更新日:2024/10/23
流産しやすい食べ物はある?妊娠中に避けたい食品と注意点、摂りたい栄養素まで詳しく解説
妊娠中はうれしさや期待でいっぱいの時期である一方、日常生活で注意すべきことも多く出てきます。特に、食べ物と流産との関係性が気になっているという方も多いでしょう。
流産は一定の割合で起こる可能性があるとされているため、食べ物にもより慎重になりますが、食べ物が原因で流産が起こることはあるのでしょうか。
この記事では、妊娠中の食事と流産の関連性や注意したい食べ物・飲み物に加え、妊娠中に積極的に摂りたい栄養素についても紹介します。
妊活中の方、そして現在妊娠中の方もぜひ参考にしてください。
この記事に登場する専門家
助産師 四辻有希子
大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター
流産しやすい食べ物ってある?
妊婦さんの8〜15%に起こるといわれる流産※1。なかでも妊娠初期に起こる「早期流産」が最も多くの割合を占めます。
主な原因は受精卵の異常であるとされており、ママに原因があるわけではないのです。また、食べ物が流産の直接的な原因になることもほとんどありません。
とはいえ妊娠中に避けたい食べ物や、過剰摂取に注意したい食べ物がいくつかあるので、このあと詳しく紹介しますね。
妊娠中は食べたほうがよいもの、食べないほうがよいものを気にすることに加え、食事の栄養バランスも重要。栄養バランスの偏りは、母体の健康状態と赤ちゃんの成長に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
妊娠中に意識して摂取したい栄養素についてもこのあと解説しますが、先に知りたい方はこちらからどうぞ。
妊娠中に避けたい食べ物・飲み物
妊娠中に飲食を避けたいものには、アルコールや生ものなどがあります。
「少量なら……。」と思うかもしれませんが、妊娠中の摂取がお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるものは、極力避けておくのがよいでしょう。一つずつ詳しく見ていきましょう。
アルコール飲料
妊娠中にアルコールを摂取すると、赤ちゃんが先天的な異常を持って生まれる可能性が高まることが知られています。
アルコールの摂取による赤ちゃんの障害は、時期や量に関わらず起こり得ることで「どの時期なら大丈夫」「このくらいの飲酒ならOK」ということも明らかにされていません。
「少量だから大丈夫」「安定期に入ったから大丈夫」とはいえないため、どんな状況でも妊娠中の飲酒は避けるべきであるといえます。
生もの
生ものは、衛生面で配慮が必要な食べ物。鮮度の悪いもの、傷んだものを食べてしまうと食中毒を起こす恐れがあります。
食中毒とは、原因となる細菌やウイルス、有害物質などがついた食べ物を食べることで腹痛や下痢などの健康被害を生じることです。
一部の菌やウイルスはお腹の赤ちゃんに感染することがあるほか、食中毒による激しい下痢や嘔吐(おうと)が子宮収縮を引き起こし、流産や切迫早産につながる可能性もあります。
生ものには以下のような食べ物があります。
生肉や加熱が不十分な肉
生肉や加熱不十分な肉を食べると、トキソプラズマ感染症やカンピロバクター感染症、腸管出血性大腸菌O157などによる感染症のリスクが高まります。
特に妊娠中にトキソプラズマに感染すると、胎盤を通してお腹の赤ちゃんに感染して死産や流産を引き起こすことも。また、カンピロバクターに感染すると、生まれた赤ちゃんが「新生児髄膜炎」を発症することがあります。
食中毒予防を意識することは妊娠中に限ったことではありませんが、お腹の赤ちゃんのためにはより慎重になるべきであるといえますね。
刺身
刺身は、腸炎ビブリオ菌やノロウイルスによる食中毒を引き起こす恐れがあります。どちらも激しい下痢や嘔吐を伴うため、子宮収縮により胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。
また強い胃痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れるアニサキスにも注意が必要です。妊娠中は、生魚を刺身で食べることは避け、十分加熱してから食べるようにしましょう。
生卵
生卵や加熱が不十分な卵料理で起こる可能性が高いのが、サルモネラ菌による食中毒です。サルモネラ菌は、鶏卵や食肉についていることが多い食中毒菌。
感染すると、他の食中毒と同様に激しい嘔吐や下痢の症状が現れます。
普段から生卵をよく食べる方も妊娠中の摂取は避け、よく加熱した卵料理に切り替えましょう。
生ハム・スモークサーモン・ナチュラルチーズ
日本ではあまり見られませんが、欧米では生ハムやスモークサーモンなどによる「リステリア菌」の集団食中毒が発生しています。
リステリア菌は、他の食中毒菌と同じように加熱によって死滅しますが、低温や高い食塩濃度でも増殖可能であることが特徴です。
妊娠中に感染すると胎盤を通して胎児に感染し、流産を引き起こしたり生まれた赤ちゃんが敗血症や髄膜炎を発症したりすることがあります。
このほかにも、妊娠中に食べてはいけないものについて詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてくださいね。
妊娠中食べていけないものはある?【助産師解説】
妊婦さんが食べたものは、お腹の中の赤ちゃんの栄養となります。そのため、妊娠前は食べていたものでも、妊娠中は食べてはいけないものや食べる量に注意する食材などがたくさんあります。 どのようなものに注意するのか、食べる時に注意するポイント、少量ならOKの食べものをご紹介します。
妊娠中の過剰摂取に注意したい食べ物・飲み物
避けるべきとまではいきませんが、妊娠中の摂り過ぎには注意が必要な食べ物や飲み物もあります。ここで紹介する食品を摂取する場合は、過剰摂取には注意してくださいね。
カフェインを含む飲料
妊娠中にカフェインを摂りすぎると、赤ちゃんが低体重で生まれたり健康リスクが高まったりする可能性があります。
カフェインを多く含む飲み物として知られているのはコーヒー。その他、紅茶や緑茶、エナジードリンクなどにも含まれています。
日本ではカフェインによる影響は個人差が大きいとして摂取推奨量を定めていませんが、WHO(世界保健機関)や各国の注意喚起を参考にすると、1日200〜300mgまでにしておくとよさそうです※2。
なお、コーヒーは100mLあたり60mg、緑茶(せん茶)は20mg、紅茶は30mgのカフェインを含みます※3。この量を参考に、カフェインの摂り過ぎには注意しましょう。
妊娠中のカフェインの摂取については、以下の記事でも詳しく解説しています。
妊婦にカフェインはなぜダメなの?妊娠中の摂取量の目安や胎児への影響を詳しく解説
妊婦になったらコーヒーは飲んではいけないのでしょうか?カフェインの過剰摂取は、母体と胎児に影響を与えると懸念されていますが1日2杯までであれば、カフェインの過剰摂取にはなりません。今回は、妊娠中に摂っても良いとされるカフェイン量や、カフェイン以外に気を付けたいことについても紹介します。
マグロやカジキなど大型の魚
マグロやメカジキ、キンメダイ、クジラ、イルカなどの大型の魚に多く含まれているとされる物質が「メチル水銀」。
メチル水銀は胎盤を通して胎児に移行しやすく、赤ちゃんの神経障害や発達障害を引き起こす可能性があるため、妊娠中は食べ過ぎに注意しましょう。
大きさを問わず魚介類にはメチル水銀が含まれていますが、食物連鎖の上位にいるマグロやメカジキなどの大きな魚には、比較的多く蓄積されていることが明らかになっています。
とはいえ、妊娠中に大切な栄養バランスのよい食事には魚が欠かせません。いろいろな魚介類を食事に取り入れる中で、まぐろやメカジキなどに偏らないように食べることが大切です。
妊娠中にこれらの魚を食べる場合は、以下の表を参考にしてみましょう※4。
魚介類の名前 | 食べる量の目安 |
---|---|
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、 ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ | 1回80gとして、週に2回まで (1週間当たり160g程度) |
キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、 メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ | 1回80gとして、週に1回まで (1週間当たり80g程度) |
コビレゴンドウ | 1回80gとして、2週間に1回まで (1週間当たり40g程度) |
バンドウイルカ | 1回80gとして、2ヶ月に1回まで(1週間当たり10g程度) |
加工食品
インスタント食品や加工食品には、保存料や着色料として食品添加物が多く使われています。
食品添加物は人体に害がないことを確認し、かつ使用基準を設けたうえで使用されていますが、お腹の赤ちゃんのためにはなるべく避けたほうが安心でしょう。
また、糖質や脂質、塩分が多く含まれているものもあるため、摂りすぎるとママの体重管理や健康維持に支障をきたす可能性もあります。
購入する際は、添加物表示や栄養成分表示を見るようにしましょう。
レバー
レバーの食べ過ぎは、動物性食品に含まれるビタミンAの一種「レチノール」の過剰摂取につながります。レチノールを摂りすぎると胎児に奇形が生じることが報告されているため、妊娠中はレバーの摂取量に注意が必要です。
鶏や豚、牛のレバーはもちろん、あんこうの肝(きも)やうなぎの肝の食べ過ぎにも注意してくださいね。
妊娠中の食べ物に関するその他の注意点
妊娠中は、通常生で食べる野菜や果物にも、いつも以上の配慮が必要です。
野菜や果物を生で食べること自体に問題はありませんが、土壌由来の食中毒菌やウイルスが付着している可能性があります。そのため、流水で十分洗ってから食べることを忘れないようにしましょう。
加熱調理する際も、しっかり洗うことは重要です。食中毒菌の中には「芽胞(がほう)」を作り、加熱しても死滅しない菌が存在します。
このような菌による食中毒を予防するためには「食材を十分に洗う」こと以外にも「調理後すぐに食べる」「冷蔵で保存する」ことを心がけましょう。
妊娠中に意識して摂取したい栄養素と含まれる食材
お腹の赤ちゃんの成長はもちろん、母体の健康維持のためには、栄養バランスのよい食事が欠かせません。体に必要な栄養素はたくさんありますが、特に妊娠中に十分摂取したいものをご紹介します。
たんぱく質
たんぱく質は、エネルギー源となるほか筋肉やホルモン、酵素、抗体の材料となる栄養素。お腹の赤ちゃんの細胞や組織の形成に不可欠であるほか、母体の免疫機能の維持にも必要です。
たんぱく質は植物性、動物性問わずさまざまな食品に含まれていますが、体内で効率よく利用するためには質の良いたんぱく質を摂取することが重要。
良質なたんぱく質は肉類や魚介類、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれています。
食物繊維
妊娠中は、ホルモンの影響などもあり便秘がちになる方が多くいます。便通を整えて便秘の改善に役立つ栄養素といえば、食物繊維です。
食物繊維とは、人間の消化酵素で消化することのできない成分のこと。整腸作用のほか脂質や糖、食塩の主成分であるナトリウムを吸着し体外に排出する作用があることから、健康維持のためには積極的な摂取が推奨される成分です。
野菜類やきのこ類、海藻類、豆類などに多く含まれています。
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムとともに骨の健康維持に関わる栄養素です。
妊娠中にビタミンDが不足すると、お腹の赤ちゃんもビタミンD欠乏となり、低体重で生まれたり骨密度が低かったり、感染症にかかりやすくなったりすることが報告されています。
ビタミンDは魚介類や卵、きのこ類などから摂取できますが、日光に当たることで体内でも合成できます。紫外線を浴びることによるデメリットもありますが、ビタミンD不足にならないようにするためには、適度に日光に当たることを意識しましょう。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を形成するミネラル。ママはもちろん、お腹の赤ちゃんの成長にも重要な役割を果たしています。
妊娠中は体内へのカルシウムの吸収が著しく増加するため、積極的に摂取しましょう。
カルシウムは野菜類や海藻類、大豆製品、乳製品、骨ごと食べられる小魚などに多く含まれています。なかでも、吸収率の高い乳製品からの摂取がおすすめです。
鉄
赤血球中のヘモグロビンに多く存在するミネラルの一種。ヘモグロビンは全身に酸素を届ける働きがあるため、鉄が不足してヘモグロビンの数が減ってしまうと「鉄欠乏性貧血」を引き起こします。
妊娠中は、赤ちゃんの成長や胎盤・臍帯(さいたい)に貯蔵される鉄や血液循環量の増加により、多くの鉄が必要です。
鉄は赤身肉やレバー、魚介類、大豆製品、青菜などに多く含まれます。レバーは食べ過ぎに注意が必要なので、それ以外の食品から積極的に摂取しましょう。
妊娠中に鉄の摂取が重要な理由ついては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
妊娠中は鉄分不足に注意!葉酸以外の重要な栄養素「鉄分」
妊娠中に重要な栄養素「鉄分」についてご紹介しています。効率的な摂取方法や妊娠中の鉄欠乏性貧血のリスク、対策方法も解説していますので、ぜひ読んでみて下さい。
葉酸
葉酸はビタミンB群の一種。赤血球の生成やたんぱく質の合成、細胞の成長と分裂などに関与しているため、妊娠前から妊娠初期にかけての十分な摂取が推奨されています。
特に妊娠初期は、胎児の細胞増殖が盛んな時期。この時期に葉酸が不足すると、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」の発症リスクが高まることが明らかとなっています。
神経管閉鎖障害とは、神経管と呼ばれる脳やせき髄のもととなる部分がうまく閉じないことによる先天性障害です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊娠を希望する方や妊娠初期の方が、通常の食事からの葉酸摂取に加え、サプリメントなどから1日400μgの葉酸を摂取することによって、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できるとしています※5。
葉酸はブロッコリーやアスパラガス、ほうれん草、いちごなどに多く含まれていますが、効率的かつ確実に摂取するなら、サプリメントから取り入れるのがおすすめです。
妊娠中に必要な栄養素がオールインワンで摂れるmamaru
流産の原因で最も多いのは、食べ物ではなく赤ちゃんの染色体等の異常によるもの。つまり、流産は先天的な異常により起こることが多いとされています。
先天性異常のうち、染色体の異常は残念ながらママの力ではどうすることもできませんが、唯一予防できるのが神経管閉鎖障害。赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、葉酸サプリを取り入れましょう。
葉酸サプリの中でもおすすめなのが、妊婦さん向けに作られた『mamaru(ママル)』です。
厚生労働省が推奨している1日400μgの葉酸をはじめ、ここまで紹介してきた食物繊維やビタミンD、カルシウム、鉄など妊娠中に十分摂取しておきたい栄養素がオールインワンで摂取できます。
さらに、つわりがひどく食べることが大変な妊娠初期からでも飲みやすいよう、小粒で匂いも徹底的におさえている点もポイント。
妊娠初期から後期まで、長いマタニティライフを栄養面からしっかりとサポートします。
妊娠中は妊婦さん向けのサプリメントを活用して、ご自身と赤ちゃんに必要な栄養素の補給を心がけましょう。
適切な栄養の摂取と安全な食事でお腹の赤ちゃんを守ろう
食べ物が原因で流産を引き起こすことはほとんどありません。しかし、必要な栄養素が十分摂取できていないと、お腹の赤ちゃんの健康を損ねてしまう可能性もあります。
ママの食べるものはお腹の赤ちゃんの成長に深く関わっているため、栄養バランスの整った安全な食事を意識しましょう。
飲食を避けたほうがよいもの、摂りすぎに注意すべき成分に注意することで、お腹にいるときだけではなく生まれてからの健康にもよい影響を与えます。
妊娠中の栄養バランスが気になったら、サプリメントの活用もおすすめ。特に赤ちゃんの先天性障害のリスク低減に欠かせない葉酸は、サプリメントからの摂取が推奨されています。
妊婦さんが摂取すべき栄養素をオールインワンで摂取可能なmamaruなら、お腹の赤ちゃんの健康サポートに役立ってくれるはず。
妊娠中の新習慣として、ぜひmamaruで手軽に栄養を補ってくださいね。
参考文献:
※1 国立研究開発法人国立成育医療研究センター 流産について
※3 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年
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