
更新日:2025/1/21
無脳症の原因はなに?赤ちゃんを先天性の障害から守るためにママができること

「無脳症」は、赤ちゃんが生まれつきもつ障害のひとつ。
生きていくために重要な役割を担う臓器である脳がお腹の中でうまくつくられないため、生きていくことが難しい病気です。
無脳症と診断された赤ちゃんは、現在の医療で治療することはできません。そのため、無脳症にならないために予防していくことが大切です。
今回の記事では、無脳症の原因について解説するとともに、赤ちゃんを先天性の障害から守るためにママができることについて助産師が解説していきます。
この記事に登場する専門家
助産師 四辻有希子
大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター
無脳症の原因
無脳症は、神経管閉鎖障害の一種です。
神経管閉鎖障害とは、赤ちゃんの脳や脊髄などの生きていく上で重要な役割を担う臓器のもととなる神経管をつくるときに、なんらかの障害が起きてうまく神経管ができなかった病気をいいます。
神経管閉鎖障害は、神経管がつくられるどの過程でうまくいかなかったのかによって、赤ちゃんに起こる病気の名前や赤ちゃんへの影響が違います。
無脳症以外の神経管閉鎖障害も、赤ちゃんの命や後遺症に関わることがあります。
無脳症や神経管閉鎖障害が起こる原因には、胎児の染色体異常とママの栄養不足などがあります。
胎児の染色体異常
染色体とは、細胞の核の中にあるDNAとタンパク質のことをいいます。いわば、遺伝子の集合体で、遺伝情報を伝える役割を持つものです。
胎児の染色体は、ママの卵子が持つ染色体とパパの精子が持つ染色体が合わさって、細胞分裂を重ねてできていきます。
その過程で異常が起きて、本来の染色体と異なる状態になることを染色体異常といいます。
染色体異常を持つ胎児は、成長していく過程でなんらかの障害が起きることがあります。
無脳症や神経管閉鎖障害も、胎児の染色体異常が原因となるケースがあります。
ママの栄養不足
無脳症をはじめとした神経管閉鎖障害は、ママの栄養不足で起こることもあります。
無脳症と関わりの深い栄養、それは、葉酸です。
数多くの研究から、お腹の中の赤ちゃんが神経管をつくる時期に、ママのカラダの中の葉酸が不足することで神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることがわかっています。
無脳症と葉酸の関係
お腹の中の赤ちゃんが神経管をつくる時期に、ママのカラダの中に十分な葉酸があることで、無脳症や神経管閉鎖障害の発症リスクを下げることができます。
つまり、無脳症の予防には葉酸が大切なのです。
ここでは、無脳症と葉酸の関係について解説します。
葉酸とは
葉酸は、ビタミンB群のひとつで、細胞をつくったり修復をサポートしたり、血液をつくるサポートをしたりする働きがあります。
妊娠中に限らず、私たち人間にとって重要な役割を担っている必須栄養素であり、自分のカラダの中でつくりだすことはできないため、食べ物やサプリメントから摂取する必要がある成分です。
葉酸の効能や妊活中に葉酸を摂るべき理由と嬉しい効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。
葉酸にはどんな効能があるの?妊活中に摂るべき理由と嬉しい効果を解説!【助産師執筆】
妊活中に摂るとよいとされている「葉酸」には、美肌効果や生活習慣病の予防など、カラダにとってうれしい効能がたくさんあります。今回の記事では、葉酸の効能に注目し、妊活中に葉酸を摂るべき理由と期待できる効果について詳しく解説しています。
葉酸の摂取が無脳症を予防する
お腹の中の赤ちゃんは細胞分裂を繰り返すことで新たな細胞をつくりだし、生きていく上で必要な臓器をつくっていきます。
葉酸はその過程で必要とされるため、胎児にとって葉酸は必要不可欠。
お腹の中の赤ちゃんが脳・脊髄などの中枢神経、心臓・血管などの循環器、胃・腸などの主要な消化器など、カラダにとって重要な器官や臓器をつくる時期を「器官形成期」といいます。
器官形成期は、だいたい妊娠4週からはじまり、妊娠12週ごろまで続きます。
中でも脳や神経管は、妊娠4週ころからつくられ始め、妊娠7週ころまでに完成するといわれています。
この期間にママのカラダの中に十分な葉酸が蓄積しているのがベターです。
中国のとある研究では、葉酸を含むサプリメントを摂取し葉酸不足を予防することで、神経管閉鎖障害の発症リスクを40~80%低くすることができるという結果が出ました。
それほど葉酸は、無脳症や神経管閉鎖障害と関係が深いものなのです。
日本でも、2000年から厚生労働省が神経管閉鎖障害のリスク低減のために、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性のある女性は葉酸を摂取するように呼びかけています。(※1)
無脳症の予防に必要な葉酸の摂り方
葉酸はカラダの中でつくりだすことができない栄養素のため、口から摂取することで外から補充する必要があります。
しかし、妊娠初期のママは葉酸の必要量がかなり高くなるため、葉酸を含む食べ物を摂るだけでは不足してしまう可能性も。
無脳症の予防に必要な葉酸の摂り方について、ポイントを解説していきます。
摂取量の目安
葉酸は妊娠していないとき、妊活中や妊娠初期、妊娠中期・後期で摂取推奨量が違います。
葉酸の推奨量 | |
---|---|
通常時(18歳以上) | 240μg |
妊活中~妊娠初期 | 240μg+400μg |
妊娠中期~後期 | 240μg+240μg |
妊活中や妊娠初期には、赤ちゃんの器官形成期に備えて葉酸の需要が高まるため、1日あたり240μgに加えて400μgの合計640μg。
妊娠中期・後期も、妊活中ほどではないですが、赤ちゃんのカラダの発育に葉酸が必要になるため、付加が必要です。
また、さまざまな国の研究結果から、無脳症などの神経管閉鎖障害のリスクを減らすための葉酸摂取時期は、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までとされています。(※2)
摂取方法
葉酸はブロッコリーやほうれん草などの緑色の葉物野菜や、いちごやバナナなどのフルーツにも含まれています。
葉酸を多く含む食品ランキングはこちらの記事で紹介しています。
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しかし、水溶性ビタミンである葉酸は熱に弱く水に溶けやすい性質を持つため、調理方法によってはせっかくの栄養素が漏れ出てしまい、効率的に摂取するのが難しいことも。
そこで、効率的に葉酸を摂るためにはサプリメントを活用することがおすすめです。
無脳症予防にはサプリメントからの葉酸摂取がおすすめ
葉酸には、「モノグルタミン酸型葉酸」と「ポリグルタミン酸型葉酸」の2種類があります。
食べ物を摂取し、消化された葉酸はモノグルタミン酸となって小腸で吸収されます。
食品に含まれている葉酸はポリグルタミン酸型葉酸が多く、モノグルタミン酸型葉酸に変換されるときに様々な影響を受けてしまい、カラダの中に吸収される葉酸はたった50%。
一方、サプリメントなどの栄養補助食品には最初からモノグルタミン酸型葉酸が含まれているため、吸収率がとてもよく、効率よく葉酸を吸収することができるのです。
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」では、以下のように提言されています。
妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400µg/日摂取することが望まれる
ここでいう「通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)」とは、サプリメントや栄養補助食品に含まれているモノグルタミン酸型葉酸をいいます。
つまり、無脳症の予防には、1日あたり食事から摂取する葉酸240μgに加えて、サプリメントから摂取する葉酸400μgを摂取することが推奨されています。
こちらの記事では、モノグルタミン酸型葉酸が妊活におすすめな理由について解説しています。
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そもそも無脳症とは
赤ちゃんのうまれつきの障害である無脳症とはどんな病気なのか、症状、検査方法と診断、治療について解説していきます。
無脳症の症状
無脳症は、神経管の頭側がうまく閉鎖しないことで脳が形成されない病気です。
人間が生きていくための重要な司令塔である脳が欠損してしまっているため、生きることが難しい状態です。
お腹の中で亡くなる胎児死亡となるケースや、生まれても数日〜数週間しか生きることができません。
無脳症はいつわかる?検査方法と診断
お腹の中の赤ちゃんの脳は、妊娠4週ごろにはつくられはじめます。
お腹の中の赤ちゃんに無脳症が発症するのは妊娠4〜5週ごろですが、診断されるのは頭の形がしっかりとわかるようになる週数になってからです。
無脳症は、だいたい妊娠11週以降にエコー検査で指摘されます。
エコー検査の他にも、出生前診断のひとつである母体血清マーカー検査でも無脳症の診断が可能です。母体血清マーカー検査は、妊娠15週〜18週に受けることができます。
エコーでわかる胎児の異常については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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治療方法
無脳症の治療方法は、残念ながら現在の医療ではありません。生まれても長く生きられない病気のため、妊娠の中断を選択する方も多くいます。
無脳症を含む神経管閉鎖障害は、葉酸を摂取することで唯一予防することのできる先天性の病気です。葉酸をしっかりと摂取して無脳症を予防していきましょう。
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無脳症以外の神経管閉鎖障害の種類
神経管閉鎖障害は、無脳症の他にも種類があります。
そもそも神経管とは、人間の全ての神経系のもととなる神経板(しんけいばん)という一枚の板状の組織からできています。
神経板は細胞が分裂を重ねていくことで左右が盛り上がっていき、中央部分がくぼみ、やがて管状の神経管になり、脳や脊髄の中枢神経系のもととなるのです。
この神経管がつくられる過程で、頭側で障害が起こると本来頭蓋骨の中で守られているはずの脳や髄膜が外に飛び出た状態である「脳瘤」や、脳が欠損した状態である「無脳症」になります。
また、お尻側で起こると脊髄神経の一部がむき出しになっている状態である「二分脊椎」という病気になります。
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無脳症から赤ちゃんを守るためには妊娠前からの十分な葉酸摂取が大切
無脳症は妊活中の女性、妊娠初期のママが葉酸を十分に摂取することで発症リスクを減らすことのできる病気です。
妊活中からいつもの食事にプラスしてサプリメントから葉酸を摂取することで、カラダが葉酸不足にならないようにしていきましょう。
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参考文献:
(※1)独立行政法人国立健康・栄養研究所:今、注目を浴びている栄養素、葉酸の働きと疾患の予防効果について
(※2)厚生労働省:神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版),「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書,2019
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