更新日:2024/3/28

葉酸以外に必要な栄養素「DHA」| 助産師監修

DHAと聞くと、「頭に良さそう」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?事実、DHAには脳を活性化させる働きがあり、記憶力や判断力を向上させるといわれています。そのため、学生や大人に必要な栄養素だと思われがちですが、実は胎児や授乳期の子供にとっても大切な栄養素なのです。今回は、妊娠期や授乳期の女性にもぜひ摂ってほしいDHAについて詳しく見てみましょう。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

DHAはどんな栄養素?

「日本人の食事摂取基準(2020年版)脂質」を元に作成


まずは、DHAとは何なのかを紐といていきましょう。

DHAの正式名称は「ドコサヘキサエン酸」といい、不飽和脂肪酸のひとつです。

脂肪酸とは、脂質の主な構成要素で、動物性の脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」と、植物や魚の脂肪に含まれる「不飽和脂肪酸」の2種類から成り立っています。


さらに、不飽和脂肪酸には「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」があり、DHAは多価不飽和脂肪酸の「n-3系脂肪酸(通称:オメガ3)」に分類されている栄養素です。

DHAは、脳や神経細胞、精子などに多く存在し、記憶力や血流の改善、アレルギーの予防などに効果があるといわれています。


「脂肪」や「脂質」と聞くと、「太る」「体に悪い」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、脂質は「糖質」と「タンパク質」に並ぶ3大栄養素のひとつであり、活動のエネルギー源体となったり、細胞膜や核膜を作ったりする、とても大切な栄養素です。


脂質のイメージの悪さは、肉や乳製品などの飽和脂肪酸の摂りすぎによる肥満や病気といった健康リスクや、マーガリンなどに含まれ、極力摂取しないほうが良いとされているトランス脂肪酸に由来していると推測できます。

つまり、トランス脂肪酸以外の脂質を適量に摂取することは体にとって好ましい状態なのです。

さらに、DHAは脳の活性化を促したり、動脈硬化や血栓を防いだり、脂肪燃焼を促したりするなど、さまざまな効果が期待できるため、積極的に摂りたい栄養素といえるでしょう。


また、DHAは「必須脂肪酸」と呼ばれる体の中で合成することができない栄養素なので、食事から摂る以外、体の中に入れることはできません。

DHAを含む食べ物を知り、選ぶことで積極的に摂取しましょう。


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DHAの役割は?

次に、DHAの持つ役割について詳しく見てみましょう。


【DHAの持つ役割】

  • 脳の神経細胞の情報伝達を促す
  • 体内の免疫反応を調整する
  • 脂肪燃焼を促す
  • 血管壁の細胞膜を柔らかくする


多くの人が持つ「DHAを摂れば頭が良くなる」というイメージは、DHAの“脳の神経細胞の情報伝達を促す”という役割から来ているのがお分かりいただけるでしょう。

そのほかにも、血液の流れを正常に保ったり、脂肪を燃焼させたりと、体にさまざまな良い影響がある栄養素なのです。

そのため、DHAを適切に摂取し続けると

  • アレルギー疾患
  • 皮膚炎
  • 肥満
  • 高血圧
  • 動脈硬化
  • 記憶力や認知能力

などの予防と改善に効果が期待できるといわれています。


DHAの役割を聞くと、「大人こそ摂りたい栄養素だな」と思われるかもしれませんが、胎児や乳幼児といった子供にとっても、DHAは脳や神経の発達に必要な大切な栄養素のひとつです。

さらに、妊娠期にDHAを含むオメガ3脂肪酸を追加摂取することで、早期産児数が減少したり、低出生体重児が生まれる確率が低下したりする可能性があるという研究結果もでています。

DHAはいつ必要?

DHAは、脳細胞の活性化や血流の改善が期待できるなど、さまざまな働きを持つため、どの年代の人でも積極的に摂りたい栄養素のひとつです。

特に胎児発生期間や胎児発育期間の妊婦の方と授乳期の女性は、積極的に摂取すると良いでしょう。


前述したように、妊娠期にDHAを摂ることで、早産や低体重児出産のリスクを下げる効果が期待でき、また授乳期の母親が摂取することで母乳中のDHA濃度が高まり、栄養価の高い母乳を赤ちゃんに届けることができます。

DHAが胎児や乳児期の赤ちゃんの成長に大切な栄養素であることは生物学的に証明されており、DHAが栄養補助成分として添加されている乳児用ミルクも多く販売されています。


妊娠中や授乳中の女性は、必要カロリー内に収まるように摂取することを目指しましょう。

ただし、人体や胎児に害を及ぼす可能性があるメチル水銀の含有量が低い海産物などから摂取するなど、どの食べ物から摂取するかも大切です。

DHAはどれくらい摂取すればいいの?

目安となる摂取量は?

DHAのみでの食事摂取基準値は決められていませんが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、DHA・EPA・DPA・α-リノレン酸を合わせたn-3系脂肪酸としての目安量が示されています。


1日の摂取目安量:30~49歳女性…1.6g/日(授乳婦は1.8g/日)


さまざまな種類の海産物を、週に8から12オンス(約224gから336g)ほど摂取することが望ましいとされています。

文部科学省の「日本食品表示成分表2020年版」を見てみると、スーパーでよく売られているサバの水煮缶は、可食部100gに対しDHAが1.3g含まれています。


メーカーによって差はありますが、サバ缶は1缶につき内容量が150g〜200gのものが主流なので、1日にサバ缶を2/3〜1缶程度食べれば、授乳中の女性であっても1日のDHA摂取目安量を十分達成できそうですね。


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何を食べたら良いの?

DHAは脂肪が多い魚や甲殻類に多く含まれています。

【DHAを含む食べ物の一例】

脂肪が多い魚:サバ、マグロ、いわし、サンマ、マスなど
甲殻類:カニ、ムール貝、牡蠣など

サバ類やいわし類といった青魚には、DHAが多く含まれていると覚えておきましょう。

旬のものには栄養価が多く含まれているので、秋はサンマやサバ、いわし、冬はマグロというように、新鮮な旬のものを積極的に摂りたいですね。

DHAは熱に弱いため、調理後は配合量が減ってしまいます。
そのため、手軽に手に入り、調理せずに食べられるサバやいわしの缶詰も常備しておくと便利でしょう。

サバやいわしの缶詰に入っている汁にも、DHAが含まれています。

汁は、もちろんそのまま飲んでも大丈夫ですが、味噌汁のだし汁やパスタや炒め物でも使えるため、捨てずに活用すれば効率良く摂取できますね。


また、DHAは酸化しやすいので、抗酸化作用のあるビタミンCやEと一緒に摂るのが理想的です。

海産物でDHAを摂取する際に注意してほしいのが、メチル水銀の含有量。

メチル水銀は食物連鎖によって濃縮されていき、大型の魚の中には高濃度のメチル水銀を含んでいるものも多くいます。

人が食べ物からメチル水銀を摂取すると、一定期間体内に蓄積されますが、その後尿や便などから排出されるため、普通の食事からメチル水銀の影響を受けることはほぼありません。


しかし、大量のメチル水銀を妊娠期の女性が摂取した場合、摂取したメチル水銀が母体を通じて胎児にまで届いてしまい、神経の発達に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、妊娠中や授乳中の女性は、白マグロ(ビンナガマグロ)なら週に6オンス(約168g)以内が摂取目安とされています。

また、メチル水銀を多く含むアマダイ、メカジキ、サメ、キングマッカレルなどは食べるべきではありません。

「毎日青魚ばかり食べられない」「そうはいってもメチル水銀が不安」「つわりで魚の匂いが気になる」という人は、サプリメントでDHAを補うことも視野に入れると良いでしょう。

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DHAが不足すると(リスク)

DHAは、体にとってさまざまな良い働きをしてくれるため、不足するとさまざまなリスクを引き起こす可能性があります。

【DHAの不足によって起こるリスク】

  • 血管障害
  • 中性脂肪の増加
  • 皮膚炎
  • 記憶力や学習能力の低下
  • 胎児・乳児期の脳の発育に影響

上記のように、さまざまな健康障害や発達に影響が起こる可能性があります。

妊娠期や授乳期を始め、DHAはどの年代でも積極的に摂っていきたい栄養素であるということがお分かりいただけるでしょう。

食生活を見直すと共に、サプリメントでの摂取も検討しながら、効率良くDHAを摂取し、母子共に健康な体を目指しましょう

まとめ

脳細胞の活性化や脂肪燃焼の促進だけでなく、胎児や乳児の脳の発達に影響を与え、早産や低体重児出産の確率を低下させる可能性もあるDHA。

しかし、DHAは体内で作ることができないため、食事から摂取することが不可欠です。


DHAは青魚に多く含まれますが、青魚の中には人体や胎児に害を及ぼすメチル水銀を多く含むものもあるため、食べ物を選ぶ際は気をつけなくてはなりません。

食事にも気を配りつつ、足りない部分はDHAのサプリメントで補うのもひとつの手段といえるでしょう。

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