
更新日:2025/8/19
流産の兆候とは?助産師が解説する流産の基礎知識と予防のためにできること

妊娠を喜んだのも束の間、安定期に入るまでの妊娠初期は不安定な時期です。中には、「もしかしてこれって流産の兆候?」と不安を感じながら次の健診まで過ごしている方もいると思います。
この記事では、流産の兆候や、流産の種類、そして流産と診断されたらどうすれば良いかについて、助産師が詳しく解説していきます。流産を予防するためにできることも、ぜひ参考にしてください。
不安の多い妊娠初期を、前向きに過ごすためのヒントになると嬉しいです。
この記事に登場する専門家
【葉酸サプリmamaru監修・産婦人科医】まきレディスクリニック院長 風本真希先生
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、検診乳腺超音波 認定医
毎日多くの妊婦さんの検診に立会い、相談にのっている。患者さんのお話に真摯に耳を傾けることが信条。
"葉酸だけでいい” そう思っていませんか?
実は妊婦さんに必要な栄養素は葉酸だけではありません。妊活期に比べ鉄分がより必要になるだけでなく、ビタミン・ミネラルと様々な栄養素をまんべんなく摂ることが大切です。
"体のコンディションの変化や、日常生活の成約がたくさん”。妊娠中は、体のコンディションの変化や、お腹に赤ちゃんがいるというこれまでと異なる環境の中、生活にも様々な制約が。
日々の健康に気を使い、体調管理することが大切です。
流産の兆候3つ
まずは、流産が起こった時によくある兆候を3つ紹介します。
- 1出血
- 2腹痛
- 3腰痛
これらの症状は「切迫流産」という流産のリスクが高まっている状態。
ただし、流産が起こっているかどうかはエコーで確認して初めて分かることです。これらの症状があるからといって、必ずしも流産が起こっているとは限らないことも覚えておいてくださいね。
それぞれの受診の目安もあわせて確認していきましょう。
出血
出血は、流産が起こった時に最もよく起こる初期症状です。また、軽度の出血であっても、流産のリスクが高まることが分かっています。
以下のような時にはかかりつけ医に連絡し、受診しましょう。
- 大量の鮮血が出る
- 生理の多いときくらいの出血が続く
- 発熱や悪寒がある
妊娠初期の胎児は、子宮内膜に絨毛(じゅうもう)と呼ばれる組織を通して着床し、胎盤を作ります。この絨毛組織が子宮内膜から一部剥がれてしまうと、毛細血管が傷つき出血が起こります。
その他、赤ちゃんのベッドである子宮内膜の状態を安定させる働きのあるプロゲステロンという抗体ホルモンが不足すると、子宮内膜が不安定になり出血することがあります。
妊娠中に出血が起きたときのチェックポイントや流産以外の原因については、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
腹痛
流産が起こると、子宮内の内容物を外に出そうとします。そのため、子宮の収縮が始まったり、子宮の出口が開いたりします。
この働きにより、生理痛に似た下腹の痛みを感じることがあります。
その他、子宮内で組織の壊死や炎症が起こり、痛みが引き起こされることも。
以下のような時にはかかりつけ医に連絡し、受診しましょう。
- 出血を伴う痛みがある
- 生理痛以上の強い痛みがある
- 収縮痛にとどまらず、響く痛みがある
腰痛
子宮が収縮する際、下腹部の痛みと共に骨盤や腰にも痛みが広がることがあります。
その他、妊娠によって緩んでいた靭帯(骨と骨をつなぐ組織)が引っ張られたり、ホルモンの変化により骨盤周りが不安定になって痛みが出ることがあります。
出血や腹痛と共に腰痛がある時には、かかりつけ医に連絡しましょう。
なお、「妊娠初期に起こりやすい症状」がなくなることを、流産の兆候と思っている方もいるでしょう。
★妊娠初期の体調の変化の例
- つわり
- 胸の張り
- 基礎体温の変化
- 便秘や下痢
しかし、妊娠初期に起こりやすいこれらの症状は、日によって変化します。流産の兆候とは関係ないため、あまり気にする必要はありませんよ。
流産が差し迫っている状態である「切迫流産」については、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
知っておきたい流産の基礎知識
流産とは、「妊娠22週未満に妊娠が終了すること」をいい、「自然流産」と「人工流産」の2種類があります。
- 自然流産:妊娠22週未満に、自然に胎児が母体外に排出されてしまうこと
- 人工流産:人工的な処置によって胎児を母体から取り出すこと
ここでは、前者の「自然流産」について詳しく説明していきます。
流産の原因と確率
実は、一回の妊娠で流産が起こる頻度は15%にもなり、珍しいことではありません。
流産の原因には、主に以下のようなことがあります。
- 染色体異常
- 子宮の形態異常
- 内分泌異常
- 免疫・凝固異常
- 感染症
流産は原因不明のケースのほか、さまざまな原因がありますが、70〜80%は染色体異常によるものです。加齢と共に頻度が上がり、40歳以上では約半数が流産することが分かっています。
35歳以上の女性の妊娠率が下がり、流産率が増加するのも、染色体異常の出現の頻度が増加することが原因だと考えられています。
(参考文献:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition)
流産の種類
流産は、進行具合によりいくつかの種類に分けられます。
稽留(けいりゅう)流産
胎児は死亡しているが、出血や腹痛などの流産の症状がなく子宮内に残っている状態のこと。
不全流産
流産は進行しており、内容物の一部は排出されているが、一部が子宮内に残っている状態のこと。
完全流産
子宮内の内容物がすべて排出された状態のこと。
進行流産
流産が進行中で完了していない状態のこと。出血や腹痛などの症状を伴うことが多い。
科学流産
妊娠検査薬などで陽性を確認した後に、エコーなどで妊娠の確認ができない状態のこと。胎嚢(たいのう)を確認する前に自然に流産が起こったと考えられるもの。
反復流産
2回以上連続して自然流産を経験することをさし、不育症と診断される。不妊症の原因となる病気やホルモン異常などの可能性があるため、検査が勧められる。
こちらの記事でも流産について詳しく説明しています。参考にしてみてくださいね。
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不育症ってなに?
不育症とは、妊娠には至るが出産まで子宮内で育てることができない状態のこと。2回以上連続して流産や死産をくり返すことで診断されます。
不育症の原因には以下のようなものが挙げられますが、原因がはっきりしないことも少なくありません。
【不育症の原因】
・染色体の異常
・子宮の異常
・血液の異常
・ホルモンの異常
流産と診断されたらどうする?
流産と診断された場合、流産の進行具合により必要な処置が異なります。また、流産の兆候がなく母体に感染などの症状がなければ、医師と相談して処置の方法やタイミングを決めることもできます。
仕事への復帰が辛い時には、社会資源を活用しながら心身を整える時間を持つことも大切です。
ここからは、流産と診断された後にどのようなことが必要になるのかについて説明していきます。
産婦人科で必要な処置を行う
まずは、流産の進行具合に合わせて必要な処置を行います。
処置の種類や有無に関わらず、一般的には診断から数週間後に再度受診が必要になります。妊活再開のタイミングについても、そこで相談するのが良いでしょう。
稽留(けいりゅう)流産の場合
- 自然に出てくるのを待つ
- 子宮内容除去術を行う(内容物を取り出す手術)
進行流産・不全流産の場合
- 子宮内除去術を行う
- 状況に応じて薬剤で排出を助ける
完全流産の場合
- 追加の処置は必要ない
給付金や休業制度を利用する
流産と診断された場合、使用することができる制度があります。なお、これらを受けるためには申請が必要です。
妊婦支援給付金の申請
「妊婦支援給付金」とは、胎児の心拍が医療機関で確認されていた場合に対象となるものです。
自治体ごとに支援の制度や内容が異なります。手続き内容や必要書類は、各自治体の窓口で確認しましょう。
職場で受けられる制度
- 産後休業:妊娠12週以降での流産・死産の場合、最低6週間の休業を取得することができる。休業には、本人の請求が必要。
- 傷病手当金:流産や死産により就労不能と医師が診断した場合、健康保険の被保険者は、最低1年6ヶ月、給与の約2/3が支給される
- 母体健康管理措置:流産から1年以内であれば、医師の診断書があれば休業や診察時間の確保ができる
医師やパートナーと今後について相談する
妊娠に至るまでの経緯や流産の回数によっては、今後の妊活のタイミングや妊活の方法についても相談していくことが必要です。
流産が繰り返し起きている場合であれば、流産組織の検査などを検討しても良いでしょう。また、精神的に心が追いつかない状態であれば、一度妊活をお休みするのもひとつの方法ですよ。
流産を予防するためにできることはある?
流産しているのではないかと不安を抱えている方や、流産を経験した方は、何かできることはないのか気になりますよね。
しかし、流産の多くは赤ちゃん側の染色体異常が原因です。自分やパートナーのせいで起こることではありません。それと同時に、完全に予防することは難しいもの。
とはいえ、次の妊娠の成立や継続のために母体の環境を整えることは大切です。
最後は「赤ちゃんを授かり、育てるために少しでもできることはない?」という方に向けて、すぐに実践したい健康習慣について紹介します。
食生活を整えよう
母体の健康状態を整えるのに、最も重要なのは食事です。
私たちの体は、食事による栄養素によって作られ、臓器が活動し、ホルモンがコントロールされています。まずは、毎日の食事に目を向けてみましょう。
妊娠中に必要な栄養素
妊娠中は、妊娠していない時に比べ、多く摂ることが推奨されている栄養素がたくさんあります。
◆出産に備えた体づくりとお腹の赤ちゃんの成長発育のために必要な栄養素
- 葉酸
- 鉄分
- カルシウム
- たんぱく質
- ビタミンD
- ビタミンB群
- 亜鉛
- DHA
- 食物繊維
妊娠中に必要な栄養素や役割については、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
葉酸の摂取
妊婦さんが摂るべき栄養の中でも葉酸は、妊娠前から摂ることが推奨されている特別な栄養素です。葉酸は、細胞分裂やDNAを合成する働きがあり、赤ちゃんが成長発達していく上で必要不可欠。
特に、細胞分裂の著しい妊娠初期に重要な働きをしており、赤ちゃんの生まれつきの病気である「神経管閉鎖障害」の予防にも葉酸の摂取が有効であることが分かっています。
葉酸の働きや重要性についてはこちらの記事も参考にしてくださいね。
腸活に良い食事
流産の原因のひとつに、感染や炎症があります。これらに負けない体作りのためには、自分自身の免疫力をしっかりと高めることも大切です。
実は、体の中の免疫細胞の半分以上は腸管に存在しています。そのため、妊娠中に腸内環境を整えることはとても大切なのです。
「腸活ってどんなことをしたらいいの?」と思った方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
食事面から母体の健康をサポートするために、
- 葉酸をはじめとした妊娠中に必要な栄養素
- 腸活に良い成分
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体重管理をしよう
実は、肥満も低体重も、流産のリスクを上昇させることが明らかになっています。特に日本人女性は、妊娠中の体重増加が少ないことで知られており、母体や胎児への悪影響が懸念されています。
体重の管理は、自分で意識して調整することが大切。自分の適正体重や妊娠中の体重増加量を知り、自分に合った体重管理を意識して過ごしましょう。
自分のBMI(体格指数)を元に、適切な体重増加の目安を知ることができますよ。
♦︎BMIの計算式
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
♦︎体重増加の目安
妊娠前のBMI | 推奨される体重増加 |
---|---|
BMI <18.5(低体重) | 12〜15kg |
18.5≦ BMI <25(普通体重) | 10〜13kg |
25≦ BMI <30(肥満I度) | 7〜10kg |
BMI ≧30(肥満II度以上) | 個別対応 |
妊娠中の体重増加に関することは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
禁煙・禁酒しよう
喫煙や飲酒は、妊娠初期からの胎児の発育や妊娠の継続に悪影響を与えることが明らかになっています。また、流産のリスクを著しく高めることも分かっています。(※2)
喫煙や飲酒の習慣が長い方が、急にやめることは簡単なことではありません。しかし、妊娠をきっかけに喫煙や禁酒を成功させた方も多くいます。赤ちゃんや自分自身の体を守る大きな一歩となりますよ。
睡眠をしっかりとろう
近年、妊娠中の睡眠の質と流産の関係が注目されています。研究によると、妊婦の睡眠時間が短いと流産のリスクが高くなるという結果が報告されています。(※3)
睡眠不足になると、ホルモンバランスの乱れや免疫機能の低下、慢性炎症を引き起こしやすくなるなど、健康を維持していく上での問題が生じやすくなってしまいます。
睡眠は、健康を維持増進するためにも大切です。まずは決まった時間に寝室に行くことを意識しましょう。
また、寝る前のブルーライトの浴びすぎや、寝る直前の食事などは睡眠の導入の妨げとなってしまいますよ。
軽い運動をしよう
適度な運動は、妊娠の維持や合併症の予防に役立つことが示唆されています。しかし一方で、週7回以上の過度な運動は流産リスクがわずかに上昇するという報告もあります。(※4)
妊娠中の運動は、体調に合わせて無理のない有酸素運動がおすすめです。特に運動習慣のない方は、意識して歩くことから取り入れてみましょう。
また、運動を取り入れることが不安な方は、かかりつけ医に相談するのが良いでしょう。
妊婦さんにおすすめの運動は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
冷え予防を心がけよう
冷えと流産の関係は明確になってはいませんが、冷え性は血流の低下、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れなどを引き起こします。そして、これらが妊娠の維持や子宮内環境に間接的に影響を与える可能性があると考えられます。
基礎体温が低い方や冷え性の自覚がある方は、冷え予防を取り入れるのも良いでしょう。
妊娠中の温活については、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
流産について正しい知識をもち、心身のケアをしながら妊娠期を過ごそう
妊娠すると喜びの半面、妊娠の経過が順調か否か、体に現れる症状や変化は異常かどうか気になることがたくさんあると思います。
出血、腹痛、腰痛の3つの流産の兆候に気を付けながら、妊娠期間を健やかに過ごしたいですね。
仮に流産を経験したとしても、流産の多くは染色体の異常によるもので、決してお母さんやお父さんのせいではありません。
不安や心配はつきないと思いますが、まずは自分自身が元気に過ごすことができるように、今できることに取り組みましょう。
妊婦さんのために作られた葉酸サプリ「mamaru」が健やかなマタニティライフを応援します。
参考文献:
(※1)一般のみなさまへ - 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A):Q23.女性の加齢は流産にどんな影響を与えるのですか?
(※2)たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう- - 妊娠・授乳中の喫煙
参考資料:
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