更新日:2024/9/6
母乳出なくなった原因はなに?助産師が教える復活のためにできること
母乳育児を考えているお母さんは、授乳中の赤ちゃんの飲み方や母乳の分泌で悩むことは珍しいことではありません。
母乳栄養で授乳を行う人が増えているという現状はあるものの、中には「赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれなくなった!」「急におっぱいが出なくなった!」と感じているお母さんもいるでしょう。
また授乳に関する悩みで最も多いのが「母乳が足りているかどうか分からない」というものです。(※1)
今回の記事では、おっぱいが出なくなったと感じているお母さんに向けて、おっぱいが出なくなった原因やおっぱいの分泌を増やすためにできることについて紹介していきます。母乳育児を頑張りたいと考えている方必見です!
この記事に登場する専門家
助産師ライター かなえ
現役助産師ライター。
助産師免許取得後、助産師外来や院内助産を経験し、現在はフリースタイル出産を取り扱うクリニックで勤務。また、地域の学校や親子向けに性教育のおはなし会を開催。
【資格】
・看護師
・助産師
・保健師
・新生児蘇生法インストラクター
母乳が急に出なくなった原因は何?
母乳が出なくなった原因を知るためには、まずおっぱいの分泌の仕組みを知ることが大切です。
おっぱいの原料は、血液とホルモンです。血液はお母さんが食べている食事から作られます。そして、おっぱいの分泌に関係するホルモンは、赤ちゃんがおっぱいを吸うことで神経が刺激され、それが脳に伝わることで分泌されます。
また、おっぱいの分泌の仕組みは、産後間もない時期としばらく経った時期では異なります。
特に産後間もない時期は、赤ちゃんがおっぱいを吸うという刺激が重要です。そして、おっぱいのホルモンが安定してくると赤ちゃんが飲みとっただけ作られるという仕組みに変わっていきます。
それを踏まえて、母乳が急に出なくなったときに考えられる原因7つを見ていきましょう。
授乳回数が少ない
おっぱいの原料のひとつであるホルモンには、プロラクチンとオキシトシンの2つがあります。主に、プロラクチンは「おっぱいを作る」役割をしており、オキシトシンは「おっぱいを出す」役割をしています。
プロラクチンは、赤ちゃんがおっぱいを吸うという刺激を受けて脳の下垂体前葉から指令が送られ、乳腺に働きかけておっぱいを作ります。
一方、オキシトシンは赤ちゃんがおっぱいを吸うという刺激を受けて脳の視床下部に指令が送られ、作られたおっぱいを分泌させます。
そのため特に産後間もない時期に、この2つのホルモンの分泌に関わる赤ちゃんがおっぱいを吸うという行為が少ないと、おっぱいの分泌が増えないということに繋がります。
また、ホルモンが安定した時期においても、赤ちゃんが飲みとっただけおっぱいが作られるため、飲みとる頻度や量が少ない状態が続くと、作られるおっぱいの量が減っていくことになります。
うまく授乳できていない
効果的な授乳のためには、赤ちゃんがおっぱいを上手にくわえることがとても大切です。
乳首の部分だけくわえるのではなく、乳輪の部分まで深く口に含んで、唇が巻き込むことなく乳輪に密着していることが重要です。上手にくわえることができているかチェックしてみましょう。
また、おっぱいを吸っている時に音がしていたり、ほっぺたが凹んでいる状態、おっぱいを吸っている時に強い痛みを感じたりするときは、上手にくわえることができていないサインです。
母体の疲労
お母さんの疲労やストレス、睡眠不足は血流を悪くし、おっぱいホルモンの分泌の妨げになってしまいます。疲労やストレス、睡眠不足を感じているときは、まずは休息を摂ることを優先しましょう。
栄養や水分不足
母乳の原料のうちのひとつは、血液となるお母さんが摂る食事や水分です。赤ちゃんがお腹の中にいる妊娠中に食事に気を遣う方は多いですが、産後も同じように食事は大切です。
妊娠中は胎盤やへその緒を通して送っていた栄養を、産後はおっぱいを通して赤ちゃんに送ることになります。そのため、十分な栄養がとれていないと母乳を作ることができません。
さらに十分な栄養がとれていない状態で授乳を続けると、お母さんの栄養が不足していくことにもつながります。授乳中は、たんぱく質、鉄分、ビタミン、葉酸、ミネラルなどを付加することが推奨されています。
【授乳婦の食事摂取基準】
栄養素 | 推奨量 |
---|---|
エネルギー(kcal /日) | +350 |
タンパク質(g /日) | +20 |
ビタミンA(μg RAE /日) | +450 |
ビタミンB1(mg /日) | +0.2 |
ビタミンB2(mg /日) | +0.6 |
ナイアシン(mg NE /日) | +3 |
ビタミンB6(mg /日) | +0.3 |
ビタミンB12(μg /日) | +0.8 |
葉酸(μg /日) | +100 |
ビタミンC(mg /日) | +45 |
鉄(mg /日) | +2.5 |
亜鉛(mg /日) | +4 |
ヨウ素(μg /日) | +140 |
セレン(μg /日) | +20 |
母体の貧血
出産後のお母さんのマイナートラブルのうちのひとつに貧血があります。
妊娠中に血液が薄まることやお産のときの出血、そして産後しばらく続く悪露の影響、授乳により赤ちゃんに母乳をあげることにより貧血になることが少なくありません。お母さんの貧血が進むと、母乳の分泌が減ってしまいます。(※2)
母乳不足感
産後間もない時期は、おっぱいホルモンが安定していない影響でおっぱいの張りを感じます。そして、赤ちゃんに吸ってもらうことにより、その張り感が楽になります。
しかし、おっぱいホルモンが安定してくると、おっぱいの張りを感じることが無くなってきます。おっぱいの張りを感じなくなると「母乳が出なくなった」と感じることもありますが、「おっぱいの張り=おっぱいの分泌」ではないということを知っておきましょう。
乳腺炎
乳腺炎は、おっぱいトラブルのうちのひとつで、乳腺に炎症が起こっている状態をいいます。
乳腺炎には大きく分けて2種類あり、母乳を十分に出していないことで起こる「うっ帯性乳腺炎」と、おっぱいの先の小さな傷などから細菌が入り感染を起こす「化膿性乳腺炎」があります。
乳腺に炎症が起こったり、乳腺や乳管口(母乳の出口)が詰まってしまったりすると、おっぱいの分泌は減ってしまいます。
以下のような症状がある場合は乳腺炎かもしれません。すぐに産院に相談しましょう。
【乳腺炎の症状】
- おっぱいにしこりがある
- おっぱいに赤みがある
- おっぱいが熱い
- おっぱいに痛みがある
- 発熱している
- 頭痛や関節痛などの症状がある
今すぐできる!母乳が出ないときの対処法
母乳が出ない理由はさまざまですが、母乳育児で大切なのは母子ともに苦痛でないことです。
お母さんがつらいときや痛みがあるとき、上手にくわえさせることができないときは以下のような方法を試してみても良いでしょう。
授乳補助具を使ってみる
赤ちゃんは、自分の舌を乳輪や乳頭に絡めておっぱいを吸います。そのため、赤ちゃんにとって吸いやすいおっぱいであるためには、ある程度の柔らかさや長さが必要です。
乳輪や乳頭が硬くて伸びが悪かったり、長さが短くて舌が絡まないと上手に吸い付くことができなかったり、強い痛みを伴うことがあります。そのような時には授乳補助具を使用してみても良いでしょう。
乳頭吸引器
乳頭が短かったり凹んでいる方におすすめの補助具。乳頭を吸引することで、乳頭の形を整えたり伸ばしたりする役割をしてくれます。妊娠中から使用することができます。
乳頭保護具
乳頭の形状により赤ちゃんの舌が上手に絡まない時や、授乳中に痛みを感じる時に使用することができるカバー。
カバーごと授乳し、赤ちゃんの吸う力が加わることで乳頭の形状が吸いやすい形に変化してくることもあります。また、カバーがあることで痛みを軽減してくれる役割も果たしてくれます。
搾乳器
赤ちゃんに直接授乳できない時に使用する補助具。搾乳機により刺激を与えることで、分泌を維持したり促進したりしてくれる役割があります。
搾乳機によってとれた母乳は、哺乳瓶であげるほか、母乳パックに入れて保管することもできます。
母乳外来へ相談
おっぱいのトラブルや授乳に関するトラブルは専門家に相談するのが一番です。実際におっぱいの状態や赤ちゃんの吸い方をみてもらい、適切なケアや指導を受けましょう。
出産した産院や、地域で母乳外来をしている助産師に相談してみるのがおすすめです。
ミルクを与える
母乳が出ないときや足りないときは、ミルクを与えて赤ちゃんの栄養や水分を補給しましょう。
母乳が足りているかどうかは、赤ちゃんの睡眠やうんちやおしっこなどの排泄の量、回数、形状、色などが目安になります。
【母乳が足りているサイン】
- 授乳中にゴクゴク音が聞こえる
- おしっこが1日に5〜6回しっかりと出ている
- おしっこの色が薄く、臭いが強くない
- うんちが1日に2〜5回、もしくは1回たっぷりと出ている
- うんちが硬くなく、黄色い色をしている
- 体重や身長の増加が順調
- 機嫌がよく、よく眠っている
母乳が足りている、よく出る人の特徴については、こちらの記事もあわせてチェックしてくださいね。▼
母乳がよく出る人の特徴は?母乳の量を増やすためにできることを紹介
自分は母乳が出るのか、今後出るようになるのか気になる方もいるでしょう。母乳がよく出る人の特徴と、母乳の量を増やすためにできることを助産師が徹底的に解説します。
母乳復活のためにできること5選
最後は母乳の分泌量アップのためにできることを紹介します。母乳育児を頑張りたいお母さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自分の休息を優先させる
母乳の分泌はホルモンが大きく関係しています。そして、ホルモンバランスと自律神経には切っても切り離せない関係があります。
自律神経は、ストレスや疲労、睡眠により乱れてしまいます。産後は特にホルモンのバランスが乱れやすい時期です。
ストレスを感じていたり、疲れがとれない、睡眠がとれていなかったりという時には周りにサポートを得て、自分自身の休息を優先させましょう。周りに頼ることができないときには、社会資源を活用するのもおすすめです。
適切な食事と水分を摂る
母乳の原料のうちのひとつは、お母さんが摂る食事や水分などの栄養です。母乳の分泌のアップのためには自分自身の食事を見直すことも大切です。
料理をする際には、「ま、ご、わ(は)、や、さ、し、い」をヒントに、食材をバランス良く取り入れてみましょう。
ま:豆類
ご:ごまなどの種子類
わ:わかめなどの海藻類
は:発酵食品
や:野菜
さ:魚介類
し:椎茸などのきのこ類
い:芋類
栄養のバランスを考えながら料理をする余裕がないときには、授乳の時期に必要な栄養成分が含まれているサプリメントを使うというのも一つの手です。
体調不良や栄養が足りていない状態で授乳を続けるのは、お母さんにも赤ちゃんにも悪影響。母乳による授乳で、一番大切なのは無理なく楽しみながら続けることです。
そのためには、まずはお母さん自身のこころとからだが元気であるということがいちばん!
授乳期専用のサプリメント「mamaco」は授乳期に必要な栄養素がたっぷり含まれているほか、疲れを癒してくれる和漢成分も同時に摂れるのが特徴です。
栄養たっぷりの母乳のためにも、お母さん自身のこころとからだの健康のためにも、必要な栄養素がたくさん含まれていて、元気に授乳を続けるためのお供にぴったりです!
赤ちゃんのためにも元気でいたい!というママは、ぜひ今から始めてみてくださいね。
授乳方法の見直し
授乳回数が少ない場合や授乳姿勢が難しい、もしくは痛みがある場合、もしかしたら適切な授乳ができていないのかもしれません。赤ちゃんが上手にくわえることができているかチェックしてみましょう。
また、授乳回数はいくら多くても大丈夫です。正しいくわえ方で頻回に吸ってもらうことでおっぱいホルモンの分泌が促進されます。
【効果的にくわえることができているサイン】
- 赤ちゃんの首が耳と肩と腰と一直線になっている
- 口が大きく開いている
- くちびるが外向きに広がっている
- 下顎がおっぱいに付いている
- 非対称にくわえている(赤ちゃんの口の上側の乳輪が多く見えている)
- 吸っている時に下顎がしっかりと動いている
カラダの循環を良くする
おっぱいの分泌のためには、原料となる血液の巡りが良い状態であることもとても大切です。冷えや凝りがあると、血液の流れが滞ってしまいます。
特に無理な授乳姿勢が続くと、肩こりや首こりの原因になります。肩や首の凝りを感じるときにはストレッチしたり肩を回したりして凝りをほぐしましょう。ホットパックなどを使って温めるのもおすすめです。
冷えを感じるときには、足湯やレッグウォーマーを活用しましょう。また、体を温めてくれる飲み物や食事を摂るのも良いでしょう。
体をあたためる飲み物
- ハーブティー
- ごぼう茶
また、授乳期におすすめのサプリメントmamacoには、高麗人参、たんぽぽ、なつめなどの和漢成分が含まれています。
これらの和漢成分は疲れをケアするだけでなく、体をあたためたり、巡りをよくしてくれたりする働きがあります。体の循環をサポートする飲み物や食べ物とともに、ぜひ取り入れてみましょう。
乳腺炎のケア
乳腺炎の症状があるときには、乳腺炎を治すことがおっぱいの分泌に繋がります。うっ滞性乳腺炎の場合は、たまったおっぱいを出すことが1番の治療になります。
授乳時間が空いたり、いつもに比べてあまり吸ってくれなかったことが原因で症状が起こっている場合には、赤ちゃんにしっかり吸ってもらいましょう。
感染が起こっている場合は、適切なケアや治療が必要になることもあります。乳腺炎かな?と思ったら、産院に相談して専門家から適切な指導を受けるのが良いでしょう。
退院後の疲れや赤ちゃんのことで困ったときには「産後ケア」という選択もあります。産後ケアに関する記事はこちらをチェック!▼
産後ケアはママの強い味方!サポートの種類や自分でできるケアも
出産後のママと赤ちゃんをサポートしてくれる「産後ケア」。健康チェックや育児相談、赤ちゃんの預かりなどを行ってくれる、ママにとってとても心強いサービスです。今回は、さまざまな産後ケアについてご紹介します。
母乳分泌のしくみを知り、自分に合ったケアをしよう
おっぱいが出ない理由は人によって異なります。しかし、知っておきたいのは、おっぱいの原料は血液とホルモンだということです。
おっぱいの適切な分泌のためには、原料である血液が栄養たっぷりでしっかりと循環していることと、おっぱいのホルモンがしっかりと分泌される状態にすることが大切です。
そして、産後のお母さんはホルモンが乱れやすく、サポートがないと自分のことを後回しにしてしまう方も少なくありません。
心身共に元気な状態で母乳育児をするためには、自分の疲れを上手に癒しながら、必要な栄養をとることも忘れないようにしましょう。
授乳期のお母さんにおすすめのサプリメントがmamacoです。mamacoは、授乳期の良質な母乳をつくるための栄養素のほか、産後のお母さんの疲れを癒してくれる高麗人参やナツメ、生姜などの和漢成分も含まれています。
また無添加なので、授乳の時期でも不安なく取り入れやすいのもポイントです。赤ちゃんのお世話で余裕がないときでも、サプリメントなら手軽に母乳のための栄養をとることができるというのも良いところですね。
授乳期の心配ごとを軽くするお守りとして、ぜひ今から飲み始めてみてくださいね。
参考文献:
(※1)https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
(※2)https://cir.nii.ac.jp/crid/1571980076736473472
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