更新日:2024/3/29

葉酸の多い食べ物とは?働きや摂取量、注意点も 【助産師監修】

「葉酸は妊娠中に大切な栄養素」と聞いたことがある人も多いでしょう。

事実、葉酸はママの健康や赤ちゃんの成長に大きく係わる重要な栄養素のひとつです。

今回は、葉酸の多い食べ物を紹介しながら、葉酸の働きや推奨摂取量、葉酸の摂り方についての注意点などにも触れていきます。

葉酸摂取の参考にしてみてくださいね。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

どうして妊娠・出産には葉酸が必要なの?

まずは、「妊娠・出産には葉酸の摂取が大切」といわれる理由を見てみましょう。

そもそも葉酸って何?

葉酸とは、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンです。

ビタミンB12とともに、赤血球の生産を助ける働きがあるため、「造血のビタミン」と呼ばれることもあります。


た、体を作り、機能させる大切な要素であるタンパク質や、DNAの生成・合成を助ける働きもあることから、葉酸は人が生きていく上で重要な栄養素のひとつといえるでしょう。

【助産師監修】妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫?赤ちゃんへの影響と今から摂ったほうがいいのかも解説!

妊娠初期に葉酸を飲まなかったらどうなるの?この記事では「葉酸が必要なんて知らなかった」「妊娠に気がついたのが遅くて飲んでいない」という方に向けて、葉酸を摂らないと赤ちゃんにどのような影響があるのか、今からでも摂るべきかなどを解説します。葉酸の重要性や葉酸が多く含まれている食べ物もわかりますよ!

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妊娠・出産と葉酸の関係性

葉酸は、「人が健やかに生きていくうえで重要な栄養素だ」ということはおわかりいただけたでしょう。では、なぜ妊娠・出産にとって大切な栄養素といわれているのでしょうか?

れは、胎児の発育にとっても重要な栄養素だからです。
妊娠~出産の中で、特に葉酸が必要といわれているのが
「妊娠初期」


娠初期は、胎児の脳や神経管、心臓など、体の中でも特に重要な部分が形成される時期です。これらの形成には、タンパク質やDNAの生合成が欠かせません。

そのため、妊娠初期には葉酸がなくてはならないのです。

た、妊娠初期に葉酸がママの体内に十分あれば、神経管発達異常のリスクを低減できるとされています。先天性の発達障害リスクを下げるためにも、葉酸の摂取は大切なのです。


娠初期に体内に十分葉酸がある状態をキープするには、妊活を始めると同時に葉酸の摂取も開始するのがおすすめです。いつ妊娠しても大丈夫なように、体内の葉酸準備も始めておきましょう。

1日に推奨されている葉酸摂取量の目安は?

ここで気になるのが、「どれくらい葉酸を摂取すれば良いの?」ということですよね。そこで、厚生労働省が発行している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より葉酸摂取量の推奨目安を見てみましょう。

【葉酸の摂取推奨量と上限量】

推奨量(女性) 上限量(女性) 推奨量(男性) 上限量(男性)
成人(18歳~) 240 µg/日 900~1000 µg/日 240 µg/日 900~1000 µg/日
妊婦(初期) 240µg/日(食事から)+400µg/日(サプリメントなど)
妊婦(中期~後期) 480 µg/日
授乳婦 340 µg/日

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を元に作成


表を読み解くと、成人した男性と女性の葉酸の摂取推奨量・上限量は同じ値ですが、女性の妊娠初期~授乳中になると、非妊娠時の約1.4倍~2.7倍の葉酸摂取が推奨されています

娠中期~後期は480µg/日、授乳中は340µg/日、妊活期から妊娠初期は、食事から240µg/日、サプリメントや食品中に強化される葉酸から400µg/日の合計640µg/日が推奨摂取量です。


生労働省が、妊娠初期に“サプリメントや食品中に強化される葉酸”の摂取を推奨していることから、妊娠初期の葉酸の重要性を読み取ることができますね。

限量は設定されていますが、食事のみから葉酸を摂取している場合、過剰摂取による健康障害が起こったという報告は今のところありません。


生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」の結果より、1日当たりの平均葉酸摂取量を見てみると、20代女性で226µg/日、30代女性で233µg/日、40代女性で247µg/日となっており、推奨量やや少なめ~推奨量レベルの数値となっています。

人差はあるものの、普通の食事をしている限り過剰摂取にはなりにくいといえるでしょう。しかし、この数値は妊娠期~授乳期の推奨量には及ばない摂取量です。妊活中・妊娠中・授乳中の女性は、より積極的に葉酸を摂取する必要がありますね。

葉酸を多く含む食べ物リスト

ここで、葉酸を積極的に摂取するために、葉酸を多く含む食べ物をまとめました。普段の食事に摂り入れやすいものをピックアップしているので、参考にしてみてください。

葉酸を多く含む食べ物~野菜編~


【葉酸含有量】

食品名 可食部100g当たりの成分量 1食当たりの可食部重量 1食当たりの葉酸量
枝豆(ゆで) 260µg 10さや(15~25g) 39~65µg
ほうれん草(ゆで) 110µg ゆで1束(140g) 154µg
モロヘイヤ(ゆで) 67µg ゆで1束(70g) 46.9µg
ブロッコリー(ゆで) 120µg 中1房(25g) 30µg

葉酸を多く含み、日常的に食べやすい野菜は、枝豆やほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなどです。葉酸は水に溶けやすいため、野菜をゆでると葉酸がゆで汁に流れ出てしまいます。

のため、生で食べられるものは生の方が多く葉酸を摂取できるでしょう。しかし、上記の野菜は生では食べにくいものばかりなので、水を沸騰させてゆでるのではなく電子レンジを使ったり、スープや味噌汁にして汁まですべて飲んだりと、工夫をすることで効率的に葉酸を摂取できます。

えば、

  • ゆでた枝豆 10さや(葉酸量40µgとする)
  • ゆでたほうれん草 1束
  • ゆでたブロッコリー 中サイズを4つ

食べたとしましょう。すると摂取できる葉酸量は約314µg


の結果を見ると、妊娠中期~後期時の葉酸推奨量480µg/日を野菜だけで達成するのは難しいと感じる人もいるかもしれませんね。

のあと紹介しますが、葉酸を含む食べ物は野菜だけではありませんのでご安心ください。葉酸だけでなく、他の栄養素とのバランスも考え、いろんな食べ物から摂取することが大切です。

葉酸を多く含む食べ物~肉魚類編~


【葉酸含有量】

食品名 可食部100g当たりの成分量 1食当たりの可食部重量 1食当たりの葉酸量
鶏レバー(生) 1300µg 焼鳥1本(30g) ※約390µg
牛レバー(生) 1000µg レバニラ1人前(80g) ※約800µg
桜エビ(乾燥) 230µg 1小袋(15~30g) 34.5~69µg

※鶏レバー・牛レバー100gの葉酸量は「生」のものです。焼鳥やレバニラにするとレバーに火を通すため、葉酸量は上記の数字より小さくなる可能性があります。


鶏や牛のレバーは葉酸を多く含む代表的な食べ物です。鶏レバーの焼鳥を1本食べるだけで、妊娠時の葉酸推奨量に一気に近づきます。

しかし、鶏レバー・牛レバーの摂取は注意が必要です。その理由が鶏レバー・牛レバーに含まれる「ビタミンA」の存在。

ビタミンAは、免疫を高めたり、目や皮膚の粘膜を正常に保ったりと、ママにとっても赤ちゃんにとっても大切な栄養素です。しかし、ビタミンAの過剰摂取が続くと、逆に健康や発達を損なう可能性が高まります。

ビタミンAの過剰摂取により、ママは頭痛やめまい、嘔吐などの症状がでる場合があり、赤ちゃんは先天異常が起こる可能性があるのです。

【ビタミンAの食事摂取基準】

推奨量 耐用上限量
18歳以上の女性 650~700µgRAE/日 2700µgRAE/日
妊娠初期~中期 650~700µgRAE/日
妊娠後期 730~780µgRAE/日
授乳期 1100~1150µgRAE/日

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を元に作成

【ビタミンAの含有量】

食品名 可食部100g当たりの成分量 1食当たりの可食部重量 1食当たりのビタミンA量
鶏レバー(生) 14000µg 焼鳥1本(30g) 4200µg
牛レバー(生) 1100µg レバニラ1人前(80g) 880µg

上の表の通り、鶏レバー・牛レバーは共にビタミンAの含有量が多いため、食べ過ぎには注意が必要です鶏レバーの焼鳥1本を食べると、葉酸が摂取できる一方で、ビタミンA量は1日の上限を大きく超えてしまっています

閣府「食品安全委員会」によると、「鶏レバー・牛レバーなどを、一度でも食べ過ぎたら危険というわけではない」ということを発表しています。“絶対に食べてはダメ”というわけではありませんが、毎日食べることは止めておきましょう。


エビは中華スープやチャーハンに入れたり、かき揚げにしたりと使い勝手が良いのが特徴です。たくさん食べるのは難しいかもしれませんが、常備して葉酸摂取の足しにすると良いでしょう。

葉酸を多く含む食べ物~果物編~

【葉酸含有量】

食品名 可食部100g当たりの成分量 1食当たりの可食部重量 葉酸量
ドライマンゴー 260µg 1小袋(70g) 182µg
いちご 90µg 中1個(15g) 13.5µg
アボカド 84µg 1個(150g) 126µg
バナナ 26µg 1本(200g) 52µg

果物は生で食べられるため、手軽に食べられ、かつ葉酸を無駄にすることがない優秀な食べ物です。

えば、

  • ドライマンゴー 1小袋
  • いちご 中10個
  • アボカド 1個
  • バナナ 1本

を食べたとすると、摂取できる葉酸量は約495µgになり、妊娠中期~後期の葉酸推奨量480µg/日をクリアできます。


物が好きな方なら、上記のメニューを食べきることは簡単かもしれません。

しかし、果物だけで1日の葉酸推奨量をクリアするだけ食べてしまうと、別の問題がでてきます。それが、果物にたくさん含まれている「糖質」です。

質を摂りすぎると、体重増加や血糖値の上昇を招く可能性があるため、妊娠中は特に高糖質な食べ物の過剰摂取に注意した方が良いでしょう。果物は糖質が高いものが多いため、食べ過ぎは禁物です。果物も取り入れつつ、いろんなものから葉酸を摂取しましょう。


葉酸を多く含む食べ物~その他の食べ物~

【葉酸含有量】

食品名 可食部100g当たりの成分量 1食当たりの可食部重量 葉酸量
鶏卵(生) 49µg M1個(50g) 24.5µg
玉露(浸出液) 150µg 1杯(50ml) 75µg
焼きのり 1900µg 1枚(3g) 57µg
納豆 120µg 1パック(50g) 60µg

菜、肉魚、果物以外にも葉酸を多く含むものがあります。それが、

鶏卵や玉露、焼きのり、納豆などです。


記に挙げた食べ物は、どれも手軽に取り入れられるものなので、ぜひ葉酸摂取に役立ててください。とつ気をつけてほしいのが、玉露に含まれるカフェインです。

妊娠中のカフェインの摂取は1日300mgまでが望ましいとされており、玉露100gあたり160mgのカフェインが含まれています。酸がたくさん摂取できるからといって、玉露の飲みすぎには注意が必要です。

葉酸を効率よく摂取するおすすめメニュー

葉酸を多く含む食べ物がわかったところで、「どう食事に取り入れよう?」と思っている人もいるのではないでしょうか?ここでは、葉酸を摂取しやすくて簡単に調理できるメニューを3つ紹介します。

アボカドツナサラダ

アボカド、ほうれん草、缶のコーンとツナを使った簡単サラダです。葉酸を多く含むアボカドとほうれん草の2種類を摂取できます。ほうれん草はお湯でゆでるのではなく、レンジで加熱することで葉酸が流れ出るのを抑えることができますよ。


【レシピ】

  1. ほうれん草を洗ってレンジで2分ほど加熱し、水気をきって2cmほどにカットする
  2. アボカドを食べやすい大きさにカットする
  3. しょうゆ・レモン汁・砂糖・こしょう・オリーブオイルでドレッシングを作る(お好みのドレッシングでもOK)
  4. ツナとコーンを缶から出し1と2を入れ、3で合えれば完成

ブロッコリーの味噌汁

いつもの味噌汁の具をブロッコリーにするだけのメニューです。

「味噌汁にブロッコリー?」と思う人もいるかもしれませんが、味噌とブロッコリーは意外とあうのでぜひ試してみてください。

でると溶け出てしまう葉酸ですが、味噌汁にしてすべて飲み干せば余すところなく摂取できます。最後に黒ゴマをふると風味が出るのでおすすめです。

レバー入りミートスパゲッティ

いつものミートスパゲッティに焼き鳥のレバーを刻んで入れることで、葉酸摂取が叶うメニューに早変わりします。

バーを入れることで、よりこってりとした味わいになり、パスタにもよく絡むのでぜひ取り入れてみてください。小さく刻んでしまうので、レバーが苦手な人やお子様にもおすすめです。


レシピ】

  1. 鶏レバーの焼鳥、玉ねぎ、にんにく、にんじんをみじん切りにする
  2. フライパンでオリーブオイルとにんにくを炒め、香りが出てきたところで豚ひき肉と玉ねぎを入れる
  3. ひき肉に火が通ったらにんじんを加えてさらに炒める
  4. そこに鶏レバー、ホールトマト缶と、適量のトマトペーストやトマトケチャップを入れ、塩やこしょうで味を整える
  5. ゆでたスパゲッティにミートソースをかけたら完成

食べ物から葉酸を摂るときの注意点

ひとつの食べ物から摂取しようとしない

理由1.妊娠中に良くない栄養素を多分に摂ってしまうことがあるから

妊娠中には、摂りすぎないほうが良い栄養素・物質があります。
それが、前述した
「ビタミンA」や「カフェイン」などです。

レバーや牛レバーは葉酸をたっぷり含む食べ物ですが、一方でビタミンAも多く含んでいます。玉露も葉酸を多く含みますが、カフェインも多く含んでいます。


た、果物は糖質が多く含まれているので、毎日食べ過ぎてしまうと体重の増加につながるため注意が必要です。

摂りすぎると良くない栄養素にも注意して、ひとつの食べ物を毎日食べ続けるのは控えましょう

理由2.栄養素が偏るから

妊活~授乳期まで葉酸の推奨摂取量が多いため、葉酸を多く含む自分が好きな食べ物から摂取しようとする人はきっと多いでしょう。

かに好きなものはたくさん食べられるので、葉酸をたくさん摂取できます。しかし、同じものを食べ続けることで他の栄養が偏ってしまうのはあまり良くありません。


酸を含む食べ物は幅広くあるため、できるだけいろんな食べ物から葉酸を摂取するよう心掛けてくださいね。

葉酸は調理方法に工夫が必要

葉酸は、水に溶けやすく熱に弱いという性質があります。そのため、調理によって葉酸が流れ出たり変性したりと、なかなか摂取が難しい栄養素といえるでしょう。


酸を効率良く摂取するコツは、生で食べられるものは生で食べることです。
生で食べられないものは、焼いたり熱湯でゆでたりという調理方法ではなく、蒸し器で加熱したり、レンジで温めたり、といった方法が良いでしょう。

ープや煮込み料理にして、葉酸が溶けだした汁まで飲んでしまうのも良い手ですね。

葉酸はサプリメントでも摂るのがおすすめ

厚生労働省では、妊娠1ヶ月前から妊娠後3ヶ月までは、通常の食事にプラスしてサプリメントや栄養補助食品でも葉酸を摂取するように推奨しています。

酸配合のサプリメントは数多く販売されていますが、葉酸サプリメントの「mitas」と「mamaru」は、厚生労働省が定めている葉酸量400µgを過不足なく配合した、医師監修の無添加サプリメントです。


酸の含有量や妊活・妊娠に必要な他の栄養素も、その時期その時期に適したものが配合されているため、妊活期の「mitas」と妊娠期の「mamaru」に分かれています。

mitasは葉酸に加えて和漢植物素材配合で温活もでき、一方mamaruは葉酸・鉄分・ミネラルなどに加えて腸内環境のケアのために乳酸菌などのも含まれ“菌活”ができるように作られています。

ひ一度試してみてくださいね。

妊活期から積極的に葉酸を摂取しよう

ママの健康のためにも赤ちゃんの成長のためにも必要な栄養素である葉酸。

葉酸を多く含む食べ物は、ほうれん草や鶏レバー、玉露、卵など多くあります。


葉酸は水溶性で熱にも弱いため、生で食べられるものは生で食べ、調理方法にも一工夫することで効率良く摂取できるでしょう。

レバーに多く含まれるビタミンA、玉露のカフェインは妊娠中摂りすぎに注意するべき栄養素なので、食べ過ぎには注意しましょう。


サプリメントも上手に取り入れながら、適切な葉酸を摂取してくださいね。


【参考文献】

e‐ヘルスネット「葉酸とサプリメント」

令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要

日本人の食事摂取基準(2020 年版)

健康長寿ネット「ビタミンAの働きと1日の摂取量」

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