更新日:2024/3/28

妊活を始める男性がまずすべきこととは?※助産師監修

赤ちゃんを嬉しそうに持ち上げている夫婦

男性による妊活は、昔より増えてきた印象ですが、まだまだ「妊活」は“女性のもの”というイメージを持つ人も少なくありません。

事実、不妊治療では女性が身体的にも精神的にも負担が大きいのが現状です。


しかし、男性にも妊活としてできることはたくさんあります。

妊活を夫婦の共同作業とすることで、妊娠の確率はより高められるでしょう。


今回は、妊活を始めるときに男性がすべきことを紹介します。

この記事に登場する専門家

海田幹子

妊娠について理解しよう

妊娠は卵子と精子が出会う奇跡のできごと

まずは、妊娠のしくみについておさらいしてみましょう。

【妊娠のしくみ】

  1. 卵巣から卵子が排出される(排卵)
  2. たくさんの精子が子宮、卵管を通り卵子を目指す
  3. 最も元気な精子1つが卵子の中に入る(受精)
  4. 受精卵が細胞分裂を繰り返しながら子宮に移動し子宮内膜にもぐりこむ(着床)


文章で書いてしまうと4ステップなので簡単に思えるかもしれません。

しかし、精液に含まれる約1億2千万個の精子のうち、受精卵になれるのはたったの1つの精子のみです。


しかも、健康な男女であっても、1回で妊娠できる確率は約30%。

妊娠とはやはり“奇跡のできごと”といえるでしょう。

不妊原因の48%は男性にあり

WHO(世界保健機構)発表の不妊症原因調査より作成


妊活を始めてすぐに妊娠にいたるカップルもいれば、妊活を行っているのになかなか妊娠にいたらないカップルもいます。

日本産科婦人科学会では、「妊娠を望む健康的な男女が、1年以上避妊をせず性交を行っても妊娠にいたらない場合」を「不妊」と定義しています。


不妊と聞くと、「不妊の原因の多くは女性にある」と思い込んでいる男性も少なくないかもしれません。

しかし、上の表にある通り、不妊原因の約半分は男性です。

このことからも、妊活は女性だけががんばって成し遂げられるものではなく、夫婦2人の協力が不可欠だということがおわかりいただけるでしょう。


男性不妊のうち、約83%は精子を作る機能に障害がある「造精機能障害」です。

造精機能障害の結果、「乏精子症(精液中の精子の濃度が低下)」や「無精子症(精液中に精子が存在しない)」、「精子無力症(精子の運動率が低下)」などの症状が見られます。


妊娠できるかどうかは、精子や精液の状態が大きく影響し、「運動率が悪い」「精子が少ない」となると、妊娠にいたる可能性が低下するかもしれません。

勃起障害などの他の障害がない場合、男性妊活の大きな目標は「元気な精子を作ること」といえるでしょう。



下記の記事では、妊活中の多くの男性が気にかけているであろう飲酒についてです。

この機会に、ぜひ確認しておきましょう!

[助産師がお答えします!]妊活中のアルコールは大丈夫?注意したい飲み物とおすすめの飲み物

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元気な精子のために酸化ストレス対策が必須

では、”元気な精子を作ること“のためにどうすれば良いのでしょうか?

近年注目されているのが「精子の酸化ストレス対策」です。

酸化ストレスとは、体内で活性酸素が過剰に生成され、抗酸化防御機構とのバランスが崩れてしまう状態をいいます。


活性酸素は常に体内で生成されている物質ですが、本来人の体には活性酸素の生産を抑制したり、傷つけられた箇所を修復・再生したりする抗酸化防御機構があるため、酸化ストレス状態にはなりません。

しかし、紫外線や大気汚染、タバコ、酸化した食べ物の摂取、過度な運動、不規則な生活、ストレスなどは、通常より多くの活性酸素を生成します。

そうなると抗酸化能力が追いつかず、酸化ストレス状態が続き体の老化や不調につながるのです。


この酸化ストレスにより、卵子・精子の質に悪影響を及ぼす可能性があるといわれています。

精子は、酸化ストレスにより細胞やDNAが傷を負い、そのことが精子の運動能率や妊娠率の低下、流産率の増加につながるため、妊活中の男性は酸化ストレス対策が必須といえるでしょう。

男性妊活の第一歩「精液検査」とは?

“酸化ストレスが精子に悪影響がある”という話を聞いて「自分の(または夫の)精子は大丈夫なのかな?」と不安になった人もいるかもしれません。

その不安解消のひとつの手段となるのが「精液検査」です。そこで、精液検査について詳しく見てみましょう。

精液検査とは?

精液検査とは、精子の数や精液量、精子の運動率を調べる検査です。

前述した通り、そもそも精子がいない、または元気がないなどの理由があると、妊娠する可能性は低くなります。


良い精子の条件とは、数が多く、活発で、損傷がないものです。

「精液検査なんて妊活に行きづまってからじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。

しかし、先に精液検査をしておくと、もし結果が悪かった場合、早期治療をすることで妊娠の可能性を高められます。


また、場合によっては体外受精や人工授精などいろんな選択肢も見えてくるでしょう。

特に高齢出産といわれる35歳以上の夫婦や早く子どもが欲しい夫婦は、精液検査を妊活の一環として検討してみてくださいね。

どうやって検査するの?

精子検査は、専門のクリニックで行う方法と、自宅で検査キットを使う方法の2種類があります。

どちらもマスターベーションによって精子を専用の容器に入れ、顕微鏡で精子の状態を見て精子の数や運動率を調べます。


■クリニックで行う場合
不妊症専門外来や一部の婦人科や泌尿器科などで検査してもらえます。

精子の採取は、クリニック内の採精室で行うか、自宅で採取して持っていくかを選べる医院もあるようです。


ただし、自宅で採取する場合、“採取して1時間以内に病院に持っていく”などの制限がある場合が多いので注意しましょう。

妊活目的での精子検査は自費診療のため、費用はクリニックによって差がありますが、5000円~10000円が相場のようです。


■自宅で検査キットを使用する場合
自宅で精子を採取し、検査機関へ郵送します。

検査キットは2000円~10000円ほどで、ドラッグストアやインターネットで購入できる便利さが魅力です。


しかし、精子を採取してから検査が行われるまでタイムラグがあるため、検査精度はクリニックで行う方が高いといえます。

男性自身がメリット・デメリットを考え、検査方法を選択してみてくださいね。

妊活中の男性がまずすべきこと5つ

ここで、男性妊活のためにぜひしてもらいたいことを5つ紹介します。

1.禁煙

「タバコは体に害がある」というのはみなさんご存じでしょう。

どう悪いのかというと、まずタバコを吸うと血管が収縮し血流が悪くなります。

体の血流が悪くなるということは、もちろんペニスの血流も悪くなり、結果としてED(勃起障害)の可能性が高まります。


次に、タバコを吸うと体は酸化ストレス状態になり、増加した活性酸素が精子のDNAを傷つけます。

前述した通り、傷ついた精子は受精しにくく、流産しやすい状態です。


このように、タバコは体にとっても精子にとっても悪者です。

「でも、タバコはストレス発散になるから…」と思う人もいるかもしれませんが、厚生労働省のサイトにも“タバコによるストレス解消は単なる思い込みで、禁煙に成功した人はストレスが下がる”という旨の記載があります。


ちなみに、加熱式タバコもタールを含むためNGです。

最近は分煙も進んではいますが、受動喫煙にも気をつけてくださいね。

また妊活中の女性もタバコは吸わない方がいいので、夫婦で喫煙されている場合は妊活と一緒に禁煙も進めていきましょう。

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2.禁欲しない

「禁欲すると妊娠率が上がる」という話を聞いた人もいるかもしれませんが、長期にわたる禁欲はNGです。

禁欲により精子が排出されないと新しい精子が作られず、古い精子が溜まります。

そして、古い精子は運動率が悪いため、精液全体の質の低下につながるのです。


そのため、1~2日の間隔での射精がおすすめ。

ただ、タイミングをとる前日は、精子の数が少なくなるため、マスターベーションは控えましょう。

3.規則正しい健康的な生活

たっぷりの睡眠、適度な運動など、規則正しい健康的な生活、体にはもちろん精子のためにも良いです。

なぜなら、規則正しい健康な生活は、立派な“酸化ストレス対策”になっているからです。


ただし、過度な運動はほどほどにしましょう。

逆に疲労で酸化ストレスや性欲減退を招きかねません。

4.バランスの良い食事

男性妊活のために、「これを食べればOK」という食事は、残念ながらありません。そのため、食事はバランス良く食べることが大切です。

男性妊活に大切な栄養素は、

  •  マカ
  •  亜鉛
  •  葉酸

などです。


マカと亜鉛は精子の運動率を保ち、奇形率を減少させる働きがあり、葉酸は精子内のDNAが傷つくのを防ぐといわれています。

亜鉛は牡蠣やレバーなどに、葉酸はブロッコリーやえだまめなどに多く含まれます。

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また、抗酸化をサポートする成分を摂取するのも良いでしょう。抗酸化作用のある成分には、

  • ビタミンC(緑黄色野菜、フルーツなどに含まれる)
  • ビタミンE(ナッツ類、植物油などに含まれる)
  • ポリフェノール(コーヒー、紅茶、緑茶、赤ワイン、りんごなどに含まれる)

などがあります。


どの食べ物も手に入りやすいものばかりなので、バランス良く習慣的に摂取できると良いですね。

栄養素をきちんと摂れているか自信がない人は、男性用の妊活サプリの活用もおすすめです。

5.肥満の解消

男性も女性も、肥満の状態では妊娠しにくいといわれています。

肥満体質で脂肪が多い男性は、体または精巣を脂肪が温めてしまい、精子の質に影響を及ぼす可能性があります。


実は精子または精巣は、熱に弱い性質を持っているのです。

睾丸が外に露出しているのは、精巣・精子が物理的に冷えやすいためという説もあります。

また、肥満の男性は、男性ホルモン(テストステロン)が低下することがわかっており、そのため精子の数や精液量の減少につながります。


これらのことから、肥満は男性不妊の原因になりうることがおわかりいただけたでしょう。

BMIは22前後が理想です。

「BMI計算式:BMI = 体重kg ÷ (身長m)2」で計算できるので、調べてみてくださいね。

妊活中の男性に控えてほしいこと6つ

次に、妊活中の男性に控えてほしいことを紹介します。

1.サウナや長風呂

先ほど、“精子と精巣は熱に弱い”とお伝えしました。

そのため、体を芯から温める長風呂やサウナは、当然下半身も温めてしまうため、控えたほうが良いです。

サウナやお風呂が好きな人にはつらいかもしれませんが、妊活中だけでいいので気をつけてみてはいかがでしょうか?

2.ピチっとした下着やズボン

ブリーフなどのピチっとした下着やスキニーパンツは、布が皮膚に張りつくため保温性に優れています。

しかし、股間に熱が溜まりやすいので、精子には悪影響が出るかもしれません。

できれば通気性の良いトランクスにゆったりとしたズボンの方が、精子の質を高めるためには良いといえます。

3.膝の上でパソコンを操作する

こちらも下半身を温めてしまうという点でNGです。

「これくらいで?」と思う人も多いかもしれませんが、パソコンは長時間使用するとかなり熱を持ちます。

どうしても膝の上に置いてパソコンを使いたい場合は、膝とパソコンの間にクッションを挟むのがおすすめです。

4.前傾姿勢の自転車

クロスバイクやロードバイクなどは男性に人気の趣味ですよね。

しかし、前傾姿勢で乗るスポーツ用自転車は、長時間の使用を控えたほうが良いです。

なぜなら、長時間、前傾姿勢で座り続けると、ペニスの血管を傷つけるおそれがあり、結果としてED(勃起不全)の原因につながります。


また、前立腺の炎症を起こしてしまうと、精子の輸送が滞り、精子の運動率が下がる可能性もあります。ど

うしても乗りたい人は、短時間かつ股間を保護するようなサドルを使うことを心がけましょう。

5.男性型脱毛症の治療

最後に注意したいのが育毛剤や育毛薬です。

AGA(男性型脱毛症)の治療薬に使われる「フィナステリド」という成分は、男性ホルモンの作用を抑える効果があります。

そのため、まれにフィナステリドの効果により性欲減退や精子数の減少、射精障害、EDなどの副作用出現する可能性があります。

すべての育毛剤や育毛薬に配合されているわけではないので、成分をきちんとチェックしてから使用しましょう。

男性にできる妊活はたくさんある

男性ができる妊活は、精液検査や禁煙、規則正しい生活に食事…などたくさんあります。

妊活のメインは女性」と思っていた人も、少し見方が変わったのではないでしょうか?


「妊活は夫婦ふたりで行うもの」という意識は、妊活を成功させる上でとても重要です。これを機に、妊活中の夫婦は一度話し合ってみてはいかがでしょうか。

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参考文献

健康長寿ネット 「酸化ストレス」 

e‐ヘルスネット 「活性酸素と酸化ストレス」 

公益社団法人 日本産科婦人科学会 

富士製薬工業 「不妊症について」 



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