2024-11-09
ドライアイの治し方とは?原因や放置した場合の症状を詳しく解説
スマートフォンやパソコンの使用頻度が高まっている現代では、目の乾燥を感じる方も多いのではないでしょうか?
ドライアイは目の乾きやゴロゴロ感といった症状だけでなく、放置すると全身の不調につながる恐れがあります。
本記事では、ドライアイの原因や対処法などを詳しく解説しています。
目の乾燥が気になる方は、ぜひご参考ください。
ドライアイとは?
ドライアイとは、目の表面に広がっている涙の層が崩れてしまい、以下のような症状が現れる病気です。
- 目が乾く
- 目がかすむ
- まぶしさを感じる
- 目が痛い
- 目がゴロゴロする
- 目やにが出る
- 涙が出る
日本眼科学会の調査によると、日本では約2200万人の患者がいるとされています。
「油層」と「液層」から構成されている涙の膜は基本的に崩れませんが、さまざまな原因により崩れると、ドライアイの症状につながります。
ドライアイに発展する4つの原因
ドライアイを引き起こす原因は主に4つです。
ドライアイが気になっている方は、詳しく見ていきましょう。
空気が乾燥している
乾燥した空気は目の表面から水分を奪うため、目の表面が乾きやすくなり、ドライアイにつながりやすくなります。
特に以下のような環境では、空気が乾燥しやすくなるため注意が必要です。
- 空気が乾燥しやすい冬の既設
- 冷暖房を問わずエアコンを使用している室内など
空気の乾燥を防ぐには、加湿器の使用がおすすめです。
また、エアコンの風が直接目に当たらないように、座る位置や風向きなどを工夫しましょう。
定期的に窓を開けて換気することも大切です。
まばたきが不完全または少ない
まばたきは、目の表面に涙を均一に広げる重要な役割を果たします。
通常の状態では1分間に20~30回程度まばたきを行いますが、パソコンやスマートフォンの画面を見るときは1/3ほどに減少するといわれています。
近年、VDT(Visual Display Terminals syndrome)作業によるドライアイの増加が報告されています。
パソコンやスマートフォンを見るときはまばたきの回数を意識的に増やし、長時間の使用は控えましょう。
コンタクトレンズを装着している
コンタクトレンズには水を弾く性質があり、目の表面が乾燥しやすくなるためドライアイの原因につながります。
特に、コンタクトレンズが汚れている場合は水を弾きやすくなるため、適切なお手入れを心掛けましょう。
また、コンタクトレンズ着用中は、まばたきが不完全になりやすいため注意が必要です。コンタクトレンズは使用方法やお手入れ方法を守り、眼科医に指示された時間以上の使用は避けましょう。
結膜炎などの病気の可能性
以下のような目の病気によって、ドライアイにつながることがあります。
- 結膜炎
- シェーグレン症候群
- 結膜弛緩症
- マイボーム腺機能不全 など
結膜炎は目の結膜(粘膜)に炎症が起こる病気です。
シェーグレン症候群は中年の女性に多い自己免疫疾患で、目や口、鼻などの粘膜が乾燥しやすく、涙腺が障害されてしまいます。
結膜弛緩症は、加齢などにより結膜が緩むと引き起こされる病気で、涙の排出がスムーズにいきません。
マイボーム腺機能不全は、まぶたの縁にあるマイボーム腺の機能が低下するため、涙の油分が不足してしまう病気です。
目の乾燥が気になる場合は、病気による影響の可能性もあるため、早めに眼科を受診し、適切な治療を受けましょう。
ドライアイの対処法・治療法
ドライアイへの対処法・治療法はいくつかあります。
ここでは主な5つの方法を解説します。
ビタミンAを含む食材を摂取する
ビタミンAは、ムチンの分泌やヒアルロン酸の生産を促進するため、ドライアイの方には重要な栄養素です。
涙が流れ落ちないように保持するはたらきがあるムチンは、ドライアイの対策には欠かせません。
ビタミンAを多く含む食材には以下のようなものがあります。
- レバー
- ニンジン
- ほうれん草
- かぼちゃ
- サツマイモ など
目の乾燥を防ぎたい方は、ビタミンAを含む食材を積極的に摂取しましょう。
点眼治療(目薬)を活用する
点眼治療では、点眼薬(目薬)を直接投与し、目に潤いを与えます。ドライアイに使用される目薬は主に以下の4つです。
- 人工涙液
- ヒアルロン酸製剤
- ムチンや水分を分泌させる点眼薬
- ムチンを産生する点眼薬
ただし、どの点眼薬が自分に適しているかは、ドライアイの症状や原因により異なります。
医師の指示に従い、適切な点眼薬を使用することが重要です。
涙点へのプラグの挿入する
ドライアイが重症の場合、涙点にプラグを挿入して涙が目の表面に長くとどまるようにするという方法もあります。涙点とは涙が排出される小さな穴のことです。
涙点プラグには主に以下の2種類があります。
- シリコン製プラグ
- 液体コラーゲンプラグ
シリコン製プラグは長期間使用可能で、必要に応じて取り外しできます。
液状コラーゲンプラグは徐々に溶けるため、3~4ヶ月を目安に定期的な注入が必要です。
ただし、どちらのプラグを使用するかは、症状の程度や個人の状態によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを知った上で、医師と相談して適切に選択しましょう。
温罨法(おんあんぽう)を試す
温罨法とは、マイボーム腺機能不全診療ガイドラインで強く推奨されている治療法です。目の周りを温めて、マイボーム腺の詰まりを解消する目的で実施されます。
また、温罨法は血流の改善や涙に含まれる油分の増加にも期待されています。
ドライアイが気になる方はホットアイマスクなどを活用して、目の周りを温めましょう。
ただし、目に炎症がある場合などは、炎症が悪化する恐れがあります。違和感がある場合は医師に相談した上で取り組むことが大切です。
リッドハイジーン(まぶたの洗浄)を試す
リッドハイジーン(まぶたの洗浄)とは、まつげの根元にあるマイボーム腺を含め、目の周辺を清潔に保つケア方法です。
マイボーム腺の脂の排出が促進されるほか、目の周りの細菌が減少するとされています。
リッドハイジーンを行う際は、温罨法と組み合わせるとより効果的です。
ドライアイを放置してひどくなるとどうなる?
ドライアイを放置して症状が悪化すると、目の不調だけでなく、全身の不調につながることがあります。
ドライアイが悪化した際に起こり得る症状について見てみましょう。
目の不調につながる
ドライアイは、以下のような目の不調につながることがあります。
- 目の疲れが増す
- 目のゴロゴロ感が強くなる
- 目が重い感じが続く
- 充血しやすくなる
- 目やにが増える
また、涙が少ないと目に入ったゴミを洗い流す機能が低下するため、アレルギー症状が出やすくなる場合もあります。
ただし、ドライアイだけで失明に至る危険性はほとんどありません。
全身の不調につながる
ドライアイは、目だけでなく以下のような全身の不調につながる恐れもあります。
- 肩こりや頭痛
- 集中力の低下
- うつ症状
- 不眠
ドライアイは毛様体筋(目のピント調節に関わる筋肉)が緊張しやすく、体を緊張させる交感神経が優位にはたらいてしまうことで、全身に影響を及ぼすことがあると考えられています。
日常生活の質を低下させないためにも、ドライアイを放置せず、適切な対処を心掛けましょう。
ドライアイに困っている方は対処法を一つずつ実践してみよう
ドライアイは、空気の乾燥やまばたきの回数が減少するなどの原因により引き起こされる症状です。
ドライアイへの対処法・治療法には以下のようなものがあります。
- ビタミンAを含む食材を摂取する
- 点眼治療(目薬)を活用する
- 涙点へのプラグを挿入する
- 温罨法(おんあんぽう)を試す
- リッドハイジーン(まぶたの洗浄)を実践する
中でも、ビタミンAを含む食材の摂取は手軽に始められる対策です。ビタミンAは、ニンジンやほうれん草などに含まれています。
食事だけで毎日に必要な栄養を摂取するのが難しい場合は、サプリメントなども取り入れて、効率よくビタミンAを補給しましょう。
ドライアイが悪化すると、目だけでなく体にも悪影響を及ぼすことがあるため、気になる方は早めの対処が肝心です。
まずは毎日の食生活から見直しつつ、必要に応じて医師への相談を検討することをおすすめします。