし、食品に含まれる葉酸は「ポリグルタミン酸型葉酸」で吸収率が50%程度です。

この吸収率をふまえて厚生労働省からは、神経管閉鎖障害の予防には吸収率のよいサプリメントに含まれる合成葉酸「モノグルタミン酸型葉酸」による葉酸の摂取が推奨されています。

葉酸の吸収を助ける栄養素も一緒に摂取する

葉酸は自分のカラダの中では合成できないため、外から補充してカラダを満たしていく必要があります。そのため、できるだけ効率よく吸収していくことが大切です。

葉酸と一緒に、しじみなどの魚介類に多く含まれるビタミンB12や、ピーマンやみかんなどに多く含まれるビタミンCを摂取することで、葉酸の吸収率を高めることができます

葉酸単体ではなく、吸収を助けてくれる栄養素も一緒に補給できるのが理想です。

葉酸サプリを活用する

神経管閉鎖障害の予防には、サプリメントなどの栄養補助食品から葉酸を摂取することが厚生労働省からも推奨されています。

葉酸サプリには色々な種類がありますが、妊活中から妊娠初期に必要な葉酸量をカバーした葉酸サプリメントを選ぶことが大切です。

葉酸サプリのmitas(ミタス)は、妊活中から妊娠初期に必要な葉酸摂取量である400μgをしっかりとカバーし、さらに葉酸の吸収を高めてくれるビタミンB12やビタミンCも配合しています。

その他にも、女性ホルモンの作用を安定させて子宮環境を整えてくれる亜鉛妊孕力(にんようりょく:妊娠する能力)の向上をサポートしてくれるビタミンDなど、妊活中に嬉しい栄養素がギュッとつまったサプリメントです。

神経管閉鎖障害の予防と、細胞増殖がさかんな妊娠初期の赤ちゃんの成長をサポートするために、今からmitasを取り入れてみませんか?

妊活中のサプリメントの選び方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

【助産師執筆】妊活中にサプリは飲んだ方がいい?〜妊活に必要な栄養素とサプリメントの選び方

妊活中にサプリメントを飲んだ方がいいのかという疑問に答え、妊活中に必要な栄養素とサプリメントの選び方について詳しく解説していきます。

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まとめ

今回の記事では神経管閉鎖障害はどんな病気なのか、葉酸との関係性を含めて詳しく解説しました。

さまざまな研究から、神経管閉鎖障害は葉酸不足が原因のひとつであり、葉酸を十分に摂取することでリスクを減らすことができることが明らかになっています。

神経管閉鎖障害の予防と健やかな赤ちゃんの成長のためにも、妊活中や妊娠初期にピッタリのサプリメントであるmitasを活用して、カラダに十分な葉酸を摂取していきましょう。

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