更新日:2024/3/29

喫煙って妊活に影響するの?タバコによる妊娠への影響【助産師執筆】

「喫煙は健康に悪い」ということはほとんどの人が聞いたことがあると思います。

健康に悪いと思いつつ、なかなかやめられない・・・そう悩む方もいらっしゃいますよね。喫煙されている方の中には、妊活中だけどまだ妊娠していないから大丈夫、男性だから大丈夫、と思っている方もいるのではないでしょうか。


実は喫煙は女性は卵巣・卵子・子宮に、男性は精子に、男女ともに妊活中の体に様々な悪影響を与えます。

今回は喫煙と妊活についての関係をみていきましょう。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

喫煙による健康への被害

喫煙は健康に悪いことはみなさん聞いたことがあると思いますが、タバコのどのような成分がどのように悪いのかは知らない方も多いと思います。

まずはタバコの成分が体内にどのような害があるのか、具体的にみていきましょう。


ニコチン

アルカロイドという神経毒の一種で報酬系と呼ばれる神経回路に作用して心地よさをもたらします。

この成分によってタバコがやめられなくなる依存作用を引き起こします。


強い血管収縮作用があり、毛細血管を収縮させ血圧を上昇させます。

一酸化炭素

人間の細胞が正常に働くためには酸素が必要です。

その酸素は血液中のヘモグロビンという物質と結びついて全身へと運ばれます。

しかし、一酸化炭素は酸素に比べてヘモグロビンと結びつきやすい性質があります。

そのため酸素を運搬するヘモグロビンの量が減少し、体が酸素欠乏状態を引き起こしてしまいます。また、血管の内側の壁を傷つけたり、動脈硬化を促進する作用もあります。


タール

たばこの煙のうち、一酸化炭素やガス状成分をのぞいた粒子状の成分のことをいいます。

いわゆるタバコのヤニです。

このタールにはニコチンをはじめとする有害物質や発がん性物質が数多く含まれています。


活性酸素誘導物質

タバコの煙には、体内の酸化や炎症を引き起こし、活性酸素を産生する物質が多く含まれています。

タールなどの発がん物質と結びついて、細胞の癌化を促すと考えられています。また、炎症による組織障害、脂質過酸化、血栓形成も引き起こします。


次の記事では、妊活中によくあるお悩みについて分かりやすく解説しています。

健やかな妊活ライフのためにチェックしておきましょう!

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喫煙による妊活への影響

妊娠中の喫煙はお腹の中で赤ちゃんを育てているため、赤ちゃんに影響がありそうというイメージはなんとなくできると思います。


では妊活中はどうでしょうか?まだ妊娠していないから大丈夫、そう思う方もいると思います。

ですが、喫煙は妊活にも影響を与えます

さらに、喫煙は女性だけでなく、男性が喫煙することでも妊活に影響を与えます。


妊活中の喫煙はどのような影響があるのか、女性と男性別にみていきましょう。


女性が喫煙することによる妊活への影響

喫煙による有害物質は実は全身の血液中よりも生殖細胞で濃度が高くなるため、生殖器官である卵巣に集積しやすいといわれています。

卵巣の機能が低下する

①女性ホルモンの分泌が減少する

タバコの成分であるニコチンは卵巣の血流を減少させます。

また、一酸化炭素によって卵巣内で酸素欠乏が起こり、卵巣で作られる女性ホルモンであるエストロゲンという卵胞ホルモンを作るための酵素の働きを低下させます。

そのため女性ホルモンができにくくなります。


②卵巣が老化し閉経が早まる

喫煙は女性ホルモンの分泌を低下させることで、卵巣の年齢を5〜10歳老化させます。

喫煙女性は非喫煙者に比べ平均2年程度早く閉経を迎えるといわれています。


卵子の質が悪くなる

ニコチンや一酸化炭素によって卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が抑制されると卵子は通常よりも老化しやすくなってしまいます。

卵子の質が落ちると、染色体異常の卵子が増加してしまいます。

そのため受精率・着床率が低下し妊娠しにくくなります。自然妊娠の可能性も低くなる上、不妊治療による体外受精でも成功率が半分に低下してしまいます。


さらに、運良く妊娠できたとしても流産率の増加や異常を持つ赤ちゃんが生まれるリスクが高まります。


子宮が妊娠しにくい環境になる

喫煙によって妊娠しにくくなる理由は卵巣の機能が低下するだけではありません。

受精卵を受け止めて赤ちゃんを育てる子宮にも影響を与え、子宮が妊娠しにくい環境となってしまうことも理由の一つです。

ニコチンにより子宮の卵巣や子宮周辺の血管が細く硬くなり、血流が悪くなります。人間の細胞は血液によって運ばれてくる酸素と栄養をもとに正常な働きをします。


そのため血流が悪くなると本来するべき働きができなくなってしまうのです。

子宮では受精卵が着床するために必要な子宮内膜を厚くさせる必要がありますが、血流が悪くなることで子宮内膜は薄くなります。

そのため着床する可能性を低下させてしまうのです。


子宮外妊娠のリスクを高める

排卵した卵子は卵管膨大部で精子を待ち受精します。

その後卵管内を通って子宮内へと移動し、子宮内膜に着床するのが正常の妊娠です。


しかし、受精卵が卵管内で着床してしまうことがあるのです。これを卵管での子宮外妊娠といいます。

通常でも起こることはありますが、喫煙習慣のある女性では子宮外妊娠のリスクが高まります。

1日の喫煙本数によっても変化し、非喫煙者と比較して1日1〜5本では1.6倍、20本以上では3.5倍まで上昇すると報告されています。



男性が喫煙することによる妊活への影響

男性の喫煙が妊活に影響するというイメージはなかなかつきにくいかと思います。

ですが女性同様、男性の生殖器にもタバコ有害物質による影響はあります。男性の喫煙が妊活にどのような影響があるのかをみていきましょう。

精子の質が低下する

女性では卵巣機能の低下によって卵子の質が低下することを説明しました。

男性では精巣の機能が低下し、精子の質が低下します。


精子の質とは、精液中に精子がどれくらいいるかという「精子濃度」、精子の運動がどのくらい活動的かという「精子運動率」、頭部が欠如した円形の精子になるといった形態異常がどのくらい起きているかという「奇形精子率」によって決まります。


喫煙者は精子濃度は15~25%減少精子運動率は10~17%低下奇形精子率は13%上昇するという報告があります。

これは喫煙をすることで精液の中に含まれるようになるニコチン代謝産物が精子の運動性を低下させることや、精細胞のDNAを障害することなどが原因ではないかと考えられています。


勃起不全(ED)になる

ペニスは性的興奮によって脳から勃起をするよう指示を受け、陰茎の海綿体に血液が多く流れ込み、血液が充満していくことにより勃起が起きます。

ですが喫煙をしニコチンや一酸化炭素を摂取することで、動脈硬化や血管攣縮、血管を傷つけたりとペニスの主となる動脈に影響を及ぼします。

そのため勃起がうまく行われなくなり、勃起不全(ED)となるリスクが高まります。


禁煙は妊活の第一歩

喫煙は妊活中の女性、男性ともに悪影響を与えます。

いくら妊娠にいい栄養をとったり、不妊治療をしたとしても喫煙をしていては無駄になってしまう可能性が高いのです。

妊娠しにくくなってしまう理由の一つとなる喫煙をやめることが妊活の第一歩ともいえるでしょう。


妊活の第一歩として、喫煙を辞める場合、正しい禁煙法を行うことが大切です。

タバコに含まれる成分であるニコチンは依存性があり、禁煙をすると禁断症状が現れます。

その依存に打ち勝つための自分にあった方法を見つけることが禁煙を成功させるポイントです。


禁煙開始日を明確に決める

禁煙は徐々に減らすというのは失敗しやすいです。

この日から!と明確に決めて一気に禁煙をすることがポイントです。


また、自分が禁煙をする理由を書いておくことで、禁煙中に辛くなった時に、喫煙する前に考え直すことができます。


自分にあった代替方法を考える

禁煙開始後はニコチンの禁断症状が現れます。

ピークは2〜3日で7〜14日を目安に落ち着くと言われています。


この禁断症状に打ち勝つために、代替方法を考えておくことが大切です。

例えば、食事の後にタバコが吸いたくなる人はタバコの替わりに歯磨きをしたり、口寂しいときにタバコが吸いたくなる人は飴やガムをタバコの代わりに取るというのも一つの手です。

自分に合う方法を見つけましょう。


以下の記事では、男性の妊活についてもまとめています。

妊活は女性だけでなく、男性も協力して行うことが必要ですので、確認しておきましょう!

妊活を始める男性がまずすべきこととは?※助産師監修

医師監修の男性妊活ガイド!妊娠の理解、精液検査、生活習慣改善など、夫婦で取り組める妊活方法を紹介します。妊活したいと考えているが、何をすればいいか分からないという男性は必見です!

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妊活中から体に必要な栄養を積極的に摂取

私たちの体を作っている栄養は、私たちが食べる食べ物から吸収します。

人間の体は自分の生命を守ることを第一優先とするので、十分な栄養が摂取できていないと生殖活動も低下してしまいます。

妊活中から必要な栄養素を摂取することで体の環境を整えていくことも大切です。


間食に栄養となるものを摂取する

口寂しくなった時には飴やガムを取るのも一つの方法ですが、間食は私たちが不足しがちな栄養を補う機会にもなります。

手軽に食べれるもので間食によって栄養を取るのもおすすめです。


①タンパク質
体を作る栄養素の一つです。たんぱく質は様々な栄養とくっついて、全身へと栄養を運ぶ役割があります。

サラダチキンやゆで卵に多く含まれています。


②カルシウム
小魚チップスやヨーグルト、チーズに多く含まれています。


③葉酸
赤ちゃんの脳の発育や神経を作る大切な栄養素です。

枝豆やドライマンゴーに多く含まれています。


④鉄分
妊娠中は貧血になりやすいです。

レバーなどに多く含まれており、間食として手軽に食べられるものは多くないですが、プルーンなどがおすすめです。


⑤亜鉛
細胞分裂を促す栄養素です。男性にも積極的に摂って欲しい栄養素です。

ハイカカオのチョコレートなどにも多く含まれています。


⑥ビタミンE
抗酸化作用があり、体内の老化を防止するのに役立ちます。ナッツに多く含まれています。


サプリメントで手軽に必要な栄養を摂取

妊活中から十分に栄養を取ることは大切ですが、厚労省が推奨している栄養量を毎日の日常で摂取するというのはなかなか難しいものです。

そんな時こそ、mitasで必要な栄養を手軽に十分量摂取するのがおすすめです。


食品では必要量を摂取しにくい葉酸は400μg、鉄分は5mg含まれています。

不足しがちなビタミンもたくさん含まれているので、自分自身の健康とこれから育む赤ちゃんの健康を守ることができます。

下の記事では、妊活サプリについて詳しく説明しています。興味がある方はぜひご覧ください!


妊活サプリって必要なの?おすすめの選び方と必要葉酸量や成分の解説 ※助産師監修

医師監修!妊活サプリの必要性、選び方、葉酸量、成分について詳しく解説しています。男女別必要栄養素も紹介しているので、妊活を考えている全ての方におすすめです。妊活成功へ導くサプリメント選びをサポートする記事です!

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まとめ

今回は喫煙によるタバコの成分がどのように妊活に影響するのかを解説しました。

女性だけでなく、男性の喫煙も妊活には大きく影響してきます。


自分の健康だけでなく、これから育む赤ちゃんの命にも大きく影響する喫煙。喫煙中の方は、この機会に禁煙し、体にとって必要な栄養を積極的に取るようにしましょう。

必要な栄養は妊活中、妊娠中、産後、男性とマタニティサイクルに応じて少しずつ変化しています。


mitasは各サイクルに応じて必要な栄養を盛り込んだサプリメントです。妊活中は特に葉酸や鉄分を摂取したい時期です。赤ちゃんの脳の発育に必要な葉酸は400μg、妊娠中貧血になりやすい女性にとって必要な鉄分は5mg含まれています。

手軽に十分な栄養をmitasで摂取して妊活をしていきましょう。

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