
更新日:2025/12/23
つわりが終わらない人の特徴は?原因と終わる時期、やわらげる方法まで解説【医師監修】

妊娠初期から続くつわりがなかなか終わらず、「いつになったら楽になるの?」「このまま続くのは普通なの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
一般的に、つわりは妊娠中期に入る頃に落ち着くといわれていますが、実際には個人差が大きく、長引くケースも少なくありません。
この記事では、つわりが終わらない人の特徴や原因、終わる時期の目安について詳しく解説!つらい時期を少しでも楽に過ごすための対処法もあわせてご紹介します。
この記事に登場する専門家
【葉酸サプリmamaru監修・産婦人科医】まきレディスクリニック院長 風本真希先生
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、検診乳腺超音波 認定医
毎日多くの妊婦さんの検診に立会い、相談にのっている。患者さんのお話に真摯に耳を傾けることが信条。
"葉酸だけでいい” そう思っていませんか?
実は妊婦さんに必要な栄養素は葉酸だけではありません。妊活期に比べ鉄分がより必要になるだけでなく、ビタミン・ミネラルと様々な栄養素をまんべんなく摂ることが大切です。
"体のコンディションの変化や、日常生活の成約がたくさん”。妊娠中は、体のコンディションの変化や、お腹に赤ちゃんがいるというこれまでと異なる環境の中、生活にも様々な制約が。
日々の健康に気を使い、体調管理することが大切です。
つわりが終わらない人の特徴は?

妊娠初期に始まることの多いつわりは、妊娠8~10週頃にピークを迎えたあとは徐々に落ち着くケースが一般的です。ただし、なかには妊娠中期以降もつわりが続き、「なかなか終わらない」と感じる方もいます。
まずは、つわりが長引きやすい人の特徴を見ていきましょう。
- ストレスを感じやすい
- 睡眠不足
- 冷え性
- ビタミンB6不足
- 胃腸が弱い
- 双子を妊娠している
ストレスを感じやすい

ストレスがたまると自律神経のバランスが乱れ、吐き気やだるさといったつわりの症状が強く出やすくなります。
妊娠中は、お腹が大きくなることで思うように動けなくなったり、体調の変化が続いたりと、ストレスを感じやすい時期です。とくにはじめての妊娠・出産では、出産そのものや産後の生活について不安を抱える方も多く、体調不良が長引くケースもあるでしょう。
不安な気持ちはひとりで抱え込まず、パートナーや友人、かかりつけ医に相談してみましょう。また、無理に予定を詰め込みすぎず、体や気持ちを休める時間を意識的につくることも大切です。
睡眠不足

睡眠不足が続くとストレスホルモンの分泌が増えたり、自律神経が乱れやすくなったりといった影響があります。その結果、胃の不調が起こり、つわりの症状が悪化することも。
症状によっては夜に眠りにくい場合もあるため、無理に頑張ろうとせず、日中に仮眠をとるなど、休息をとることを優先しましょう。
冷え性

冷え性の方は血流が滞りやすく、その影響で胃腸の動きが鈍くなり、吐き気やだるさを感じやすくなります。
ほかの人が寒くない環境でもつらく感じる方や、冷えと共に肩こり、むくみなどの不調を感じる方は要注意!血流を促すよう、体を温める工夫を取り入れていきましょう。
>>つわりをやわらげるために、冷え対策に力を入れたい方はこちらをチェック
「妊娠中の肩こりがつらい」という方は、こちらの記事もチェックしてくださいね。
ビタミンB6不足

ビタミンB6は、つわりの症状をやわらげる働きが期待されている栄養素です。
たんぱく質の代謝や自律神経の働きを支える役割を担っており、不足すると体の調整機能がうまく働かず、つわりの症状が長引く可能性があると考えられています。
実際に、米国産科婦人科学会(ACOG)では、妊娠中の吐き気や嘔吐に対する治療のひとつとして、ビタミンB6(ピリドキシン)の使用が推奨されています。
また、厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準」では、妊娠中はビタミンB6に付加量(+0.2mg)が設定され、18〜49歳の妊婦さんは1日1.4mgの摂取が望ましいとされています(※1)。
| ビタミンB6の1日の推奨量 | |
|---|---|
| 18~49歳女性(非妊娠時) | 1.2mg |
| 18~49歳女性(妊娠中) | 1.4mg(+0.2mg) |
一方で、その年代の平均摂取量は0.96〜1.00mg(※2)というデータがあり、ビタミンB6は不足しがちな栄養素といえます。
>>妊娠中に無理なくビタミンB6を摂る方法はこちらをチェック
ビタミンB6とつわりの関係については、こちらの記事も参考にしてくださいね。
胃腸が弱い
もともと胃もたれしやすい方、冷たいものが苦手な方など、胃腸がデリケートな方は、つわりの症状が強く出やすい傾向があります。妊娠によって消化器への負担が増えることで、吐き気や不快感が長引くことも。
便秘や下痢をしやすい場合も、腸の働きが乱れている可能性があり、つわりのつらさにつながることがあります。
双子を妊娠している

単胎妊娠に比べて多胎妊娠では、つわりが重くなったり長引いたりする傾向があります。
これは、妊娠を継続させるために必要なhCGホルモンの分泌量が、単胎妊娠よりも多くなることが関係していると考えられています。また、双子などの多胎妊娠では、お腹が大きくなるペースも早く、体への負担や変化がより大きくなりやすいのも特徴です。
こうした体の変化が重なることで、吐き気や不快感を感じやすくなります。
つわりが終わらない原因

つわりが長引きやすい人の特徴から、自律神経の乱れや胃腸への影響といった体の変化が、長引く原因に関係していることが伺えます。
つわりが終わらない主な原因について、詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスの影響

つわりを引き起こす原因のひとつと考えられているのが、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンです。これは妊娠が成立したときに分泌されるもので、分泌量が増えるにつれて、つわりの症状が強く出やすくなるといわれています。
胎盤が完成する妊娠16週頃を目安にhCGホルモンの分泌は落ち着く傾向にありますが、ホルモンの分泌量や体の反応には個人差が大きいもの。妊娠中期以降もつわりが続くケースもあります。
また、妊娠中は女性ホルモンのひとつであるプロゲステロンの分泌量も増えます。プロゲステロンには胃腸の動きをゆるやかにする働きがある影響で、消化不良から吐き気や胃のムカつきを招く場合もあります。
さらに、最近の研究では、GDF15という胎盤から分泌されるホルモンが、吐き気を引き起こす可能性があるという研究報告もあります(※3)。
胃腸の圧迫

赤ちゃんの成長に伴い、子宮は少しずつ大きくなっていきます。妊娠中期(5か月頃)になると大人の頭ほどの大きさに。
お腹が前にせり出すようになることで、胃や腸が圧迫されやすくなり、その刺激が吐き気や気持ち悪さとして現れることに。
「初期のつわりとは少し違う不快感が続く」と感じる場合は、こうした体の変化が関係していることもあります。
自律神経の乱れ
自律神経は、呼吸・血流・消化など、体のさまざまな働きを調整する役割を持っていますが、睡眠不足やストレスなど、生活リズムや精神面の影響を受けやすい一面も。特に妊娠中は、ホルモンバランスの急激な変化も関係し、自律神経は乱れがちになります。
自律神経は胃や腸の働きにも深く関わっているため、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなると、胃の不快感や吐き気を感じやすくなります。
栄養不足や水分不足

つわりが続くことで食事や水分が十分にとれず、ビタミンやミネラルが不足すると、ホルモンバランスや自律神経がさらに乱れやすくなり、吐き気や倦怠感が強まるといった悪循環につながることもあります。
なかでも、つわりとの関係が指摘されているビタミンB6の不足には注意が必要です。
また、「吐くのがつらいから」と食べない・飲まない状態が続くと、脱水症状を起こしやすくなり、貧血や便秘など、別の体調不良を招くこともあります。
そのため、なかなか食事がとれない場合は、無理なく栄養を補給する工夫が必要。手軽に栄養を摂る方法として、サプリメントを活用してみるのはいかがでしょうか。

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「つわり中の栄養不足は赤ちゃんに影響しない?」と心配な方は、こちらの記事も参考にしてくださいね。
つわりが終わる時期の目安は?

つわりは妊娠初期に始まることが多く、妊娠12〜16週頃を目安に、自然に治まっていく傾向があります。つわりの原因のひとつと考えられている hCGホルモンの分泌が落ち着く時期でもあり、「気づいたら楽になっていた」と感じる方も少なくありません。
ただし、つわりが落ち着くタイミングには個人差があり、妊娠中期に入っても症状が続く方も。それでも、多くの場合は妊娠20週頃までに軽くなっていくといわれています。
一方で、妊娠悪阻(にんしんおそ)など、つわりの症状が重い場合には、妊娠後期や出産まで不調が続くケースもみられます。
「なかなか終わらない=異常」というわけではありませんが、日常生活に支障が出るほどつらいときは、無理をせず、早めに医師へ相談することが大切です。
一度治まったと思っていたつわりが再び始まることもあります。妊娠中期のつわりのぶり返しについては、こちらの記事で解説しています。
終わらないつわりをやわらげる4つの方法
つわりがなかなか終わらないと、心も体もつらくなってしまいますよね。ここでは、そんな時期に取り入れたい、つわりをやわらげる工夫を4つご紹介します。
- 1こまめに食事をとる
- 2体を温めて血流をよくする
- 3吐き気を抑えるツボを押す
- 4締めつけのない服装で過ごす
1.こまめに食事をとる

空腹になると吐き気が強くなる「食べづわり」の場合は、お腹を空かせすぎないことがポイントです。一度にたくさん食べようとせず、少量ずつこまめに口にするようにしましょう。
小さく握ったおにぎりを用意しておいたり、すぐに食べられるグミやナッツを常備しておいたりするのもおすすめです。
また、さっぱりして飲みやすい炭酸飲料は、気持ち悪さをやわらげてくれますよ。無理のない範囲で取り入れてみてくださいね。
つわりのときにおすすめの食べ物について、こちらの記事で紹介しています。
2.体を温めて血流をよくする

体が冷えると血行が悪くなり、胃腸の動きが鈍くなることで、吐き気や不快感が強くなることがあります。
夏場でも冷房が効いた室内では体が冷えやすいため、羽織ものを用意しておくと安心です。冷たい飲み物を摂りすぎないように気をつけたり、寝る前にぬるめのお湯にゆっくり浸かったりするのもおすすめ。
また、お腹周りを冷やさないよう腹巻きを活用するのも◎。シルク素材の腹巻きなら、ムレにくくやさしく体を温められますよ。
妊娠中の冷え対策については、こちらも参考にしてくださいね。
3.吐き気を抑えるツボを押す

吐き気がつらいときは、ツボ押しを試してみるのもひとつの方法です。気持ちいいと感じる程度の強さでゆっくり刺激しましょう。
内関(ないかん)
手のひらを上に向け、手首のしわの中央から指3本分ほどひじ側にあるツボ。吐き気や食欲不振など、消化器系の不調をやわらげるといわれています。
足三里(あしさんり)
膝のお皿の下、外側のくぼみから指4本分下にあるツボ。腹痛や下痢、嘔吐など、胃腸の不調に用いられることが多いツボです。
4.締めつけのない服装で過ごす

妊娠中は、体を締めつけない服装を選ぶことも大切です。締めつけの強い洋服や下着は、血行不良や圧迫感につながり、気分の悪さを強めてしまうこともあります。
衣服はもちろん、下着も含めて「着ていてラク」「ストレスを感じない」ものを選ぶようにしましょう。体をいたわる意識が、つわりのつらさをやわらげることにもつながりますよ。
つわりを乗り切るための過ごし方については、こちらの記事も参考にしてくださいね。
つわり以外に考えられる体調不良の原因

つわりが長引いていると思っていたら、実は別の体調不良が関係しているケースもあります。
- 妊娠悪阻
- 貧血
- 胃腸疾患
- 妊娠高血圧症候群
- 甲状腺の病気
「これまでのつわりと少し違うかも」「症状が強すぎる気がする」と感じたときは、無理をせず医療機関で相談しましょう。
妊娠悪阻
妊娠悪阻とは、つわりが重症化した状態のこと。妊婦さんの約0.5〜2%が発症するといわれ、通常のつわりとは異なり、医療機関での検査や治療が必要です。
適切な対応をしないと、母体だけでなく赤ちゃんにも影響が出る可能性があるため、次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 食事や水分がほとんど摂れない
- 頻回な嘔吐が続いている
- 妊娠前に比べて体重が5%以上減っている
- 強い頭痛やめまいがある
貧血

妊娠中は、赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために血液量が増えます。しかし、血液中の水分量が増える一方で、赤血球の増加が追いつかず、血液が薄まりやすくなるのが特徴。その結果、貧血を起こしやすくなります。
妊婦さんの約20%が貧血になるとされており、その多くが鉄欠乏性貧血です。
鉄分は赤血球をつくる材料ですが、妊娠中はママが摂った鉄分が赤ちゃんへ優先的に送られるため、いつも以上に意識して補うことが大切です。
>>貧血予防に必要な鉄分を補える妊婦さん向けサプリをチェック!
妊娠中の貧血が気になる方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
胃腸疾患

吐き気や胸やけが続く場合、胃腸のトラブルが関係していることもあります。
胃酸過多
妊娠中に分泌が増えるプロゲステロンには、胃腸の動きをゆるやかにする働きがあります。その影響で消化が進みにくくなり、胃の不快感や胸やけを感じることがあります。
また、ストレスなどの影響によって、胃の粘膜を守る粘液の分泌が低下すると、胃酸による刺激を受けやすくなり、症状が強まることもあります。
さらに、子宮が大きくなることによる胃の圧迫も、症状を強める要因です。
逆流性食道炎
プロゲステロンには筋肉をゆるめる作用もあり、胃と食道の境目にある下部食道括約筋もゆるみやすくなります。その結果、胃酸が食道へ逆流しやすくなり、吐き気や胸やけ、酸っぱい液体が口元まで上がってくる「呑酸(どんさん)」といった症状が現れることがあります。
妊娠中の胃痛が気になる方は、こちらの記事もチェックしてくださいね。
妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症する病気。吐き気や胃の痛み、強い倦怠感など、つわりと似た症状が出ることがあります。
とくに、強い吐き気や胃痛が続く場合や、頭痛・めまいを伴う場合は注意が必要です。
妊娠高血圧症候群は食事管理が重要!食事管理や予防方法について、こちらの記事で解説しています。
甲状腺の病気

妊娠すると、hCGホルモンの影響で甲状腺(のど仏の下にある臓器)の働きが一時的に活発になることがあります。その結果、新陳代謝を高める甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」を発症するケースもあります。
動悸、発汗、体重減少、吐き気など、つわりと似た症状が現れるため見過ごされやすいのが特徴です。多くの場合は一時的な変化で自然に落ち着きますが、動悸や倦怠感が強い場合は治療が必要になることもあります。
自己判断せず、気になる症状があれば早めに医師へ相談しましょう。
つわりが終わる時期には個人差あり!体調を優先して無理せず過ごそう

つわりがなかなか終わらないと、「自分だけ長引いているのでは」と不安に感じてしまうこともありますよね。つわりが長引きやすい人にはいくつかの特徴がありますが、体質や生活環境など、さまざまな影響も関係し、終わる時期には個人差があるものです。
つわりの時期を乗り越えるためには、食事の摂り方を工夫したり、体を冷やさないよう意識したり、できるだけゆったりと過ごすよう意識していきましょう。
それでも「思うように食べられない」「栄養が足りているか心配」と感じる場合は、妊娠期に必要な栄養を補えるサプリメントを取り入れてみてくださいね。mamaruなら、つわりの時期に不足しやすい栄養素をまとめてサポートできますよ。
今の体調を一番に考えながら、無理をせず自分のペースで過ごしてくださいね。
参考:
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