更新日:2024/4/30
妊娠中食べていけないものはある?【助産師解説】
妊婦さんが食べたものは、お腹の中の赤ちゃんの栄養となります。
そのため、妊娠前は食べていたものでも、妊娠中は食べてはいけないものや食べる量に注意する食材などがたくさんあります。
どのようなものに注意するのか、食べる時に注意するポイント、少量ならOKの食べものをご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
この記事に登場する専門家
助産師 四辻有希子
大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター
妊娠中食べてはいけない食事がある
妊娠中は次の2つの理由から、食べてはいけない食事があります。
- 妊娠中は免疫力が下がるから
- 食べたものが赤ちゃんへ影響するから
具体的に解説します。
理由1:妊娠中は免疫力が下がるから
妊娠中は免疫力が下がり、妊娠前と体の状態が異なります。
そのため、感染症など病気にかかりやすい状態です。
例えば生ものやしっかり加熱されていない食材などは下痢を引き起こす原因となります。
加熱していない食材を食べる時は、食中毒のリスクがあることを念頭におきましょう。
また、生肉には「トキソプラズマ」という害虫がいることもあります。
妊娠中にトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんに先天性の病気が出る可能性がありますので、十分に注意しましょう。
理由2:食べたものが赤ちゃんへ影響するから
妊婦さんが食べたものは赤ちゃんの栄養となり、よくもわるくも赤ちゃんに影響します。
赤ちゃんは妊娠初期から脳や神経など急激に発達していきます。
その発達に欠かせないのが栄養ですので、食べものや飲み物には注意が必要です。
妊娠前は気にせずに食べていたもの、飲み物でも、妊娠中では気をつけなければならないものがあるため、口に入れる前に確認しましょう。
妊娠中に食べてはいけない食事一覧
妊娠中に食べてはいけない食事は多くあります。
厚生労働省HPを参考に一覧にしますので、参考にしてください。
生もの | 生ハム、生肉、加熱していないナチュラルチーズ、生卵、明太子、加熱していない貝類など |
---|---|
アルコール | ビール、ワイン、日本酒、カクテルなど |
【助産師監修】妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫?赤ちゃんへの影響と今から摂ったほうがいいのかも解説!
妊娠初期に葉酸を飲まなかったらどうなるの?この記事では「葉酸が必要なんて知らなかった」「妊娠に気がついたのが遅くて飲んでいない」という方に向けて、葉酸を摂らないと赤ちゃんにどのような影響があるのか、今からでも摂るべきかなどを解説します。葉酸の重要性や葉酸が多く含まれている食べ物もわかりますよ!
上記の記事では、妊娠初期の葉酸摂取の重要性を分かりやすく解説しています。
葉酸は、妊婦さんにとっていわば「必須」な栄養素です。ぜひチェックしてみましょう!
それではそれぞれなぜ食べてはいけないのかを解説します。
生もの
妊娠中は免疫力が下がっているため、加熱が十分にされていない食事は食中毒を発症するリスクが普段よりも高いです。
食中毒菌(リステリア)
食中毒菌(リステリア)は、ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンなど、加熱していない食品や食べる時に加熱しない食品により、食中毒を起こす細菌です。
妊娠中にリステリアに感染すると、早産や流産の原因になる可能性があるため、赤ちゃんへ影響することがあります。
リステリアは、低温でも増殖するため、冷蔵庫に入れていれば安心ということはありません。
普段は加熱せずに問題なく食べられている食品でも、妊娠中はなるべく加熱して食べるようにしましょう。
加熱不十分な肉(寄生虫:トキソプラズマ)
トキソプラズマは加熱不十分な肉や猫のフン、土に含まれていることがあり、口に入ることによって人へ感染します。
- 加熱不十分な肉(ローストビーフやレアの肉)
- ユッケや馬刺しなど
- 生野菜や果物を十分に洗えていない場合
このような場合、トキソプラズマという寄生虫がいる場合があります。
妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、流産や死産を引き起こしたり、赤ちゃんの頭の病気である水頭症など、先天性トキソプラズマ感染症になることがあります。
そのため、調理前には、しっかり手洗いをして、食材は十分に洗い、生肉を切ったまな板などの料理器具はしっかりと洗うようにしましょう。
また飼い猫と接触したあとは、手洗いをしっかりしてから調理してください。
飼い猫の糞尿処理やガーデニングは、手袋を着用するか、家族にお願いすると安心ですよ。
アルコール
アルコールは胎盤を通して、赤ちゃんへと移行します。
そんなアルコールは、流産や早産につながることが指摘されていて、他にも赤ちゃんの奇形につながる可能性が指摘されています。
妊娠がわかったら、すぐにアルコールはやめましょう。
少量など、量を調整すれば食べてもOKな食事一覧
食べる量に気をつければ、とってもいい食事もあります。
妊娠中は食事だけでなくさまざまな制限があるため、あれこれと制限してしまうとつらくなってしまいます。
食べすぎないように注意して食事してくださいね。
水銀を多く含む魚 | キダイ、マカジキ、ミナミマグロ、金目鯛、メバチ、本マグロ、メカジキなど |
---|---|
ビタミンAを多く含むもの | レバー、うなぎ、ホタルイカなど |
カフェイン | コーヒー、紅茶、烏龍茶、エナジードリンク、栄養ドリンク |
ヨウ素を含むもの | 昆布、わかめ、ひじきなど |
それぞれなぜ摂取量に注意が必要か解説します。
水銀を多く含む魚
魚は良質なタンパク質や血管障害の予防やアレルギー反応を抑制する作用があるDHA、EPAを多く含み、カルシウムも含まれ、重要な食材です。
妊娠中もバランスのいい食事には欠かせません。
しかし、魚の一部には、自然界に存在する水銀が食物連鎖によって、取り込まれているものがあります。
そのため、食物連鎖の上位にいる大きな魚を食べるときには、注意が必要とされています。
妊娠中にメチル水銀を多くとると、赤ちゃんの神経系の発達に悪影響が出る場合があるので、妊娠中の大型の魚を食べる場合には、注意が必要です。
1週間で金目鯛の煮付けであれば1切れ(約80g)、南マグロの刺身であれば2人前(約160g)が摂取の目安です。
厚生労働省HPに目安が書いていますので、参考にしてくださいね。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf
ビタミンAを多く含むもの
ビタミンAは体の成長に関与するため、重要なビタミンですが、妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、赤ちゃんの先天性奇形が増えると言われています。
ビタミンAの摂取量の上限は3,000μgRE/日とされていますが、普通の食事で過剰摂取になることはありません。
そのため、レバーなどのビタミンAを多く含む食品やサプリメントの大量摂取は避けましょう。
カフェイン
カフェインを過剰摂取すると、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、イライラ、吐き気、下痢、不眠などの健康被害をもたらすことがあります。
WHOでは、妊娠中のカフェイン摂取について、300mg/日(コーヒーをマグカップで3-4杯)としています。
しかし、カフェインをとりすぎると、赤ちゃんが低体重で生まれたり、将来の健康リスクが高くなることが指摘されました。
そのため、英国食品基準庁(FSA)では200mg/日(コーヒーをマグカップで2杯程度)にするよう求めています。
カフェインの摂取量による健康への影響は個人差が大きいため、日本でも国際的にも明確な基準はありませんが、1日マグカップ2〜3杯程度にとどめておくことをおすすめします。
ヨウ素を含むもの
ヨウ素は海藻類に多く含まれていますが、カロリーが低く、体にもいいため積極的に摂取しようと考えている方もいるでしょう。
しかし、ヨウ素を妊娠中に過剰に摂取すると、赤ちゃんの甲状腺機能が低下する可能性があります。
特に昆布に多く含まれているため、毎日たくさん食べる人は少し控え、毎日摂らないようにしましょう。
こちらの記事では、妊娠中に取るべき栄養素について、詳細かつわかりやすく解説しています。
食生活を整え、健やかな妊娠ライフを目指しましょう!
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妊娠時期別食事の注意点
妊娠中に気をつける食事内容についてわかったところで、ここからは、妊娠時期別の食事の注意点についてまとめました。
妊娠初期の注意点:生ものに注意!葉酸を取ろう
妊娠初期(〜妊娠15週)は特に食べものに気をつけましょう。
妊娠初期は赤ちゃんの脳や神経などの体が作られる大切な時期です。
この時期に栄養が不足していたり、過剰摂取したりしていると、赤ちゃんの成長に影響が出ることがあります。
生ものは食中毒やトキソプラズマ感染症などのリスクがあるため、十分に加熱して食べるようにしましょう。
特に葉酸が不足していると、赤ちゃんが「神経管閉鎖障害」になるリスクがあるため、妊娠がわかったらすぐに葉酸サプリメントをとるようにしましょう。
また、妊娠初期はつわりのある方も多いので、バランスを意識するよりも、食べられるものを食べるようにしましょう。
妊娠中期の注意点:食べすぎ、塩分のとりすぎに注意!
妊娠中期(妊娠16週〜27週)ごろになると、つわりが落ち着く方が多いです。
そのため、食欲が出てきて、食べすぎてしまう妊婦さんが多くいます。
塩分や糖質をとりすぎると、むくみや血圧があがりやすくなるなど、体への影響がありますので、注意しましょう。
また、外食や加工食品は塩分が多く含まれているため、減塩された調味料や加工食品を取り入れ、減塩を心がけましょう。
妊娠後期の注意点:カロリーのとりすぎに注意!
妊娠後期(妊娠28週〜)は大きくなったお腹で胃が圧迫されるため、食事をとりにくくなることがあります。
1回で食事をとろうと無理せず、小分けに食事するようにしましょう。
また、妊娠後期にかけて赤ちゃんが成長することもあり、体重がグッと増えることがあります。
妊娠中、ある程度の体重増加は必要ですが、急激な体重増加は血圧が上がったり、妊娠糖尿病につながったりします。
間食をとりすぎず、栄養バランスの偏った食事はやめましょう。
妊娠中期〜後期は特に、赤ちゃんや胎盤の発育のため、必要な血液量が増えて貧血になりやすくなります。
鉄分を多く含む食材や鉄の吸収を促すタンパク質、ビタミンCを意識してとるようにしましょう。
妊娠中の栄養コントロールは難しいためサプリで摂取してもOK
妊娠期間中を通して、主食・主菜・副菜を組み合わせて、栄養バランスのよい食事をとるよう意識しましょう。
外食や加工食品をとる時は、バランスを意識するだけでも変わりますが、妊娠中は味覚の変化やつわりなどにより、バランスのとれた食事が難しいこともあります。
また、仕事をしている妊婦さんは、バランスのとれた食事を毎回用意することは大変ですよね。
妊娠中の葉酸サプリならmamaruが◎
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また、妊娠中は便秘や下痢などお腹のマイナートラブルもつきものです。「mamaru(ママル)」は、乳酸菌、食物繊維、ラクトフェリン配合で、腸内環境のサポートもしてくれます。
食事だけでなく、サプリメントも併用しながら、栄養摂取を心がけましょう。
- 1参考文献 厚生労働省 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf
- 2厚生労働省HP ヨウ素 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4al.pdf
- 3 厚生労働省HP トキソプラズマ https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name24.html
- 4厚生労働省HP 妊娠初期https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02d.pdf 厚生労働省HP 食品に含まれるカフェインの過剰摂取について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
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