更新日:2024/4/30
【助産師執筆】妊娠中の貧血はどんな影響がある?
多くの妊婦さんが悩む貧血ですが、妊娠中貧血になるとどのような影響があるのでしょうか。
貧血は妊婦さんへの影響だけでなく、赤ちゃんへの影響も大きいです。
この記事では妊娠中に貧血になる理由と、ママと赤ちゃんへの影響、貧血の予防と対策についてご紹介します。
この記事に登場する専門家
助産師 はるはる
大学卒業後助産師として、地域周産期の総合病院に勤務。
日々妊娠、出産、育児、母乳ケアとさまざまな業務に携わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・アドバンス助産師
・新生児蘇生法Aコース修了
妊娠中は貧血になる?
血液はさまざまな成分で構成されていて、赤血球の主成分であるヘモグロビンは酸素を全身の細胞へと運ぶ重要な役割があります。
このヘモグロビンを作るために必要なものが「鉄」です。
体の中から鉄が減ってしまうと、ヘモグロビンの量が減ってしまいます。
その結果、全身へ酸素を送る力が不足してしまい、十分に酸素を送れなくなってしまいます。
この状態を「鉄欠乏性貧血」と言うのですが、
妊娠すると血液量が増えること、鉄分の多くを赤ちゃんに吸収されることの2つの理由から、貧血になりやすいのです。
妊娠すると赤ちゃんを成長させるために、多くの鉄を供給する必要があります。
妊婦さんの体から赤ちゃんへ、鉄分を含む栄養を送っているため、妊婦さんは貧血になりやすいのです。
貧血になる理由①:循環血液量が増える
妊娠中は、胎盤を通して赤ちゃんへと酸素・栄養を運ぶ必要があります。
そのため、体を循環する血液の量(循環血液量)がどんどん増えていきます。
妊娠後期の28週以降になると循環血液量は妊娠前の約1.5倍ほどになっているのです。
循環血液量が増えるときに、血液中の血漿(水分)の増加が多く、赤血球の増加は追いついていません。
そのため、血液が薄まり、貧血になりやすいのです。
妊娠すると起こる生理的な体の変化のため、基本的に心配はいりませんが、貧血の対策は必要でしょう。
貧血になる理由②:胎児に鉄が必要なため
赤ちゃんの成長に必要なため、妊婦さんの体に蓄えられている鉄は優先的にお腹の赤ちゃんへと送られます。
特に妊娠後期は赤ちゃんがどんどん成長している時期なので、鉄も多く必要になります。
そのため、妊娠中期・後期は妊娠初期の倍程度の鉄が必要になるのです。
また、出産で出血をするため、産後も鉄は不足しやすい状況です。
母乳の主成分は血液のため、妊娠中だけでなく、産後も鉄は必要となります。
妊娠中に貧血になるとどんな影響がある?
妊娠中に貧血になりやすいことはわかったところで、では実際に妊娠中に貧血になると、どのような影響があるのでしょうか。
母体への影響と赤ちゃんへの影響、それぞれ解説します。
母体への影響
妊娠中、産後の貧血が母体へ及ぼす影響は大きく、現時点では研究の結果、以下のことが指摘されています。
- 早産のリスクが高くなる
- 産後うつのリスクが高くなる
そのため、妊娠中から産後まで貧血を予防することは大切です。
赤ちゃんへの影響
妊娠中・出産後の貧血は母体だけでなく、赤ちゃんへの影響もあります。
- 低出生体重児のリスクが高くなる
- 赤ちゃんの神経発達に影響が出る
研究の結果、このような影響があると言われています。
当てはまったら要注意?貧血の症状
血液検査で貧血の状態であっても、自覚症状として気がつきにくい場合もあります。貧血の症状は一般的に以下の通りです。
- 動悸
- 立ちくらみ
- ふらつき
- 疲れやすい
- 体のだるさ
- 頭痛
- 息切れ
- 顔色が悪い
その他、朝起きられない、肩こりなどの症状もあります。
このような症状がみられた場合は貧血の可能性がありますので、大事になる前に対策をした方がよいかもしれません。
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貧血を予防するためにはどうすればいい?
妊娠中に貧血になってしまうのは仕方がありませんが、できるだけ貧血を予防したいですよね。
ここからは、貧血予防のポイントをご紹介します。
妊娠時期別の鉄付加量目安
貧血予防のために、鉄を摂取したらいいのはわかったけれど、どの程度摂取したらいいのかなと思う方もいるでしょう。
「日本人の食事摂取基準2020年版」で推奨されている、妊婦の鉄摂取の必要量および推奨量(ともに付加量)はそれぞれ妊娠初期は2.0 mg、2.5 mg/日、中期・後期は8.0、9.5 mg/日としています。
妊娠中・後期は鉄需要が増加するため、特に妊娠中期以降は鉄をしっかりとる必要があります。
鉄分を摂る方法①鉄分の多い食事をとる
鉄は体に吸収されやすい「ヘム鉄」と吸収されにくい「非ヘム鉄」の2種類あります。
「ヘム鉄」:赤身の肉や魚、動物性食品に多く含まれる
(例:レバーやカツオ、しじみやあさりなどの貝類)
「非ヘム鉄」:豆類や野菜、海藻など植物性食品に多く含まれる
(例:豆腐や厚揚げなどの豆類、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類)
ただし、レバーにはビタミンAが多く含まれているため要注意です。
ビタミンAはとりすぎると赤ちゃんの奇形を高めるリスクがあるため、貧血対策にレバーをとりすぎることはおすすめしません。
こちらの記事では、「妊娠中に取るべき栄養素」について紹介しています。
それらの栄養素を多く含んでいる食べ物も解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください!
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鉄分を摂る方法②鉄の調理器具を使用する
食品から摂取するだけでなく、鉄の調理器具を使用することもおすすめします。
昔ながらの鉄瓶や鉄鍋を使用すると鉄の吸収ができるため、効果的に鉄を吸収したい方は、調理器具を取り入れるといいでしょう。
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鉄分を摂る方法③サプリメントの摂取
女性は妊娠の有無に関わらず鉄を摂取することが推奨されますが、バランスの良い食事をとっていても、普段の食事から鉄を必要量摂取することは難しいでしょう。
食事だけで鉄の摂取が難しい方へおすすめなのが、サプリメントの摂取です。
サプリメントを選ぶときには、鉄以外にも必要な栄養素が含まれていると、妊娠中に必要な栄養素を効率よく摂取できます。
鉄以外にも妊娠中に必要な栄養素はたくさん
妊娠中は鉄以外にも葉酸やビタミンなどさまざまな栄養素が必要になります。
妊娠中、特に妊娠前から妊娠初期に必要な栄養素が「葉酸」です。
葉酸は、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」という先天性奇形が発症するリスクを抑えられるといわれており、厚生労働省からも妊娠前・妊娠中の摂取が推奨されている栄養素です。
葉酸はレバーやブロッコリー、枝豆、ほうれん草などに多く含まれていますが、妊娠初期のつわりの時期にこれらの食品を必要量摂取することは難しいでしょう
そのため、葉酸もサプリメントで摂取することが推奨されています。
葉酸も、ヘム鉄も。妊娠期の葉酸・貧血対策ならmamaru
厚生労働省は妊娠前~妊娠期の女性に対して、400㎍の合成葉酸をサプリメントでの追加摂取を推奨しています。
そのため葉酸をサプリメントで摂取している女性は多いのですが、
一緒に鉄分もサプリで摂取できると、妊娠期に必要な栄養素を効率よく摂取できると言えます。
妊娠期向けの葉酸サプリ「mamaru」なら、葉酸400㎍だけでなく、鉄分の中でも吸収率の高いヘム鉄も配合したブレンドヘム鉄を多く配合しており、厚生労働省が推奨している妊娠期の女性に推奨している鉄分量をしっかりと吸収できます。
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貧血の治療法
もし実際に貧血になってしまった場合、どのように治療がされるのでしょうか。
基本的には食事改善
鉄欠乏性貧血の原因は鉄不足のため、基本的には鉄分の摂取量を増やすことが望ましいでしょう。
鉄分を多く含む食材をできるだけ摂取するだけでなく、鉄の吸収を促す成分を摂ったり、調理方法を工夫してみましょう。
例えば、ビタミンCは鉄の吸収を促すとされています。そのため酢やクエン酸なども使って調理するもの1つの手でしょう。
また、鉄の吸収を妨げるものはなるべく避けましょう。
緑茶やコーヒー、紅茶、乳製品などは鉄の吸収を妨げるため、とり過ぎないようにしてくださいね。
食事で貧血が改善しない場合は鉄剤で治療する
食事での改善が難しい場合は、鉄剤を処方されます。
医師から鉄剤を処方された場合は、指示どおりに薬を飲みましょう。
鉄剤は飲み薬の場合と注射とどちらもありますが、症状や貧血の程度により、医師が適切な方法を選択します。
鉄剤の飲み薬は錠剤、カプセル、シロップとさまざまな形態があります。
吐き気や嘔吐、便秘などの副作用が出やすいため、副作用が強い場合は、形態の変更や服用時間の変更、薬の減量などを医師と相談しましょう。
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貧血予防はバランスの良い食事から
妊娠中はどうしてもなりがちな「貧血」
貧血予防は、まずは鉄を意識したバランスの良い食事を摂取することを心がけましょう。
また、鉄の吸収を促せるようビタミンCを摂取し、鉄の吸収を妨げる緑茶やコーヒーのとり過ぎに注意してくださいね。
食事だけで改善が難しい場合は、サプリメントを取り入れて、必要な栄養素を摂取しましょう。
妊娠中に必要な鉄だけでなく、葉酸も含まれている弊社のサプリで、効率よく栄養素を摂取してくださいね
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