更新日:2024/4/30
ブライダルチェックは受けるべき!男性も気になる必要性や内容を紹介| 助産師監修
雑誌やメディアにも取り上げられ、話題となっている「ブライダルチェック」。
最近は、女性だけでなく男性も、ブライダルチェックを受けることを考える人が増えています。
その一方で、ブライダルチェックが気になるも詳しいことがわからずに、行動まで移せていない人も多いようです。
そこでmitas seriesでは、ブライダルチェックが気になる方に向けて、詳しく調べてみました!
「将来子どもが欲しい」と考える全ての人に伝えたい「ブライダルチェック」と、その必要性や検査について詳しくご紹介します。
ブライダルチェックのよくあるQ&Aと、検査と一緒に身体のために今すぐできることについても紹介していますので、こちらも参考にしてもらえたら嬉しいです。
この記事に登場する専門家
助産師 四辻有希子
大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター
ブライダルチェックとは?
ブライダルチェックとは、結婚や妊娠を控えている人を対象とした婦人検査を含んだ健康診断のことです。
不妊の原因を調べる不妊検査とは目的は少し異なります。
「ブライダル」という言葉から、結婚を備えた人のための検査と想像する人も多いかもしれません。
しかし実際には結婚に限らず、これから妊娠や出産を検討している人が受ける健診です。
では、なぜ結婚や妊娠に関わる男女にブライダルチェックが注目されているのでしょうか。
妊娠や出産に関わるブライダルチェックの必要性について説明していきます。
ブライダルチェックの必要性|健康な妊娠への近道
ブライダルチェックを受けることで、妊娠や出産できる身体の健康状態を知ることができ、安心して妊娠・出産を迎えることができます。
さいきん浸透しつつある取り組みで「プレコンセプションケア(Preconception care)」という言葉を、聞いたことがある人もいるのでないでしょうか。
将来の妊娠やからだの変化に備えて、自分の健康に向き合うことをいいますが、厚生労働省でもこの取り組みが推進されています。
すでにヨーロッパやアメリカでは、多くの人がかかりつけの婦人科を持っており、定期的な婦人検診で身体の健康を管理することは当たり前なのだそうです。
健康でありながら質のよい生活を送ることで、妊娠・出産につながり、子どもの健康にもつながります。
ここからは、どんな人にブライダルチェックがおすすめなのか、解説していきましょう。
ブライダルチェックがおすすめの人
- 将来、子どもが欲しいと思っているカップル
- 結婚を控えている人やパートナーが変わった人
- 性感染症をチェックしたい人
- 自分の身体のチェックをしたい人
妊娠・出産に悪影響を及ぼす恐れのある病気にかかってないかをチェックするブライダルチェックは、将来的に子どもを考える人や、新生活を迎えるなどの節目のタイミングにおすすめです。
また結婚や家族計画に限らず、自身の性感染症や健康状態を確認する目的としてブライダルチェックを受けるのもよいでしょう。
もし問題が見つかったとしても、早期に治療を受けられたり対策ができたりすることで重症化リスクを下げることができます。
病気や感染症によっては妊活期・妊娠期・産後に問題が発生する恐れがあるものもあります。
妊活や妊娠・産後に影響を与える可能性がある病気の例をご紹介します。
■妊活・妊娠・産後に影響を与える可能性のある病気
病名 | 発生しうる問題 |
---|---|
風疹 | 風疹の抗体を持たない人が妊娠初期に感染すると、白内障や難聴などを引き起こす先天性風疹症候群にかかるリスク上昇 |
子宮頸がん | 妊娠中に発覚した場合、がんの治療が優先されるので妊娠をあきらめざるを得ないケースも |
梅毒 | 流産・早産・死産のリスク上昇 |
HIV(エイズ) | 妊娠時・出産時そして授乳中に、赤ちゃんにも感染してしまう恐れ |
クラミジア感染症 | 不妊・早産・死産や子宮外妊娠のリスク上昇 |
淋病 | 不妊症リスク上昇 |
B型肝炎 | 子どもの肝臓の働きが低下 |
C型肝炎 | 子どもの肝炎・肝硬変・肝がんリスク上昇 |
上記の病気は、妊娠や出産に関わる問題だけでなく、悪化すると身体そのものにも影響し、症状を引き起こす場合があります。
男性にもブライダルチェックはおすすめ!
ブライダルチェックは男性にも受けてもらいたい検査です。
女性だけでなく男性も妊娠可能性を下げたり、子どもに悪影響を与える可能性がないかをチェックするとよいでしょう。
ブライダルチェックといえば女性が受けるイメージが多いかもしれませんが、近年では男性も受けるケースが増えています。
カップルで不妊治療をするとなった場合に、男性もブライダルチェックを受けることで不妊治療の効率はグッとあがると言われます。
女性に原因があるとされがちな不妊症ですが、実は一般男性の約20人に一人は男性不妊症といわれるのをご存じでしょうか。
その原因は、機能的な問題だけでなく喫煙、アルコール、ストレスなどさまざまです。
約50%は男性も不妊に関与しているため、子どもを意識しはじめたら双方で妊活をしていく必要があります。
最近では男性とペアで受診ができるクリニックや、男性向けのブライダルチェックを行うクリニックもあるようです。
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検査の流れや内容について
上の図は、あるクリニックの検査の流れや内容です。
クリニックやオプションの有無などにより、ブライダルチェックの手順や内容は異なります。
基本検査そのものの時間は、おおよそ1時間程度、結果が出るまでに約2週間ほど要するクリニックが多いようです。
検査自体は一般的に次の表のとおりに分類されます。血液検査検査・性感染症検査以外はおもにオプション扱いです。
■ブライダルチェックの検査内容の例
検査名 | チェック項目 |
---|---|
血液検査 | 風疹、B型・C型肝炎、甲状腺、貧血、AMH |
性感染症検査 | 梅毒、HIV(エイズ)、クラミジア、淋病、トリコモナス、カンジダ |
エコー(超音波)検査 | 子宮筋腫、子宮内膜症、POCS(多嚢胞性卵巣症候群)といった子宮の病気 |
子宮頸がん検査 | 子宮頸がんにかかってないかの検査 |
精液検査 | 精液の量や数、運動状態などの検査 |
ブライダルチェックといっても、厳密に「この検査」と指定されているわけではありません。
受けられる内容はクリニックによって異なるため、検査の流れや内容の詳細は問い合わせるとよいでしょう。
ブライダルチェックのよくある質問
ブライダルチェックの費用は?保険適用はされる?
先述のとおり、ブライダルチェックは国が指定している検査ではありません。そのため、検査内容も金額もクリニックによって異なります。
相場としては基本費用自体が1〜3万円程度で受けられるところが多く、子宮頸がんやエコー検査についてはオプションになっており追加で費用が掛かるケースが多いようです。
2023年4月に不妊治療が保険適用開始されましたが、ブライダルチェックは国指定の検査ではないため、保険適用外になっています。
自治体によっては、助成金制度を活用できる場合がありますので、ホームページなどで確認をしてみるとよいでしょう。
検査はどこで受けられる?
ブライダルチェックは、婦人科や泌尿器科、不妊治療外来などで受けられます。
女性のみ、男性のみなど限定して受け入れているクリニックや、男女ペアで受け入れているところもあります。
クリニックによっては、ペア割引など行っているところもあるようです。
ペアでブライダルチェックを受けると、お互いに同じ内容の検査を受ける事ができ、問題があったとしてもスムーズに治療に結び付けられるのもメリットです。
男性のブライダルチェックを行っていない場合は、男性専門クリニックなどで受診しましょう。
ブライダルチェックを受けるタイミングは?
ブライダルチェックは、結婚前や後など関係なくどのタイミングでも受けられます。
しいていえば、挙式などの直前などは控えるのが良いかもれしれません。
万が一ですが、思わぬ結果になった場合、気が滅入ってしまっていては良い式をあげられなくなってしまいます。
結婚を控えているのであれば、式の日取りなどもまだ決まっていない妊娠を意識したタイミングで、年に一度ほど受けるのがおすすめです。
検査にひっかかってしまった!どうしたらよい?
まず受診したクリニックの医師に相談しましょう。
ブライダルチェックの結果で、妊娠や出産に影響を及ぼす異常が見つかった場合でも、早期に治療を開始することが大切です。
不妊や子宮外妊娠、流産のリスクを抑えることが期待できます。
異常があれば治療や経過観察を、また異常がなくても、身体の悩みや月経の悩みを相談するかかりつけ医としてクリニックを活用していきましょう。
ブライダルチェックと一緒にしたい3つのこと
ブライダルチェックを通じて、自身の妊娠のしやすさや、赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れがあるものに罹患していないかを確認することはとても大切です。
しかし病気以外にも、生活習慣であったり、普段摂取している栄養素によって妊娠のしやすさが変わったり、赤ちゃんに影響を及ぼすケースがあります。
妊娠や出産というライフプランに備えてブライダルチェックとあわせて行いたいことを、3つご紹介していきます。
気軽に今すぐ取り組めることばかりですので、ぜひ取り組んでみてください。
1.生活習慣の見直し
妊娠に向けて悪影響を及ぼすかもしれないことは避けていきましょう。
気をつけたいことは、以下です。
避けたいこと | 妊娠・子どもへの悪影響 |
---|---|
タバコ | 不妊リスクが高まり、流産率が上がり、胎児にも悪影響を及ぼす。絶対にやめましょう。 |
睡眠の過不足 | 女性も男性も、不妊リスクが高まるとされる。 |
太りすぎ、痩せすぎ | 男女ともに不妊リスクが高まり、女性は月経不規則や排卵の問題が起こる可能性がある。 |
サウナ(男性) | 睾丸・精子は熱に弱いため、からだが温まると精子がつくられにくくなる。 |
サウナ以外は、一般的にからだに悪いといわれていることと同じです。「妊活のため」と気張りすぎず、健康に向けた生活改善と考えるとよいでしょう。
生活習慣の見直しについて考えている人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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2.きちんとした食生活
2つ目は、正しい食生活を意識することです。
食生活は非常に大切で、摂取した栄養は原料となり、ご自身と赤ちゃんのからだを作ります。
栄養不足によってご自身の体調も赤ちゃんの成長にもよくない結果をもたらす可能性があります。しっかりと栄養管理をしていきましょう。
具体的に摂取すべき栄養素は、次のとおりです。
栄養素 | 役割 |
---|---|
葉酸 | 赤ちゃんの先天性異常「神経管閉鎖障害」のリスク低減。厚生労働省からも摂取を推奨されている。 |
鉄分 | 妊娠後に必要なだけでなく、子宮内膜の生成にも影響するため妊活期にも必要。 |
ビタミンD | 妊娠率・生産率(生きて赤ちゃんを産める確率)が上がることで知られているため、妊活期~妊娠期必須の栄養素。 |
亜鉛 | セックスミネラルとも呼ばれる成分で、男女両ホルモンバランスを整える。 |
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3.葉酸サプリの摂取
先ほど葉酸が重要だとお伝えしましたが、葉酸はサプリからの摂取が推奨されています。
というのも、葉酸は水溶性のビタミンで文字どおり葉物の野菜に多く含まれますが、水溶性で熱に弱い成分であるからです。
調理してしまうと食べ物から抜け出てしまい吸収率が下がってしまうことから、サプリで摂取するのがよいとされており、厚生労働省でもサプリで葉酸をとることを推奨しています。
最近では、男性にも葉酸が良い影響を与えるということもよく知られるようになりました。
葉酸を摂取することで、精子の奇形や染色体異常が20~30%低くなったといわれています。引用文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31910279/
女性のみならず、男性にとっても重要な役割をもつ葉酸は、サプリで積極的にとるとよいでしょう。手軽にすぐ始められるのも葉酸サプリの良いところです。
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