2025-04-11
記憶がなくなる病気とは?健忘と認知症の違いについても解説

年齢を重ねて、思い出せないことが増えてきたという悩みを抱える方は少なくありません。しばらくしてから思い出せる「もの忘れ」や「ど忘れ」は、年齢を重ねると誰にでも起こり得るものです。しかし、ある日急に思い出せなくなった、1つのできごとを丸々忘れたなどの場合は、記憶がなくなる病気を抱えている可能性があります。
本記事では記憶がなくなる病気の病名や診断、治療、記憶を守るのに必要な生活習慣を解説したので、記憶がなくなる不安を抱えている方はぜひ読んでみてください。
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記憶がなくなる3つの病気
記憶がなくなる病気は、ケガや脳の病気、その他の持病が原因になるものと、それら以外のものに大別されます。ここでは後者のケガや脳の病気、その他の持病がない人にも起こり得る、記憶がなくなる3つの病気について説明します。
一過性全健忘
脳や神経の病気の1つで、しばらくの間、新たなことを覚えられなくなる病気です。自分や家族の名前などは覚えているものの、今どこにいるか、何をしているかなどが分からなくなります。何の前触れもなく発症し、最大で24時間程度持続するのが特徴です。
新たに覚えられなくなる前向性健忘が主ですが、以前のことを思い出せなくなる逆行性健忘も併発することがあります。急に冷水または熱湯につかることや、運動、ストレスなどが原因になると考えられていますが、はっきりとした原因は未解明です。医師の診察を受けても、原因が分からないケースも少なくありません。
解離性健忘
心の健康問題の1つで、自分にとって重要な情報が思い出せなくなる病気です。何日かすれば記憶が戻ることがほとんどですが、長期間戻らない場合もあります。意識や記憶などに関する感覚をまとめる能力が一時的に失われる解離性障害で現れる症状の1つです。
解離性障害では、別人のようにふるまう解離性遁走、複数の人格が現れる解離性同一性障害、自分が自分でないような感覚になる離人症など、健忘以外の症状が見られることもあります。トラウマやストレス、葛藤などが原因となって現れる病気です。
認知症
記憶、思考、判断、学習能力などが、少しずつ低下する病気です。「令和6年版高齢社会白書」では、2022年の認知症の高齢者数は443.2万人と推計しています。有名なものがアルツハイマー型認知症で、高齢者の認知症のうち、特に大きな割合を占めています。
その他の認知症として、脳への血流減少などによる血管性認知症、異常なタンパク質が蓄積して神経細胞が破壊されるレビー小体型認知症、脳の一部の組織が変性して起こる前頭側頭型認知症などがあります。特に患者数の多いアルツハイマー型認知症は、原因が完全には解明されておらず、予防なども困難です。
健忘と認知症との違い
健忘と認知症は記憶がなくなるという点では似ていますが、異なる点があります。特に大きな違いが、自覚の有無です。健忘は、忘れていることを分かっており、自覚があります。しかし、認知症では忘れていることそのものを忘れている、つまり自覚がありません。
例として、朝ご飯を食べたことは覚えているが、メニューを忘れているのが健忘、朝ご飯を食べたこと自体を忘れているのが認知症です。他にも認知症では人格の変化や被害妄想が見られる場合がありますが、健忘ではこれらの症状は見られません。
脳の病気や難病の可能性も
一過性全健忘、解離性健忘、認知症以外の原因で、記憶をなくす場合もあります。まず、考えられるのが脳の病気や頭のケガです。脳は記憶に欠かせない器官であるため、脳の病気やケガで記憶にも影響する場合があります。
例えば、脳梗塞や脳出血などは、先に述べた血管性認知症を引き起こす原因の1つです。また、脳血管の病気を治療しても、高次脳機能障害が残り、新しいことを覚えられなくなることもあります。その他、甲状腺ガンや甲状腺機能障害といった甲状腺の病気、難病指定されている多発性硬化症でも、記憶力の低下を伴うことがあります。
記憶がなくなる3つ病気の診断と治療
記憶がなくなることを自覚した場合や、周囲が気付いた場合は、いち早く医師に相談することが重要です。一過性全健忘、解離性健忘、認知症をどの様に診断するかや治療について説明します。
一過性全健忘の診断と治療
一過性全健忘は記憶以外には異常が現れません。医師の問診の他、単語の記憶テストや数字を順に数える数唱テストなどにより、診断が行われます。同時に、他の病気の可能性がないことを確認することも重要です。脳の病気を確認するためのMRI、てんかんを確認するための脳波検査が行われます。
一過性全健忘は数時間から24時間で回復するため、自然回復を待つことになり、原因が特定された場合を除き、特に治療は行われません。
解離性健忘の診断と治療
解離性健忘は、「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)」に基づき、精神科医との面接を何度も重ねた上で診断が行われます。そのため、診断の確定に時間がかかるケースも多いです。
同時に、脳など他の病気の可能性がないかを確認するための検査も行われます。解離性健忘は解離性障害の1つですが、きちんと分類されないことも少なくありません。
精神医学的な治療がメインとなり、認知療法や催眠療法、薬物療法が用いられます。
認知症の診断と治療
認知症の診断は問診と身体の診察、さらに簡単な認知機能検査により行います。また、何が原因で認知症を発症したかを特定するために、採血、頭部CTや頭部MRI検査が必要です。脳内の血流やドーパミンの動きを調べる検査が行われることもあります。
治療は、進行抑制を目的とした薬物療法がメインです。また、脳の病気が原因である血管性認知症の場合は、手術で病気そのものを治療することで、回復が見られることもあります。
記憶を守るための5つのポイント
記憶がなくなる病気を予防できる、科学的根拠のある方法は残念ながら存在しません。しかし、記憶を守ることにつながる生活習慣はいくつか挙げられます。記憶だけでなく、健康維持全般にも役立つことばかりなので、日常生活に取り入れていきましょう。
栄養バランスのよい食事を心がける
1つ目は栄養バランスのよい食事です。特に意識したい成分が、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸、ビタミンB群です。
DHAとEPAは青魚に、ビタミンB群は豚肉、レバー、かつお、モロヘイヤ、ほうれん草などに含まれます。また、調理に使う油にオメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸を含むエゴマ油やアマニ油を取り入れるのもおすすめです。
さらに、塩分や動物性脂肪のとり過ぎにも注意しましょう。塩分や動物性脂肪のとり過ぎは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病につながり、脳梗塞や脳出血の病気を引き起こすリスクを高めるといわれています。
適度な運動を取り入れる
2つ目は適度な運動です。適度な運動は生活習慣病の予防に役立つので、脳梗塞や脳出血の病気を引き起こすリスクを下げることにもつながります。また、運動で血流が良くなることも、脳の健康に良い影響を与えます。
また、運動と頭を使う行為を組み合わせたものもおすすめです。国立長寿医療研究センターが「コグニサイズ」として推奨しています。パンフレットでは「ステップを踏みながら3の倍数で拍手」や「ウォーキングしながらしりとりや計算」など、具体的な方法も紹介されているので、気になる方は参照してみるとよいでしょう。
参考:国立長寿医療研究センター
頭を使う習慣をつける
3つ目は頭を使う習慣をつけることです。頭を使うと、脳の血流が増えることが期待できます。脳トレのための計算問題や読み書きができる書籍やウェブサイトが数多くありますので、取り入れるとよいでしょう。また、趣味と兼用でパズルや読書もおすすめです。
また、鳥取大学の浦上研究室、鳥取県、日本財団が共同開発した「8つの知的活動」も参考になるでしょう。「記憶力」「遂行力」「視空間認知力」「注意力」「計算力」「判断力」「作業記憶力」「思考力」の8つの能力に分類し、鍛え方の例も示されています。
十分な睡眠を確保する
4つ目は十分な睡眠です。睡眠は日中の心身の疲労を回復する他に、記憶の定着にも重要な役割を果たしています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」では、大人は6時間以上の睡眠の確保、加えて高齢者は床上時間が8時間以上にならないようにすることが推奨されているので、睡眠を見直してみましょう。
ストレスを軽減・発散する
最後はストレスの軽減、発散です。強いストレスは、一過性全健忘や解離性健忘の原因になります。ストレスから、暴飲暴食、過度な飲酒、喫煙に逃げると、生活習慣病のリスクも上がり、記憶を守るにはマイナス要因です。
瞑想や深呼吸など、ちょっとした時間でできるリラックスを取り入れましょう。読書などの趣味に没頭すれば、頭を使うことも同時にできて一石二鳥です。また、ゆっくりとお風呂につかることは、リラックスと同時に眠りやすくもなるので、睡眠を確保する面でも役立ちます。
頭を使う人の健康を考えたサプリ「Rimenba」
常に頭を使い続けることは、イキイキと年齢を重ねるために大切なことです。そんな頭を使い続ける人の健康を考えたサプリ「Rimenba」をご紹介します。脳神経内科医が監修したオールインワンサプリです。
オメガ3脂肪酸の代表格であるDHAとEPA、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸といった、本記事で紹介した成分も網羅。さらにビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ベータカロテン、注目成分であるプラズマローゲン、ノビレチン、イチョウ葉エキスも配合しています。
香料、酸味料、着色料、保存料、甘味料、増粘安定剤の6つの添加物を使用せず、GMPに準拠する国内有数の工場で製造しており、細部まで妥協しないこだわりのサプリです。
定期購入には縛りやキャンセル料もなく、送料無料で15日間の返金保証もあります。記憶力をサポートするサプリメントをお探しの方は、ぜひ一度お試しください。
頭を使う習慣と正しい生活習慣で記憶を守ろう
記憶がなくなる病気の病名や原因、診断と治療、記憶を守るための生活習慣について説明しました。残念ながら、今回取り上げた一過性全健忘、解離性健忘、認知症を予防できる科学的根拠のある方法はありません。
しかし、頭を使う習慣を持ち、栄養バランス、適度な運動、十分な睡眠、ストレスケアといった生活習慣に気を配ることは、記憶を守ることにつながります。特に、生活習慣に気を配ることは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病予防にもなるので一石二鳥です。
記憶を守り、頭の回転の良さをキープしながら、健康的に年を重ねていけるように、今すぐにできることから取り組んでいきましょう。
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