更新日:2024/3/28
乳児湿疹のケア方法や受診の目安。そのままにしておいても治る?
赤ちゃんのすべすべな肌に湿疹ができると心配になりますよね。乳児湿疹は85%以上の赤ちゃんが経験すると言われています。
乳児湿疹は、正しいスキンケアをすることで予防・ケアが可能です。
「清潔」と「保湿」をしっかり心がければ自然に治ることも多いでしょう。
今回は赤ちゃんに乳児湿疹ができたときの正しいケア方法や受診の目安について説明します。アトピーやあせもとの違いも解説しているので、赤ちゃんの湿疹に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
この記事に登場する専門家
藤川 あかり
大学卒業後、総合病院などで看護師として勤務。
出産と夫の転勤を機に退職、看護師の知識と子育て経験を活かしてWebライターとして活動中。
〈資格〉
- 保健師
- 看護師
乳児湿疹は赤ちゃんの肌トラブルの総称
乳児湿疹とは新生児から乳児期にできる湿疹のことです。ある調査では赤ちゃんの85%以上が乳児湿疹を経験したというデータがあるほど、多くの赤ちゃんに発生している肌トラブルです。
乳児湿疹は生後0ヶ月〜3ヶ月での発生が87%となっており、早ければ生後2週間の新生児期にできることもあります。月齢が低いうちに発生することが多いため、生まれてすぐからのスキンケアが重要です。
乳児湿疹ができやすい部位
乳児湿疹ができやすいのは、以下のような皮脂が多い場所です。
- 口の周り
- ほっぺ
- おでこ
- 頭皮
赤い湿疹が多いですが、おでこや頭には黄色い脂っぽいかさぶたができることもあります。
乳児湿疹の予防・治療はスキンケアが大切
乳児湿疹を予防するためには、生まれてすぐから清潔と保湿を心がけることが大切です。
湿疹ができた場合も綺麗に洗い、しっかり保湿を続けることで自然におさまっていくことがほとんどです。
まずは赤ちゃんの正しいスキンケア方法を説明します。
入浴は毎日、ぬるめのお湯で
赤ちゃんの入浴(沐浴)は毎日行いましょう。赤ちゃんは新陳代謝が活発なので汗や皮脂の分泌が多く、見た目は汚れていなくても毎日清潔にすることが大切です。
また、お湯の温度は大人がちょっとぬるいと感じる38度前後にしましょう。熱すぎると赤ちゃんがのぼせたり、湿疹が悪化したりするおそれがあります。短時間で済ませることも大切です。
低刺激のせっけんでよく洗う
赤ちゃんの体を清潔に保つため、目に見える汚れがなくても全身を泡で優しく洗いましょう。湿疹のある部分も洗って大丈夫です。
せっけんの成分が残っていると新たな皮膚トラブルにつながってしまうため、泡はシャワーでよく洗い流します。
とくに首や関節などのしわの部分は洗い残しやすいため、ていねいに洗ってくださいね。
入浴後はすぐに保湿
入浴後はできるだけ早く(できれば5分以内)、全身にたっぷり保湿剤をぬります。赤ちゃんの皮膚は大人よりも薄いため、保湿剤でバリアをはるようなイメージです。保湿剤はべたべたするくらい、多めに使用します。
保湿は1日に何度おこなっても問題ありません。入浴後だけではなく朝起きた時や食事の後など、時間を決めて
こまめに保湿をしてあげましょう。乾燥する冬はもちろん、肌がしっとりしているように見える夏でも保湿は必ず行います。
乾燥する時期は加湿器を使って室内の湿度を高くすることも有効です。
せっけん・保湿剤の選び方
生まれたての赤ちゃんの肌はデリケートなため、せっけんや保湿剤は刺激の少ないものを選びましょう。
適切なせっけんや保湿剤を選ぶことも、乳児湿疹の予防やケアに大切です。
せっけんはアトピーや敏感肌向けのものを
乳児湿疹のケアには、アトピーや敏感肌向けの肌に優しいせっけんを使いましょう。大人向けのせっけんは洗浄力が強かったり、香料や着色料、防腐剤が多かったりして赤ちゃんの肌に刺激になることがあるためです。
着色料や防腐剤を使用していない、なるべく余計な成分を含まないせっけんを選びましょう。また、液体ソープや市販のドラッグストアのボディソープも合成洗剤で作られていることが多く、洗浄力が強すぎる石鹸も気をつけましょう。
あまりにも症状が落ち着かない場合は固形石鹸などのお肌に優しいものを試してみるのもおすすめしています。
mitera organics baby soap(ミテラオーガニクスベビーソープ)はラクトフェリンやシリカ水など、天然成分にこだわった無添加の固形せっけんです。液体せっけんだと作る過程で壊されてしまうことの多い天然成分を、固形せっけんの強みを生かし丁寧に固めています。泡立てる手間はありますが、赤ちゃんの肌のためにとことん材料にこだわって作られたせっけんです。
保湿剤は季節でタイプを変えてもOK
保湿剤は、弱酸性で香料や着色料が使われていないものを選びましょう。乾燥しやすい冬はしっとり系、夏はサラサラのタイプなど季節や赤ちゃんの肌のコンディションで選んでくださいね。全身がしっとりするくらいたくさん塗ることがポイントです。
すでに赤ちゃんに乳児湿疹などの肌トラブルがある場合病院を受診して処方してもらうこともできます。湿疹があり、どの保湿剤を使うか迷う場合は医師に相談してみてください。
ベビーパウダーは肌がサラサラになる感覚がありますが、汗が出る穴を塞いだり洗いきれず不潔になってしまうことがあります。赤ちゃんのスキンケアにベビーパウダーはおすすめできません。
乳児湿疹をそのままにしておくとどうなる?
多くの乳児湿疹はスキンケアによって生後3〜4ヶ月ごろまでに自然に治ります。
しかし湿疹を放置しておくとアレルギーの引き金になることもあります。傷ついた皮膚からアレルギーの原因物質が赤ちゃんの体に入り込み、抗体を作ってしまうためです。この抗体がアレルギーの原因となります。
赤ちゃんの皮膚からアレルギー物質が入り込むのを防ぐためにも、乳児湿疹がなかなか治らなかったり繰り返したりする場合は病院を受診しましょう。
乳児湿疹で病院へ行く目安
赤ちゃんの湿疹が以下のような状態のときは病院に行きましょう。
- スキンケアを続けても治らない
- 繰り返し湿疹ができる
- かゆみが強く、泣き続ける
- 膿(うみ)がでている
- 全身に広がってじんましんのようになっている
湿疹の症状に変化がある場合は、写真で撮って医師に見せることでわかりやすく経過を伝えることができます。
受診するのは皮膚科?小児科?
乳児湿疹のときは、基本的に皮膚科と小児科のどちらを受診しても大丈夫です。発熱や咳などがある場合は他の病気が隠れていることがあるので小児科を受診しましょう。
乳児湿疹の原因はさまざま
乳児湿疹ができる原因は乾燥や過剰な皮脂の分泌などさまざまです。
赤ちゃんの肌は大人の肌よりも薄く、(大人の半分程度の厚さ)バリア機能が未熟です。さらに皮脂の量が安定しておらず、汗をかきやすいという特徴もあります。
同じようにスキンケアをしていても、赤ちゃんの皮脂の分泌量によってある日突然カサカサになったり黄色いかさぶたのようなべったりした湿疹(脂漏性湿疹)ができたりすることがあります。
赤ちゃんの肌は不安定でデリケートなことが乳児湿疹を引き起こす原因と言えるでしょう。
乳児湿疹とアトピーやあせもの違い
乳児湿疹とアトピーやあせもは、湿疹のできる部位や続いている期間が異なります。それぞれの特徴を説明しますが、市販薬を使用することで湿疹が悪化することもあります。判断に迷う場合は病院を受診しましょう。
アトピーとの違い
アトピーには以下のような特徴があります。
- ほっぺやおでこなどから始まる
- 湿疹は左右対象
- かゆみがある
- 良くなったり悪くなったりを繰り返す
2歳未満の子供の場合、症状が2ヶ月以上繰り返していることがアトピーと診断される1つの条件です。「最初は乳児湿疹だと言われたけどアトピーだった」というケースもあります。スキンケアをしてもなかなか治らない場合は受診し、経過を医師に伝えましょう。湿疹の部位や状態を写真に撮っておくことで正確に伝えることができるのでおすすめです。
アトピーの場合は赤ちゃんでも使える弱いステロイドを用いて治療が行われます。ステロイドは医師の指示を守って使いましょう。
あせもとの違い
あせもは汗を出す管が炎症を起こし、詰まることでできる発疹です。
首のまわりや肘やひざなどの関節の内側、わきなどの汗をかきやすいところにできやすいです。ねんね時期の赤ちゃんは布団に触れていることが多い、後頭部や背中にもあせもができることがあります。
赤ちゃんは汗を多くかくため、夏はもちろん冬でもあせもができることがあります。
あせものケアも基本的には清潔にすることとスキンケアです。汗をこまめに拭いたり、汗を吸い取りやすく通気性が良い肌着を着せたりしましょう。
あせもだと思って市販の薬を使用して湿疹を悪化させてしまうケースもあります。心配なときは医師の診断を受けましょう。
乳児湿疹ができても母乳は続けてOK
ママのアトピー体質や食べたアレルギーのもとになる物質が、母乳を通して赤ちゃんにうつり湿疹ができているのではないかと不安になる方もいるかもしれません。
しかし、母乳からはアトピーが赤ちゃんにはうつらないため、母乳をあげ続けて問題ありません。
また、ほとんどの場合ママの食べ物の制限は不要です。赤ちゃんのアレルギーによる湿疹予防のために、授乳中のママが特定の食べ物を避けることは効果がないとされています。
ただしステロイドを使っても湿疹がなかなか治らず、アレルギーが疑われる場合は医師の指示のもとでママが原因と考えられる食べものを除去することもあります。
湿疹ができたからと言って自己判断で母乳の中断や特定の食べ物を控える必要はないでしょう。
まとめ
乳児湿疹の予防・ケアは毎日の入浴で肌をきれい洗い、こまめに保湿を行うことが大切です。スキンケアを続けることで自然に湿疹がおさまることも少なくありません。なかなか治らなかったり、かゆみが強い様子が見られたりするときは小児科か皮膚科を受診しましょう。
赤ちゃんの肌は大人の半分ほどの厚さしかなく、バリア機能が未熟でとてもデリケートです。
せっけんや保湿剤は香料や着色料が使われていないアトピーや敏感肌用のものを選びましょう。ミテラ ベビーソープは厳選した天然成分を使い、肌への優しさにとことんこだわったせっけんです。
参考:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021」
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
あなたへのおすすめ
mitas series オンラインショップ