2026-03-18
膝を曲げると痛い原因は?将来の膝トラブルを防ぐために今からできる対策

「階段の上り下りは平気だけど、立ち上がるときに違和感がある」
そんな小さなサインを感じたことはありませんか?
50、60代になると、今は大きな痛みがなくても、「将来、膝を曲げると痛くなったらどうしよう」と不安になる方も少なくありません。
この記事では、膝関節の仕組みから、膝を曲げると痛い原因、考えられる病気、そして将来の膝トラブルを防ぐために今からできる対策までわかりやすく解説します。
この記事に登場する専門家

薬剤師ライター
渡辺ユリ
- 薬剤師
膝関節の仕組みと曲げると痛い原因

膝は毎日の生活を支える重要な関節です。まずは膝関節がどのような仕組みで動いているのかを知り、そのうえで“曲げると痛い”理由を理解していきましょう。
膝関節の構造

膝は、骨・軟骨・半月板・関節液・靭帯・筋肉がそれぞれの役割を果たしながら、“チームプレー”で動いている関節です。どれか一つでもバランスが崩れると、違和感や痛みが現れやすくなります。
膝関節の骨
膝関節は、主に以下の3つの骨で構成されています。
- 1大腿骨(太ももの骨)
- 2脛骨(すねの骨)
- 3膝蓋骨(ひざのお皿)
大腿骨と脛骨が組み合わさって膝の土台をつくり、その前面を膝蓋骨が覆うように位置しています。膝蓋骨は、”てこ”のように太ももの筋肉の力を効率よく膝に伝える役割も担っているのです。
関節軟骨
膝関節の骨の表面は「関節軟骨」という滑らかな組織で覆われています。軟骨は弾力があり、クッションのように衝撃を吸収し、骨同士が直接こすれ合わないように守っています。
半月板
大腿骨と脛骨の間に存在するのが「半月板」と呼ばれるC字型の軟骨組織です。内側と外側に1つずつ存在し、体重や衝撃の分散、関節の安定性の向上、動きのスムーズさを保つといった役割を果たしています。
関節液
膝関節全体は「関節包」という袋状の組織に包まれており、その内側に分泌されているのが「関節液」です。関節液は、潤滑油のように膝の動きを滑らかにしたり、軟骨に栄養を届けたりする働きをしています。
靱帯と筋肉
膝の安定性を支えているのが靭帯と筋肉です。特に重要なのが、太ももの前側にある大腿四頭筋。この筋肉がしっかり働くことで、膝関節への負担が軽減され、スムーズな曲げ伸ばしが可能になります。
さらに、前十字靭帯・後十字靭帯(前後の安定性を保つ)、内側側副靭帯・外側側副靭帯(左右の安定性を保つ)などが連携し、膝を支えています。
膝を曲げると痛い原因とは?
膝を曲げると痛いと感じる原因の一つとして挙げられるのが、「軟骨のすり減り」です。
加齢とともに、関節軟骨は少しずつすり減っていきます。軟骨が薄くなると、骨同士の距離が近づき、摩擦が増え、痛みが出やすくなります。症状が進行すると骨がこすれ合うことで関節が変形し、慢性的な痛みにつながるのです。
また、半月板も加齢とともに弾力を失い、傷つきやすくなります。激しいスポーツをしていなくても、立ち上がる、深くしゃがむ、といった日常動作で小さな傷が入ることがあります。
【半月板が傷ついたときに起こること】
- 1曲げたときの引っかかり感
- 2「コキッ」とした違和感
- 3曲げ伸ばし時の鋭い痛み
さらに、膝が痛む原因として重要なのが筋力低下です。特に大腿四頭筋が弱くなると、膝関節が不安定になり、体重の負荷を筋肉で吸収できなくなります。その結果、関節への直接的な負担が増えてしまうのです。
筋肉は40代以降、意識して使わなければ年々減少していきます。「若い頃より運動量が減った」という方は、知らないうちに膝を守る力が弱まっている可能性があります。
膝を曲げた時に痛む場合、関節内で炎症が起こっていることもあります。関節内の炎症が起こると、腫れや熱感、動かしたときの痛みが現れます。炎症は、軟骨の摩耗や半月板の損傷、過度な負担などが引き金となって起こることがあり、注意が必要です。
膝を曲げると痛いときに考えられる病気

「少し違和感があるだけ」と思っていても、膝の痛みの背景には病気が隠れていることがあります。特に50代以降は、加齢に伴う変化がきっかけとなり、さまざまな膝のトラブルが起こりやすくなります。
ここでは、膝を曲げたときに痛みが出る場合に考えられる代表的な病気について、特徴や注意点を詳しく解説します。
変形性膝関節症

中高年に最も多い膝の病気が変形性膝関節症です。変形性膝関節症は加齢や長年の負担により関節軟骨がすり減り、やがて骨同士がこすれ合うことで炎症や変形が起こる病気です。
初期段階では、立ち上がる瞬間の痛みや、歩き始めの違和感といった軽い症状から始まることがほとんどです。この段階では日常生活に大きな支障がないため、「年のせいかな」と見過ごされやすい傾向があります。
症状が進むと、膝に水が溜まる、関節の変形といった症状が見られます。慢性的な痛みだけでなく、正座や長時間の歩行が困難となり、生活に支障をきたすことも。
特に女性は、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで、軟骨の形成作用が弱まり、変形性膝関節症の発症リスクが高まるといわれています。中高年以上の女性では非常に多い疾患であり、「誰にでも起こり得る身近な病気」といえます。
半月板損傷

半月板損傷というと、スポーツ中のケガを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、加齢による変性でも起こります。
半月板は年齢とともに弾力を失い、ひび割れが入りやすくなります。そのため、深くしゃがむ、重い物を持ち上げるといった何気ない動作でも傷つくことがあるのです。
半月板損傷では以下のような症状が見られます。
- 1膝を曲げたときの鋭い痛み
- 2「カクッ」とした不安定感
- 3曲げ伸ばしで引っかかる感じ
- 4途中で動きが止まる(ロッキング現象)
半月板損傷を放置すると、クッション機能が低下し、関節軟骨への負担が増加します。その結果、将来的に変形性膝関節症へ進行する可能性もあります。
鵞足炎(がそくえん)
膝の内側に痛みが出る場合、鵞足炎(がそくえん)の可能性があります。鵞足とは、膝の内側下方にある腱の付着部のことで、縫工筋・薄筋・半腱様筋という3つの筋肉が集まる部分です。この鵞足が炎症を起こしている状態を鵞足炎といいます。
【鵞足炎の原因】
- 1歩きすぎなどの使いすぎ
- 2筋肉の柔軟性低下
- 3O脚傾向
- 4体重増加
鵞足炎は、膝の内側を押すと痛い、長く歩くと痛みが強くなる、といった症状が見られます。関節の奥というより「内側のやや下」が痛むのが特徴です。
適切なストレッチや負担軽減で改善することも多いですが、慢性化すると日常生活に支障をきたすことがあります。
関節リウマチ
膝の痛みの中には、関節リウマチのような全身性の病気が隠れていることもあります。関節リウマチは、免疫の異常により自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。単なる加齢による痛みとは異なり、「全身症状」が見られるのが特徴です。
- 1朝の強いこわばり(30分以上続くことも)
- 2膝だけでなく、手指や手首など複数の関節が腫れる
- 3左右対称に症状が出る
- 4倦怠感や微熱を伴う
上記のような症状がある場合には、要注意。関節リウマチは早期診断・早期治療が非常に重要です。放置すると関節破壊が進む可能性があるため、気になる症状があれば専門医の受診が勧められます。
将来“膝を曲げると痛い”状態を防ぐための対策

膝の痛みは、ある日突然始まるものではなく、軟骨の変化・筋力の低下・体重増加・生活習慣の積み重ねによって徐々に進んでいきます。だからこそ大切なのは、“痛くなってから”ではなく“痛くなる前”の対策です。
ここでは、将来「膝を曲げると痛い」状態を防ぐために、今日から始められる具体策を解説します。
① 適度なウォーキング

膝を守るうえで、まず取り入れたいのがウォーキングです。膝の軟骨には血管がありません。そのため、動かすことで関節液が循環し、栄養が届きやすくなります。
また、ウォーキングをすることで関節周囲の血流改善や太ももの筋肉維持、体重コントロールが期待できます。
目安は1日20~30分、少し息が弾む程度の運動です。毎日でなくても構いません。週3~5回継続できると良いでしょう。
エレベーターではなく階段を使う、1駅分歩くなど、生活の中に組み込む工夫がポイントです。
② ストレッチ・軽い筋トレ

筋肉が硬くなると、関節の動きが制限され、負担が集中します。ストレッチで太ももの前後やふくらはぎ、股関節周囲をゆっくり伸ばす習慣をつけることで、関節への負担軽減につながります。
さらに、軽い筋トレで、大腿四頭筋(太ももの前側)を強化することも重要です。加齢により筋肉は徐々に減少するため、意識して使わなければ、知らないうちに膝への負担が増えてしまいます。
自宅でできる簡単トレーニング
- 1椅子に座って片脚をまっすぐ伸ばし5秒キープ → 左右5~10回ずつ
- 2仰向けで片脚をゆっくり持ち上げる(レッグレイズ) → 左右10回ずつ
- 3軽いスクワット(浅め) → 10~20回。膝がつま先より前に出ないよう注意
③ バランスの良い食事・体重管理
膝への負担は、体重と密接に関係しています。歩行時に膝へかかる負担は体重の約2~3倍になるといわれています。(※1)つまり、体重が3kg増えれば約6~9kg分の負担がかかってしまうのです。
急激な体重増加を防ぎ、適正体重を維持するために、タンパク質やビタミンなどの栄養素をバランス良く摂取しましょう。
積極的に摂りたい栄養素は以下の通りです。
カルシウム
骨の主要成分。骨密度維持に不可欠です。
Check
多く含む食品の例:乳製品、小魚、海藻
ビタミンD
カルシウムの吸収を促進し、骨の健康を支えます。日光浴も重要です。
Check
多く含む食品の例:魚、きのこ類
ビタミンK
カルシウムが骨に沈着するのを助けます。
Check
多く含む食品の例:納豆、緑黄色野菜、わかめ
マグネシウム
骨の構成成分のひとつで、代謝にも関与します。
Check
多く含む食品の例:ナッツ類、海藻
タンパク質
筋肉・骨・軟骨の材料です。タンパク質が不足すると筋肉が減少し、膝の痛みにつながります。
Check
多く含む食品の例:肉、魚、卵、大豆製品
HMB
ロイシンの代謝産物で、筋肉合成をサポートする成分。筋肉分解を抑え、筋肉の合成を促す働きがあります。
Check
多く含む食品の例:肉、乳製品、大豆製品
クレアチン
筋肉のエネルギー供給を助け、筋力維持やパフォーマンス向上をサポートします。高齢者の筋力維持にも効果が期待されています。
Check
多く含む食品の例:ニシン、牛肉、豚肉、鮭
食事だけで十分量を摂るのは難しい理由

「栄養はできるだけ食事から摂りたい」―それはとても大切な考え方です。しかし、将来“膝を曲げると痛い”状態を防ぐために重要な栄養素を、毎日の食事だけで“十分量”かつ“安定して”摂ることは、実は簡単ではありません。
特に50~70代では、食事量そのものが若い頃より減りやすく、吸収力も低下傾向にあるため、栄養バランスが偏りがちです。
そこで、不足しがちな栄養素を効率よく、安定して補える方法として考えられるのがサプリメントです。
特に、膝の健康に必要な栄養素をまとめて補えるオールインワンタイプがおすすめ。
- 1複数のサプリをそろえる手間がない
- 2飲み忘れが起こりにくい
- 3継続しやすい
といったメリットがあります。
今からできる健康習慣で将来の膝の痛みを防ごう

膝を曲げると痛い原因は、軟骨のすり減りだけでなく、筋力低下や体重増加など複数あります。特に中高年では、関節軟骨の摩耗や半月板の変性、筋力低下が進みやすく、変形性膝関節症や半月板損傷、鵞足炎といったトラブルのリスクが高まります。
将来の膝の痛みを防ぐために重要なのは、痛みが出てから対処するのではなく、今から予防を始めることです。無理のないウォーキングや簡単な筋トレ、バランスの良い食事を心掛けましょう。
一方で、食事を基本にしながら、不足しやすい栄養素はサプリメントを活用して補うという考え方も、現実的な選択肢といえるでしょう。
将来「膝を曲げると痛い」と後悔しないために、今日から小さな一歩を始めてみませんか。
参考文献
※1.Darryl D D’Lima, Benjamin J Fregly, Shantanu Patil, Nikolai Steklov, Clifford W Colwell Jr.Knee joint forces: prediction, measurement, and significance.Proc Inst Mech Eng H,2012,226,2,p.95-102.
この記事に登場する専門家

薬剤師ライター
渡辺ユリ
- 薬剤師
現役薬剤師ライター。クリニック門前薬局・面薬局での勤務経験を活かし、医療・美容分野を中心に執筆。専門性、信頼性、分かりやすさを重視したライティングを心掛けています。
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