更新日:2024/9/17
黄体期とは?助産師が解説する症状や妊娠との関係
妊娠と切っても切り離せない月経周期。月経周期には、卵胞期、排卵期、黄体期があります。そして、それぞれの時期に特徴や役割があります。
この記事では、月経周期の中の「黄体期(おうたいき)」について解説していきます。
黄体期の特徴や妊娠との関係について知り、これから妊活を始めるあなたの参考になれば嬉しいです。
この記事に登場する専門家
助産師ライター かなえ
現役助産師ライター。
助産師免許取得後、助産師外来や院内助産を経験し、現在はフリースタイル出産を取り扱うクリニックで勤務。また、地域の学校や親子向けに性教育のおはなし会を開催。
【資格】
・看護師
・助産師
・保健師
・新生児蘇生法インストラクター
黄体期とはいつ?
黄体期とは、排卵後から生理が始まるまでの時期のことを言います。妊活中の方なら、生理がくるかどうかそわそわしながら過ごしている方もいると思います。
黄体期は、排卵後の妊娠を維持するための期間です。PMS(月経前症候群)により心身に不調を感じる方も少なくないでしょう。しかし、これは妊娠に備えたからだの準備やホルモンの変化に伴う症状でもあります。
まずは、黄体期を含めた月経周期全体について知っていきましょう。
月経周期のキホン
月経周期とは、生理が始まった日から次の生理が始まる前日までのことを言います。生理が始まった日を1日目として、次の生理が始まるのが25〜38日目という周期が正常です。
月経周期は「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の3つの段階に分かれており、主にエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが大きく関わっています。
卵胞期
卵胞という卵子が入った袋と卵子が成長する時期。卵胞の大きさは、排卵前には18〜20mmまで大きくなります。
卵胞からは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が分泌され、子宮内膜を厚くして妊娠に備えます。
【エストロゲンのはたらき】
- 女性らしいからだをつくる
- コラーゲン産生をうながし、美肌をつくる
- 血管、骨、関節、脳などの健康を保つ
排卵期
大きくなった卵胞から排卵が起こります。
排卵は、48時間くらい起こるLHサージという黄体形成ホルモンの急激な上昇から34〜36時間後に起こります(LHサージのピークからは10〜12時間後)。
エストロゲンは排卵のときにピークとなり、その後低下していきます。
黄体期
排卵後に残った袋が黄体という物質に変化します。その後妊娠が成立しなければ、黄体は退縮していきます。
黄体期の期間は変動が少なく14日程度です。黄体からは「プロゲステロン (黄体ホルモン)」が分泌され、排卵後の6〜8日後にピークとなります。
プロゲステロンは、受精卵が着床しやすいように基礎体温を上昇させ、子宮内膜を安定させる働きがあります。
【プロゲステロンのはたらき】
- 水分や栄養を溜め込み妊娠を維持する
- 体温を上げる
- 食欲を増す
黄体期に起こる症状
黄体期に起こる症状は、黄体から分泌されるプロゲステロンによるはたらきに伴うものです。プロゲステロンは妊娠を維持させるホルモン。
黄体期には、心身にどのような症状が起こるのかチェックしていきましょう。
基礎体温が上がる
基礎体温とは、生命を維持するのに必要最小限のエネルギーしか消費していない安静状態の時の体温のこと。通常目が覚めて寝たままの状態で、舌下で測った体温のことを指します。
黄体期には、プロゲステロンが脳の体温中枢に作用することで、基礎体温が0.3〜0.5度上昇します。
子宮内膜が変化する
子宮内膜とは、子宮の内側を覆っている粘膜のことを言います。
子宮内膜の厚みは、着床と大きな関係があり、子宮内膜が厚いほど妊娠率が上がり、反対に子宮内膜が薄いと妊娠率が下がる傾向があります。一般的には8mm以上が望ましいとされています。
プロゲステロンには、エストロゲンのはたらきにより厚くなった子宮内膜の状態を変化させ、着床しやすい状態にする役割があります。
からだに起こりやすい4つの変化
黄体期に分泌されるプロゲステロンは心身にも影響を与えます。このプロゲステロンによる不快症状が強く日常生活に支障をきたす場合、PMS(月経前症候群)と呼ばれます。
胸の張り
プロゲステロンは、乳腺や乳管の成長を促します。また、胸に水分をため込む働きから、乳房に張りや痛みを感じることも。
月経開始前に症状が強くなることが多く、月経開始とともに軽減していきます。
むくみ
プロゲステロンは、からだに水分をため込む働きがあります。そのため、むくみが強い場合には、体重が増えたりすることも。
また、むくみは腸などの内臓にも影響するため、腸の動きが緩やかになり便秘になりやすくなるほか、ガスがたまりやすくなったり、お腹の張りを感じることもあります。
おりものの変化
おりものと呼ばれる膣分泌液には常在菌が存在しており、膣を弱酸性に保ち、雑菌の増殖を防ぐ役割をしています。それ以外にも、おりものはさまざまな役割を担っており、月経周期により状態が変化します。
排卵期のおりものは、精子の通過を助けるために透明で粘り気がありのびる状態になります。
黄体期では、精子を通過させる役割はなくなるため、白濁した状態で粘度が強くベタベタとした状態になります。下着につくと、白っぽく見えたり薄い黄色のように見えたりします。
感情の変化
黄体期は、エストロゲンとプロゲステロンが急激に変化することと、精神状態を落ち着かせる働きを持つセロトニンの分泌が抑制されます。そのため、感情が不安定になりやすい時期です。
感情の変化には個人差があり、イライラ、怒りっぽくなる、不安定、抑うつ、涙もろくなる、気分の浮き沈みなどさまざまです。
自分の黄体期を知る方法
排卵が起こらなければ黄体期には移行しません。そのため、黄体期は妊活中の方にとって、とても大切な時期です。
自分の月経周期の中で、正常に卵胞が育ち、排卵が起こり、黄体期に移行しているかどうか知ることは、妊活の基本と言っても過言ではありません。
黄体期を知るためには、自分でチェックできることと、医療機関での診察が必要なものがあります。ここでは、黄体期を知る方法を紹介します。
基礎体温を測る
月経周期を通して基礎体温をつけることで、黄体期が正常かどうか知るヒントになります。
正常であれば、排卵後に基礎体温が上昇し高温期が14日程度続きます。基礎体温表やアプリなどを使用してグラフにすることで、体温が2層になっているか知ることができます。
高温の時期が短かったり、2層になっていなかったりする場合は、黄体機能不全といい卵巣や子宮の働きが低下していることが予測されます。
黄体機能が低下していると、基礎体温が十分に上がらず子宮内膜が厚くならないため、不妊の原因になってしまいます。
基礎体温は正しく測ることがとても大切です。基礎体温の測り方は以下の記事でチェックしてくださいね!▼
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排卵をチェックする
黄体とは、排卵が起こった後の卵子が入っていた袋のことをいいます。そのため、黄体期が正常かどうか知るためには、排卵がきちんと起こっているか知ることも大切です。
最も確実に排卵が起こっているか知るための方法は、卵胞の状態や子宮内膜の状態を産婦人科でチェックしてもらうことです。
自分で行うことができる方法は、排卵検査薬を使用して尿検査でチェックすることです。排卵検査薬は、排卵が起きる前に分泌されるLHというホルモンが検出されるか否かを知ることができます。排卵検査薬が陽性になれば、きちんと排卵が起こっていることが予測できます。
黄体機能検査を受ける
黄体機能検査は、黄体期に採血を行いプロゲステロンの値を検査するものです。実際の数値をみることで、プロゲステロンの分泌が正常かどうかを判断します。排卵から1週間後くらいに受けるのが良いとされています。
黄体機能が正常でない場合、受精卵が着床する子宮内膜が十分厚くなりません。そのため、受精しても着床が起こらなかったり、着床しても流産してしまったりします。結果として、不妊症や不育症の原因となることも。
黄体機能不全は、加齢や甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、肥満、摂食障害、過度な運動などがリスクとなります。
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妊活に欠かせない月経周期を整えるポイント
妊活のためには、まず自分自身の月経周期を知ることが重要です。そして、月経周期が乱れないような生活を心がけましょう。
また、それと同時に妊娠に向けてのからだ作りを意識することも必要です。ここでチェックしていきましょう。
適正体重を目指そう
体重が少なすぎても重すぎても、ホルモンバランスの乱れや月経不順の原因となることが分かっています。まずはBMIを計算して、自分自身の体重が標準かどうかチェックしてみましょう。
◆BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
- BMI<18.5:やせ
- 18.5≦BMI:標準
- 25≦BMI<30:肥満1度
- BMI≧30:肥満2度以上
標準でない場合は、食事内容や運動など生活習慣を見直すところから始めてみるのがおすすめです。
こちらは妊娠中の体重増加に関する記事ですが、適正体重についても触れているので参考にしてみてくださいね!▼
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からだを整える食事
食事は私たちのからだをつくる上でなくてはならないものです。健康的なからだのためには、健康的な食事を摂りましょう。
3食規則正しく、バランスよく栄養を摂ることが大切です。加工食品やレトルト食品、出来合いのものはできるだけ控えるのが良いでしょう。
また、食べ物を選ぶときには「ま、ご、わ、は、や、さ、し、い」をヒントにしてみてくださいね。
適度な運動
運動が健康のために良いことは知られていますが、妊活をする上でも大切です。運動は筋肉量の増加や血流のアップを促し、心身共に良い影響があります。
妊活のためのからだづくりのためには、1週間に150分程度の運動が良いとされています。運動習慣のない方は、意識して動いたり歩いたりすることから始めてみましょう。慣れてきたら、自宅でできるストレッチやヨガなどを習慣にするのも良いでしょう。
YouTubeなどでお気に入りのインストラクターが見つかると続けやすいかもしれませんね!
質の良い睡眠
私たちの心身の健康の維持のためには、睡眠は欠かせません。寝ている間は、さまざまなホルモンが分泌されたり細胞の修復が行われたりしています。
それだけでなく、睡眠はホルモンの調整にも大きく関わっています。そのため、睡眠不足が続くと月経周期にも変化が起こってしまいます。
それ以外にも、血糖値をコントロールするインスリンを始めとするホルモンの分泌に異常をきたし、糖尿病や肥満のリスクが高くなることも。さらに、睡眠不足は腸内環境を悪化させ、消化吸収はもちろん、免疫力の低下やメンタルヘルスの不調も招きかねません。
睡眠の質を良くするためには、起きて朝日を浴びることや、寝る前のブルーライトを避けることを心がけましょう。
ストレスケア
ストレス過多な状態は、ホルモンバランスを崩してしまう原因となります。ストレスを感じたときに分泌されるコルチゾールは、月経不順や無月経を引き起こすことがあります。
まずは、自分自身がどのようなときにストレスを感じるのか目を向けてみましょう。
また、どのようなときにリラックスでき、リフレッシュできるのかも意識してみましょう。研究によると、深い腹式呼吸や涙を流すとストレスホルモンが軽減されることが分かっています。ストレスを感じたときにはぜひ試してみてくださいね。
サプリメントの活用
栄養不足も月経不順の原因のひとつです。妊娠に向けたからだ作りでは、タンパク質、カルシウム、鉄分、葉酸、ビタミンB群、ビタミンDなどの摂取がすすめられています。
しかし、たくさんの栄養素を普段の食事で全て補うのは簡単なことではありません。
そこで、妊活中に必要な栄養素の摂取には、食事に加えてサプリメントを活用するのがおすすめです。
妊活中の方におすすめなのが、妊活期の女性専用に作られた「mitas(ミタス)」です。mitasには、妊娠に向けたからだ作りに欠かせないこれらの成分がオールインワンで含まれています。
赤ちゃんの生まれつきの病気を予防する葉酸や受精卵の着床を助けるビタミンD、子宮内環境を改善するラクトバチルスを含む乳酸菌を始めとする、厚生労働省が推奨する各栄養素をしっかりと配合。
また、妊活の大敵である冷えにアプローチする温活効果のある和漢成分も含まれています。
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妊活サプリの必要性や選び方に疑問や不安がある方は、こちらの記事も参考にしてくださいね。▼
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黄体期のしくみを知って妊活の準備を始めよう
妊活をすすめるにあたって、自分のからだの状態や月経周期などを知ることはとても大切なことです。
そして、妊娠のためのからだ作りは短期間で完了するものではありません。長く付き合っていく自分のからだや、赤ちゃんを育むための子宮や卵巣だからこそ、丁寧に大切に整えていくことが重要です。
まずは卵巣や子宮の状態を知るところから始めましょう。そして、赤ちゃんがすくすくと育っていくことができるからだ作りのためには、生活習慣を整えていくことも大切です。
また、妊活の時期に必要な栄養素をしっかりと摂るためには、サプリメントも上手に活用しましょう。
健やかなからだの状態を保つためには、毎日の小さな積み重ねが必要。食事・運動・睡眠などの生活習慣をガラッと変えるのは難しくても、「サプリメントを摂るくらいであればすぐに始められそう!」ですよね。
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参考資料:
MSDマニュアルプロフェッショナル版 女性の生殖内分泌学
Action2 生活を整えよう | プレコンノート | 国立成育医療研究センター
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