更新日:2025/1/15

妊娠中の出血、大丈夫?時期別の原因と対処法を助産師が徹底解説!

時期別の原因と対処法を助産師が徹底解説!
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妊娠中に出血があると赤ちゃんは大丈夫なのか、ママたちは不安になりますよね。

実は妊娠中の出血は、意外と経験する方も多いトラブルです。出血の原因は妊娠週数によっても異なり、問題のない出血もあれば、注意したい出血もあります。

今回の記事では、妊娠中の出血について、妊娠時期別の原因と対処法を助産師が解説していきます。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

妊娠中の出血は時期によって注意が必要!

妊娠中の出血は、約20〜30%のママが経験するよくあるトラブル。

妊娠に伴うカラダの変化によって起きるものもあれば、妊娠中の合併症によって起きるものもあります。

出血の原因は時期によって異なる

妊娠中の出血の原因は、時期によっても異なります。

妊娠初期の出血は約25%のママが経験するといわれていて、妊娠によって起きるホルモンの変化やカラダの変化によるものが多く、問題のない出血であることが多いです。(※1)

ただ、妊娠中期以降に起こる出血の原因は、妊娠中の合併症によるものが多くなり、注意が必要なケースも。

正期産である妊娠37週に近づくと、「おしるし」というカラダが出産の準備をすることで起こる問題のない出血があることもあります。

妊娠中に出血したときにチェックすべきポイント

妊娠中に出血したときには、妊娠中のママのカラダや赤ちゃんに影響はあるかなど、出血の原因を知るためにもチェックしておきたいポイントがあります。

1.出血した量はどれくらいか

どれくらい出血したか、量を確認してメモしておくようにしましょう。

「トイレットペーパーに付着」や「おりものシート半分」など、他の人が聞いたときに出血した量をイメージしやすいようにメモをしておくと、病院に相談するときも安心ですよ。

2.出血の性状・色の様子

出血量と同じくらい、出血の性状や色を確認することも大切です。

出血の性状とは、サラサラした血が流れたのか、ドロっとした出血だったのかなどをメモしておくといいでしょう。

色は「真っ赤」「ピンク」「茶色」など、自分が目で見てざっくりと感じた色をメモしておきましょう。

3.出血したタイミング

出血したタイミングが「便をふんばったとき」「性交渉をしたあと」など、なにかきっかけがあって出血したかも確認しておくといいでしょう。

特定のタイミングで出血した場合には、このタイミングをメモしておくことで出血の原因を探る手がかりになることもあります。

4.腹痛の有無

出血があったときにお腹の痛みはあったか、どの程度の痛みだったか、どのあたりに痛みを感じたかを確認しましょう。

妊娠初期の出血では痛みを伴わないことが多いですが、妊娠中期以降の出血では、お腹の痛みの有無が出血の原因や状態を探るのに重要なポイントとなります。

妊娠初期の出血の原因

妊娠中の間で一番出血が起こりやすい妊娠初期。

この時期の出血は心配ないものもあれば、赤ちゃんに影響があるものもあります。

妊娠初期に起こる出血の原因となるものを紹介します。

着床出血

精子と受精した卵子は受精卵となって、卵管を通り子宮内まで移動します。そして、子宮の壁である子宮内膜にくっつくことを着床といいます。

受精卵が着床するときに、子宮内膜の深くに潜り込むことで子宮内膜の組織の一部が剥がれ落ちて出血することがあります。これを着床出血と呼びます。

着床出血が起こるのは妊娠3〜4週ころ、生理予定日の前に起こることが多いです。

着床出血は4人に1人が経験すると言われていて、妊娠超初期に起こる出血の中では多いものです。着床した刺激で起こるものなので、異常な出血ではありません。

ただ、生理と時期が近いので妊娠なのか生理なのか迷う方も多い出血です。

着床出血と生理の違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめですよ。

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異所性妊娠(子宮外妊娠)

異所性妊娠とは、子宮内膜以外の場所に着床することをいいます。子宮外妊娠と呼ばれることもあります。

異所性妊娠は卵管で起こることが多いですが、まれに子宮頚管や卵巣、腹膜などで起こることもあります。異所性妊娠では残念ながら、胎児は発育することができません。

妊娠4〜5週にごく少量の出血が起こることがありますが、特別な症状はほとんどないことが多く、正常な妊娠と同じつわりや胸の張りなどの症状がある程度です。

妊娠5〜6週になると、少量の出血や着床した場所に痛みを感じることがあります。

妊娠6週を超えると、着床した場所の痛み、出血が続くようになります。

放っておくと最悪の場合、卵管破裂などが起こって命に関わることもあります。

異所性妊娠では、カラダの中で正常な妊娠をしたときに分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が分泌されるようになるため、妊娠検査薬で陽性反応が出ます。出血する時期的にも着床出血と間違えやすいので注意が必要です。

出血が続く場合や、下腹部の痛みが日に日に強まっている場合には、早めに病院で相談しましょう。

絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

絨毛(じゅうもう)とは、子宮内膜に着床した受精卵の表面にできる組織のことで、のちに胎盤となるものをいいます。

お腹の中の赤ちゃんを包む卵膜は、内側から順に羊膜→絨毛膜→脱落膜(だつらくまく)となっています。絨毛膜下血腫血腫は、絨毛膜と脱落膜の間に血腫(血のかたまり)ができる状態です。

絨毛膜下血腫が発症する明確な原因やメカニズムはまだ解明されていませんが、絨毛の一部が剥がれることで起きるのではないかといわれています。

絨毛膜下血腫は妊娠10〜20週頃に起こる出血の原因の一つです。(※2)

血腫が大きい場合には、流産のリスクもありますが、血腫が外に排出されたり、カラダに吸収されたりすることで問題のないケースも多いです。

進行流産

流産とは、妊娠21週6日までに胎児が子宮の外に流れてしまったり、胎児の心拍が止まったりすることで、妊娠の継続ができなくなる状態をいいます。

流産にも種類があり、亡くなった胎児とその組織が子宮の外に出血と一緒に流れ出てくる状態を「進行流産」といいます。お腹の中に胎児とその組織が留まった状態である「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」では出血がないこともあります。

流産の一歩手前の状態である「切迫流産」では出血を伴うこともありますが、原因に合わせた治療をすることで妊娠を継続できる可能性があります。

子宮頚部びらん・子宮頚管ポリープ

子宮頚部びらんとは、子宮頚管の内側にある粘膜部分が膣側に露出した状態をいいます。エストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が増加することで起こる自然な現象のため、問題ありません

ただ、このびらん部分はとても敏感なので、少しの刺激で傷ついたり炎症を起こして出血したりすることがあります。

子宮頚管ポリープとは、子宮頚管の粘膜が増殖してできるキノコ状の腫瘍をいいます。子宮頚管ポリープはほとんどが良性のため問題ありませんが、刺激によって出血しやすくなっています。

妊娠中期・後期の出血の原因

妊娠初期と比べると、妊娠中期以降は出血を経験するママは多くありません。

妊娠中期以降に起こる出血は、妊娠中の合併症と関わりが深いので注意が必要です。

妊娠中期・後期の出血の原因を紹介します。

切迫早産

妊娠22週0日以降から妊娠36週6日までの間に出産することを早産といいます。切迫早産は、早産になる一歩手前の状態です。

切迫早産では、お腹が張って子宮口が開いてしまうことで出血が起こります。この出血が起こる仕組みはおしるしと同じです。

切迫早産で出血が起きた場合には、病状が進行している可能性が高いので注意が必要です。

この場合は大抵、お腹の張りや痛みを伴います。お腹の張りが規則的か不規則か、規則的な場合はどのくらいの間隔で張りを感じるか確認しておきましょう。

妊娠36週6日までにお腹の痛みを伴う出血があった場合には、すぐにかかりつけの病院に連絡して相談しましょう。

早産の原因や、早産と切迫早産の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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前置胎盤

前置胎盤とは、胎盤が子宮口にかぶってできている状態をいいます。

この場合、子宮が収縮して子宮口が開いてしまうと、胎盤の組織が子宮から剥がれてしまい、出血が起こります。

また、赤ちゃんがお腹の中にいる状態で胎盤がどんどん剥がれてしまうと、赤ちゃんに酸素と栄養を送ることができなくなるため、お腹の中で赤ちゃんの具合も悪くなってしまいます。

妊娠初期に胎盤の位置が低いと言われた場合でも、妊娠週数が進むにつれて子宮が大きくなるとともに胎盤も引っ張られて子宮口から遠くなることもあります。前置胎盤の最終的な診断は妊娠24週以降になるので、過度に心配しなくても大丈夫です。

前置胎盤と診断を受けているママは、出血した場合はすぐにかかりつけの病院に連絡しましょう。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離とは、正常な位置にある胎盤が、赤ちゃんが子宮の中にいるうちに剥がれてしまう状態をいいます。

常位胎盤早期剥離が起きているときには、子宮の収縮が持続して起きていることが多く、お腹がずっとカチカチに硬くなっています。

前置胎盤と同じく胎盤が剥がれると、赤ちゃんが危険にさらされることになります。

常位胎盤早期剥離は外からの衝撃でも起こることがあり、転んでお腹をぶつけたり尻餅をついて出血したりしたときなどは、すぐにかかりつけの病院に連絡しましょう。

おしるし

おしるしとは、出産が近づいて子宮口が開く準備をすることで起こる生理的な出血のことをいいます。

出産が近づくと陣痛の準備段階である前駆陣痛が起こるようになり、お腹が張る(=子宮の筋肉が収縮する)ようになります。収縮した子宮の筋肉は、子宮頚管(=子宮口)も引っ張り引き伸ばすことで開いていきます。

このとき、子宮頚管付近の子宮の壁にくっついていた卵膜がずれてぺりっと剥がれ、その刺激で出血が起こります。その出血が子宮頚管の粘液と混ざり、どろっとした出血となって外に流れ出るものがおしるしです。

おしるしは、カラダが「出産の準備をしているよ」というサインなので、問題のない出血です。おしるしがあってから生まれるまでの時間は個人差が大きいので、病院に連絡せずに様子を見て大丈夫です。

妊娠中の出血を伴うトラブルを避けるためにできること

妊娠中には、妊娠に伴うカラダの変化の一つとして起こる問題のない生理的な出血もありますが、流産・切迫早産などの気をつけたい出血を伴うトラブルもあります。

できるだけ出血を伴うトラブルを避けるためには、日頃からリスクを抑えるカラダづくりを意識していくことが大切です。

妊婦さんのために作られたサプリmamaru(ママル)は、妊娠中に必要な栄養素をたっぷりと配合!妊娠中のカラダづくりにぴったりです。

流産や早産のリスクを減らすといわれているビタミンDをはじめとして、血管の中でトラブルが起こることを防ぐことで妊娠中の合併症である常位胎盤早期剥離や、早産に至る原因ともなる妊娠高血圧症候群を予防してくれるといわれる

  • 葉酸
  • ビタミンB6
  • ビタミンB12

もしっかり配合しています。(※3)(※4)

また、出産のときには誰でも出血します。出血によって貧血状態になると、カラダはつかれやすくなったり、産後に母乳が出にくくなったりします。出産時の出血に備えて、妊娠中から貧血状態になりにくいカラダづくりをしていくことも大切です。

mamaruは血液をつくるのをサポートしてくれる鉄分と葉酸もしっかりと配合しているので、出血を伴うトラブルを避けるだけでなく、貧血になりにくいカラダづくりも一緒にできます。

妊娠中や出産に向けた出血を伴うトラブルをできるだけ避けられるように、ぜひmamaruを活用してカラダの内側からサポートしていきましょう。

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妊娠中の出血に関するQ&A

最後に、妊娠中の出血に関するよくある質問をまとめました。

一番出血しやすい時期はいつ?

妊娠中に一番出血しやすい時期は、妊娠初期です。

妊娠初期には絨毛膜下血腫、流産、子宮外妊娠などの妊娠中の異常による出血の他にも、着床出血や子宮頚部びらんなど、妊娠に伴って起きるカラダの変化による出血があります。

妊娠中に出血する割合はどのくらい?

約20〜30%のママが、妊娠20週までに出血を経験しています。(※5)

特に妊娠初期である妊娠12週までに出血を経験するママは25%。4人に1人が出血を経験しており、異常のない方でも出血するケースが見られます。(※1)

妊娠20週以降に出血を経験するママは約3〜4%です。(※6)

出血しやすい体質や出血しやすい人に特徴はある?

もともと性交渉で出血しやすかった方の中には、子宮頸部や子宮頸がんが隠れていたり、子宮頸部や膣部に炎症が起きやすい体質の方もいます。その場合には妊娠に伴って状態が悪化し、出血しやすくなることもあります。

また、子宮頸管無力症(お腹が張っていないのに子宮口が開いていく病気)や子宮頸がんによる子宮頸管円錐切除後の人も、出血のトラブルが起きやすいです。

まとめ

妊娠初期には約20〜30%のママが出血を経験し、妊娠に伴うカラダの変化として問題のない出血もあります。

一方で、注意したい出血もあり、妊娠中期以降の出血は特に慎重に見ていく必要があります。

出血したときには、

  • 出血の量
  • 性状・色の様子
  • 出血したタイミング
  • 腹痛の有無

をチェックしてメモし、必要に応じて病院に相談しましょう。

出血を伴うトラブルを避けるためには、ビタミンD・葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12・鉄分をしっかりと摂取してカラダづくりをサポートすることがおすすめ。

妊娠中のママに嬉しい成分がたっぷりと配合されたmamaruを活用して、トラブルのないカラダづくりをしていきましょう。

参考文献:

(※1)First Trimester Bleeding: Evaluation and Management

(※2)Christopher P. Bondick, Joe M Das, Howard Fertel. National Library of Medicine, NCBI StatPearls ”Subchorionic Hemorrhage”. July 31, 2023.

(※3)中井 章人:早産をめぐる最近の話題―切迫早産治療から予防治療への転換

(※4)黒田恵司:ウィメンズヘルスと栄養素・サプリメント I.生殖医学 2.ビタミンD,産科と婦人科,2023

(※5)MSDマニュアル:妊娠前半にみられる性器出血

(※6)MSDマニュアル:妊娠後半にみられる性器出血

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