更新日:2024/4/30

どうして妊娠初期に葉酸が必要なの?〜葉酸が赤ちゃんに与える影響と摂取量の目安【助産師執筆】

妊娠初期に葉酸が必要な理由についてのイラスト
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妊娠初期に「葉酸」が必要だということは、聞いたことがあると思います。葉酸は妊娠初期のお母さんと赤ちゃんにとって、とても大事な栄養素です。

この記事では、

①妊娠初期に葉酸が必要であると言われている理由
②葉酸の摂取量とおすすめの摂取方法
③葉酸に関するよくある疑問

について解説していきます。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

妊娠初期のカラダに必要な「葉酸」ってなに?

葉酸は妊娠初期や男女問わず、人間が生きていく上で欠かせない栄養素である必須栄養素の一つで、ビタミンB群の水溶性ビタミンの総称をいいます。

葉酸には2種類あり、サプリメントや薬剤に含まれるものを「プテロイルモノグルタミン酸といい、食品中に含まれるものを「プテロイルポリグルタミン酸といいます。

葉酸は調理や体内での消化によって「モノグルタミン酸」に変換され、小腸から吸収されます。

葉酸の働き

葉酸は、DNAやRNAなどの核酸やタンパク質の合成を促し、カラダの中で細胞を作り出したり、再生するのをサポートしてくれるビタミンです。

一部のアミノ酸代謝にも関わっていて、人間にとって必要不可欠な栄養素です。

葉酸が欠乏すると、赤血球をつくるなどの造血機能が低下し、巨赤芽球性貧血や神経障害、腸機能障害などを引き起こす可能性があります。

最近では、葉酸を十分に摂取することで、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐという研究結果も出ています。

葉酸の特徴

葉酸は水溶性のため水に溶けやすく、熱に弱い特徴があります。

葉酸はほうれん草ブロッコリー枝豆などの野菜の他、納豆、豚・牛・鶏といった動物の肝臓にも多く含まれています。

国民健康・栄養調査での葉酸摂取量は、男性で平均295μg/日、女性で平均283μg/日と男女ともに推奨量である240μg/日を満たしています。

健康な人が通常の食生活では欠乏することはまれですが、妊娠初期には赤ちゃんを育てるために葉酸の必要量が増え、推奨量が増加します。

【助産師監修】葉酸の多い食べ物一覧|妊娠中におすすめのメニューから一日に必要な摂取量まで徹底ガイド

妊娠中は葉酸の多い食べ物を摂りたいと考えている人も多くいるのではないでしょうか。葉酸はママの健康や赤ちゃんの成長に大きく係わる重要な栄養素のひとつです。そのため、妊活開始とともに葉酸の積極的な摂取を始めましょう。この記事では、葉酸の多い食べ物や摂り方について紹介します。

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なんで妊娠初期に葉酸の摂取が大切なの?

妊娠初期に葉酸を摂取することが大切な理由について解説します。

妊娠初期は胎児の器官形成期

赤ちゃんは、お母さんのお腹の中で体内の様々な器官や身体をつくっていきます。赤ちゃんの体内の器官は、妊娠初期である妊娠5週から形成されはじめます

そして、だいたい妊娠12週までに全ての器官が完成します。赤ちゃんのあらゆる器官をつくるため、妊娠初期のこの時期は特に、細胞増殖が盛んな時期となります。

葉酸には細胞の産生と再生を助ける働きがあり、お母さんの体内にある葉酸を使って赤ちゃんの器官は完成していくのです。

神経管閉鎖障害のリスクを減らす

神経管閉鎖障害とは脳、脊椎、脊髄に起こる先天異常のことです。

神経管は脳や脊髄のもととなるものです。お腹の中の赤ちゃんは、妊娠6週ころになると、この神経管を作り上げていきます

頭側が脳に、足側が脊髄に、そしてそれを覆う組織が髄膜にできあがっていきます。神経管閉鎖障害は、この過程でうまく神経管が閉じることができなかった場合に起きます。

神経管閉鎖障害には、種類があります。

①二分脊椎

足側の神経管が閉鎖しなかったことで、脊髄の神経が剥き出しになっている状態です。

剥き出しの脊髄神経が損傷することによって、足の筋力低下による歩行困難尿や便のコントロールができない状態となる危険性があります。

②無脳症

脳の組織が発達できないため、生きていくために必要な機能が備わらない状態です。

お母さんのお腹の中では生きていられますが、生まれたらすぐに死に至る病気です。

③脳瘤

本来閉じているはずの頭蓋骨の一部に穴が開いてしまい、その穴から脳や髄膜が外に出ている状態です。

本来なら脳は頭蓋骨で守られているはずですが、剥き出しになっているため、脳が損傷するリスクが高まります


また、葉酸の摂取によって発症するリスクが低くなると期待されているものには、神経管閉鎖障害だけでなく、口唇口蓋裂や先天性心疾患があると考えられています。

貧血を改善する

妊娠中は出産の出血に耐えられるようにカラダをつくっていくため、妊娠初期からお母さんの循環血液量は増加していきます。

循環血液量が増えるといっても、血液がそのまま増えるわけではなく、赤血球に比べて血漿成分の方が多く増えるため、血液は希釈されて貧血になりやすくなります。

貧血はお母さんのカラダを疲れやすくしたり、息切れめまいなどを引き起こします。さらに、お腹の中の赤ちゃんへの影響として、低出生体重児新生児の貧血となるリスクも高めることが報告されています。

妊娠中の貧血の原因としては、鉄分の摂取が不足して起きる「鉄欠乏性貧血」が圧倒的に多いですが、赤血球を作り出す働きを持つ葉酸が不足することでも貧血は起きます。

貧血の予防や改善には鉄分も大切ですが、葉酸も摂取することが大切です。

早産を予防する

早産とは、妊娠22週以降から37週未満に出産することをいいます。早産になる理由には色々とありますが、葉酸の摂取が不足することでも早産が起きるといわれています。

葉酸やビタミンB群の摂取が不足し続けると、血管の細胞がうまく再生されなくなることで障害を起こし、結果として循環器系の疾患を引き起こす原因となり得ます。

妊婦さんでは、胎盤の血管内で障害が起きることで「胎盤関連産科合併症を引き起こし、早産のリスクを高めるといわれています。

医師監修|葉酸とは?葉酸が必要な理由と葉酸の種類を解説!

医師監修のもと、葉酸の必要性と種類を徹底的に解説しています!また、葉酸が多く含まれている食べ物や、おすすめのサプリまで紹介しています!妊活・妊娠・産後に欠かせない栄養素、葉酸の理解と適切な摂取方法を学びましょう。

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葉酸を特に必要とする時期って妊娠初期だけなの?

人間のカラダにとって重要な栄養素である「葉酸」。

妊娠中には妊娠していない時よりも葉酸の摂取は重要となります。しかし、葉酸の摂取を必要とする時期は、妊娠初期だけかというと違います。

ここでは葉酸を特に必要とする時期はいつなのかを解説します。

妊娠する1ヶ月以上前から摂取することが大切

赤ちゃんの先天性異常である神経管閉鎖障害を予防するために重要な葉酸。

お母さんのお腹の中で赤ちゃんのカラダの中の臓器ができあがるのは、妊娠5週から妊娠12週です。妊娠したことがわかるのは、早い人でも妊娠4週以降です。

その1週間後からは、赤ちゃんの大事な器官がつくられはじめます

葉酸は摂取してすぐに体内に十分に蓄積されていくわけではありません。そのため、妊娠初期から摂取しようと思っても、赤ちゃんへの必要な葉酸の供給が追いつきません

そのため、妊娠する1ヶ月以上前から、十分な量の葉酸を摂取することが大切です。妊活を始める前から、今後お腹の中で育まれる赤ちゃんのために葉酸を摂取していきましょう。

妊娠中は常に摂取することが大切

葉酸は、妊娠中じゃない人でも必要とする人間のカラダにとって大切な栄養素です。妊娠中のお母さんは、お母さんと赤ちゃん、2人分の葉酸を必要とします。

神経管閉鎖障害を予防するためには、妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月までの時期が重要ですが、その後も赤ちゃんが成長していくために、葉酸は必要となります。

そのため、妊娠中は妊娠初期に限らず、全期間を通して妊娠していないときよりも多い量の葉酸を必要とします。

葉酸の摂取は妊娠前に始めよう!効果から不足時のリスクまで徹底解説

妊娠中は葉酸の摂取が勧められているものの、その理由や効果が分からないという方も多いのではないでしょうか。本記事では妊娠と葉酸の関係や、葉酸不足時に起こり得る事態、効果的な葉酸の摂取方法などについて詳しく解説します。

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葉酸ってどれくらいの量をとればいいの?

葉酸の一日の摂取推奨量は18歳以上の男女ともに、240μg/日とされています。妊活中の方や妊婦さんは、赤ちゃんの発育のためにそれよりも多く葉酸の摂取が推奨されています。

妊娠中に葉酸はどれくらいの量を摂取すればよいのか、妊娠期間別に解説していきます。

妊娠初期

厚生労働省から提言されている、「日本人の食事摂取基準」では、『神経管閉鎖障害発症の予防のために摂取が望まれる葉酸の量を、狭義の葉酸として400 μg/ 日とした』とあります。

狭義の葉酸とは、自然界の食品に含まれる葉酸「ポリグルタミン酸」ではなく、薬剤やサプリメントなどの栄養補助食品に含まれる「モノグルタミン酸を指します。

これは、同じ葉酸でも食品中に含まれる葉酸と栄養補助食品に含まれる葉酸では、吸収率が違うことが理由にあります。

食品中に含まれるポリグルタミン酸型葉酸の吸収効率は約50%ですが、サプリメントが含むモノグルタミン酸型葉酸の吸収効率はほぼ100%です。

吸収率を考慮した上で、神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすための葉酸の推奨量は、通常の食事摂取に加えて、栄養補助食品から1日に400μgとされています。

妊娠中期・後期

妊娠中期・後期には、18歳以上の男女の葉酸摂取推奨量である240μg/日に、240μg/日を付加した480μgが葉酸の推奨量とされています。

赤ちゃんの器官形成はほぼ完了していますが、お腹の中では赤ちゃんは妊娠中全期間を通して発育していきます。そのためには、細胞の産生と再生を促し、赤血球などの造血機能を持つ葉酸が必要不可欠なのです。

【助産師監修】葉酸サプリはいつからいつまで必要?おすすめのサプリや選ぶ時のポイントも解説

葉酸がいつからいつまで必要なのか、葉酸サプリを選ぶポイントもあわせてご紹介します。葉酸は、胎児の臓器形成をはじめ、妊娠中に必要な血液をつくるのに必須の栄養素です。葉酸を効果的に摂取するためには、サプリメントから摂取できる合成葉酸の摂取が推奨されています。妊婦の体に優しいサプリを選んで、健康的な生活を手に入れましょう!

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葉酸はどうやって摂取するのがいい?

葉酸はほうれん草小松菜ブロッコリーといった濃い緑色の野菜や、枝豆納豆豚・牛・鶏といった動物の肝臓に多く含まれています。しかし、葉酸は水溶性ビタミンであるため、水に溶けやすく、さらに熱に弱いという特徴があります。

妊娠中に効果的に葉酸を摂取するためには、具体的にどうするのがよいのかを解説していきます。

食事

水溶性ビタミンであり熱に弱い葉酸は、茹でることで栄養素が外に漏れ出してしまいます。

そのため、新鮮なうちに加熱せずにサラダとして食べたり、汁物やスープなどで丸ごと食べることができる調理方法がおすすめです。

また、葉酸の吸収と代謝には、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12、亜鉛の5つの栄養素と一緒に摂取することが大切です。

サプリメント

食品からも葉酸は摂取することはできますが、妊娠初期は特に葉酸の必要量が増えます。

また、食品中に含まれるポリグルタミン酸型葉酸の吸収効率は約50%であり、食品だけから葉酸を摂取するのは非効率的です。

厚生労働省からも推奨されていますが、妊娠初期には体内での葉酸吸収率が高い、栄養補助食品からの葉酸摂取がおすすめです。

「mamaru(ママル)」葉酸サプリは、妊娠初期の摂取推奨量である葉酸400μgだけでなく、葉酸の吸収と代謝を高めるビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12、亜鉛も配合しています。

つまり、妊娠中に不可欠な栄養素をオールインワンで摂取できるサプリメントです。

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神経管閉鎖障害は、妊娠初期に葉酸を十分に摂取することで予防できる先天性の異常です。mamaruで妊娠中に必要な栄養を、手軽に摂取していきましょう。


よくある質問

葉酸についてよくある質問をまとめました。

葉酸サプリは飲まない方がいいの?

「栄養補助食品」や「サプリメント」は人工的でカラダに悪いというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、様々な研究結果から神経管閉鎖障害の発生率を下げるためには、栄養補助食品から葉酸を摂取することが必要であることがわかっています。

そのため、厚生労働省からも推奨されているのです。効率的に葉酸を体内に吸収するためには、食品よりもサプリメントの方が効果的です。

葉酸を摂りすぎると自閉症になるの?

過去に、アメリカの葉酸添加政策後に、自閉症の発生率が上昇したという報告もありました。

しかし、近年では、自閉症を予防・防止するために、葉酸サプリメントがむしろ有益だという報告もあります。

「葉酸を摂りすぎると自閉症になる」というのは確実な情報ではありませんが、偏った栄養を過剰に摂取することは、カラダにとって良いことではありません

葉酸の摂取量は1日1000μg以内に止めるようにし、過剰摂取は避けるようにしましょう。

【医師監修】葉酸サプリのおすすめが知りたい!妊活~授乳中の本当の効果から選び方まで完全ガイド

葉酸サプリは妊活~授乳中までつづけて飲みたいサプリメントです。たくさんの葉酸サプリがある中で、おすすめの葉酸サプリや効果、選び方、気になる疑問について徹底解説します。これを読めば葉酸サプリのすべてがわかる!妊娠期の女性必見です!

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まとめ

今回の記事では、妊娠初期に葉酸が必要であると言われている理由、具体的に葉酸を摂取する量とおすすめの方法について解説しました。

葉酸は細胞の産生と再生に欠かせない、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても必要不可欠な栄養素です。神経管閉鎖障害は、サプリメントから400μg/日摂取することで唯一予防することができる先天性の疾患です。

妊活中にはmitas、妊娠初期にはmamaruで効率的に必要な栄養を摂取していきましょう!

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