
更新日:2026/6/30
妊婦さんは逆流性食道炎になりやすい?対処法と赤ちゃんへの影響、受診の目安を解説

妊娠中に胸やけや胃酸の逆流が続き、「これって逆流性食道炎かも?」と不安に感じている方も多いでしょう。
妊娠中はホルモンバランスの変化や子宮の増大により、逆流性食道炎が起こりやすくなります。特に妊娠中期から後期にかけて症状が出やすく、日常生活に支障を感じることもあるでしょう。
この記事では、妊婦さんに逆流性食道炎が起きやすい理由をはじめ、つわりとの違い、赤ちゃんへの影響、症状を和らげる方法、受診の目安についてわかりやすく解説します。
まずは正しい知識を身につけて、自分に合った対処法を見つけていきましょう。
この記事に登場する専門家
【葉酸サプリmamaru監修・産婦人科医】まきレディスクリニック院長 風本真希先生
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、検診乳腺超音波 認定医
毎日多くの妊婦さんの検診に立会い、相談にのっている。患者さんのお話に真摯に耳を傾けることが信条。
"葉酸だけでいい” そう思っていませんか?
実は妊婦さんに必要な栄養素は葉酸だけではありません。妊活期に比べ鉄分がより必要になるだけでなく、ビタミン・ミネラルと様々な栄養素をまんべんなく摂ることが大切です。
"体のコンディションの変化や、日常生活の成約がたくさん”。妊娠中は、体のコンディションの変化や、お腹に赤ちゃんがいるというこれまでと異なる環境の中、生活にも様々な制約が。
日々の健康に気を使い、体調管理することが大切です。
これって逆流性食道炎?妊婦さんにみられる症状とつわりとの違い
妊娠中の胸やけや胃酸が上がってくる感覚は、逆流性食道炎によって起こることがあります。一方で、つわりと症状が似ているため、見分けが難しい場合も少なくありません。
まずは、妊婦さんにみられる逆流性食道炎の症状と、つわりとの違いについて解説します。
主な症状

逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中の食べ物が食道へ逆流することで、胸やけや呑酸(どんさん)などの症状が現れる病気です。
【逆流性食道炎の主な症状】
- 胸やけ
- 呑酸(酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感覚)
- げっぷが増える
- 喉の違和感
- 声がれ
- 飲み込みにくさ(嚥下困難)
症状の程度には個人差がありますが、食後や横になったときに悪化しやすいのが特徴です。こうした症状が続く場合は、逆流性食道炎が関係している可能性があります。
【比較表】逆流性食道炎とつわりの違い

妊娠中の逆流性食道炎とつわりは症状が似ている部分もありますが、原因や症状の特徴には違いがあります。
| 逆流性食道炎 | つわり | |
|---|---|---|
| 主な症状 | 胸やけ、呑酸、げっぷ、喉の違和感 | 吐き気、嘔吐、食欲不振 |
| 起こりやすい時期 | 妊娠中を通してみられるが、特に中期〜後期に多い | 主に妊娠初期(妊娠16週頃まで)に多い |
| 悪化しやすいタイミング | 食後、前かがみ姿勢、横になったとき | 空腹時やにおいの刺激を受けたとき |
| 食事との関係 | 食べ過ぎや脂っこい食事で悪化しやすい | 食べなくても吐き気が起こることがある |
ただし、妊娠中はつわりと逆流性食道炎が同時に起こることもあります。
症状だけで判断するのは難しいため、強い胸やけが続く場合や、日常生活に支障が出る場合は産婦人科へ相談しましょう。
つわりが始まる時期やよくある症状については、以下の記事をチェックしてみてくださいね。
妊娠中の逆流性食道炎は赤ちゃんに影響する?

胸やけや呑酸などの症状が続くと、「赤ちゃんに影響はないのだろうか」と不安になる方もいるでしょう。
妊娠中の逆流性食道炎による症状そのものが、胎児へ直接影響を及ぼすことはないと考えられています。そのため、過度に心配する必要はありません。
ただし、症状が強く、食事や睡眠に支障をきたしている場合は注意が必要です。
例えば、胸やけや吐き気によって十分な食事が摂れなかったり、夜間の症状で睡眠不足が続いたりすると、妊婦さん自身の体調に影響を及ぼす可能性があります。
また、水分や栄養の摂取が難しい状態が続く場合は、医療機関への相談も必要になるでしょう。
多くの場合、妊娠中の逆流性食道炎はホルモンバランスの変化や子宮の増大によって起こる一時的な症状です。まずは過度に心配せず、こちらで紹介している対処法を試してみてくださいね。
妊婦さんに逆流性食道炎が起きやすい理由

妊娠中に胸やけや呑酸(どんさん)が起こりやすくなるのには、妊娠による身体の変化が関係しています。
「妊娠前は気にならなかったのに、最近になって胸やけが増えた」という方も少なくありません。ここでは、妊婦さんに逆流性食道炎が起こりやすくなる主な理由をみていきましょう。
プロゲステロンの影響
妊娠中は、妊娠を維持するために「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンの分泌が増加します。
プロゲステロンには子宮の収縮を抑える働きがありますが、その一方で筋肉をゆるめる作用もあります。その影響を受けるのが、食道と胃の境目にある「下部食道括約筋(LES)」。下部食道括約筋は、胃の内容物や胃酸が食道へ逆流するのを防ぐ役割を担っています。
しかし、妊娠中はこの筋肉がゆるみやすくなるため、胃酸が食道へ逆流しやすくなり、胸やけや呑酸などの症状が現れることがあります。
子宮の増大による胃の圧迫
逆流性食道炎が妊娠中期から後期に症状が増えやすいのは、大きくなった子宮が胃を圧迫するためです。
赤ちゃんの成長に伴って子宮が大きくなると、胃は下から押し上げられます。すると、胃の中の圧力が高まり胃酸が食道へ逆流しやすくなります。
その結果、食後の胸やけや胃もたれ、横になったときの不快感などが現れることがあります。特に妊娠後期は、お腹が大きくなるにつれて症状が強くなるケースも少なくありません。
妊娠中期〜後期に起こりやすいといわれる逆流性食道炎以外のトラブルについて、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
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妊娠中は胃の動きも低下しやすい
妊娠中は胃腸の動きがゆるやかになり、食べたものが胃の中に長く留まりやすくなります。 このような状態が胃酸の逆流につながることも。
そのため、1回の食事量を減らして回数を分けたり、食後すぐに横にならないようにしたりすることが大切です。
今からできる逆流性食道炎の対処法
妊娠中の逆流性食道炎は、ホルモンバランスの変化や子宮の増大が原因となるため、完全に防ぐことは難しい場合があります。しかし、食事のとり方や生活習慣を工夫することで、症状が和らぐことも。
ここでは、今日から実践できる4つの対処法を紹介します。
食事は1日4〜5回の少量分食にする

胸やけが気になるときは、一度にたくさん食べるのではなく、少量ずつ回数を分けて食べるのがおすすめです。
1回の食事量が多いと胃が膨らみ、胃の内圧が高まることで胃酸が逆流しやすくなります。
そのため、1日3食にこだわらず、1回の量を減らして4〜5回に分けて食べる「少量分食」を意識してみましょう。
症状を悪化させやすい食べ物・飲み物を控える

食べ物や飲み物の種類によっては、胃酸が逆流しやすくなったり、食道への刺激となったりすることで胸やけが悪化することがあります。
症状が気になる場合は、以下のような食品や飲み物の摂り過ぎに注意してみましょう。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 脂質の多い食品 | 揚げ物、脂身の多い肉、スナック菓子 |
| 甘い食品 | ケーキ、チョコレート、菓子パン |
| カフェインを含む飲み物 | コーヒー、紅茶、エナジードリンク |
| 酸味の強い食品 | 柑橘類、グレープフルーツ、酢を使った料理 |
| 刺激の強い食品 | 唐辛子、カレーなどの香辛料を多く使った料理 |
ただし、すべての方に当てはまるわけではありません。
「食べた後に胸やけが強くなる」と感じる食品があれば、量を減らしたり食べるタイミングを工夫したりするとよいでしょう。
食事が偏りがちな時期の栄養補給には『mamaru』がおすすめ
症状がつらい時期は食べられるものが限られ、栄養バランスが偏ってしまうこともあります。
「食べたいのに胸やけが怖くて食べられない」「栄養は気になるけれど思うように食事がとれない」と悩む妊婦さんも。胸やけやつわりなどで食事量が減ると、必要な栄養素が足りているか心配になりますよね。
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食後の姿勢を意識する
食後すぐに横になると、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。食後は2〜3時間ほど横にならず、上体を起こした姿勢で過ごすのがおすすめです。
デスクワークや家事の際になりやすい前かがみの姿勢も胃を圧迫するため、できるだけ背筋を伸ばして過ごすよう意識してみましょう。
就寝2〜3時間前までに食事を終わらせる

寝る直前の食事は、胃の中に食べ物が残った状態で横になることにつながり、胸やけの原因になることがあります。そのため、夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませるのが理想です。
夜遅くに空腹を感じた場合は消化のよいものを少量摂るなど工夫するとよいでしょう。
すべてを一度に実践する必要はありません。まずは取り入れやすいものから始めて、自分に合った対処法を見つけていきましょう。
妊婦さんの夜の胸やけを和らげる寝方と姿勢

夜になると胸やけが強くなり、「横になると余計につらい」と感じる妊婦さんも少なくありません。横になると重力の影響を受けにくくなり、胃酸が食道へ逆流しやすくなることがあります。
夜の胸やけが気になる方は寝方や姿勢を少し工夫してみましょう。
上半身を少し高くして寝る
上半身を少し高くすると、胃酸が食道へ逆流しにくくなり、胸やけの軽減につながる場合があります。
胸やけが気になるときは、ベッドの頭側にクッションなどを入れて上半身を少し高くする「頭側挙上」を試してみるのもよいでしょう。
ただし、枕だけを高くすると首や肩に負担がかかったり、お腹が圧迫されたりすることも。そのため、クッションや抱き枕を活用しながら、上半身全体をゆるやかに傾斜させるのがポイントです。
左向きで寝る
寝る向きに迷ったときは、左向きで寝ることを意識してみましょう。
左向きの姿勢(左側臥位)は、胃の形や位置の関係から胃酸が食道へ逆流しにくいとされており、妊婦さんに推奨される寝方のひとつです。そのため、胸やけが気になるときの寝方としてよくすすめられています。
また、妊娠中によく耳にする「シムス位」も左向きが基本です。左側を下にして横になり、上側の足を軽く曲げることで、お腹への負担を減らしながら楽な姿勢をとりやすくなります。
無理に同じ姿勢を続ける必要はありません。自分が楽だと感じる姿勢を基本にしながら、胸やけがつらい夜は左向き寝や上半身を高くする工夫を試してみましょう。
妊娠中の逆流性食道炎と薬の考え方

食事や生活習慣を見直しても胸やけがつらいとき、「薬で楽にならないかな」と考える方もいるかもしれません。
ただし、妊娠中は服用できる薬に制限があるため、自己判断で使用しないことが大切です。ここでは、市販薬や処方薬、漢方薬について知っておきたいポイントを紹介します。
市販薬を自己判断で使用するのはNG
逆流性食道炎の症状を和らげる市販薬は数多く販売されていますが、妊娠中の使用については注意が必要です。
妊娠中でも使用が検討される薬はありますが、妊娠週数や体調によって適切な薬は異なります。
また、一般的な胃薬のなかには妊娠中の使用について慎重な判断が必要な成分もあるため、自己判断で服用することはおすすめできません。
医師の診断のもと薬物療法を検討することも

症状が強い場合や生活に支障が出ている場合には、医師の判断のもとで薬物療法が行われることがあります。
逆流性食道炎に対して用いられることがある主な薬には、以下のようなものがあります。
- 制酸薬
- H2ブロッカー
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)
これらの薬は胃酸の分泌を抑えたり、胃酸による刺激を軽減したりする目的で使用されます。ただし、妊娠中に使用するかどうかは症状の程度や妊娠週数などを考慮して医師が判断します。
漢方薬が用いられることもある

逆流性食道炎の症状に対しては、漢方薬が用いられることもあります。
例えば、胃の働きを整える目的で六君子湯(りっくんしとう)や、喉のつかえ感や不快感に対して半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などが処方されることがあります。
ただし、「漢方薬は自然由来だから安全」というわけではありません。
漢方薬にも副作用や注意点があり、妊娠中の体調や症状によって適した処方は異なります。漢方薬を希望する場合も、自己判断ではなく医師や薬剤師へ相談するようにしましょう。
妊娠中の薬との付き合い方については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
逆流性食道炎が疑われたときの受診のポイント

妊娠中は体調の変化が多いため、症状を我慢してしまう方も少なくありません。胸やけや呑酸が続くと、「受診した方がいいのかな?」と迷うこともあるでしょう。
最後は、受診先や受診の目安について解説します。
どこに受診すべき?
妊娠中に胸やけや呑酸が気になる場合は、まず産婦人科へ相談するのがおすすめです。
妊娠中の症状かどうかを含めて総合的に判断してもらえるほか、必要に応じて薬の処方や生活上のアドバイスを受けられます。
また、症状が強い場合や詳しい検査が必要と判断された場合には、消化器内科の受診を勧められることもあります。
まずはかかりつけの産婦人科へ相談してみましょう。
こんな症状があれば早めに受診

胸やけだけでなく、次のような症状がある場合は早めに医療機関へ相談しましょう。
- 食事や水分が十分に摂れない
- 胸やけによって睡眠に支障が出ている
- 症状が長期間続いている
- 体重減少がみられる
- 強い胸の痛みがある
- 吐血した
- 黒色便が出た
特に、食事や水分摂取が難しい状態が続く場合は、妊婦さん自身の体調にも影響する可能性があります。
気になる症状があるときは、無理に我慢せず受診することが大切です。
産後は自然に改善するケースが多い
妊娠中の逆流性食道炎は、ホルモンバランスの変化や子宮の増大が主な原因です。
そのため、出産後にホルモンバランスや身体の状態が変化すると、自然に改善するケースが多いでしょう。
ただし、産後も症状が続く場合は別の原因が隠れている可能性もあるため、一度医療機関で相談してみると安心です。
妊娠中の逆流性食道炎は正しい知識と生活習慣の見直しで対処しよう

妊娠中はホルモンバランスの変化や子宮の増大によって、逆流性食道炎の症状が現れやすくなります。胸やけや呑酸などの症状が続くと不安になるかもしれませんが、症状そのものが赤ちゃんへ直接影響するわけではありません。
症状が気になる場合は、少量分食を心がけたり、食後の姿勢や寝方を工夫したりすることで、負担を軽減できることがあります。
一方で、食事や睡眠に支障が出るほど症状が強い場合は、無理に我慢しないことも大切です。つらい症状とうまく付き合うためにも、まずは日常生活でできる対策から取り入れてみてください。
また、胸やけやつわりなどで食事が思うようにとれず、栄養バランスが気になることもあるでしょう。そんなときは、mamaruのようなサプリメントも上手に活用しながら、ご自身のペースで妊娠期間を過ごしてくださいね。
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