2026-03-31
【看護師監修】血管性認知症の余命はどのくらい?特徴的な症状・初期症状からわかる進行段階と今できること
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「血管性認知症と診断されたけれど、余命はどのくらい?」
「血管性認知症ってどんなふうに進行するの?進行を遅らせる方法を知りたい」
このような不安を抱えていませんか。
血管性認知症の余命は、平均年数だけで決まるものではありません。脳梗塞や脳出血の既往、年齢、体力、持病、生活環境などによって大きく異なります。
また、血管性認知症は、症状の出方や進行のしかたに特徴があるため、初期症状や経過を知ることが、今後を考えるうえで大切です。
この記事では、血管性認知症の余命の目安、特徴的な症状、初期症状、進行段階、余命や進行に影響する要因、そして今からできることをわかりやすく解説します。
目次
- 血管性認知症の余命はどのくらい?
- 血管性認知症の平均余命の目安
- 「平均=自分」ではない理由
- 余命よりも大切な考え方
- 余命を左右する血管性認知症の特徴
- なぜ血管性認知症は余命が短くなりやすいと言われるのか
- アルツハイマー病との違い
- 血管性認知症の特徴的な症状
- 認知機能にあらわれる症状
- 血管性認知症に特徴的な身体症状
- 症状に波がある理由
- 血管性認知症の初期症状【見逃されやすいサイン】
- 本人が感じやすい初期症状
- 家族が気づきやすい初期症状
- 初期症状の段階で大切なこと
- 症状のあらわれ方と進行段階
- 余命や進行に影響する要因
- 自分では変えにくい要因
- 自分で対処できる要因
- 血管性認知症の進行を遅らせるために今からできること
- 血管を健やかに保つ治療を続けることが重要
- 健康的な生活習慣を身につける
- 血管性認知症の余命と向き合い生活習慣を見直そう
この記事に登場する専門家

看護師ライター
桑鶴えみ
- 看護師
- 保健師
- 臨床心理士
血管性認知症の余命はどのくらい?
血管性認知症の余命は個人差が大きく、平均年数だけでは判断できません。
ここでは、血管性認知症の余命について解説します。
血管性認知症の平均余命の目安
血管性認知症の余命は、平均約5年前後とされることがありますが、これは複数の患者さんのデータをもとにした参考値にすぎません。
実際には、脳梗塞や脳出血の再発の有無、高血圧や糖尿病、心疾患などの合併、年齢、身体機能の状態によって経過は大きく変わります。
男性と女性で差が出るとされることもありますが、それ以上に個人差が大きいのが実情です。平均余命は一つの参考情報として受け止めることが大切です。
「平均=自分」ではない理由
平均余命は集団の傾向を示す数字であり、個人の将来をそのままあらわすものではありません。
血管性認知症では、診断された時期、障害された脳の部位、年齢、体力、持病の有無、介護や見守りの体制などによって経過が異なります。早めに異変に気づき、治療や生活の見直しにつながるケースもあります。
平均余命の数字だけを見て不安を強めるのではなく、今の体調や生活状況を主治医に伝えて、確認することが大切です。
余命よりも大切な考え方
血管性認知症では、余命の長さだけでなく、どう過ごすかを考えることが大切です。
平均余命は気になるものですが、実際の生活では、症状とうまく付き合いながら安心して過ごせる環境を整えることのほうが重要になる場面も少なくありません。
早めに変化へ気づき、医療や支援につながり、生活習慣を見直すことで、日々の過ごしやすさは変わります。余命は決まった未来ではなく、これからの暮らしを考えるための手がかりと捉えるとよいでしょう。
余命を左右する血管性認知症の特徴
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血のような脳の血管障害が関係して起こる認知症です。そのため、症状の進み方や余命には、脳の状態だけでなく全身の健康状態も影響しやすいと考えられています。
また、アルツハイマー病とは異なる特徴があるため、その違いを知ることが今後の経過を理解する手がかりになります。
なぜ血管性認知症は余命が短くなりやすいと言われるのか
血管性認知症の余命が短いと言われるのは、認知機能の低下だけでなく、脳や全身の血管トラブルが重なりやすいためです。
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を背景に発症します。そのため、高血圧や糖尿病、心疾患などを併せ持つことも多く、再び脳血管障害が起こるリスクにも注意が必要です。
アルツハイマー病との違い
血管性認知症は、アルツハイマー病よりも段階的に進行しやすく、身体症状が出やすい傾向があります。
アルツハイマー病はゆるやかに進むことが多い一方、血管性認知症では脳梗塞や脳出血をきっかけに、ある時点で急にできないことが増える方が多く見受けられます。
また、歩行障害や片麻痺、排尿トラブルなどの身体症状があらわれやすいのも特徴です。物忘れだけでなく、身体機能の変化にも注意が必要です。
血管性認知症の特徴的な症状

血管性認知症では、物忘れだけでなく、判断力の低下や歩行障害などがあらわれることがあります。認知機能の変化と身体症状の両方に目を向けることが重要です。
ここでは、血管性認知症の特徴的な症状について解説します。
認知機能にあらわれる症状
血管性認知症では、物忘れよりも意欲低下や判断力の低下、段取りの悪さが目立つことがあります。
例えば、以下のような症状です。
- 1自分から動こうとしない
- 2考えるのに時間がかかる
- 3家事や仕事の手順がうまく組み立てられない
- 4注意が続かない
以前より複数の作業を同時にこなせなくなったり、一つのことに時間がかかったりするのも特徴です。
初期には「年齢のせい」と見過ごされることもありますが、日常の小さな変化が手がかりになることがあります。
血管性認知症に特徴的な身体症状
血管性認知症では、脳の血管障害の影響により、以下の特徴的な身体症状があらわれます。
- 1歩行障害・手足の動かしにくさ
- 2片麻痺
- 3排尿トラブル(頻尿や尿失禁など)
- 4ふらつきや転びやすさ
認知機能の低下に加えて身体症状が重なることで、生活上の困りごとが早い段階から増えやすいのが特徴です。
症状に波がある理由
血管性認知症では、保たれている機能と低下しやすい機能に差があるため、症状に波があるように見えます。
また、血管性認知症は「あることはしっかりできるのに、別のことは難しい」というように症状の出方がまだらなことから、「まだら認知症」という名前で呼ばれることもあります。
これは、脳のどこに血管障害が起きたかによって影響を受ける機能が異なるためです。そのため、周囲からは「昨日はできたのに今日は難しい」と見えることがあり、進行に気づくのが遅くなる場合もあります。
血管性認知症の初期症状【見逃されやすいサイン】

血管性認知症の初期症状は、はっきりした物忘れよりも、疲れやすさや作業のしにくさとしてあらわれることがあります。本人も家族も気づきにくいため、早めに変化を捉えることが大切です。
ここでは、血管性認知症の初期症状について見逃されやすいサインを中心に紹介します。
本人が感じやすい初期症状

本人が感じやすい初期症状には、以下のようなものがあります。
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
- 以前より頭がすっきりしない
- 考えをまとめるのに時間がかかる
- 一つの作業を終えるまでに時間がかかる
- 何となくやる気が出ない
- 外出や会話が面倒に感じる
このような初期症状は、加齢や疲労と混同されやすいため、続くときは注意が必要です。
家族が気づきやすい初期症状
家族が気づきやすい初期症状は、以下の通りです。
- 家事や仕事のミスの増加
- 以前より怒りっぽくなった
- 感情の起伏が目立つ
- 段取りが悪くなった
- 以前は問題なくできていたことに時間がかかる
- 同じことで何度もつまずく
- 表情が乏しくなる
「性格が変わった」と感じるような場面の背景に、血管性認知症の初期症状が隠れていることもあります。
初期症状の段階で大切なこと
血管性認知症の初期症状に気づいたら、早めに受診し、生活習慣を見直しましょう。
血管性認知症は、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、高血圧、糖尿病などと深く関わる病気であるため、背景にある病気を確認することが重要です。
また、早めに相談することで、今後の生活や支援の準備もしやすくなります。気になる変化を「年齢のせい」と決めつけず、記録をつけながら受診につなげるとよいでしょう。
症状のあらわれ方と進行段階

血管性認知症は、階段状に進行することが多い認知症です。
つまり、少しずつなだらかに悪化するだけでなく、脳梗塞や脳出血などをきっかけに、ある時点で症状が進んだように見えることがあります。
一方で、その後しばらくは状態が比較的落ち着いて見えることも珍しくありません。ただし、すべての人が典型的な階段状に進行するわけではなく、ゆっくり進むケースもあります。経過には個人差があるため、日々の変化を継続して見ていくことが大切です。
余命や進行に影響する要因
血管性認知症の余命や進行には、変えにくい要因と、自分で対処しやすい要因があります。これらを分けて考えることで、今できる対策が見えやすくなります。
ここでは、余命や進行に影響する要因について解説します。
自分では変えにくい要因

血管性認知症で変えにくい要因は、以下の通りです。
- 1年齢
- 2脳梗塞や脳出血などの病歴
- 3脳梗塞や脳出血の再発の有無
- 4障害された脳の部位
年齢が高いことや、これまでに脳梗塞・脳出血を繰り返していることは、今後の経過に影響しやすい要因です。また、脳のどこに障害が起きたかによって、あらわれる症状や生活への影響の出方も異なります。
こうした条件そのものを変えることは難しいため、現状を踏まえて安全に過ごせる方法を考えることが大切です。
自分で対処できる要因
血管性認知症で自分で対処しやすい要因は、高血圧や糖尿病の管理、運動、睡眠、食生活などです。
生活習慣病の管理は、再発予防の観点でも重要です。また、無理のない運動や規則正しい生活、栄養バランスの良い食事、人との関わりを保つことは、日々の生活を整えるうえで役立ちます。すぐに大きく変える必要はありませんが、続けやすい形で少しずつ見直すことが大切です。
血管性認知症の進行を遅らせるために今からできること
血管性認知症では、治療の継続と生活習慣の見直しが重要です。
ここでは、血管性認知症の進行を遅らせるために今からできることを紹介します。
血管を健やかに保つ治療を続けることが重要

血管性認知症では、通院や服薬を継続し、自己判断で治療を中断しないことが大切です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動などの管理は、脳血管障害の再発予防にも関わります。薬を飲み忘れたり、症状がないからと自己判断で中止したりすると、リスクが高まるため注意が必要です。
不安や疑問があるときは治療を中断するのではなく、主治医へ相談しましょう。
健康的な生活習慣を身につける
血管性認知症の進行を遅らせるためには、以下のような健康的な生活習慣を身につけることが大切です。
- 散歩や軽い体操などの運動を取り入れる
- 睡眠時間を確保する
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 栄養バランスの良い食事を摂る
- 会話や外出の機会を減らしすぎない
こうした習慣は、特別な治療の代わりになるものではありませんが、日々の体調管理や生活の安定を支える土台になります。続けやすい方法を選ぶことがポイントです。
血管性認知症の余命と向き合い生活習慣を見直そう

血管性認知症の余命は、平均年数だけで決まるものではありません。症状のあらわれ方や進行のしかた、持病の有無、生活習慣、支援体制など、さまざまな要因の影響により変わっていきます。
だからこそ、「あと何年か」という数字だけにとらわれず、血管性認知症の特徴や初期症状を知り、今の生活を見直していくことが大切です。早めに変化へ気づき、医療や周囲の支援につなげることは、ご本人と家族の安心につながります。
できることを一度に変える必要はありません。毎日の過ごし方を少しずつ整えながら、これからの生活と向き合っていきましょう。
この記事に登場する専門家

看護師ライター
桑鶴えみ
- 看護師
- 保健師
- 臨床心理士
現役看護師・臨床心理士ライター。精神科・内科・眼科・皮膚科などの医療機関、心理カウンセラーとして勤務経験があるメンタルヘルスの専門家。医療系のWebライターとして、心理・医療・健康系の記事を多数執筆。論文などから得た確かな情報をもとに、専門用語を多用せず、一般の方にも分かりやすい表現を心がけています。
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