2024-09-11
【認知症対策】予防に有効な食事や運動方法を分かりやすく解説
現代は高齢化社会が進み、健康的な生活を送るためには認知症対策が重要です。
しかし、認知症対策にどのような食事や運動を行うとよいか分からずお悩みではありませんか?
この記事では、医師が提唱する「認知症にならないための10ヵ条」や認知症対策に有効な食事・運動を解説しています。
また、認知症を遅らせる取り組みや認知症対策を進めるうえでのポイントもあわせて紹介しています。
具体的な認知症対策を知りたい方は、ぜひご参考ください。
【認知症対策】認知症にならないための10ヵ条とは?
川崎幸クリニック院長の杉山孝博氏は認知症にならないための10ヵ条を以下のように定めています。
- 脳血管を大切にする
- 食生活を整える
- 運動を心がける
- 飲酒・喫煙が過度にならないようにする
- 活動・思考を端緒にしないように努める
- 生き生きとした生活を
- 家族・隣人・社会との人間関係を普段から円滑にしておく
- 自らの健康管理に心がける
- 病気や障がいの予防や治療に努める
- 寝たきりにならないように心がける
上記の10ヵ条をすべて行うのは大変なので、ここでは食事と運動に注目して解説していきます。
参考資料:認知症にならないための10か条(川崎幸クリニック)
認知症対策に有効な食事の方法
認知症を予防するためには食事に気をつける必要があり、以下2点の食べ物について解説します。
- 認知症のリスクが上がる食べ物
- 『WHO』が認めた地中海食
食生活を整えると認知症の予防に効果的ですが、一方で認知症のリスクを上げる食べ物もあるので、それぞれ理解していきましょう。
認知症のリスクが上がる食べ物
認知症のリスクが上がる食べ物は主に以下の5つです。
- 赤身の肉
- チーズ
- バターとマーガリン
- 菓子パン
- 揚げ物など
上記の食べ物はLDLコレステロールが増加し、動脈硬化につながりやすくなります。
動脈硬化になると以下の脳卒中のリスクが高まります。
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
上記疾患の中には脳血管性認知症の症状もあるため、赤みの肉やチーズなどの食べ過ぎには注意しましょう。
『WHO』が認めた地中海食
地中海食では果物や野菜、豆類やナッツ、全粒穀物などが含まれ、健康的な食事として世界で認知されています。
また、不飽和脂肪酸が含まれる魚やアボカド、ナッツやオリーブオイルなどを積極的に摂取します。
また、他の特徴は以下のとおりです。
- 最低 400 g/日の果物と野菜を摂取
- 約 2,000kcal/日を目安に摂取
- 食塩は5g/日未満など
地中海食では多くの食材をバランスよく食べるため、さまざまな栄養素を摂取できます。
参考資料:認知機能低下および認知症のリスク低減(WHOガイドライン)
しかし、地中海食のようなバランスのよい食事を毎日作り続けるのは大変ではないでしょうか?
その代替案として考えられるのはサプリメントで必要な栄養素を摂取することです。
認知症対策に有効な運動方法
認知症の予防には、1日30分の散歩を週3回以上行う有酸素運動が有効です。
有酸素運動では、記憶を司る海馬(脳の一部)の容積が大きくなるため、認知症予防に効果的です。
また、心臓や肺の機能が向上するため体力の向上にもつながります。
有酸素運動を定期的に行い、身体だけでなく脳の健康も保っていきましょう。
認知症対策を遅らせる取り組み【5選】
認知症を予防するには、有酸素運動以外にも日常的に取り組める以下の5つが有効です。
- ながら運動「デュアルタスク」
- テレビゲーム
- 囲碁や将棋
- 脳トレ
- 楽器の演奏・調理
認知症予防を効果的に行うためにも、一つずつ理解していきましょう。
ながら運動「デュアルタスク」
デュアルタスクとは2つのことを同時に行う活動で、脳の活性化や集中力向上につながります。
【デュアルタスクの例】
- 散歩しながら歌を歌う
- 洗濯物をたたみながらしりとりをする
- 料理を2品同時に作る
どの取り組みも難しくありませんが、同時に行うと脳への刺激が増え、認知症予防につながります。
日常の中でデュアルタスクを取り入れて、脳を活性化させましょう。
テレビゲーム
指や目を動かすテレビゲームでは、前頭前野が活性化され認知症予防に効果的です。
特にアクションゲームは認知症予防に役立つと、アメリカの研究で実証されています。
テレビゲームは単なる娯楽だけでなく、脳の健康を保つためにも有効な手段です。
参考資料:認知症予防×テレビゲーム(和歌山大学観光学部大井達雄研究室)
囲碁や将棋
囲碁や将棋は、相手の考えを読みながら一手を打つため、記憶力と思考力が高まります。
また、対戦相手とコミュニケーションも取れるため、認知症の予防に効果的です。
サークルに加入すると人とのつながりも増え「認知症にならないための10ヵ条」で掲げる社会的交流の増加につながります。
脳トレ
脳トレとは、文字を書くことや簡単な計算問題の解答、折り紙や塗り絵などの活動です。
指を動かすと脳の前頭前野や頭頂葉が活性化し、思考力や判断力の向上につながります。
現在では、脳トレの本やインターネットサイトがあるため、気軽に行えます。
楽器の演奏・調理
楽器の演奏では楽譜を読みながら指を動かすため、デュアルタスクの作業になります。
調理の場合、ガスコンロで加熱している間に洗い物をしたり、食材を切ったりするため、楽器の演奏と同様にデュアルタスクの作業です。
楽器の演奏や調理以外には、スポーツや編み物などでも同様の効果を得られます。
趣味活動でも脳が活性化し認知症予防につながるため、積極的に趣味活動を行いましょう。
年代別の認知症対策
認知症を予防するための取り組みを理解しましたが、いつから対策をはじめるとよいのでしょうか。
ここでは以下の年代に分けて、具体的な認知症対策を解説します。
- 30代の対策
- 40代から50代の対策
- 60代以降の対策
自分の年代ではどのような対策が有効なのか確認していきましょう。
30代の対策
30代の対策では以下の3つが大切です。
- 運動習慣の定着
- バランスのよい食事
- 規則正しい生活
不規則な生活は認知症のリスクを高めるため、規則正しい生活を心がけましょう。
若い年代から対策をすると、将来認知症になるリスクを軽減できます。
40代から50代の対策
40代から50代の対策では以下の3つが大切です。
- 生活習慣病の予防
- 運動習慣の定着
- 喫煙や飲酒を控える
40代から50代では、高血圧や肥満になりやすいため、運動習慣やバランスのとれた食生活が大切です。
このため、通勤時間を利用し歩く量を増やし、階段を使用するなどして運動量を増やしましょう。
また、喫煙や飲酒は認知症のリスクを高めるため、できるだけ控える必要があります。
60代以降の対策
60代以降の対策では以下の2つが大切です。
- 禁煙
- 運動習慣の定着
禁煙は認知症予防だけでなく、心臓病やがんの発症リスクを低くする効果もあります。また、運動はうつ病の予防にも効果的です。
60代からはじめても遅くないので、禁煙や運動を積極的に取り入れましょう。
認知症対策を進めるうえで大切なポイント
ここまで認知症対策の食事や運動、取り組みを解説しましたが、対策を行う際には以下2つのポイントが大切です。
- できるだけ早期から対策をはじめること
- 認知症を検査する病院を決めておくこと
認知症対策を有効に進めるためにも、一つずつ理解していきましょう。
できるだけ早期から対策をはじめること
アルツハイマー型認知症の原因物質(アミロイドβ)は発症する20年ほど前から溜まりはじめるため、早期からの対応が大切です。
認知症の前段階とされる軽度認知障害の段階で治療をはじめると、進行を遅らせるだけでなく、認知症に移行せずに改善できる場合もあります。
このため、できるだけ早期から認知症対策をはじめましょう。
参考資料:認知症疾患診療ガイドライン2017(日本神経学会)
認知症を検査する病院を決めておくこと
認知症になった際には早期からの対応が大切になるため、受診する病院は事前に決めておきましょう。
ご家族様も早期治療のメリットや医療機関の情報を知っておくと、認知症の早期発見と治療が可能です。
認知症対策を行い最後まで自分の意思で生活していきましょう
認知症を予防するためには、食生活や運動習慣、日常での取り組みが大切です。
運動習慣では1日30分の散歩を週3回以上が効果的で、日常での取り組みを5つ紹介しました。
認知症を予防するための食生活では、地中海食のようなバランスのよい食事が必要です。
しかし、毎日バランスのよい食事を作り続けるのは大変なことかもしれません。