急に目のピントが合わないときに考えられる病気は？セルフケア方法も解説

急に目のピントが合わなくなる原因｜緊急性の高いもの

急に目のピントが合わなくなる症状の中には、一刻も早く眼科を受診すべき危険なケースがあります。突然視界がぼやけたり、激しい痛みを伴ったりする場合は、目の病気が急速に進行しているかもしれません。

これから紹介する病気の可能性がある場合は、迷わず専門医に相談してください。

緑内障（急性緑内障発作）

緑内障は視野が少しずつ欠けていく病気ですが、急激に発症するタイプも存在します。「急性緑内障発作」と呼ばれる状態になると、急に目のピントが合わなくなるだけでなく、激しい目の痛みや頭痛、吐き気といった症状に襲われることがあります。

眼球内の圧力（眼圧）が突然急上昇することで視神経が圧迫されるために起こります。もしこの発作が起きた場合、最悪の場合は数日で失明に至る恐れもあるため、すぐに適切な処置が必要です。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性とは、網膜の中心にある「黄斑（おうはん）」という部分に異常が生じる病気です。黄斑は、カメラでいえばフィルムの真ん中の最も重要な場所です。

加齢黄斑変性はゆっくりと進行することが多いのですが、黄斑部に新しい血管ができて出血を起こすと、状況は一変します。急に目の前が真っ暗になったり、見たい部分のピントが合わなくなったりといった症状が突然現れるのです。

「なんとなく見えにくい」ではなく、「見ようとする中心部分だけが急に見えない」という場合は、この病気を疑う必要があります。

網膜剥離

網膜剥離は、眼球の内側にある網膜が壁から剥がれてしまう病気で、緊急の手術が必要になることが多い疾患です。

剥がれた部分の網膜は栄養を受け取れなくなるため、時間が経つほどに機能が失われていきます。初期症状として、目の前を小さなゴミが飛んでいるように見える「飛蚊症」が増えたり、光が走る「光視症」を感じたりすることがあります。

そして症状が進むと、視野の一部がカーテンを引かれたように欠けたり、急に目のピントが合わなくなったりします。

眼底出血

眼底出血とは、目の奥にある網膜の血管が詰まったり切れたりして、眼底で出血が起きている状態のことです。糖尿病や高血圧などの持病がある方に起こりやすいですが、そうでない方でも起こる可能性があります。

出血が網膜の中心部（黄斑）にかかったり、出血量が多くて硝子体（しょうしたい）というゼリー状の組織にまで広がったりすると、急に目のピントが合わなくなったり、視界が真っ赤になったり、霧がかかったように見えたりします。

視神経炎

視神経炎は、目で見た情報を脳へ伝える「視神経」に炎症が起こる病気です。炎症が起きると、信号がうまく脳に届かなくなるため、急に視力が低下したり、視野の中心が見えにくくなったりします。

特徴的なのは、目を動かすと奥のほうに痛みを感じる場合があることです。片目だけに症状が出ることが多いですが、両目に起こることもあります。

原因は不明なことも多いですが、風邪を引いた後や、自己免疫の異常などが関係していると考えられています。

急に目のピントが合わなくなる原因｜緊急性の低いもの

急に目のピントが合わないと感じても、少し様子を見ても大丈夫なケースや、生活習慣を見直すことで改善できる場合も多くあります。

ここでは、緊急性は低いものの、放置するとつらい症状につながる原因について見ていきましょう。

屈折異常や老眼

ものがぼやけて見える原因として最もポピュラーなのが、近視・遠視・乱視といった「屈折異常」です。目に入ってきた光が網膜の上で正しく焦点を結ばないために起こります。

眼鏡やコンタクトレンズの度が合わなくなっている場合、知らず知らずのうちに目に負担をかけ、急に見えにくさを感じることもあるでしょう。若い方ほど進行が早いため、注意が必要です。

そして、加齢と共に直面するのが「老眼」です。これは病気ではなく、加齢に伴う生理現象の一つ。目の中にある水晶体というレンズが硬くなり、ピントを合わせるための筋肉（毛様体筋）の力が衰えることで、近くのものにピントが合いにくくなります。

眼精疲労

眼精疲労は、単なる「目の疲れ」とは少し違います。目を休めれば回復するのがただの疲れ目ですが、眼精疲労は、休息や睡眠をとっても目の痛みや霞み、ピントが合わないといった症状が残り、さらには全身に不調が現れる状態です。

症状が悪化すると、目の奥が痛むだけでなく、頑固な肩こりや頭痛、吐き気、めまい、さらにはイライラや不眠といった自律神経の乱れにまでつながることがあります。

ドライアイ

ドライアイは、涙の量が減ったり、涙の質が変わってバランスが崩れたりすることで、目の表面が乾いてしまう病気です。目が乾くと表面がデコボコになり、急にピントが合わなくなったり、見えにくさを感じたりします。

また、集中して作業をしているときは、まばたきを忘れてしまいがちです。目が乾くと角膜に細かい傷がつきやすくなり、そこから感染症を起こすリスクも高まります。

ストレス

精神的なストレスも、急に目のピントが合わなくなる原因の一つです。ピントを合わせる筋肉や、涙の分泌などは、自分の意思とは関係なく自律神経が自動で調整してくれています。

過度なストレスや不安、睡眠不足などが続くと、自律神経のバランスが崩れ、血管が収縮して血流が悪くなったり、涙の分泌が減ってドライアイが悪化したりします。

また、ピント調節機能そのものが誤作動を起こし、目自体には異常がないのに見えなくなることもあるでしょう。

目のピントが合わないときのセルフケア

仕事が忙しくてすぐに病院へ行けない場合や、明らかな疲れ目が原因だと感じる場合は、まずは自分でできるケアを試してみましょう。目をいたわる習慣をつけることで、つらい症状が楽になることがあります。

具体的な対処法として、以下のようなアクションを取り入れてみてください。

また、パソコン作業などを頻繁に行う方は、作業環境を見直すのもおすすめです。無理な姿勢や暗い部屋での作業は、目への負担を倍増させてしまいます。

これらのケアを行っても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、やはり眼科を受診することをおすすめします。

目のピントが合わない｜改善したい生活習慣

目の健康は、目だけの問題ではなく、体全体の健康状態と深くつながっています。急にピントが合わなくなるような不調を繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。

ここでは、今日から取り入れられる具体的な生活習慣のポイントをご紹介します。

目に良いとされる栄養素を積極的にとる

私たちの体は食べたもので作られており、目も例外ではありません。目の健康を維持し、機能をサポートするためには、特定の栄養素を積極的に食事に取り入れることが有効です。

バランスの良い食事を基本としつつ、以下の成分を意識してみましょう。

これらの栄養素を毎日の食事だけで十分に摂取するのはなかなか大変ですが、意識してメニューに取り入れることで、少しずつ目の体力を底上げしていきましょう。

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十分な睡眠をとる

睡眠中は、目の筋肉（毛様体筋）が緊張から解放され、完全にリラックスできる唯一の時間です。また、寝ている間に傷ついた細胞の修復や、新しい細胞への入れ替わりが行われます。

睡眠不足が続くと、この修復作業が追いつかず、目の疲れが蓄積されることも。

目の健康のためには、毎日6時間から7時間程度の質の良い睡眠を確保するとよいでしょう。

紫外線対策をする

長時間、強い紫外線を浴び続けると、角膜（黒目）が炎症を起こし、急激な目の痛みや充血、涙が止まらない、ピントが合わないといった症状が出ることがあります。

さらに、紫外線は角膜だけでなく、目の奥の水晶体や網膜にもダメージを与え、将来的に白内障や加齢黄斑変性といった病気のリスクを高める要因にもなります。

外出する際は、UVカット機能のついたサングラスや眼鏡をかける、つばの広い帽子をかぶるなどして、物理的に紫外線をカットするのがおすすめです。

急に目のピントが合わなくなったらまずは眼科へ｜セルフケアも意識しよう

急に目のピントが合わなくなる原因は、ただの疲れや老眼といった生理的なものから、緑内障や網膜剥離といった一刻を争う病気までさまざまです。「きっと疲れのせいだろう」と自己判断してしまうのは危険な場合もあります。

特に、急激な視力低下、激しい痛み、視野の欠けなどを伴う場合は、迷わず眼科を受診してください。早期発見ができれば、それだけ治療の選択肢も広がり、大切な目を守ることができます。

病気ではない場合でも、日々のケアを怠ると眼精疲労やドライアイが悪化し、生活の質を下げてしまいかねません。こまめな休憩、十分な睡眠、そして栄養バランスの取れた食事を意識して、目をいたわる生活を心がけましょう。

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いつまでもクリアな視界で、仕事も趣味も楽しむために、まずは自分にできることから始めてみてくださいね。