更新日:2024/9/6
これって乳腺炎?自分でできる対処方法と予防方法について解説 | 助産師執筆
乳腺炎は授乳中によくみられるトラブルの1つです。
乳腺炎は、産後12週間以内に起こる確率が74〜95%と言われています。
これってもしかして乳腺炎?乳腺炎だったらどうしたらいい?
と悩む方もいるでしょう。
この記事では、乳腺炎の症状と予防法、自分でできる対処方法について解説します。
この記事に登場する専門家
助産師 四辻有希子
大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。
〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター
乳腺炎の症状
乳腺炎はどのような症状があるのでしょうか。
一般的によくみられる乳腺炎の症状は以下の通りです。
熱が出る
まずは熱が出ます。
37.5度以上の発熱が見られることが多いです。
それまで全く熱が出ていないのに、急に高熱がみられたら、乳腺炎の可能性があります。
しこりができる
また、乳房の一部、もしくは乳房全体にしこりができます。
乳腺炎になっている場合、しこりは自分で触ってわかる程度にはっきりわかるでしょう。
一部に赤みがある
他にも、乳房の一部、もしくは乳房全体に赤みができます。
しこりができている部分が赤くなっている場合は、炎症を起こしている可能性が高いです。
痛みがある
赤みやしこりがある部分に痛みが出ることも、乳腺炎の症状です。
痛みの程度は主観ですが、少し抑えると痛い、何もしていなくても痛いと、痛みの程度もさまざまです。
乳腺炎の原因
乳腺炎の原因は何でしょうか。考えられる原因として、乳汁うっ滞(つまり)と感染の2つがあります。
乳汁うっ滞
乳腺炎で多くみられる原因は、乳汁うっ滞です。
十分に母乳が飲みとられず、残ってしまうことで、詰まって乳腺炎になってしまいます。
離乳食が始まって飲んでくれなくなった、夜間まとまって眠ってくれることで、なかなか飲まなくなることから、乳汁うっ滞が起こることが多いと言われています。
母乳がよく出ているお母さんの場合、赤ちゃんが飲む量よりも母乳が作られる量が多く、需要と供給があっていないことにより、乳汁うっ滞になってしまっていることもあるでしょう。
感染性乳腺炎
次に考えられる原因は感染です。
乳首が切れたり、水ぶくれや血豆ができたりなど、乳頭の傷などにより、そこから細菌感染を起こし、乳腺炎になります。
乳汁うっ滞により、感染性乳腺炎に移行するケースもあります。
自分でできる乳腺炎の対処方法
もしかして乳腺炎?
と思ったら、どのように対処したらいいのでしょうか。
ここからは、自分でできる対処方法をご紹介します。
頻回に授乳する
まずは、頻回に授乳することです。
乳腺炎でも赤ちゃんに授乳してもいいの?
と疑問に思うかもしれませんが、お母さんの体調がよければ、授乳はやめずに続けましょう。
赤ちゃんの授乳ペースにもよりますが、頻回に授乳することで、乳汁うっ滞が予防できます。
しこりがあるところを冷やす
他に自分でできることとしては、頻回に授乳し、授乳した後に痛みが出ている部分を冷やすことです。
しこりや赤みが出ていて、炎症が起きている場合は痛みがある部分を冷やすことで症状が改善する可能性があります。
冷やすときは、冷却ジェルシートではなく、必ず保冷剤など氷で冷やしましょう。
ジェルシートは炎症を起こしている胸に使用すると、冷却時間が短く効果が十分に現れません。
そのため、必ず保冷剤か氷で冷やすようにしましょう。
冷やす時は、氷が直接当たらないよう、ガーゼや薄いタオルなどで包んでから当てましょう。
いろいろな抱き方で授乳する
また、一つの抱き方だと、同じ部分だけであまり飲み取れない部分が残ってしまい、乳汁うっ滞の原因になることがあります。
そのため、できるだけいろいろな抱き方をしてみることがおすすめです。
ずっと同じ姿勢で授乳している場合は、一度抱き方を変えてみてもいいかもしれません。
ここまで乳腺炎の対処法について解説してきました。
下の記事では、授乳中の食事について分かりやすく説明しています。
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乳腺炎で受診する目安
乳腺炎かもしれないと思ったら、受診をしたほうがいいのかな、と気になる方もいるでしょう。
ここからは、乳腺炎で受診する目安をご紹介します・
発熱が続く場合
まずは高熱が続く場合です。
38度以上の発熱が続くなど、症状がひどい場合は受診しましょう。
高熱で食事や水分が取れていない場合は、点滴が必要になるかもしれません。
痛みが強く症状がどんどんひどくなっている場合
また、しこりが一部ではなく全体になる、乳房全体に赤みが出るなど症状がどんどんひどくなっている場合も受診が必要でしょう。
乳腺炎かも?
と思い、対処していても、症状がどんどん悪化する場合があります。
その場合は、病院などに連絡し受診が必要でしょう。
発熱と痛みで授乳できない場合
他のも発熱と痛みで授乳できない場合は受診しましょう。
熱があっても授乳できる場合は、徐々に症状が改善する可能性がありますが、授乳できない場合、症状が悪化してしまう可能性があります。
そのため、授乳が全くできないようであれば受診を検討しましょう。
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乳腺炎の予防方法
では、乳腺炎を予防するためには、どうしたらいいのでしょうか。
できるだけ、乳腺炎になりたくないので、予防方法があれば知りたいと思う方もいるでしょう。
ここからは、予防方法をご紹介します。
授乳間隔をあけすぎない
まず大切なことは授乳間隔をあけすぎないことです。
乳腺炎の主な原因は乳汁うっ滞です。
そのため、授乳間隔があきすぎると、おっぱいがたまってしまい、乳腺炎になる可能性が高くなります。
赤ちゃんが成長するにつれて、授乳間隔があいてくることはありますが、授乳間隔があきすぎないように注意しましょう。
赤ちゃんがあまり吸ってくれない、離乳食が始まって飲んでくれなくなった場合は、軽く搾乳をして、おっぱいが残らないようにしましょう。
乳頭の傷ができないようにする
授乳し始めは、乳頭に傷ができてしまったり、痛みが出てしまったりすることが多いでしょう。
乳頭の傷から、感染性乳腺炎を発症することがあるので、乳頭の傷をできるだけ作らない、悪化させないようにすることが大切です。
乳頭の傷を予防するには、正しい姿勢での授乳が重要です。
正しい姿勢での授乳は痛みが出ないため、まず正しい姿勢で授乳できているか確認しましょう。
もし痛みがある場合は、なるべく短時間で授乳し、乳頭への負荷を少なくするといいでしょう。
優しく圧迫しながら授乳する
他にもしこりができている場合は、優しく圧迫しながら授乳しましょう。
少し残っているかもしれないな、ちょっとしこりができたかもしれないな…
という場合は、しこりができている部分を優しく圧迫しながら授乳します。
その時は、しこり部分を押しながら、乳頭のほうへ流すようなイメージで圧迫します。
1回の授乳ですぐにしこりが改善しなくても、続けていると徐々にしこりがなくなりますので、圧迫しながら続けてみてください。
また、おっぱいが残っているなと感じる方から授乳しましょう。
まとめ
そのため、できるだけ悪化しないよう、事前に予防することがとても大切です。乳腺炎は、産後によくみられるトラブルの1つですが、乳腺炎になると体調が悪化し授乳が難しくなることもあります。
授乳間隔があきすぎないように注意して、ちょっとしこりができているかもしれないなと思ったら、圧迫しながら授乳し、悪化しないよう予防しましょう。
事前に予防することで乳腺炎を防ぐことができます。
乳腺炎になってしまったら、マッサージやお薬の処方が必要かもしれないので、
病院や助産院などへ相談しましょう。
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