2026-03-08
変形性膝関節症とは?進行度ごとの症状・対策や歩行を支える新しい選択肢

年齢を重ねるにつれて、階段の上り下りや歩きはじめに「膝が痛い」と感じる機会が増えていませんか?
その痛み、もしかすると「変形性膝関節症」が原因かもしれません。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が生じることで、徐々に動作がつらくなっていく進行性の疾患です。特に女性は閉経後のホルモン変化や筋肉量、O脚の影響もあり、発症しやすい傾向にあります。
そこで今回は、変形性膝関節症の症状や原因、治療法に加え、日常生活でできる進行予防のポイントや内側からのケア方法まで幅広く解説します。
膝の痛みに悩みながらも「手術は避けたい」「できるだけ自分の足で動き続けたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 変形性膝関節症とはどんな病気?進行度ごとの症状
- 変形性膝関節症の原因
- 主な原因は加齢による軟骨の老化
- 膝に過度な負荷がかかる肥満や筋力低下
- O脚・ケガ・遺伝・女性ホルモンの影響
- 変形性膝関節症の代表的な治療法
- 【運動療法】膝周辺の筋力を強化し関節の安定性を高める
- 【薬物療法】炎症や痛みを抑え症状の悪化を防ぐ
- 【ヒアルロン酸注射】関節の潤滑性を高めて痛みを和らげる
- 【寒冷・温熱療法】血行促進や腫れの軽減を図る
- 【装具療法】膝関節への負担を軽減し歩行を補助する
- 【再生医療】軟骨や関節組織の修復を促進する
- 【手術療法】症状の進行具合によっては手術が必要になることも
- 変形性膝関節症の進行予防には体の内側からのケアも大切
- 減量により膝への負担を軽減する
- 関節の健康を保つにはバランスの良い食生活が大切
- 生活習慣の改善で血流や代謝を整える
- 痛みを我慢せず自分に合った対策を選ぼう
この記事に登場する専門家

Webライター
岩城 裕大
変形性膝関節症とはどんな病気?進行度ごとの症状

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が加齢や長年の負荷によって摩耗し、関節の変形や痛みを引き起こす疾患です。日本では中高年女性に多く、自覚症状がある患者数はおよそ1,000万人といわれています。
軟骨は一度すり減ると自然には再生せず、症状が進むにつれて歩行や階段昇降、正座といった動作にも支障が出てきます。
進行度ごとの主な症状は、以下のとおりです。
| 進行度 | 主な症状例 |
|---|---|
| 初期 | ・歩き始めや立ち上がりで膝がこわばる、痛む ・休めば痛みが引くことが多い |
| 中期 | ・膝をまっすぐ伸ばす、曲げることが困難になる ・膝に水がたまる、腫れる、音がする |
| 末期 | ・安静時も痛みが続く ・膝の変形が進み、歩行や日常動作が困難になる |
変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症は、加齢に伴う膝軟骨の老化だけでなく、体重の増加や筋力低下、O脚などの骨格の歪みも原因となります。
ここでは、変形性膝関節症の主な原因について解説します。
主な原因は加齢による軟骨の老化
変形性膝関節症は、加齢によって膝関節の軟骨が老化することが主な原因とされています。
軟骨は年齢とともに水分と弾力を失い、摩耗しやすくなるため、膝の痛みや変形の引き金となることも。さらに一度すり減った軟骨は自然には回復しにくいため、早期から進行を防ぐことが重要です。
加齢によって膝に起こる変化と、それに伴う症状には次のような傾向が見られます。
- 1軟骨の水分量と弾力性が低下し、動き出しにこわばりや鈍い痛みを感じやすくなる
- 2軟骨がすり減ることで、正座や階段の上り下りで鋭い痛みが出やすくなる
- 3関節の隙間が狭まり、骨の変形が進むと、腫れや歩行困難につながる
膝に過度な負荷がかかる肥満や筋力低下

変形性膝関節症の主な要因には、体重の増加や太ももの筋力低下も挙げられます。
特に膝関節は体重の影響を受けやすく、1kg体重が増えるごとに膝への負荷も大きくなります。実際、平地を歩く際には体重の約2〜3倍、階段の昇り降りでは約4〜7倍の力が膝にかかるとされているのです。
加えて、加齢にともない筋力は自然と衰えやすくなり、なかでも膝関節を支える大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が弱くなると、関節の安定性が損なわれていきます。その結果、痛みや変形が進行しやすくなるため注意が必要です。
O脚・ケガ・遺伝・女性ホルモンの影響
O脚(内反膝)は、膝の内側に体重がかかりやすく、軟骨が一方向にすり減る原因になります。特に日本人女性は生まれつきO脚傾向が強く、変形性膝関節症を発症しやすいといわれています。
さらに、靭帯損傷や半月板の手術歴があると、膝の構造が不安定になり、症状の進行が早まる可能性があるため注意が必要です。
遺伝的な体質や関節の形状もリスクを高める要因です。加えて、女性は閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、軟骨を守る働きが弱まりやすくなります。
変形性膝関節症の代表的な治療法

膝の痛みが日常生活に支障をきたすようになると、「どのような治療法があり、どれが自分に合っているのか」と悩む方も増えてくるでしょう。
ここでは、代表的な治療法の特徴や選び方について解説します。
【運動療法】膝周辺の筋力を強化し関節の安定性を高める
膝の痛みを和らげ、進行を防ぐには、太ももの前側にある大腿四頭筋を鍛えることが重要です。
この筋肉が弱ると、膝関節の安定性が失われ、痛みを引き起こす原因となります。日常の中で取り入れやすい運動としては、以下のようなものがあります。
- 1クッションを太ももに挟み、つぶすように力を入れる
- 2椅子に浅く座り、立ち上がる動作を繰り返す
- 3平坦な道でのウォーキングや水中での運動を習慣化する
- 4太ももやふくらはぎのストレッチを続ける
これらのトレーニングは筋力の維持や柔軟性の向上、膝への負担軽減につながります。
【薬物療法】炎症や痛みを抑え症状の悪化を防ぐ
膝の炎症や痛みを緩和する際、最初に選ばれるのが薬物療法です。
なかでも「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」は、痛みや腫れを引き起こす炎症を抑える働きがあり、さまざまな形で処方されます。特に貼り薬は、胃への負担が少ないことから高齢者にも使いやすいとされている薬です。
よく用いられる薬には、以下のような特徴があります。
- 1内服薬:ロキソプロフェンなど/体内から炎症や痛みに作用する
- 2外用薬:湿布・ゲルなど/患部に直接働き、副作用が比較的少ない
ただし、薬物療法はあくまで対症的な手段にすぎません。運動療法や装具の活用と組み合わせることで、進行の抑制につなげることが大切です。
【ヒアルロン酸注射】関節の潤滑性を高めて痛みを和らげる

ヒアルロン酸注射は、膝関節内の「滑液(かつえき)」に含まれるヒアルロン酸を補い、関節の動きを滑らかに保つ治療法です。
年齢とともに滑液の粘度や量が低下すると、関節内の摩擦が増え、炎症や痛みの原因となることがあります。この状態を改善するために、関節へヒアルロン酸を直接注入し、潤滑性や衝撃吸収性を高めるのが特徴です。歩行時や階段の昇降時の痛みを軽減する効果も期待されています。
この治療法は特に初期〜中期の変形性膝関節症に対して効果があるとされ、整形外科で保険適用のもと広く実施されています。ただし効果には個人差があるため、運動療法など他の治療と併用することが前提です。
【寒冷・温熱療法】血行促進や腫れの軽減を図る
温熱療法と寒冷療法は、変形性膝関節症における痛みやこわばりの緩和に効果がある代表的な物理療法です。温熱療法では、ホットパックや温湿布、入浴などを用いて膝周辺を温めることで血流が促され、筋肉や靭帯の緊張が和らぎます。
一方で、膝が腫れて熱感を伴う場合には、寒冷療法が適しています。アイスパックや冷湿布で局所を冷やすことにより、炎症が抑えられ、腫れやズキズキとした鋭い痛みが軽減されるためです。
【装具療法】膝関節への負担を軽減し歩行を補助する
装具療法は、膝関節にかかる負担を抑え、歩行や日常生活の動作を支える保存的な治療法です。主に使用されるのは、膝サポーターや足底板(インソール)、膝装具、そして杖などであり、痛みの緩和や関節の安定性向上が期待されます。
特に膝のアライメント異常を補正することで、局所的な負担の集中を防ぎ、炎症や軟骨の摩耗を抑制する効果が見込めます。
以下は代表的な装具と、それぞれの目的や特徴をまとめた一覧です。
| 装具の種類 | 主な目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 軟性サポーター | 関節の保温・軽度な補助 | 着脱が簡単で軽量 |
| 硬性膝装具 | アライメント補正・安定化 | 長時間の装着で効果増 |
| 足底板(インソール) | 荷重のかかり方を調整 | 歩行時の痛みを軽減 |
| 杖 | 膝関節の荷重分散 | 転倒防止にも効果的 |
装具の選定は、症状や生活スタイルに合わせて行うことが大切です。装着時の快適さにも配慮することで、無理なく継続しやすくなります。
【再生医療】軟骨や関節組織の修復を促進する

近年、変形性膝関節症の治療法として注目されているのが、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)療法などの再生医療です。
再生医療は、損傷した軟骨や関節組織の再生を促し、痛みを軽減しながら関節機能の向上を目指す先進的な方法とされています。
保存療法で十分な効果が得られなかった方や、手術を避けたい方にとって、新たな選択肢となる可能性があります。各治療法の概要や期待される効果は以下のとおりです。
| 治療法 | 概要 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 幹細胞治療 | 脂肪から採取した幹細胞を膝に注射 | 軟骨の修復、痛みの緩和 |
| PRP療法 | 自分の血液から抽出した血小板を膝に注射 | 自己治癒力の活性化、炎症抑制 |
| APS療法 | PRPをさらに濃縮し、成長因子や抗炎症物質を強化したもの | 炎症バランスの改善、長期効果への期待 |
ただし、これらの治療は自由診療にあたるため費用が高額になりやすく、すべての人に効果があるとは限りません。治療を検討する際には、MRI検査による状態の把握と、医師との十分な相談が重要です。
【手術療法】症状の進行具合によっては手術が必要になることも
変形性膝関節症が進行し、保存療法では改善が見込めない場合や、日常生活に支障をきたす状態になると、手術による治療が選択肢に含まれます。
症状の程度や関節の変形具合によって、適応される手術法は異なり、体への負担や回復までの期間にも差が生じます。主に行われる代表的な手術は以下のとおりです。
| 手術法 | 特徴 | 適応の目安 |
|---|---|---|
| 関節鏡視下手術 | 関節内の異常な軟骨片や滑膜を除去して炎症の軽減を図る | 初期〜中期の症例に適しており、比較的負担が少ない |
| 高位脛骨骨切り術 | 脛の骨を切りO脚などの変形を矯正、膝への荷重バランスを調整 | 中期の進行に対応し、関節の保存が可能 |
| 人工膝関節置換術 | 損傷の進んだ関節を人工関節に置き換えて、根本的な痛みの軽減を図る | 末期の重度症例に適しており、高い改善効果が期待される |
どの手術を選択するかは、患者の年齢や生活スタイル、活動量などを総合的に考慮する必要があります。
変形性膝関節症の進行予防には体の内側からのケアも大切

変形性膝関節症の進行を防ぐには、外側からの治療だけでなく、体の内側からのケアも欠かせません。ここでは、膝の健康を内側から支える方法について解説します。
減量により膝への負担を軽減する
体重の増加は膝関節に大きな負担をかけます。実際、体重が1kg増えると歩行時には約3kg、階段の昇降時には6〜7kgの負荷が膝にかかるとされています。
変形性膝関節症の進行を抑えるためには、適正体重の維持が欠かせません。特に肥満傾向のある方は、食事の見直しに加え、軽い運動も取り入れて、無理のない減量を目指すことが重要です。
ただし、急激なダイエットは筋肉量の減少を引き起こす恐れがあるため、タンパク質や野菜を中心に栄養バランスを整えながら、徐々に脂肪を減らすよう意識しましょう。
関節の健康を保つにはバランスの良い食生活が大切
関節の健康を維持するには、骨・軟骨・筋肉を支える栄養素を日々の食事からバランスよく取り入れることが大切です。なかでも、骨の形成や筋肉維持に関わる栄養素は積極的に意識したいところです。以下に代表的な栄養素と食品例を紹介します。
- 1カルシウム:骨の強化に必要(小魚、乳製品、青菜など)
- 2ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける(鮭、卵、きのこなど)
- 3タンパク質:筋肉量の維持に欠かせない(鶏むね肉、豆腐、魚など)
また、極端な糖質制限や脂質の過剰摂取は、筋力の低下や炎症の原因になる可能性があります。主食・主菜・副菜をそろえた食事を基本に、難しい場合はサプリメントで補う工夫もおすすめです。
生活習慣の改善で血流や代謝を整える
膝関節の健康を保つには、生活習慣の見直しも欠かせません。特に、血流や代謝が低下すると関節軟骨への栄養供給が滞り、変形性膝関節症の進行リスクが高まります。高血圧や高血糖、脂質異常症などの生活習慣病は血管に悪影響を与え、血流を妨げるため注意が必要です。
日頃から以下のような行動を意識すると、膝を内側から支える力が養われます。
- 1血流促進や筋力維持のため、ウォーキングを習慣化する
- 2野菜を多く取り入れた食生活を心がける
- 3塩分を控えることで高血圧や血流悪化の予防を目指す
- 4適切な体重の維持によって、膝関節への余分な圧力を軽減する
痛みを我慢せず自分に合った対策を選ぼう

変形性膝関節症は進行性の病気ですが、早期に気づいて対策を講じることで、痛みの軽減や進行の抑制が期待できます。治療法やセルフケアは多様化しており、運動・食事・装具・注射・再生医療など、自分の状態や生活に合った方法を選ぶことが大切です。
何より、痛みを我慢せず、医療機関への相談や日々のケアを前向きに取り入れる姿勢が改善への第一歩といえるでしょう。
この記事に登場する専門家

Webライター
岩城 裕大
SEO会社勤務を経て独立したWebライター。これまでに子育て・エンジニア・物流・EC運営など幅広いジャンルで、記事構成・執筆・運用を累計200本以上担当。実務に基づく確かな視点で、信頼性の高いコンテンツを届けることを大切にしています。










