更新日:2024/11/8
妊婦の足のむくみ、どう対処する?むくみの原因と解消法を徹底解説【看護師執筆】
妊娠中によくみられる妊婦のむくみ。約3割の妊婦はむくみに悩んでいるといわれています。
「ただでさえお腹が大きくて歩きにくいのに、足が重すぎる」
「足が象の足のようになって夜も眠りが浅い」
出産という大仕事に向けての身体の変化とはいえ、長く悩まされる症状に不安や戸惑いを感じるでしょう。
本記事では、妊婦がむくみやすい理由と、妊婦の体のためのむくみ対策をご紹介します。
妊娠中のむくみは思わぬ病気を発症するケースもあるので、妊婦健診で注意すべき内容もあわせて解説していきます。
足のむくみを自覚してきた妊婦さんや、今すぐむくみをどうにかしたい妊婦さん。
むくみ対策は、妊婦が悩みやすい腰痛にも効果的なので、この記事を読んで、むくみと上手に向き合う生活を手に入れましょう。
この記事に登場する専門家
鳴海いく
大学卒業後、大学病院で“がんとともに生きる”がん看護に携わる。結婚、出産を経験し、現在は看護師の傍ら、医療や出産・育児の知見を生かした、女性に寄り添う記事を執筆するライター。2児の育児に奮闘中。
〈資格〉
- 保健師
- 看護師
- リンパケアセラピスト
妊婦がむくみやすい理由
血液中の水分が血管の外に異常に浸み出し、皮膚の下に水分が溜まる「むくみ」。
妊婦は妊娠に伴う身体の変化がきっかけで、むくみやすい傾向にあります。
妊婦がむくみやすい理由は、下記の通りです。
- 女性ホルモンの分泌
- 妊婦の体の変化
- 血液量と血液の流れ
それぞれ詳しくみていきましょう。
女性ホルモンの分泌
妊婦がむくみやすい理由として、女性ホルモンの分泌が挙げられます。
妊娠中に分泌が活発になる「プロゲステロン」は、月経前に増える女性ホルモンで、妊娠を維持しやすいよう栄養や水分を身体にため込む作用があります。
また、プロゲステロンは「イライラする」「意味もなく不安になる」など精神面にも影響します。ストレスや不眠、活動量の低下はむくみを招く要因にも。
つまり、妊娠中は身体的・精神的にもむくみやすい時期にあるのです。
妊婦の体の変化
妊娠によりお腹を前に突き出したように変化する姿勢は、むくみに大きく影響します。
お腹が大きくなると、妊婦の体の重心が前方に移動し「がに股・反り腰」になりやすくなります。
妊婦特有の「がに股・反り腰」の姿勢は、股関節を硬くし、骨盤周囲の血管を圧迫するために血液循環が悪化、最終的にむくみとなるのです。
「お腹が大きくて寝返りが難しい・・」
お腹が大きくなるにつれて、不眠を訴える妊婦は多いですが、不眠もむくみに大きく関係します。
“不眠でむくみになる?”と思う方もいるでしょう。
不眠になると代謝が悪くなり、水分や疲労物質がうまく排出されずに体内にたまってしまいます。その結果、心臓のポンプとしての働きが低下し、血液の巡りが悪くなるのです。
血液の巡りが悪くなると身体が冷え、血行不良によりむくみやすくなります。
むくみによって体内に溜まった余分な水分が血管を圧迫し、さらなる血行不良へ。
この負の連鎖は、なかなかむくみの症状が改善しない理由ともいえるでしょう。
血液量と血液の流れ
妊婦がむくみやすいのは、妊娠中の血液量の増加と、大きくなった子宮による血液の流れにくさが関係しています。
- 妊娠中の血液量は非妊娠時より約50%増加
- 子宮が太ももの付け根にある太い血管を圧迫
上記のように、胎児に栄養や酸素を届けるために血液量は増える一方で、大きくなった子宮は周囲の臓器や血管を圧迫します。
妊娠中は身体が重く、思うように動けないために作業ペースも落ちますよね。
活動量の低下により、ふくらはぎの筋肉は低下し、足により血液がたまりやすい状況になります。
結果として、足に溜まった血液を心臓まで運べず、むくみが生じるのです。
むくみやすい妊婦とは
妊娠中にむくみを自覚する妊婦は、下記のような生活を送っている場合が多いとされています。
- デスクワークや立ち仕事
- 冷え性
- 運動不足
一般的に、妊娠中のむくみは生理的な症状なので、心配する必要はありません。
仕事でなくても、キッチンで料理をする時間が長いなど、家事によってもむくみやすさは生じやすいでしょう。
妊婦のむくみで注意すべき病気
妊娠中のむくみには、下記のような病気が隠れているおそれがあるため、注意が必要です。
- 深部静脈血栓症
- 妊娠高血圧症候群
それぞれの病気について説明します。
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は、足から心臓へと血液を戻す血管(静脈)に血の塊である血栓ができて詰まる病気です。
太ももや膝の中心を走る深部静脈に血栓ができた場合、重症になるケースがあります。
<症状>
- 片方の足の腫れ、痛み
- 急に赤黒くなり、放置すると茶色に変色する
妊娠中は、分娩中の大量出血を予防するために、血液の凝固を助けるタンパク質(凝固因子)が体内で多く作られます。
そのため妊娠中は血栓ができやすく、非妊娠時と比べて5倍以上も高率で発症するおそれがあるといわれています。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降から出産後12週までの高血圧、または高血圧に尿タンパクをともなう場合と定められています。妊婦の5%程度が発症します。
<症状>
- 高血圧
- 尿タンパク
- 手足のむくみ
- まれにけいれん発作
重症度によって安静、入院、降圧剤の使用、分娩など、治療は異なりますが、通常の妊婦健診に加え、主治医の診察と採血データを確認する必要があるでしょう。
妊婦健診で注意すること
上記のような病気に注意するために、妊婦健診で注意すべき点をご紹介します。
むくみが改善せず心配に思う日々でも、評価のポイントをおさえておくと、少し不安が解消できるでしょう。
<注意すべき徴候>
血圧 | 140/90mmHg以上 |
---|---|
尿タンパク | あり |
体重増加量 | 1週間で500g以上 |
むくみ | 片方の足のみ(熱感・赤み・圧痛を伴う) |
1週間で500g以上の体重増加は、むくみが原因とも考えられます。
通常は両方の足が同じ程度むくむのが、生理的なむくみです。
片方だけのむくみで赤みや痛みがある場合は「深部静脈血栓症」を疑い、直ちに医師に確認すべきでしょう。
【食事編】妊婦のむくみ対策
むくみを予防するためには、体内にたまった塩分をしっかり体の外に出す必要があります。主な対策は下記の通りです。
- 塩分を控える
- 塩分排出を促す食材を摂取
- 水分を摂取する
「いつも食事には十分気をつけてるつもりだけど・・」
そんな声が聞こえてきそうですが、妊娠中だからこそ、ストレスのない食事生活が送れるように、経験談も含めた対策をご紹介します。
とは言うものの、食事だけでは必要な栄養素は賄いきれえません。
そこで重宝されるのがサプリメントです!下の記事でその有用性を解説していますので、ぜひチェックしてみてください!
【助産師監修】妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫?赤ちゃんへの影響と今から摂ったほうがいいのかも解説!
妊娠初期に葉酸を飲まなかったらどうなるの?この記事では「葉酸が必要なんて知らなかった」「妊娠に気がついたのが遅くて飲んでいない」という方に向けて、葉酸を摂らないと赤ちゃんにどのような影響があるのか、今からでも摂るべきかなどを解説します。葉酸の重要性や葉酸が多く含まれている食べ物もわかりますよ!
塩分を控える
むくみを予防するためにもっとも重要なのが、塩分摂取量です。
厚生労働省によると、日本人の塩分摂取量の約7割は、調味料から摂取しており、インスタントラーメンやカレールウなどの加工食品からの塩分摂取量が多いといわれています。
妊娠中の塩分摂取量の規定はありませんが、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では女性の食塩相当量は6.5g/日未満と設定されています。
妊娠中に無理なく減塩できる方法を、下記にまとめました。
- 旬の野菜を積極的に取り入れる
- レモンや大葉、スパイスを活用する
- 肉加工品を食べるときは胡椒のみで味付け
- しょうゆやソース類はかけず、直前に「つける」
妊娠初期から大活躍するのは、レモンやオレンジなどの柑橘類です。
柑橘類には、妊娠中に必要な鉄分の吸収をサポートし、体の免疫力を高める効果があるのでおすすめです。
ベーコンやウインナーなどの肉加工品は、塩分が多い代表格。ベーコンを調理する際は、最低限の調味料にとどめ、加工品の自然な風味を味わうといいでしょう。
妊娠中の食事は制限が多く、ストレスに感じるときもありますが、あなた自身が「食事を楽しむ」姿勢こそ、赤ちゃんの1番の栄養になることを忘れないで。
塩分排出を促す食材の摂取
ついつい摂り過ぎてしまう塩分を、体から排出してくれる強い味方が「カリウム」です。カリウムは、ナトリウムの排泄を促すため、血圧を下げる効果が期待できます。
カリウムを多く含む食品は下記の通りです。
- 海藻類(ひじき、昆布など)
- いも類(さといも、じゃがいも)
- ほうれん草
- アボカド
- 干しあんず
果物の中では、ドライフルーツに多くのカリウムが含まれています。
カリウムは水に溶けやすいので、野菜はなるべく電子レンジで調理し、汁ごと食べられるスープや煮物にすると効率よく摂取できます。
ひじきは、人体に有害で発がんリスクのある「無機ヒ素」が含まれていると懸念されていますが、毎日大量に摂取しない限り問題はないとされています。
むしろ食物繊維や鉄分、ミネラルが豊富に含まれるので、1週間に2回程度のひじき摂取はおすすめです。
<注意!>
腎機能が低下している場合は、カリウムの排泄がうまくいかず、不整脈など心臓に影響を及ぼすおそれがあるので、医師に相談しましょう。
水分を摂取する
むくみを解消するためには、適度な水分摂取が必要です。体の水分摂取量が不足すると、体は自然と体内の水分をため込もうと働くため、かえってむくみを助長させてしまうのです。
先述したとおり、妊娠中は血栓症のリスクが高いので、水分が足りなければ血液はドロドロ、血栓症を招くおそれも。
杜仲茶やタンポポ茶、どくだみ茶、ルイボスティーなどのノンカフェインのお茶は、むくみ解消に効果があります。
適度に水分を摂取し、こまめに排泄する。妊娠中は「水の循環」が特に重要です。
つわりでお悩みの妊婦さんは下の記事も必見です!
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【足のケア編】妊婦のむくみ対策
むくみケアといえば、「マッサージ」「足を高く上げて寝る」「弾性ストッキング」などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ここでは、これらの対策の効果をより高めるために、股関節や筋肉をほぐす方法をご紹介します。
むくみだけでなく、妊婦の多くが悩む腰痛にも効果的なので、ぜひ日常生活の中に取り入れてみてください。
- 股関節ほぐし
- 足裏・足首ほぐし
- 足のマッサージ
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.股関節ほぐし
むくんだ足を揉みほぐす前に、股関節周囲を柔らかくほぐしましょう。足の付け根にあり、老廃物処理の役割を果たす「そけいリンパ節」を動かすように、膝を胸まで持っていきます。足の付け根に手をあて、内側から外側へなでるように流します。
<ポイント>
股関節をほぐすと、血流がよくなり足全体が温まり、老廃物の排出がスムーズになるので、冷えやむくみの改善につながります。
2.足裏・足首ほぐし
足裏には、むくみに効果的なツボが多くあります。
土踏まずのやや上のくぼみにあるツボ「湧泉」から、かかとに向かって足裏を押していきましょう。ツボは意識せずとも、“痛気持ちいい”と思うのがベストです。
足裏を押すのがきついようであれば、ゴルフボールを足裏でコロコロ転がしてもOK。
足首が硬くなると、ふくらはぎを使わない歩き方になり、足に老廃物がたまってむくみの原因に。
足首をゆっくり気持ちいい程度に回しましょう。その際、普段動かすことの少ない足指に手を挟むと、より血行促進が期待できます。
<かかとを床につけたまま、しゃがめますか?>
後ろに倒れてしまう、足首の前に詰まり感がある場合は、足首が硬い可能性があります。
足首を意識的に動かし、ふくらはぎの筋肉を使うようにしましょう。
足のマッサージ
足首付近に両手を当て、膝に向かって10回なで上げます。足首から心臓に向かって、下から上にマッサージしましょう。
太ももも同様に、膝から足の付け根に向けて10回おこないます。
<なでるだけで効果ある?>
マッサージは強ければいい、というのは間違い。マッサージはなでるのが基本です。
力が入りすぎると、リンパ管を押しつけて、かえって流れを邪魔してしまいます。
マッサージはオイルが必須!
マッサージは、肌の滑りが悪い状態でおこなうと、不要な摩擦が生じます。
特に妊娠中は、肌が乾燥しやすくなります。胎児に多くの栄養を送るために、皮膚の毛細血管が拡張して水分の蒸発量が増えるためです。
そんなときは、天然由来のオーガニック成分を配合し、妊娠中特有の肌トラブルにやさしくアプローチするオイルがおすすめです。
mitera ORGANICSは、皮膚科医専門医が監修し、多くの妊婦の声をもとに作られています。妊婦の抱える悩みをサポートし、肌への安全性も追求しています。
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こちらの商品は妊娠線でお悩みのママさんにも効果的です。
下の記事と合わせてご覧ください。
【完全版】これを見れば、妊娠線を消す方法のすべてがわかる!おすすめの方法3選!
一度できるとどうしても消すことの難しいのが、妊娠線。しかし、妊婦さんの5割は妊娠線ができると言われており、多くのお母さんの悩み。そこで、この記事では、どうしたら妊娠線ができないのか、そしてできてしまった妊娠線を消せるのかをご紹介します。
むくみにおすすめのストレッチ法
お腹が大きくなるにつれて、動くだけで「はあ、足重い。腰痛い」と疲れますよね。そんな妊娠中の運動は、効率よく筋肉をほぐし鍛えましょう。
これからご紹介するストレッチは、産後太りやホルモンバランスの改善にも効果的なので、ぜひ参考にしてみてください。
【腰痛にも効果的】内転筋ほぐし
妊娠中の姿勢の変化は、筋肉の低下をもたらすだけでなく、妊娠中の腰痛や恥骨痛などの症状を引き起こします。
これらの症状に影響するのが、太ももの内側の筋肉である「内転筋」です。
内転筋をほぐし温めると、骨盤内や足の血流がよくなり、痛みの軽減につながります。産後太りや、生理痛の改善・脚痩せ効果も期待できるので、内ももは大事にほぐしたいですね。
ここでは、簡単な方法をご紹介します。
- 両手をグーに握り、太ももの内側で挟む
- あぐらになった状態で、内ももを手で押してほぐす
- 横向きに寝て、パートナーに内ももを足で押してもらう
どれも内ももの「内転筋」にアプローチする方法ですが、普段使わない筋肉をほぐすので、多少痛みを感じる場合があります。
あくまでも“痛気持ちいい”程度のほぐしで十分です。
【たった30秒!】寝ながら筋肉のばし
掲載元:https://www.meiji.co.jp/baby/club/category/play/pregnancy_gym/pl_pregnancy_gym142.html
ふくらはぎと足首のストレッチで、効率よく筋肉を動かしてあげましょう。筋肉が伸びている感覚を実感できます。
- 仰向けに横になる
- 片足を90度に伸ばし、足首を曲げる・伸ばすを繰り返す
※伸ばす時は天井にまっすぐ突き出すようなイメージ
回数や動かす速さは、自分の心地よいペースで。
産科病院や市町村によっては、妊婦体操を実施するところもあるので、ご自身の体調に合わせて運動してみてください。
毎日のむくみ対策
股関節ほぐしやストレッチのほかにも、毎日の生活でのむくみ対策があります。具体的には、下記が挙げられます。
- 足を高くあげる
- 体を締めつけない衣服を着る
- 弾性ストッキングの着用
- 温かいお湯に入る
- 適度な水分摂取と休息
肌の保湿後すぐに弾性ストッキングを着用すると、弾性ストッキングの繊維が弱まってしまい、必要な圧が得られない場合があります。少し時間をおいてからの着用がおすすめです。
水分摂取は、1日何リットルという明確な推奨摂取量はありませんが、妊婦は代謝があがるので、こまめな水分摂取を意識しましょう。
妊娠後期になると手がむくみ、中には指輪が外れなくなるおそれも。
緊急時の帝王切開では指輪を外す必要があるので、もしもに備えて指輪は外しておきましょう。
毎日のケアで体をいたわって
妊婦がむくみやすい理由とその対策についてご紹介しました。老廃物を流しやすくするために、股関節や足首、足の筋肉を十分にほぐし、血流をよくする運動やケアをおこないましょう。
むくみに悩む妊婦にとって、毎日の家事をこなすのは、とても大変なこと。
胎児の成長や妊婦自身の健康状態を左右する「妊娠中の食事」は、特に大事にしたいですよね。
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