更新日:2024/10/23
【助産師執筆】早産の原因にはなにがある?兆候や予防のためにできることを徹底解説!
妊娠中のママなら一度は耳にしたことがある「早産」。
生まれるにはまだ早い時期に赤ちゃんが子宮の外に出てきてしまうことは、妊娠中のママたちにとっては不安なことですよね。日本では早産は約6%の確率で起こるといわれています。(※1)
今回の記事では、なぜ早産は起こるのか・早産になる原因、早産の兆候や予防のためにできることはあるのかについて、助産師が徹底解説していきます。
◉この記事でわかること
・早産の原因
・早産とはなにか、切迫早産との違いはなにか
・早産の前兆にはどんなものがあるか
・早産で生まれた赤ちゃんのリスク
・早産を予防するために生活の中でできること
・早産に関するよくあるQ&A
この記事に登場する専門家
助産師 四辻有希子
大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター
早産になる原因はなに?
早産になる原因には「人工早産」と「自然早産」の大きく2種類あります。
人工早産
「人工早産」とは、文字通り人工的に早い時期に出産して妊娠を終了させることをいいます。
人工早産となりうる要因は3つ挙げられます。
- ママがもともと持っている病気や重度の妊娠高血圧腎症など、妊娠を継続し続けることが母体にとって負担が大きいと判断された場合
- 胎児発育不全など、赤ちゃんの命と発育を考えて子宮の外に出た方がいいと判断された場合
- 前置胎盤や常位胎盤早期剥離など胎盤に異常があり、母児ともに命に関わるリスクがある場合
人工早産は、意図的に陣痛が来るように薬などを使う誘発分娩や帝王切開を行って出産します。
自然早産
「自然早産」とは、子宮頸管無力症、多胎妊娠、感染症、子宮の異常など、妊娠中の合併症や状態によって、意図せず早い時期に出産してしまうことをいいます。早産の約7割が自然早産とされています。(※2)
自然早産となるきっかけにはライフスタイルも関係してきます。
子宮頸管無力症
「子宮頸管無力症」とは、なんらかの理由で子宮頸管が緩んでしまうことで子宮の出口が開いてしまう状態をいいます。体質の方もいますし、子宮頸がんのために子宮頸管を円錐状に切除した場合にも起こりやすいです。
子宮頸管無力症の場合には、子宮の出口が開いてこないように子宮頸管に糸をかけて縛る「子宮頸管縫縮術」という手術をすることがあります。
多胎妊娠
お腹の中に1人の子どもを妊娠することを単胎妊娠というのに対し、双子や三つ子を妊娠することを「多胎妊娠」といいます。
多胎妊娠の場合には、子宮の中の容量が単胎妊娠に比べると大きくなるため子宮に負荷がかかり、早産になりやすくなります。
また、母体や赤ちゃんのカラダにも負荷がかかることで、人工早産とするケースもあります。
感染症
妊娠中のママや赤ちゃんになんらかの理由でウイルスや細菌による感染が起こると、子宮頸管に炎症が起きて子宮の出口が開いてきたり、子宮や赤ちゃんを包んでいる卵膜にも炎症が起きて陣痛が引き起こされ、早産となったりするケースがあります。
感染が起きた場合には、その原因となる感染源に対して薬を使って治療したり、洗浄したりとできるだけ感染を抑えるための処置をします。
感染の状態をコントロールできている場合にはできる限り妊娠を継続しますが、炎症が悪化するとママと赤ちゃんの命にも関わるので、場合によっては人工早産とするケースもあります。
子宮の異常
「中隔子宮(ちゅうかくしきゅう)」や「双角子宮(そうかくしきゅう)」など、生まれつき子宮の形に異常がある場合には、赤ちゃんが大きくなるスペースが確保しにくいために早産になるリスクがあります。
早産になりやすい人の特徴については、こちらの記事も参考にしてください。
切迫早産になりやすい人の特徴は?予防法や原因、症状まで助産師が詳しく解説!
切迫早産になりやすい人の特徴について解説します。早産は赤ちゃんにとってたくさんのリスクがあります。そのため、早産を防ぐためにも切迫早産の兆候やなりやすい人の特徴、そして予防法を知っておくことはとても大切です。
知っておきたい早産の知識
早産と似た言葉として「切迫早産」という言葉を聞いたことがあると思います。早産と切迫早産はなにが違うのでしょうか。
ここでは知っておきたい早産の知識について解説します。
早産とは
出産は、出産する妊娠週数によって呼び方が違います。
妊娠してから妊娠21週6日までの間に分娩することを「流産」といい、現在の医学では赤ちゃんを救命することができない時期の出産となります。
「早産」とは、妊娠22週0日から妊娠36週6日の間に出産することをいいます。同じ早産でも、赤ちゃんの生まれる時期がより妊娠37週(正期産の時期)に近い方が、赤ちゃんの命や後遺症に与える影響は少なくなります。
そのため自然早産でも人工早産でも、母児の健康状態を注意深く観察し、できる限り赤ちゃんがお腹の中で過ごす時間を長くできるようにします。
早産と切迫早産の違い
「切迫早産」とは自然早産となるリスクが高い状態をいいます。つまり、まだ早産には至っていませんが、早産となる一歩前の状態のことを指します。
早産になる一歩前の状態とはどんな状態なの?と思った方は、次の項目をチェックしてくださいね。
切迫早産はどんな状態なのかを詳しく解説した記事はこちらです。
切迫早産ってどんな状態なの?日常生活で気を付けたいポイント【助産師執筆】
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早産の前兆にはどんな症状がある?
早産を防ぐためには早産の前兆を知り、自覚症状はないかを把握することが大切になります。ここでは、自然早産の前兆にはどんな症状があるのかを解説していきます。
お腹の張り、下腹部痛
早産の代表的な症状の一つとして、お腹の張りや下腹部に痛みを感じることがあります。これは子宮の筋肉が収縮している兆候で、つまり弱い陣痛のようなものです。感覚としては生理痛と似ている痛みです。
子宮の筋肉が収縮すると、子宮頸管長が薄く引き伸ばされることで子宮頸管長が短くなり、さらに力が加わることで子宮口(子宮の出口)が開いてきてしまいます。
お腹の張りや下腹部痛がある場合には、状況に応じて子宮の収縮を抑える薬を使うことがあります。
出血
子宮口が開いてくると、赤ちゃんを包んでいる膜と子宮頸管が擦れることで出血が起こります。お腹の張りを感じ、出血が現れたときには陣痛が近づいているサインでもあります。
出血が起こる原因は、早産の兆候以外にも胎盤の異常が原因となることもあるため、妊娠中の出血は注意深く観察していくことが必要です。
破水
破水とは、子宮の中で赤ちゃんを包んでいる卵膜がなんらかの理由で破れてしまい、羊水が漏れ出ることをいいます。
子宮口の近くで卵膜が破れた場合にはバシャっと勢いよく羊水が流れ出ますが、子宮口から遠い場所で卵膜が破れた場合には、尿漏れのようにチョロチョロと流れ出ることもあります。
破水すると羊水が外に流れ出てしまうことで子宮の内圧が減少し、陣痛を引き起こすきっかけとなります。また、赤ちゃんが外の世界と繋がってしまうことで感染しやすくなってしまいます。
破水した場合にはママと赤ちゃんを感染から守るために薬を使ったり、お腹の中の羊水の量が保てているかを把握しながら、慎重にできるだけ長くお腹の中にいられるように治療していきます。
早産で生まれた赤ちゃんのリスク
早産の赤ちゃんは、生まれた時期によって後遺症への影響など状態が大きく違ってきます。ここでは、早産で生まれた赤ちゃんにはどのようなリスクがあるのかを解説していきます。
妊娠31週までに生まれた赤ちゃん
妊娠31週までに生まれた赤ちゃんの生存率は以下の通りです。(※3)
- 妊娠22〜23週・・・約66%
- 妊娠24〜25週・・・約87%
- 妊娠26〜27週・・・約94%
- 妊娠28〜29週・・・約97%
- 妊娠30〜31週・・・約98%
週数を重ねるごとに赤ちゃんの生存率は上昇し、現在の医療では妊娠26週以降に生まれた早産の赤ちゃんは約95%以上と高い生存率となっています。
この時期に生まれた赤ちゃんは、まだ呼吸機能が未熟で自分ではできないことが多く、呼吸のサポートをしたり、消化機能も未熟なので栄養をサポートしたりと、新生児集中治療室(NICU)での治療が必要になります。
早い週数で生まれた赤ちゃんほど重い後遺症が残るケースがあり、特に妊娠28週未満で生まれた赤ちゃんは「新生児網膜症」という眼の障害が残る確率が高いといわれています。
妊娠32週以降、妊娠34週までに生まれた赤ちゃん
お腹の中の赤ちゃんの呼吸機能がしっかりと整うのは、だいたい妊娠34週くらいです。そのため妊娠32週以降、妊娠34週までに生まれた赤ちゃんは、まだ呼吸の状態が不安定なことが多いです。
新生児集中治療室(NICU)で障害がないか検査をしたり、治療が必要となったりすることもありますが、赤ちゃんによっては特別な治療や処置が必要とならない子も多いです。
妊娠35週以降に生まれた赤ちゃん
妊娠35週から妊娠36週6日までに生まれた赤ちゃんも早産という区分にはなりますが、呼吸機能も成熟し、お腹の外で自分自身で生きる力のほとんどが備わっている時期になります。そのため、特別な治療や処置は必要ない赤ちゃんがほとんどです。
お腹にいたら37週0日となる日を過ぎるまでは、念のために入院して経過を見るケースが多いです。
早産を予防するためにできること
我が子のことを思うと、できる限り早産を避けてお腹の中で育てていきたいとママたちは願いますよね。早産は、妊娠中の合併症によって仕方がないケースもありますが、ライフスタイルも影響しています。
早産を予防するために生活の中でできることについて紹介していきます。
自覚症状に注意して生活する
こちらで紹介した症状を把握し、生活の中で自覚症状がないか注意していくことが大切です。特にお腹が張っていると感じたときには、以下のポイントに注意して観察してください。
- お腹の張りが起きる間隔は規則的か不規則か
- お腹の張りに痛みは伴うか、どの程度の痛みか
- 横になるとお腹の張りは楽になるか
妊娠30週を過ぎて、普段の生活の中で動いた後にお腹の張りを感じるのは問題ありません。
ただ、お腹の張りが規則的だったり、痛みを伴っていたり、横になって休んでも楽にならない場合には、切迫早産が進行していく可能性があるので注意が必要です。
お腹の張り、下腹部痛、出血、破水などを感じた場合には、かかりつけの産科にすぐに連絡して受診するようにしましょう。
カラダとココロにストレスをためすぎない
妊娠中は今までの体調や生活に大きな変化が起こるために、カラダにもココロにもストレスがたまるママが多いです。
ストレスがたまると筋肉が強く収縮した状態となり、子宮の筋肉にも影響が出る可能性があります。適度にストレスを発散する方法を見つけていくことも大切です。
妊娠中に必要な栄養をバランスよく摂取する
妊娠中はお腹の中で赤ちゃんを育てていることから、さまざまな栄養素の需要が高まります。特に赤ちゃんのカラダをつくるタンパク質や葉酸、ママの血液と赤ちゃんの血液をつくるサポートをする鉄分も必須です。
また、葉酸、ビタミンB6、B12、ビタミンDは胎児発育不全、妊娠高血圧腎症、常位胎盤早期剥離などの胎盤関連産科合併症となるリスクを減少するという研究結果もあります。(※4)
赤ちゃんに栄養を届け、ママのカラダを整えるためにも、この機会に食生活を見直していきましょう。
便秘を改善する
妊娠中全期間を通してなりやすく、ママたちを困らせるのが「便秘」です。
妊娠初期には、妊娠準備のために分泌されるホルモン「プロゲステロン」の影響で腸の動きが弱まり便秘になりやすく、子宮が大きくなってきてからは腸が子宮に圧迫されて便秘になりやすくなります。
さらに便秘は放っておくことで、お腹が張る原因の一つとなり、切迫早産を引き起こす危険性もあります。
妊娠中の便秘を解消するおすすめの方法は食物繊維をしっかりとることと、腸活をすることです。
妊娠中の便秘については、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。
妊婦は便秘になりやすい?妊婦を困らせる便秘の原因と改善方法を解説【薬剤師執筆】
妊娠中はホルモンバランスの変化や食生活と運動量の変化等、様々な理由から便秘になります。妊娠中でもできる便秘対策も合わせて紹介します。
おすすめの腸活方法については次の項目で詳しく紹介します!
体調管理のためにサプリメントを取り入れる
妊娠中は必要な栄養が増える一方で、疲れやすかったり思うようにカラダが動かなかったり・・・ママたちにとっては大変な時期ですよね。
そんなときにはサプリメントを活用して、不足しがちな栄養素を補給することもおすすめです。
妊娠中の栄養補給と腸活はmamaruにおまかせ!
妊娠中の栄養不足をサポートしてくれるおすすめのサプリメントは、専門家たちが妊娠中のママとお腹の中の赤ちゃんのことを本気で考えて作った、妊娠中の栄養に特化したmamaru(ママル)です。
mamaruは妊娠中の合併症からママと赤ちゃんを守ってくれ、早産になりにくいカラダづくりをサポートしてくれる葉酸、ビタミンB6、B12、ビタミンDをしっかりと配合。
さらに3種類の腸活成分、乳酸菌(ビフィズス菌・ラクトバチルス菌・殺菌乳酸菌末)やラクトフェリン、食物繊維が含まれており、便秘をはじめとしたお腹のトラブルをサポートしてくれる妊婦さんにうれしいサプリメントです。
ぜひmamaruで栄養をたっぷり摂って、早産になりにくいカラダを目指しましょう。
早産に関するよくあるQ&A
最後に、早産に関するよくある質問を紹介します。
性行為をすると早産になるって本当?
切迫早産など妊娠中の合併症がなく、妊娠経過が正常な場合は問題ないケースがほとんどです。かかりつけの産婦人科の医師から性行為を控えるように言われていなければ問題はないでしょう。
ただ、性行為によって感染症のリスクが高まるため、感染を予防するために必ずコンドームを使用するようにしましょう。
また、精子にはプロスタグランジンという子宮収縮を引き起こす成分が含まれているので、中出し(膣内射精)は控えましょう。
妊娠初期の性行為についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
妊娠初期にセックス(性行為)してもいいの?赤ちゃんへの影響はある?人には聞きにくい疑問を助産師が解説!
妊娠初期にセックス(性行為)をしてもいいのか、赤ちゃんに影響があるのかは、なかなか聞きにくいことですよね。妊娠初期のセックスは赤ちゃんへの影響だけでなく、ママの気持ちも大切にしたいもの。この記事では、助産師が妊娠初期のセックスに関する疑問について詳しく解説します。妊娠初期のセックスについて悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
動きすぎも早産の原因になる?
「子宮頸管長が短くなっている」「切迫早産である」といった診断を医師から受けていなければ、ママが動きすぎたからといって早産になることはほとんどありません。
動き過ぎるとお腹が張ることがありますが、座ったり横になったりして休めばお腹の張りがおさまるなら問題ありません。
ただ、お腹の張りの自覚が多いときには無理に動かず、休息を取ることも大切です。
まとめ
今回の記事では、早産が起こる原因と兆候、予防するためにできることについて解説してきました。
早産の原因には、意図せず早い週数で出産に至ってしまう自然早産と、ママや赤ちゃんの状態を考慮した上で意図的に早い週数に出産する人工早産があります。
どちらの場合にも、できる限り赤ちゃんがお腹の中にいることができるように治療していけば、赤ちゃんの生存率を上げ、後遺症も軽減することができます。
早産になりにくいカラダづくりの一環として、妊娠中のママたちにおすすめのmamaruは、妊娠中に必要な栄養素をギュッと凝縮し、腸活成分も配合している妊婦さんの味方です。
体調管理が不安なママはぜひmamaruを活用して、お腹の中の赤ちゃんとの大切な時を過ごしていきましょう。
参考:
(※1)国立成育医療研究センター:早産外来
(※2)米田哲:自然早産の臨床的な特徴とそこから見えてきた治療戦略と限界、 そして、その予防策へと
(※3)小さく産まれた赤ちゃんへの保健指導のあり方に関する調査研究会:低出生体重児保健指導マニュアル
(※4)黒田恵司:ウィメンズヘルスと栄養素・サプリメント-生殖医学-2.ビタミンFD,産科と婦人科2023年9号
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