更新日:2024/11/28

エコーでわかる胎児の異常とは?妊婦健診で発見できる異常を時期別に解説!【助産師執筆】

妊婦健診で発見できる異常を時期別に解説!
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妊娠中に赤ちゃんの姿を目で確認できるエコー検査は、妊婦健診でも大人気。

またエコー検査は、赤ちゃんに会えるだけでなく、お腹の中の赤ちゃんの状態を把握するための重要な検査でもあります。

では、エコー検査ではいったいどのようなことがわかるのでしょうか?

今回の記事では、エコーでわかる胎児の異常についてをテーマに、妊婦健診で発見できる異常を時期別に解説していきます。

◉この記事でわかること
・2種類のエコー検査についての違い(妊婦健診のエコー・出生前診断のエコー)
・妊婦健診でのエコーでわかる胎児の異常
・胎児の異常は予防できるのか

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

エコー検査には2種類ある

エコー検査(超音波検査)とは、人間の耳では聞くことのできない高い周波数の超音波を発生させる機械(プローブ)をカラダの表面に当て、カラダの臓器から跳ね返ってきた超音波を画像として表示する検査のことをいいます。

産婦人科で行うエコー検査は、膣の中にプローブを挿入する経膣エコーお腹の上からプローブを当てる経腹エコーがあります。

経膣エコー経腹エコー
特徴膣に近い部分の詳しい診察ができるおなかの中を全体的に診察することができる
使用する時期主に妊娠初期に使用、妊娠中期以降でも切迫早産の兆候がないかの確認や、胎盤の位置によっては使用することもある妊娠中期以降に使用

さらに妊娠中のエコー検査には、妊婦健診で適宜行うエコーと出生前診断として行うエコーがあります。

これらは目的が違うため、みているものも変わってきます。

ここでは、まず妊婦健診で行うエコーと出生前診断としてのエコーの違いを解説します。

妊婦健診で行うエコー

妊婦健診で行うエコーの目的は、胎児の大きさなど発育状態を確認したり、異常の早期発見をすることです。

妊婦健診で発見される異常には、胎児の生命に関わる異常、胎盤・へその緒・羊水の異常、切迫早産の兆候などがあります。

妊婦健診のエコーでわかる異常については、妊娠週数別にこちらで解説しています。

妊婦健診でのエコー検査は、厚生労働省の基準を参考に、病院によって行う回数や時期が決められていて、妊婦健診を担当している医師がエコーを行います。ママやお腹の中の赤ちゃんの状態に合わせてエコーの頻度は変わってきます。

エコー検査の費用は、住んでいる地域によっては助成の対象となることもあります。

出生前診断としてのエコー(胎児超音波スクリーニング検査)

出生前診断としてのエコーは「胎児超音波スクリーニング検査」や「胎児ドック」と呼ばれています。

出生前診断としてのエコーの目的は、胎児に形態的な異常(四肢や臓器などの異常)がないかを確認することです。

胎児超音波スクリーニング検査は妊婦健診で診察するエコーよりも高度なテクニックと専門的な知識が必要となるため、実施できる医師や検査技師は限られています

出生前診断としてのエコーは自費診療となるため、病院やクリニックによって決まっています。

胎児超音波スクリーニング検査でわかる先天性の病気と検査についての詳細は、こちらの記事で解説しています。

胎児スクリーニングとは?出生前診断でわかる先天性の病気と検査について解説【助産師執筆】

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【妊娠期別】妊婦健診のエコーでわかる胎児の異常

妊婦健診のエコーでは、妊娠週数によって注目してみているものが違います。

ここでは妊娠の時期別にわかる胎児の異常について解説します。

妊娠初期(〜妊娠15週6日まで)

妊娠初期は受精卵が着床して妊娠が成立し、赤ちゃんが生きていくために必要な臓器をつくりあげていく時期です。

脳などの中枢神経は妊娠4週以降からつくられはじめ、妊娠5週には心臓妊娠6週には手足・耳・眼・消化管妊娠7週ころからは肺もつくられはじめます。

この時期は「器官形成期」と呼ばれていて、お腹の中の赤ちゃんにとって大事な時期。薬などの影響も受けやすい時期です。

目まぐるしい成長を遂げる時期のため、同じ妊娠初期でもエコーで注目してみるものは週数によって大きく違います。

妊娠初期のエコーでチェックするもの

妊娠初期のエコーでチェックするものは以下のものがあります。

◉妊娠成立〜妊娠8週まで

  • 子宮の中に胎嚢(たいのう:赤ちゃんを包む袋)があるか
  • 胎児の心拍は動いているか
  • 胎児の数(1人か双子以上か)
  • 妊娠週数に応じた大きさかCRL(頭からお尻の長さ)をチェック
  • 子宮、卵巣の異常はないか

◉妊娠8週ころ〜

  • 妊娠週数に応じた大きさかCRL、BPD(あたまの横幅)をチェック
  • 胎児の大きな形態異常をチェック(重要な臓器はできてきているか、手足の欠損はないか)
  • 首のうしろにあるむくみ(NT)をチェック

妊娠初期のエコーでわかる胎児の異常

妊娠初期のエコーでわかる胎児の異常には、以下のものがあります。

  • 子宮外妊娠(子宮以外の場所で着床してしまうこと)
  • 流産(一度胎嚢を確認できたがなくなった、心拍がない)
  • 多胎児(双子や三つ子など)
  • カラダの大きな欠損(四肢の欠損、無脳症など)

まだ赤ちゃんは小さく、臓器などもつくられている真っ最中のため、妊婦健診では詳細なカラダの異常をみることは難しい時期です。

首のうしろにあるむくみが厚い場合には、染色体異常や心臓の奇形などの可能性があるとされています。必要に応じて出生前診断の紹介をされることもあります。

妊娠中期(妊娠16週0日〜27週6日まで)

妊娠中期は赤ちゃんの重要な臓器は完成し、機能を発達させていきながら、赤ちゃんのカラダを大きく発育させていく時期です。

妊娠中期のエコーでチェックするもの

妊娠中期のエコーでチェックするものは以下のものがあります。

  • 胎児の発育状態(頭の横幅、お腹の大きさ、太ももの骨の長さ、体重)
  • 脳の異常の有無
  • 各臓器が正常な位置にあるか
  • 心臓の4つの部屋(左心室、右心室、左心房、右心房)の大きさは均等か
  • 背中からおしりにかけてこぶのようなものはないか
  • 上唇の形成に問題はないか
  • 羊水の量は正常か
  • 胎盤の位置は問題ないか
  • へその緒に異常はないか
  • 子宮頸管の長さは正常範囲内か

妊娠中期のエコーでわかる胎児の異常

妊娠中期のエコーでわかる胎児の異常には、以下のものがあります。

  • 脳室拡大、髄膜脳瘤など大きな脳の異常
  • 心室拡大や完全大血管転位症など大きな心臓の異常
  • 臍帯ヘルニア(おなかの壁に穴ができ、へその緒の中に胃や腸などの臓器が出た状態)
  • 二分脊椎(神経管閉鎖障害の一つ)
  • 口唇裂
  • 羊水過多症、羊水過小症などの羊水量の異常
  • 前置胎盤など胎盤の位置の異常
  • 単一臍帯動脈などへその緒の異常
  • 切迫早産

妊娠中期になると赤ちゃんのカラダはしっかりと大きくなってくるため、各臓器の異常などもわかるようになってきます。

ただ、出生前診断ほど詳細な異常は把握しにくいです。妊婦健診では、妊娠中の赤ちゃんの発育に大きな影響がないかや、出生直後に特別な処置が必要ないかを大まかに把握していきます。

また、赤ちゃん自身の異常だけでなく、赤ちゃんを取り巻く環境である羊水・胎盤・へその緒の異常もしっかりと観察していきます。

切迫早産の兆候があるママは、子宮頸管の長さも慎重にみていきます。

切迫早産と子宮頸管の長さの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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切迫早産になりやすい人の特徴について解説します。早産は赤ちゃんにとってたくさんのリスクがあります。そのため、早産を防ぐためにも切迫早産の兆候やなりやすい人の特徴、そして予防法を知っておくことはとても大切です。

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妊娠後期(妊娠28週0日〜)

妊娠後期にはほとんどの臓器は完成し、機能も十分に発達してくるようになります。肺だけは成熟が遅く、十分な機能まで発達するには妊娠34週までかかります。

この時期はお腹の中の赤ちゃんの大きさや、成長のスピードに差が出てくる時期でもあります。

妊娠後期のエコーでチェックするもの

妊娠後期のエコーでチェックするものは、妊娠中期のチェック項目に加えて、特に胎児の発育状態を注意して観察します。

胎児の発育状態は頭の横幅、お腹の大きさ、太ももの骨の長さ、推定体重をもとに全体的なカラダのバランスもふまえて診察します。

また、へその緒や胎盤の機能は問題ないか、血流なども観察していきます。

妊娠後期のエコーでわかる胎児の異常

妊娠後期にはお腹の中の赤ちゃんは十分に大きくなり、各臓器も妊娠中期以上にみえやすくなるため、これまでわからなかった異常がわかることもあります。

また、妊娠30週以降はお腹の中の赤ちゃんが週数に見合ったカラダの大きさかどうかを確認し、胎児発育不全(胎児の体重増加が基準より小さい)となっていないか観察していきます。

胎児の異常は予防できるの?

赤ちゃんの異常はできれば避けたいですよね。実は、ママの習慣によって予防できる先天性異常もあるんですよ。

ここでは、胎児の異常は予防できるのかを解説していきます。

先天性の異常のほとんどは予防することが難しい

先天性の異常には形態的な異常(臓器やカラダのつくりの異常)、遺伝学的な異常(染色体異常、遺伝子疾患)がありますが、現在の医療では先天性の異常を予防することはできません

ただ、無脳症や二分脊椎といった神経管閉鎖障害は唯一予防できる先天性の異常です。

脳や脊髄といった中枢神経は、妊娠4週後半ころからつくられはじめる神経管がもととなっています。この神経管がしっかりとつくられるためには、ママのカラダのなかにある葉酸が必要不可欠です。

葉酸にはDNAの合成をサポートし、細胞をつくる働きがあります。そのため赤ちゃんの器官形成期には特に葉酸の需要が高まります。

厚生労働省は、葉酸を効率よく摂取するためにサプリメントなどに含まれている「モノグルタミン酸型葉酸」を普段の食事に加えて400μg摂取することを推奨しています。

さらに葉酸の吸収率を上げるビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12も一緒に摂取することがおすすめです。

神経管閉鎖障害と葉酸の関係について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

神経管閉鎖障害と葉酸にはどんな関係がある?赤ちゃんの先天異常をサプリメントで予防しよう【助産師執筆】

葉酸を摂取することで発症を予防することができるといわれている「神経管閉鎖障害」。神経管閉鎖障害とはどんな病気なのか、その原因や検査方法などを、葉酸との関係性を含めて詳しく解説します。赤ちゃんの先天異常を予防するために、妊活中にできることを今から始めていきましょう。

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先天異常を防ぐための栄養補給にはmamaruがおすすめ

神経管閉鎖障害を予防するために必要なモノグルタミン酸型葉酸400μgをしっかり摂るなら、妊婦さん専用サプリのmamaru(ママル)がおすすめです。

mamaruなら葉酸400μgに加え、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12も配合されているので、赤ちゃんに必要な葉酸を効率的に摂ることができますよ。

◆mamaruの特徴

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もっと詳しく知りたい人は、ぜひこちらからチェックしてみてくださいね!

週数に沿った発育を促す体重管理や栄養も大切

妊娠後期以降、お腹の中の赤ちゃんの発育には個人差が出てきます。妊婦健診では、胎児発育曲線を目安に、赤ちゃんの推定体重が妊娠週数に沿った発育となっているかを注意してみていきます。

ママの栄養不足や体重増加が過度に少ない場合には、赤ちゃんの発育が遅くなったり止まったりする可能性も高まります。妊娠中は必要なエネルギーと栄養を摂取し、適度な体重増加も必要です。

◉妊娠中の体重増加の目安

妊娠中の体重増加の目安は、妊娠前のBMIという体格指数によって異なります。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

BMI体重増加の目安
BMI<18.512〜15kg
18.5≦BMI<2510〜13kg
25≦BMI<307〜10kg
BMI≧30個別対応(上限5kgまで)

(※1)

妊娠中の体重増加については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

妊娠中の太り過ぎのリスクは?体重増加の目安と対策法を紹介!

妊娠中の太り過ぎは難産のリスクがあるためよくありません。体重増加の目安は妊娠前の体型で変わるため、自分が太り過ぎかをチェックし、正しい体重管理を行うことが大切。ただし、痩せ過ぎもよくないため、無理なダイエットはNGです。本記事では妊娠中の体重管理で悩んでいる方に向けて、妊娠中の太り過ぎのリスクや体重増加の目安と対策法を解説しています。

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また、ママが妊娠中にしっかりと栄養を摂ることも大切です。

赤ちゃんがお腹の中で育つ妊娠中は、さまざまな栄養素の需要が高まります。特に需要が高まるのは、葉酸のほか、鉄分、カルシウム、ビタミンDです。

  • 葉酸…赤ちゃんの臓器をつくる、カラダの発育に必要不可欠
  • 鉄分…ママの血液をつくるもとになる、赤ちゃんに栄養たっぷりの血液を送るサポートをする
  • カルシウム…赤ちゃんの骨と歯をつくるもとになる
  • ビタミンD…不足すると流産、切迫早産、妊娠中の合併症(妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病)のリスクが高まる

これだけの栄養を食事だけで摂取するのは、なかなか大変ですよね。

そんな時こそ、mamaruの出番です。mamaruは、ここで紹介した妊娠中に需要が高まる栄養素をたっぷりと配合している、妊娠中のママの強い味方。

妊娠中に必要な栄養をまとめて摂取することができるので、葉酸単体のサプリを飲むよりも効率的に食事のサポートができますよ。

適正な体重管理と栄養補給、そして先天異常のひとつ「神経管閉鎖障害」予防のためにも、ぜひmamaruを活用してくださいね。

まとめ

今回の記事では、エコーでわかる胎児の異常についてをテーマに、妊婦健診で発見できる異常を時期別に解説してきました。

妊婦健診でのエコーは、胎児が妊娠週数に見合った発育ができているか、妊娠中や出生直後に命に関わる異常はないかを中心にみています。

ママにとってはお腹の中の赤ちゃんを目で見て会うことができる楽しい時間でもありますね。

大事なお腹の中の赤ちゃんのトラブルをできるだけ避けるためには、ママの栄養補給が大切です。

特に葉酸は、赤ちゃんの先天異常である神経管閉鎖障害を予防するはたらきがあります。また、赤ちゃんのカラダの発育にも必要不可欠な栄養素です。

妊娠中に需要が高まる栄養素は、食事にmamaruをプラスしてしっかりと摂取していきましょう。

参考文献:

(※1)日本周産期・新生児医学会:妊娠中の体重増加指導の目安について

超音波医学会:超音波による胎児形態の標準的評価法

馬場一憲:胎児形態異常と機能評価のポイント

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