更新日:2024/3/28

卵子凍結ってなに?卵子凍結が注目される理由と費用や方法【助産師執筆】

卵子凍結についての説明

不妊治療について調べると「卵子凍結」という言葉を見たことがある方は多いと思います。
不妊治療の技術は日々進歩し、様々な方法での妊娠が増えてきています。

今回は不妊治療の技術の一つである「卵子凍結」について解説していきます。

この記事に登場する専門家

助産師 四辻有希子

大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。
不妊治療から妊婦健診、出産、産後の母乳育児外来まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。

〈資格〉
・助産師、保健師、看護師
・ICLS認定インストラクター
・新生児蘇生法「専門」コース修了
・J-CIMELSインストラクター

卵子凍結とは

卵子凍結とは、加齢などによって卵子の生殖能力が低くなる前に、卵子を卵巣から直接採取し、凍結保存しておくことをいいます。
凍結した卵子は融解することで凍結時の卵子の持つ妊孕力(にんようのう:妊娠できる能力)を保つことができるため、将来の妊娠に備えることができます。

卵子凍結は、あくまでも未受精の卵子を凍結保存しておくことで、受精後の卵子を凍結することを「受精卵凍結」といいます。

受精卵凍結は女性の卵巣から採取した卵子と男性の精子を顕微鏡下で体外受精させて保存しておくことです。

卵子は受精卵と比べると細胞が弱いため、凍結保存し融解したあとの生存率は受精卵の方が高い傾向にあります。


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卵子凍結の目的

卵子凍結を行う理由について解説していきます。

卵子の数は年々減っていく

男性の精子は新しく作られ続けるのに対し、女性の卵子お母さんのお腹の中にいるときに一生分の卵子が卵巣内に存在しているため、新しく作られることはありません

そのため卵子の年齢=自分の年齢となるため、加齢によって卵子の質は低下していきます。

また、うまれてすぐの赤ちゃんだと卵子は数百万子以上あると言われていますが、年齢とともに減少していき、35歳頃には2〜3万個になります。
卵子は月経や排卵の有無に関わらず減っていきます。

卵子凍結卵子を採取したときの年齢の状態の卵子を保存しておくことができるため、将来的に妊娠を検討している人に注目を集めています。

※原始卵胞とは受精可能な成熟卵胞のもととなる卵胞のことをいいます。


妊活をされている方は次の記事も参考にしてみてください!


妊活やること⇒ https://brands.naturaltech.jp/media/mitas-series/columns/ninkatsu-howto


妊活サプリ⇒ https://brands.naturaltech.jp/media/mitas-series/columns/ninkatsu_supplement


妊活食べ物⇒ https://brands.naturaltech.jp/media/mitas-series/columns/ninkatsu-food

卵子凍結の対象者

①年齢制限

決まりがあるわけではありませんが、一般的には卵子凍結保存の対象者は成人女性とされています。
また、40歳以上では卵巣の機能低下のため卵子の質が低下し、受精率や出産率が低くなるため推奨されていません

②医学的適応となる人

なんらかの病気やその治療によって医学的に卵子凍結の必要性があると考えられる場合に適応となります。例えば、癌などの悪性腫瘍の治療をする場合です。

悪性腫瘍の治療は、卵巣機能が低下する可能性があり、妊娠するための力が失われるリスクがあります。
悪性腫瘍の治療後に妊娠を望むときに凍結しておいた卵子を融解して使用します。


③社会的適応となる人

社会的要因によって卵子凍結の必要性があると考えられる場合に適応となります。
現代の日本では女性の社会進出やキャリアアップが進み、妊娠・出産の時期が高齢化してきています。

今は妊娠は考えていないけれど、将来的には妊娠したいと考える方の中には、若いうちに卵子を凍結保存しておこうと考える人もいます。

卵子凍結の方法

ここでは卵子凍結はどのようにやるのか、多くの病院・クリニックが取り入れている方法を解説していきます。

①排卵誘発(卵巣刺激)

卵子凍結をする際にはほとんどの病院・クリニックが「排卵誘発」を行います。

通常健康な女性の卵巣の中で、排卵するほどまで育つ卵胞が作られる数は数個程度しかありません。

そのため1回の処置で効率よく卵子を採取するために排卵誘発を行い、複数の卵子が育つように促します。
排卵誘発は内服薬や注射などを使って卵巣を刺激して行います。

②採卵

多くの病院・クリニックでは、膣から針を入れ、直接卵巣に針を穿刺して卵子を採取します。

眠くなる点滴を使って眠っている間に処置をする方法と、局所麻酔を使って覚醒している状態で処置をする方法があります。
日帰りでできる処置です。

③凍結保存

採卵後は胚培養士などによって採取された卵子の状態を確認します。

卵子は成熟した卵子である成熟卵、受精ができない可能性が高い変性卵・未熟卵の大きく3つに分けられます。

成熟卵は凍結でき
ますが、変性卵・未熟卵は凍結できない可能性が高いです。

保存方法は一般的に「ガラス化法」という方法をとります。ガラス化とは、液体が結晶化せずに流動性を持たない状態になることです。

ガラス化するために卵子は液体窒素の中に保存します。



卵子凍結の費用

卵子凍結を行う場合の費用は、行う処置や使用する薬、
病院・クリニックによってとても差があります。
今回は一般的な費用について紹介します。

1回の採卵でかかる費用

事前の検査、排卵誘発、採卵、凍結を合わせただいたいの相場は、1回の採卵ごとに30〜50万円程度といわれています。

取れた卵子の個数によって費用が変動する病院・クリニックもあります。

卵子凍結の維持費

卵子凍結をしている間は、液体窒素の中で管理する必要があります。

多くの病院・クリニックは1年ごとに保管料として2〜5万円程度必要になります。

また、保存している卵子の個数によって変わることもあります。

凍結卵子を融解して使う費用

いざ妊娠を考えるときには、凍結した卵子を融解して顕微鏡下で体外受精を行い、受精卵をある程度のところまで
育てて(胚培養)
から、受精卵を子宮内に戻す処置(胚移植)を行います。

顕微授精の相場は約5〜13万円
胚培養の相場は約5〜11万円で、個数によって変動します。
胚移植の相場は約8万円
です。

卵子凍結の助成金

医学的適応となる卵子凍結の場合には、国から助成金が出ます。

小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業

2022年4月から不妊治療が保険適用となり、社会的適応による卵子凍結についても助成範囲が拡大してきています。

お住まいの地域によっても助成制度は異なりますので、お住まいの地域にご確認ください。

卵子凍結の生存率・受精率・妊娠率

卵子凍結後の卵子の生存率・受精率・妊娠率について紹介します。

35歳までに卵子凍結を行った場合

凍結融解後未受精卵子の生存率:90~97%

受精率:71~79% 

臨床妊娠率:36~61%

(Fertillity steril 2013;99:37-43)

40歳を含む年代で卵子凍結を行った場合

凍結融解後の未受精卵子の生存率:68.6~89.7%

受精率:71.7~85.8% 

臨床妊娠率:10.8~3.3%

(Cil AP, Bang H, Oktay K. Age-specific probability of live birth with oocyte cryopreservation: an individual patient data meta-analysis. Fertil Steril. 2013;100:492–9.)


下記の記事で不妊治療の保険制度についてもまとめてあります↓

https://brands.naturaltech.jp/media/mitas-series/columns/infertilitytreatmentu-insurance

卵子凍結のメリットとデメリット

卵子凍結のメリットとデメリットをまとめていきます。

メリット

卵子凍結のメリットは、自分の若い卵子を保存しておくことができることです。

卵子の年齢=自分の年齢のため、年々卵子の質は低下していきます。採卵して保存しておくことでその卵子は採卵したときの年齢のまま時間を止めておくことができます。

卵子が生存していれば、染色体異常の確率を減らしたり、受精後の経過が順調になりやすい卵子を残しておくことができます。

デメリット

①高額な費用がかかる

上記で紹介した通り、卵子凍結には高額な費用がかかります

1回の処置にかかる費用だけでなく、凍結した卵子を保存している間はずっと保管料がかかり続けます。


②排卵誘発による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがある。

卵子凍結をする際には排卵誘発をすることがほとんどです。その合併症として卵巣刺激症候群(OHSS)というものがあります。

卵巣を無理に刺激することで炎症が起こり、卵巣が腫れたり、腹水がたまったりする病気です。


③採卵処置による合併症のリスクがある。

採卵の処置の際には麻酔薬を使用するので、副作用や麻酔から覚めたあとの吐き気やめまいなどが起きる可能性があります。
まれに呼吸が抑制されたりと重篤な合併症が起きる可能性もあります。

また、一般的には膣から針を入れて卵巣を穿刺するため、出血するリスクを伴います。
まれに処置による感染症を起こす可能性もあります。

④妊娠を確約するものではない

高額な費用をかけて行う卵子凍結ですが、凍結卵子の生存率は100%ではないため、いざ卵子を使うときに使用できないときもあります。

卵子が生存できていたとしても受精・妊娠の可能性は100%ではないため、妊娠を確約するものではありません

 

すぐ妊娠出来る人の特徴はこちらから⇒ https://brands.naturaltech.jp/media/mitas-series/columns/ninkatsu-feature

妊活を視野に入れている方は必要な栄養を取ろう

葉酸サプリの重要性を解説した記事はこちらからご覧ください。↓

https://brands.naturaltech.jp/media/mitas-series/columns/folicacid-earlypregnancy


人間は無意識に自分の生命を維持することを第一優先とします。十分な栄養が行き届かないと、体は自分が危機的状況にさらされていると錯覚してしまいます。

そうなると体は生殖活動をしている場合ではない!となり、子宮や卵巣の機能は低下してしまいます。


手軽に十分な栄養を取るにはサプリメントがおすすめです。中でもmitasには妊活中に取りたい栄養を盛り込んだサプリメントです。

ぜひmitasで妊活中に必要な栄養素を摂取していきましょう。

まとめ

今回は卵子凍結について解説しました。高額な費用がかかる卵子凍結ですが、女性の社会進出やキャリアアップが進んだ現代の日本においては、将来の妊娠に備えて若い卵子を保存しておきたい人も多いと思います。

この記事を読んで卵子凍結についての知識、メリット・デメリットを知り、ご自身に合った選択の参考になれば幸いです。

Q&A

卵子凍結についてよくある質問についてまとめていきます。

卵子凍結っていつまでできるの?

液体窒素の中でガラス化させている凍結卵子は状態を変化させることなく、何十年も保存可能だといわれています。

しかし、卵子を凍結させておくには液体窒素の中で管理する必要があります。多くの病院・クリニックでは更新期間を設けており、1年単位で延長料金を求められることが多いです。

また、45歳以上で凍結卵子を用いて胚移植を行う場合、正常な妊娠経過をたどることが難しくなります。

そのため医師と相談の上、慎重に判断していく必要があります。

引っ越しする場合ってどうなるの?

病院・クリニックによって対応は異なりますが、遠方に引越しをする場合には凍結した卵子を移送することができます。

移送方法や費用などは移送する距離や病院・クリニックによって異なりますので確認しておくと安心です。



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