
更新日:2025/3/7
【母乳外来に行くべきか迷っているママへ】行くタイミングと相談できる内容を助産師が詳しく解説

産院を退院後、赤ちゃんとの生活が始まるとさまざまな不安や疑問が出てきます。中でも上位を占めるお母さんの悩みは「授乳に関すること」です。(※1)
そのようなときには「母乳外来に行く」というのが選択肢のうちのひとつです。しかし、自分の状態で行くべきなのか、行ってもいいのかどうかを迷うこともあるでしょう。
この記事では、母乳外来に行くタイミングや相談できること、母乳外来に行くときの準備、そして母乳育児のためのセルフケアなどについて、助産師が丁寧に紹介していきます。
母乳外来はどんなときに行けばいいのか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
この記事に登場する専門家
【葉酸サプリmamaco監修・産婦人科医】薬膳漢方検定所有 加藤智子先生
産婦人科医専門医、健康スポーツ医、抗加齢専門医、更年期カウンセラー
"産後も栄養補給できていますか?”
栄養補給は産後も重要。しっかり栄養を接種しないと母乳が栄養不足になり赤ちゃんに影響を与える恐れも。食事から十分な栄養を摂るのはなかなか難しいので、サプリメントの併用をおすすめしています。
"産後のママのケアは後回しにしがちですよね”産後は、これまで経験のない身体の使い方が増えます。
しかし、なかなか自分の体調ケアまで手が回らないママも多いよう。mamacoの和漢成分は全身に向けられた効果があり、体調維持が期待できます。
母乳外来ってなに?
そもそも「母乳外来」ってなに?誰が何をみてくれるところなの?と疑問をお持ちの方もいると思います。
母乳外来とは、退院後のお母さんの母乳育児に関する問題や悩みに対して、助産師が指導やケアなどを行うところです。
母乳外来と名前がついていますが、そのあり方は様々です。産院の中で担当の助産師がいたり、開業助産師が助産院や訪問でケアを行っていたりする場合もあります。
母乳外来でできること
母乳外来は、母乳育児に関することであれば何でも相談することができます。例をあげると以下のような相談内容が多くあります。
- 授乳が思うようにできない
- 赤ちゃんの体重増加が気になる
- 母乳に関する不安や心配がある
- おっぱいのトラブルがある(痛み、傷)
- 乳腺炎の症状がある
- おっぱいの分泌を増やしたい
- おっぱいをやめることを考えている
マンツーマンでゆっくりと話をしたり、指導やケアを受けたりすることができるため、帰宅するときには心身共に楽になっている方も多いですよ。
一方で、重症化した乳腺炎に関しては、薬を使用したり、処置が必要になることもあります。そのような場合は、産婦人科や乳腺外科などの医療機関での対応が必要になります。そのため、母乳外来に行く際には、あらかじめ状態や悩みを相談しておくのが良いでしょう。
母乳外来の費用
母乳外来の費用は施設により異なりますが、相場としては、3000〜5000円くらいのことが多いでしょう。
基本的には保険適用外ですが、乳腺炎の程度などにより医師の診察や治療、薬剤の使用が必要な場合は保険適用となることもあります。
母乳外来はどこにあるの?
母乳外来で相談したいことがあるときには、まず出産した産院へ連絡するのがおすすめです。出産した産院には、出産や入院中の経過、そしておっぱいの状態や授乳状況などの記録があるため、状況を把握してもらいやすいというメリットがあります。
出産した産院に母乳外来がない場合や、行くのが難しい場合は、状況に合わせて母乳外来専門の開業助産師を訪ねるのも良いでしょう。
どこに行けば良いか迷ったときには、かかりつけ医に紹介してもらったり、日本助産師会のHPで調べたりすることもできますよ。
母乳外来に行くべき4つのタイミング
母乳外来では、母乳育児に関する色々なことを相談できますが、特にこんなときに行くのがおすすめ!というタイミングを4つ紹介します。
- 1赤ちゃんが上手に飲めているか不安なとき
- 2これって乳腺炎?と思ったとき
- 3母乳育児をがんばりたいとき
- 4おっぱいを辞めたいと思っているとき
このようなときに自己流の方法でケアや対処をしてしまうと、状態が悪化する場合も。母乳育児を楽しむためにも、ぜひ母乳外来に頼ってみてくださいね!
赤ちゃんが上手に飲めているか不安なとき
「赤ちゃんがおっぱいをくわえて吸っている」=「赤ちゃんが母乳を飲んでいる」というわけではありません。以下のようなサインがあるときには上手に飲めていない場合があります。
【おっぱいが飲めていないサイン】
- 授乳の間隔が短い・寝ない
- いつまでも吸っている
- 授乳中に痛みを感じる・傷ができている
- 排泄の回数が少ない
- 肌が乾燥している
- 赤ちゃんの体重が増えない
赤ちゃんのためにも、お母さんのココロの安定のためにも、母乳外来の助産師に相談して指導をしてもらうのが良いでしょう。
これって乳腺炎?と思ったとき
乳腺炎は、産後6週間以内に起こることが多いおっぱいのトラブルです。特におっぱいの分泌の良いお母さんに起こることが多い傾向があります。
乳腺炎には、おっぱいがたまって起こる「うっ滞(うったい)性乳腺炎」と、細菌の感染により起こる「化膿性乳腺炎」があります。
感染による乳腺炎の場合は、治療が必要なことが多いため、医療機関に併設された母乳外来の受診が良いでしょう。
【乳腺炎の症状】
- 熱が出ている(38.5度以上)
- おっぱいに熱感、痛みがある
- おっぱいが赤くなっている
- おっぱいが腫れている・しこりがある
- 頭痛や関節痛など風邪のような症状がある
「これって乳腺炎?」と思ったときのセルフケアについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね!▼
これって乳腺炎?自分でできる対処方法と予防方法について解説 | 助産師執筆
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母乳育児をがんばりたいとき
母乳育児や完全母乳育児をしたいと考えている場合も、母乳外来で相談するのが良いでしょう。
退院後の生活やサポート状況、現在の赤ちゃんの体重やおっぱいの状態をみて、相談しながら母乳の分泌を増やすための指導やケアを受けることができます。
母乳の分泌を増やすためには、長期的な関わりが必要になることもあります。そのため、気兼ねなく通えるところや、出張訪問で対応してくれる母乳外来もおすすめですよ。
「母乳の分泌を増やしたい」という方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね!▼
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おっぱいを辞めたいと思っているとき
母乳育児をやめる方法には「卒乳」と「断乳」があります。
卒乳は、赤ちゃんが主体となり授乳をやめることを言います。卒乳の場合は、徐々に赤ちゃんがおっぱいを吸う頻度が少なくなり、自然と母乳の分泌も減っていくことが多い傾向があります。そのため、トラブルになることが少なく特別なケアがいらないケースがほとんどです。
一方、断乳はお母さんが主体となり授乳をやめることを言います。多くの場合は、お母さんの病気や仕事復帰、妊活などが断乳の動機になっています。
断乳の場合は、母乳外来で断乳の進め方を相談し、ケアを受けることで、断乳後のおっぱいのトラブルを予防することができます。
母乳育児をやめるときのケア方法やタイミングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。▼
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母乳外来に行くときの持ち物
母乳外来に行くときに必要なものを紹介します。これらは赤ちゃんと一緒に外出する際にも必要な物なので、チェックリストにしておくと便利ですよ。
- 1母子手帳
- 2授乳表
- 3授乳グッズ
- 4赤ちゃんのお世話グッズ
母子手帳
母子手帳は、妊娠中だけでなく産後も持ち歩くようにしましょう。
母乳外来に行く時には、母子手帳に記載されている生まれたときや退院時、そしてその後の健診で測った体重、母乳の分泌状況などの情報が必要になることも。
これらの情報が母乳の分泌やミルクの補足量の目安になるため、忘れずに持って行きましょう。
授乳表
授乳表とは、赤ちゃんの授乳や排泄の状況を把握するための記録です。退院後も引き続き記録をしている場合は、一緒に持って行くようにしましょう。
授乳表に記録されている授乳の頻度やミルクの補足量、排泄の状況をチェックすることで、問題や不安の解消につながることもあります。
授乳グッズ
乳頭保護器や吸引器などを使っている場合は、持参するようにしましょう。また、ミルクを使用している場合は、哺乳瓶やミルクの準備もしておきましょう。
赤ちゃんのお世話グッズ
赤ちゃんも一緒に行く場合は、赤ちゃんの着替え、おむつ、お尻ふきなどの赤ちゃんのお世話グッズの準備もしておきましょう。
また、授乳の指導を受けたい場合は、授乳直後で満腹の状態は避けるようにしましょう。赤ちゃんがぐっすり眠っていると、母乳外来で授乳の練習をすることができません。
受診とともに始めたい母乳育児のためのセルフケア
母乳育児をがんばりたいと思っている場合、母乳外来の検討とともに、自分でできるケアもいろいろあります。
ここでは、母乳分泌アップのためにできるセルフケアについてご紹介します。母乳育児をがんばりたいお母さんはぜひ参考にしてみてくださいね!
心と体のリラックス
ストレスは、おっぱいの分泌に悪影響を及ぼしてしまいます。
母乳の原料は血液とホルモンです。そして、これらの巡りを良くするためには休息をしっかりととり、ストレスを減らすことが重要です。
人は、ストレスを感じているときには交感神経が活発になります。交感神経が優位になると、血管が収縮するため、循環が悪くなってしまいます。
また、おっぱいホルモンは副交感神経が優位な状態で分泌が活発になります。ストレスがかかっている状態が続くと副交感神経が乱れてしまうので、母乳分泌のためには心と体のリラックスが不可欠なのです。
十分に休息が得られないときや、頼れる人がいない場合は、産後ケア事業を利用するのもおすすめですよ。産後ケア事業については、こちらの記事も参考にしてみてくださいね!▼
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母乳に必要な栄養の補給
母乳の原料となる血液を作るのは毎日の食事です。
母乳は、お母さんが摂取したものによって作られています。つまり、栄養がしっかり摂れていると、栄養たっぷりのおっぱいを作ることができます。
授乳期は、赤ちゃんの成長も視野に入れ、栄養たっぷりの食事を摂ることを意識しましょう。
栄養たっぷりの食事のコツは「ま、ご、は(わ)、や、さ、し、い」をバランスよく摂ること。さまざまな色の食材を摂ることを意識するのがおすすめです。
- ま:まめ(豆類)
- ご:ごま(種子類)
- は:発酵食品
- わ:わかめ(海藻類)
- や:野菜類
- さ:魚(魚介類)
- し:椎茸(きのこ類)
- い:芋(芋類)
特に意識したい栄養素
授乳中は不足しやすい栄養素や、摂取が推奨されている栄養素があります。特に気をつけたいのはこちらの3つ。
- 葉酸:緑の野菜、海藻類、ホタテ、うになど
- 鉄分:赤身肉、赤身の魚、貝類など
- ビタミンD:かつお、あんこう、しらす、アジなど
葉酸は、妊娠前から付加して摂ることが推奨されている栄養素です。葉酸は血液の元となる赤血球やDNAの合成に関わる栄養素。授乳期のお母さんは、母乳の分泌により貧血になりやすい傾向があります。
また、新生児期の成長の著しい時期は、赤ちゃんの成長発達のためにも葉酸が必要です。授乳期は、普段の食事に加えて100μg付加して摂取することが推奨されています。
鉄分は、血液の元となる赤血球の中のヘモグロビンに含まれる成分で、母乳の生成に不可欠です。
また、ヘモグロビンは酸素を運ぶ働きを担っており、鉄分が不足する鉄欠乏性貧血という状態になると、全身が酸素不足の状態になってしまいます。
産後は、悪露(おろ)の排泄や授乳により貧血になりやすい状態です。また、産後の貧血は産後うつのリスクを高めることも知られています。
ビタミンDは、カルシウムと共に骨の形成のために必要な成分。紫外線を浴びることにより合成することができる唯一の栄養素です。
しかし、実は母乳に含まれるビタミンDが不足しがちなことが原因で、母乳栄養の赤ちゃんの75%は、ビタミンDが不足している状態であることが分かっています。(※2)
赤ちゃんに栄養いっぱいの母乳を飲んでもらうためには、特に摂取が必要なこれらの栄養素は意識したいところです。
しかし、産後のお母さんにとって、慣れない育児や家事をしながら食事内容までしっかりと気を付けるのはハードルが高いですよね。そのような時におすすめなのがサプリメントの活用です。
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おっぱいホルモンの分泌を促す
完全母乳を目指すなら、母乳だけでお腹いっぱいになるくらいの分泌量が必要です。そして、母乳分泌を増やすためには、赤ちゃんに頻回に吸ってもらうことが何より大切です。
おっぱいの原料となるおっぱいホルモンのオキシトシンとプロラクチンは、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激により分泌がアップします。また、おっぱいの出口も赤ちゃんに吸ってもらうことにより開通します。
おっぱいの分泌を増やす近道は、産後すぐから授乳を開始し、母子同室で過ごし赤ちゃんが欲しがる度に授乳することですよ。
完母を目指しているお母さんは、こちらの記事もぜひ参考にしてくださいね。
ミルクなしで完全母乳にできるのはいつから?先輩ママの体験談と母乳を軌道に乗せるポイントを解説
新米ママの中には、いつから完全母乳になれるのかが知りたいママもいるのではないでしょうか。完全母乳への移行期間には個人差があり、一概に「いつまでに」という決まりはありません。この記事では、ミルクなしで完全母乳にできる目安から、先輩ママの体験談、母乳を軌道に乗せるポイントを解説します。
無理しすぎないマインドも大切
完全母乳を目指すことは悪いことではありません。しかし、時として「絶対に完全母乳にしたい!」という思いがストレスになり、自分を苦しめてしまうことも。
おっぱいのホルモンが安定するのは産後1ヶ月頃です。そのため、「1ヶ月くらいの時間をかけて完全母乳を目指そう」「完全母乳になったら良いなぁ」というスタンスでいると良いでしょう。
母乳育児や授乳の時間が苦痛になったり、悩みの種になってしまったりするのは本末転倒。母乳育児をするうえで大切なのは、「お母さんも赤ちゃんも心地よいこと」というマインドを忘れないようにしましょう。
母乳に関する不安は母乳外来で気軽に相談してみよう
母乳に関する悩みは人それぞれです。母乳育児で困った時には、気軽に母乳外来に相談してみましょう。
また、母乳育児をがんばりたい!と思っているお母さんは、母乳外来と合わせてセルフケアも一緒に取り入れるのがおすすめ。セルフケアの中でも気軽に始められるのがサプリメントの活用です。
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参考文献:
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