2024-10-15
認知症の予防は何歳から始めるの?何をすればいいの?
認知症は、様々な原因によって引き起こされる疾患を指します。最も多く占めているアルツハイマー型認知症を初め、血管性認知症、レビー小体型認知症と前頭側頭型認知症は4大認知症と呼ばれ、そのほか、アルコール性認知症や嗜銀顆粒性認知症なども含まれています。
高齢になるにつれて、発症リスクが高まる認知症は、典型的には認知機能の低下や記憶障害を引き起こします。しかし、必ずしも高齢者だけが罹患するわけではなく、「若年性認知症」も見られ、身近な問題となっています。
この記事では、いつ発症するかを予測できませんが、できる限り予防に取り組むポイントを紹介していきます。
認知症とは
認知症とは、様々な脳疾患により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下したり、記憶障害を起こしたりして、正常な社会生活に影響を与える疾患です。
発症すると、記憶喪失、物事の理解能力の低下、判断力の低下、日常活動の困難さなどの症状を伴います。現在、日本における認知症の発症率は、65歳以上の約16%が認知症であると推計されています。さらに高い年齢層では、その割合が増加する傾向があります。年齢だけでなく、遺伝的要因や生活習慣など、様々な要因が認知症の発症に影響を与えます。そのため、年齢だけでなく、個々のリスク要因も考慮することが重要です。早期の症状やリスク要因に気付いた場合は、医師に相談することが大切です。
参考資料:認知症と共に暮らせる社会をつくる(東京都健康長寿医療センター)
認知症の原因
前述のように、認知症には、様々な認知症に分類されるため、それぞれの原因は異なります。しかし、その中で最も多く見られているアルツハイマー型認知症では、加齢に伴う脳の変化、遺伝因子や環境因子/生活習慣因子などの要因が関与していることが示唆されています。
参考資料:アルツハイマー病の原因(アルツハイマー病情報サイト)
認知症の初期症状
認知症の初期症状は原因と同じように、様々な認知症に分類されるため、それぞれの初期症状がありますが、一般的な初期症状は下記のようなものがあります。
- もの忘れ
- 幻視
- 妄想
- うつ症状
- 身だしなみに無頓着
- 同じ言動や行動を繰り返す
自分や家族にこのような症状が現れた場合、注意を払って、症状が続くようでしたら、医師にご相談ください。
認知症の予防
現在、日本では、認知症の予防とは、認知症の発症を予防することではなく、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味での取り組みを指します。
2019年6月に行った関係閣僚会議にてとりまとめられた「認知症施策推進大綱」では、「認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく。」としています。
参考資料:認知症施策推進大(厚生労働省)
では、実際我々は何ができますか?
健康的な食事
バランスの取れた食事を摂ることが重要です。心血管疾患や糖尿病などのリスクを下げるために、食事中の飽和脂肪や糖分を制限し、果物、野菜、全粒穀物、健康的な脂肪を豊富に含む食品を摂取しましょう。
特に下記の栄養成分は身体にいい影響を与えられるので、食事に取り入れられなくても、サプリメントなどの方法を使って身体に取り入れましょう。
栄養成分 | 効果 | おすすめ食材 |
---|---|---|
葉酸 | 造血効果、細胞の生産・増殖を促進する効果、動脈硬化を予防する効果 | ほうれん草、モロヘイヤ、アスパラガス |
テアニン | 集中力・記憶力の向上、リラックス効果、睡眠改善 | 緑茶、紅茶 |
イチョウ葉 | 血行促進の効果、血栓形成予防 | 健康食品 |
ノビレチン | 認知症の予防、血糖値上昇の抑制、アレルギーの抑制 | シークワーサー、ポンカン、温州みかん |
DHA | 認知機能の向上、アレルギーの予防、コレステロールの低下 | あなご、まあじ |
EPA | 免疫反応の調整、高血圧の予防、心筋梗塞の予防 | サバ類、シロサケ、すじこ |
プラズマローゲン | 脳疲労への効果、神経炎症の抑制、感覚の鈍化防止 | 鶏肉、ホタテ、ホヤ |
亜鉛 | 視覚細胞の保護、抗酸化作用、認知機能の維持 | うなぎ蒲焼、豚レバー(生)、牛もも肉(生) |
ビタミンB群 | エネルギー代謝、神経症状の予防、皮膚や毛根に栄養を与える | 豚肉、モロヘイヤ、アボカド |
身体活動
定期的な運動は、血液循環を改善し、脳の健康を促進するのに効果的です。
例えば、ウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動や筋力トレーニングを行いましょう。
または散歩もおすすめです。散歩は身体を動かすだけでなく、周りの環境を感じ取ったり、目で見ることで脳に刺激を与え、散歩の途中で出会える近所の方と交流したりするとより良いです。
認知刺激
下記の活動を行うことで認知刺激を与え、脳の健康を維持するのに役立ちます。
- 読書
- 編み物
- パズル
- クロスワード
- クイズゲーム
- 映画鑑賞
- チェス
- 麻雀
チェスや麻雀では相手と話したりするので、なおいいです。新しいスキルを学んだり、興味を持ったりすることも重要です。
社会的参加
社会的な活動に参加することは、脳の活性化とストレス軽減につながります。
こういうコミュニティ活動に参加してみませんか?
- 地域支援自治体
- ボランティア
友人や家族との交流や、コミュニティ活動に積極的に参加することが重要です。
十分な睡眠
十分な睡眠を確保することは、脳の機能を維持するために重要です。睡眠不足は認知機能の低下や記憶力の悪化につながる可能性があります。ただし、睡眠時間が9時間以上だとアルツハイマー病のリスクを高めるとされています。
適切な睡眠時間は人それぞれですが、6-8時間くらいが良いでしょう。
ストレス管理
ストレスが適切に管理されないと、脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、ストレス管理は重要です。
ストレス管理の一環としてリラックス法やマインドフルネス、ストレス軽減の活動を取り入れましょう。
心と体を休ませるおすすめ方法
- ストレッチで体をほぐす
- ぬるま湯で入浴する
- 自分にとって心地良い音楽を聴く
- 香りを楽しむ
- 自然の中を歩く
認知症のリスクを軽減するために、定期的な運動、バランスの取れた食事、社会活動や人との交流、外出などが効果的であることが報告されています。これらを組み合わせて実践することが重要です。
まとめ
認知症は、様々な原因によって引き起こされる疾患を指します。いつ発症するかを予測できませんが、できる限りの予防に取り組むことを心にかけましょう。手軽に始められる健康的な食事、必要な栄養素を取るためのサプリメント、チェスや読書など認知刺激を与える活動、心と体を休ませたりして、日々の生活にこれらを始めましょう。