更新日:2023/3/16
【医師監修】妊活中によくある相談・お悩み

日本では、女性の社会進出や経済的な事情などから晩婚化が進み、それとともに妊娠・出産も以前より高齢化しています。そのため、妊娠を望む夫婦の“妊活中”の悩み事も増えているのではないでしょうか?妊活でのストレスは、男性よりも女性のほうがはるかに高いといわれています。ストレスは不妊と関係があることが国内外の研究でわかってきているため、妊活中の夫婦はできるだけストレスフリーを目指す必要があるでしょう。そこで今回は、妊活中のよくあるお悩みとその解決策を紹介します。悩みを解消して、ストレスの少ない妊活ライフを楽しみましょう。
妊活中の悩み“自分の気持ちと親族”
妊活開始から妊娠まで時間がかかる
妊活を始めてから妊娠するまでにかかった時間を聞いたところ
3ヶ月以内 28.8%
4ヶ月以上~6ヶ月以内 25.8%
7ヶ月以上~9ヶ月以内 10.1%
10ヶ月以内~12ヶ月以内 14.5%
1年以上~1年半以内 7.7%
1年半以上~2年以内 7.1%
2年以上~ 6.0%
という結果になりました。
この結果から、最も妊娠が多かったのは「3ヶ月以内」で、妊活を始めてから6ヶ月以内には「54.6%」の人が妊娠しているということが分かりました。一方で、1年以上妊活を行っていた夫婦も「20.8%」います。この結果により、5人に1人の割合で妊娠が長期化しているということがおわかりいただけるでしょう。
妊活が長期化すると、夫婦にかかるストレスは小さくなく、「自分がいつ妊娠できるかわからない」という見えないゴールへの焦りも大きくなります。妊娠にいたるかどうかは個人差が大きいため、先に妊娠した人と比べてしまったり、いつ妊娠できるかわからない不安から情緒不安定になってしまったり…ということもあるでしょう。
難しいときもありますが、“焦らず・比べず”、夫婦で楽しみながら妊活ができたら素敵ですね。もちろん、夫婦で規則正しい生活やサプリメントを飲むなど、健康にも気をつけてください。妊活が長期化したときは、夫婦で早めにクリニックへ相談することをおすすめします。
両親や義理の親からのプレッシャー
子どもが欲しいと思っていても、思い通りにならないのが妊娠です。周りからの期待や、悪意のない「子どもはまだ?」の質問に心を痛めた経験がある人も少なくないでしょう。自分の両親になら、「プレッシャーになるからいわないで」などと、率直に自分たちの気持ちや状況を伝えやすいですが、義理の親からの質問となると、返答に困ってしまうときもありますよね。
義理の親からの質問に困ったときは、パートナーに相談してみましょう。まずは、パートナーに自分の気持ちを理解してもらい、そのあと対応方法を話し合って見てください。パートナーから「二人で考えているから見守っていて欲しい」「子どもについては自然に任せている。心配しないでほしい」などと伝えてもらうことで、義父母からのプレッシャーから解放されたというケースはよくあります。
妊活・妊娠は自分一人でできることではありません。全てを自分だけで抱え込まず、パートナーにも協力してもらいながら一緒に乗り越えていきましょう。
義理の兄弟に子どもが生まれたが、正直会うのが苦痛
妊活中に「よその赤ちゃんに会いたくない」という気持ちになってしまうことは、仕方のないことです。「こんな気持ちになるなんて自分は性格が悪い…」などと、自分を責めないでくださいね。
今は心に無理をせず、「体調が悪い」など、理由をつけて会わないようにしても良いのです。話しやすい間柄であれば、今感じている気持ちを正直に伝えてみるのも良いかもしれません。もしかすると、同じような経験がある方の場合、色々なサポートをしてくれる可能性もありますよ。
妊活中の悩み“夫婦の問題”
夫が妊活に理解がなく、不妊治療クリニックに一緒に行ってくれない
“不妊は女性の問題“などとして、不妊治療を自分事として考えられない男性は、残念ながら存在しています。当然のことながら、不妊は女性側だけの問題ではなく、パートナーとの二人の問題です。
不妊治療は、妻と夫の二人三脚で進めていくものであり、どちらか一方が欠けると上手くいきません。妻が一人で頑張るのはとてもつらく、続けていくことは困難です。たしかに、検査や治療に対して抵抗を感じる男性も少なくないでしょう。
しかしそれは、女性側も同じこと。むしろ、不妊治療は男性よりも女性の体のほうが負担が大きいため、不妊治療の大変さは男性にも必ず理解してほしいものです。不妊治療についてよくわからなくからこそ、漠然と不安を感じている男性もいるかもしれません。
そこで、まずは二人で感じていることをとことん話し合ってみませんか?お互いの気持ちが理解できれば、二人で進んでいく道筋が見つかるかもしれません。また、クリニックが開催する「不妊治療説明会」に足を運んでみるのもおすすめです。
説明会の内容はクリニックごとで異なりますが、不妊症の定義から検査項目、さまざまな不妊治療の方法、それに伴うリスクなど、専門機関から正しい知識を得ることができます。看護師や医師の方からお話を聞くことで、不妊治療を自分事として考えられる男性も多いのではないでしょうか。
パートナーは、「もう治療をやめてもいいんじゃない?」といいますが、私はまだ子どもを諦められません。
不妊治療をするための高額な費用や、女性の体への気遣い、または男性のメンタル面など、「もう治療をやめてもいいんじゃない?」という言葉の奥には、さまざまな理由が隠れています。長期にわたる不妊治療で、「つらそうな妻の顔をこれ以上見たくない」と思う男性もきっと多いはずです。
もし、自分はまだ子どもを諦められないけど「不妊治療をやめよう」といわれてしまったら、「どうしてそう思うのか」について二人で話し合うのが一番です。その理由がお金であれば、二人でどこまで不妊治療に使えるかをしっかり試算してみましょう。
妻の体を気遣ってのことであれば、「たしかにつらいけど、ここでやめたら後悔する」というように、自分の気持ちをパートナーに伝えることが大切です。お互いの気持ちが違っていたとしても、相手の考えをゆっくり聞いてみることで、お互い納得のいく方向性を見つけてくださいね。
男性不妊の夫に、どう話しかけて良いかわかりません。
これは、妻が不妊の場合の夫でも、同じことがいえそうですね。不妊の原因が自分あると分かったときの気持ちは、当事者以外には計り知れません。わからないからこそ、どう話しかけたら良いかわからず悩むのも当然です。
検査結果に落胆する夫にかける言葉として、まず検査を受けてくれたこと、治療が進められることに感謝を伝えてみましょう。きっと妻の前向きな姿に、少し心が救われるはずです。
落ち込むパートナーを支えてあげられるのはあなただけです。決して責めず、寄り添う気持ちを忘れずに接してくださいね。すぐに話すことが難しい場合は、待つと状況が変わることもあります。時間をかけて寄り添っていきましょう。
夫婦で医療機関のセミナーや当事者が集まる会に参加するのもひとつの方法です。夫は仲間がいる心強さを感じることができ、妻は男性不妊についての理解を高めることができます。また、ご自身にもつらいお気持ちがあると思いますので、一人で抱え込まないようにしてくださいね。
不妊の原因の約50%は男性
WHO(世界保健機構)発表の不妊症原因調査より
事実として、不妊の原因の約50%は男性にあるといわれています。妊活中の多くの女性が葉酸を摂取するように、男性も妊娠力を高める努力をしてみてはいかがでしょうか?男性が妊娠力を高めるために大切なのが“元気な精子をたくさん作ること”です。
【精子力アップのためにできること】
・禁欲の禁止
・禁煙
・ブリーフよりトランクスで風通しを良く
・サウナや長風呂などで局所を温めることをやめる
さらに、男性専用の妊活サプリメントもあるので、試してみてはいかがでしょう。
妻がイライラして情緒不安定になっています。どうすればいいですか?
イライラしてしまう女性の気持ちも、どう寄り添えば良いかわからない男性の気持ちもよくわかります。不妊という現実をどう受け止めればいいかわからず、不安な気持ちで押しつぶされそうになっている表れなのでしょう。
女性が情緒不安定なときは、まず話をゆっくり聴いてあげてください。話を聴いてもらえるだけで女性は安心し、心が落ち着いていくことも多いです。イラ立つ妻にどう対応すればよいかわからず、あえて時が経つのを待つという選択肢はNG。
それは「今はそっとしといて」といわれてからとる行動です。まずはゆっくり話を聴いてみて、気持ちを理解することで、心を安定させるヒントが見えてくるでしょう。女性も、自分がなぜ情緒不安定なのか言語化できず、つい投げやりな態度になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、「察して」というのは伝わらないことが多いため、自分の内面を知り、寄り添ってくれたときは存分に甘えて、気持ちをしっかり伝えられたら良いですね。
二人目を催促されることがプレッシャーです
「二人目は?」「一人っ子はかわいそう」など、二人目を急かされることや、「男の子のみを希望される」など、自分では対処できないことについて、周りからプレッシャーを感じストレスになっている経産婦さんも少なくないのではでしょうか?
一人っ子を希望する夫婦の場合
まず、一人っ子を望んでいるご夫婦へ、これは何も間違いはありません。どの家庭にも、経済的・年齢的・または「一人に愛情をすべて注ぎたい」という愛情的などの理由で、よく考え話合った結果“一人っ子”を選択しているわけで、周りがとやかくいう権利はないのです。
「兄弟がいたほうが幸せ」という明確なデータや資料もない今、「一人っ子はかわいそう」というナンセンスな意見に振り回されることはありません。堂々としていましょう。「子どもは一人と決めているので」とはっきりいって良いのです。
二人目を希望している夫婦の場合
子どもを二人以上希望しているのにできない場合、「二人目は?」という短い言葉がどれほど心を傷つけるか…周りの人は再認識しなければなりませんね。二人目を希望しながらも、半年以上妊娠にいたらない状態を「二人目不妊」といいます。
二人目不妊の主な原因は、「加齢」と「セックスレスやセックスの数の減少」です。当然のことながら、一人目のときよりも年を重ねているため、卵子や精子の質など、男女ともに生殖器官が衰えている可能性があります。
また、一人目が生まれて家事や育児が忙しく、ホルモンの影響もあるため、セックスの回数が減った夫婦も少なくないでしょう。二人目ができにくいと感じたら、すぐに不妊治療専門の医療機関を受診することをおすすめします。
「二人目は?」の言葉のかわし方は、“妊活中を正直に打ち明ける”と“受け流す”の2パターンがあります。正直に妊活中を伝えられるなら、その後の二人目は?攻撃はなくなるかもしれません。ただ、正直にいいたくないときもありますよね。
そんなときは、「まだ一人っ子を楽しみたいから」「夫婦で相談中」など、さらっと流して話を終わらせても良いんです。自分を傷つけてくる人からはできれば距離をおき、自分の心を守ってくださいね。
妊活中の悩み“職場の問題”
上司に不妊のことを相談したいのですが、切り出し方がわかりません
不妊治療は、治療期間も未定で通院も多いため、職場の人からの理解は不可欠です。特に会社の上司には、きちんと状況を理解してもらい、味方になってもらいたいですよね。平時に伝えるのがちょっと…という方は、相談事として二人きりで話す時間を設けてもらうのが良いでしょう。
評価面接などがあるなら、そのときに伝えても良いですね。その際、治療を行う上で考慮して欲しいことを具体的に伝えると、上司も対応がとりやすいかもしれません。具体例としては、「急な通院があり、月に2~3日休む可能性がある」「体調を整えたいので、月の残業を10時間以下にしたい」などがあり、クリニックとよく相談した上で伝えましょう。
また、不妊治療の検査や必要な配慮事項を記載した「不妊治療連絡カード」を上司に渡しておくのもひとつの方法です。治療を受けているクリニックで発行してもらえますので、ぜひ作ってみてくださいね。
不妊治療のために会社を頻繁に休んだり早退する必要がありますが、休みが取りづらいです。
厚生労働省の調査によると、仕事と不妊治療との両立ができずに離職した女性は23%。離職の理由として、「精神面での負担が大きい」「通院での急な休みなども必要なため、会社での理解が得られない」などの理由が挙げられます。
「休みや早退が取りづらい」というのは、不妊治療中の多くの女性が抱える社会的な問題のひとつです。最近では、福利厚生の一環として不妊治療のサポート制度があったり、リモートワークなどの働き方が選べたりする企業も増えてきているので、ぜひ一度勤め先の制度を調べてみましょう。
しかし、制度を利用して休めるとしても、職場の人に負担についても気がかりですよね。業務の内容や配分は、上司に相談の上「不妊治療もしながら、仕事も頑張りたい」と熱意を伝えてみてはいかがでしょうか?その際には、上記でも紹介した“具体的に伝えること”を意識してみてくださいね。
休みやすく、周りの特定の人だけにしわ寄せがいかないよう工夫してもらいましょう。抵抗の無い方は、同僚に正直に現状を話すことで、理解と協力が得られる可能性が高いので、考えてみてください。
不妊治療か仕事か…今はどちらを優先するのが自分にとって良いのか、立ち止まって考えることも必要です。自分の一番の望みは何なのか、どうしていくのが理想なのかなど、整理するいい機会になるでしょう。
落ち込んだときの対処法
それぞれの状況に応じた悩みと対応方法を見てきましたが、妊活がなかなかうまく行かずに落ち込んでしまったときは、皆さんどのような対処法を取っているのでしょうか?以下の対処法を見てみましょう。
【妊活で落ち込んだときにとる対処法】
・夫に相談する 30.7%
・ネットやSNSや掲示板を見る 25.1%
・仲の良い友人に相談する 19.6%
・趣味や仕事に打ち込む 14.3%
・親族に相談する 10.4%
やはり1番多いのは、「夫に相談する」というものでした。先に述べた通り、妊活は妻だけではなく夫婦二人で行うものです。うれしい気持ちも、悲しい気持ちも、二人で共有して分け合うとで、気持ちが軽くなるだけでなく、夫婦の絆も強くしてくれるでしょう。
悩みがあるときは、些細なことでも相談することが大切です。人に話すことで悩みが整理され、気持ちが軽くなるということはよくあります。話し合うときは、パートナーの悩みも聴いてあげると、より二人の理解が深まりますね。
2番目は「ネットやSNSや掲示板を見る」でした。SNSで悩みを相談したり、同じような悩みを持っている人を探したりできるのは、現代の妊活におけるメリットといえるでしょう。自分の近い人にはいいにくい相談や本音も、SNSなら聞けるし発言できるということもあるでしょう。
自分の気持ちが少しでも楽になる方法を見つけておくことも、妊活において大事のかもしれませんね。
妊活はパートナーとの二人三脚
さまざまな妊活中の相談・お悩みを紹介してきました。妊活が長引くほど「考えすぎてネガティブになってしまう」「焦りや不安から落ち込む」「妊活のことばかりを考えてしまう」という人も多いはず。男女ともに健康な体でいることに加え、ストレスを溜めすぎず、ワクワクした気持ちでいることも妊活には大切です。気分が落ち込んでしまったときは、パートナーや家族、友達などに相談して、一緒に乗り越えていきましょう。
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参考文献
厚生労働省 不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック
不妊治療連絡カード
医療法人社団 生新会 木場公園クリニック
はらメディカルクリニック