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葉酸以外に必要な栄養素「ビタミンB12」

ビタミンB12はどんな栄養? ビタミンB12は、鉱物であるコバルト(Co)を含むビタミンで、広義で「コバラミン」と呼ばれています。水やエタノールに溶けやすい水溶性で、さらに熱に対して安定しているのが特徴です。食品中のビタミンB12はタンパク質と結合しており、ビタミンB12が体内に入ると、まず胃で結合していたタンパク質が胃酸やペプシンによって引き離されます。そのあと、ビタミンB12は、胃から分泌される糖たんぱく質「内因子」と結びつきます。最後に、内因子が結合したビタミンB12が小腸で吸収されるというのが、ビタミンB12の吸収メカニズムです。ビタミンB12は、内因子がないと体内に吸収できません。小腸の吸収機構が飽和すると、内因子の分泌が抑制され、ビタミンB12の吸収が調整されます。結果として、内因子と結合していないビタミンB12は、小腸で吸収されず体外に排出されるのです。そのため、食事やサプリメントなどでビタミンB12を摂りすぎたとしても、体が自動的に吸収量を調整してくれるので、摂りすぎで健康障害がでることはありません。また、ビタミンB12は体内にしっかり貯蔵されており、さらに腸肝循環して回収・再利用もされています。このことから、偏った食生活でない限り、ビタミンB12は過不足しにくい栄養素といわれています。ビタミンB12の役割は?ビタミンB12の役割は大きく3つあります。1.DNAの生成のための補酵素2.神経機能の正常化(脳からの指令を伝える神経を正常に保つ)3.葉酸と協力してヘモグロビンの合成上記のことから、ビタミンB12は生命維持のために重要なビタミンのひとつといえるでしょう。不足しにくい栄養素とはいえ、足りなくなってしまうとさまざまな支障をきたすおそれがあるので注意が必要です。また、小児期にビタミンB12が不足すると、精神や運動の発達面で遅れがでる場合があるため、成長期の子どもにとっても大切な役割を担っているといえるでしょう。生まれてくる赤ちゃんは、母体からビタミンB12を受け取り、肝臓に蓄えて生まれてきます。妊娠中の女性に十分なビタミンB12があれば、きちんと赤ちゃんに届けられるので安心してくださいね。ビタミンB12はいつ必要?DNAの生成を助けたり、脳の神経機能を正常化させたりと、どの年代でも重要な栄養素といえるビタミンB12。前述した通り、特に適切に摂取してほしいのが、妊娠中と授乳中の女性です。妊娠中は胎児にビタミンB12を送る必要があるため、妊娠や授乳をしていない女性よりも多くのビタミンB12を消費します。母親にビタミンB12が不足していると、胎児もビタミンB12不足になる可能性が高まるため注意が必要です。また、ご存じの通り、母乳にはたくさんの栄養素が含まれています。ビタミンB12は特に初乳に多く含まれているため、妊娠中から授乳期まで不足しないように気をつけたいですね。ビタミンB12はどれぐらい摂取すればいいの? 女性のビタミンB12の摂取基準量ここで、ビタミンB12をどれくらい摂取すればよいかを見てみましょう。妊娠や授乳をしていない成人女性で、ビタミンB12は1日に2.4㎍摂取するのが望ましいといわれています。前述した通り、妊娠中は胎児へ、授乳中は母乳へとビタミンB12が使われるため、妊娠中の女性は2.8㎍、授乳中の女性は3.2㎍と、摂取基準量が増えています。「令和元年国民健康・栄養調査結果」によると、男女合わせた1日のビタミンB12摂取量は平均6.3㎍と、食事摂取基準を大きく上回っています。摂取量は、魚介類→肉類→乳類・卵類の順に多いようです。授乳中の女性の中央値は3.3㎍と、食事摂取基準を一応クリアしていますが、授乳中の女性は意識的に摂取すると良いでしょう。ビタミンB12を含む食べ物ビタミンB12はタンパク質と結合しているため、タンパク質を含む動物性食品に多く含まれています。食品中のビタミンB12の吸収率は50%程度で、比較的効率が良いといえるでしょう。前述した通り、ビタミンB12は過剰摂取してしまっても、生理的に吸収されずに体外に排出されます。そのため、摂りすぎを気にする必要はありません。ビタミンB12の多い食べ物は以下の通りです。【ビタミンB12の多い食べ物】・しじみ・あさり・さんま・のり・牛レバー・鶏レバー・うずらの卵・生卵・チーズ牛レバーと二枚貝は、ともに最良のビタミンB12供給源といわれています。なぜなら、牛レバー100gあたり53㎍、生のあさり1個あたり52㎍のビタミンB12が含まれているからです。食事摂取基準が一番高い授乳中の女性でも、1日3.2㎍の摂取で良いので、牛レバーと二枚貝なら少量で基準値をクリアできますね。しかし、「牛レバーや貝を毎日は食べられない」という人もきっと多いはず。そんなときは、チーズや卵などが手軽に手に入り、調理しやすいためおすすめです。プロセスチーズなら1切れ(18g)を食べるだけで、ビタミンB12を3.2μg摂取でき、生の卵黄1個(16g)でも3.5㎍摂取できます。ビタミンB12は、吸収率が高く身近な食材に多く含まれるため、比較的食事摂取基準を満たしやすいビタミンといえるでしょう。生で食べられるものはそのままで良いですが、水に溶けやすく熱にも強いビタミンなので、スープなどの丸ごと食べられる調理法もおすすめです。魚介類の缶詰なら、中身だけでなく汁も使うと栄養素を無駄にすることなく使い切れますよ。動物性食品や魚介類が苦手な人は、サプリメントでの摂取も検討してみると良いでしょう。ビタミンB12が不足すると・・・ビタミンB12が不足しやすい人とは?ビタミンB12は食事から取り入れるだけでなく、腸内細菌も合成できるため、不足することはあまりないといわれています。ただ、以下の人はビタミンB12が不足しやすいため注意が必要です。【ビタミンB12が不足しやすい人】・病気で胃を摘出している人・慢性的に胃炎がある人・高齢者・厳格なベジタリアンやヴィーガン病気で胃を摘出している人や慢性的に胃炎がある人は、内因子の分泌不足によって、ビタミンB12を摂取しても体外へと排出されてしまうため、ビタミンB12が不足しやすいです。また、高齢になると、ビタミンB12の貯蔵量が減少し、かつ内因子の分泌不足などで吸収不良になりやすいといわれています。動物性食品を食べないベジタリアンやヴィーガンの人も、ビタミンB12を摂取する機会がないため、ビタミンB12が不足しやすいです。ビタミンB12が不足すると?では、ビタミンB12が不足すると、どのような不調が起こるのか見てみましょう。【ビタミンB12不足で起こる不調】・疲労・体力低下・便秘・造血作用がうまくいかず巨赤芽球性貧血になる・脊髄や脳の白質障害・しびれ・知覚異常ビタミンB12は、赤血球の細胞骨格を維持するために必要な栄養素です。そのため、不足すると血液がうまく作れず貧血になる可能性があります。ビタミンB12または葉酸が不足するとなる貧血を「巨赤芽球性貧血」と呼び、それが原因で疲れやすくなったり、体力が低下したりといった体の不調が起こるのです。また、ビタミンB12は神経機能を正常化させる役割も担っているため、不足することでしびれなどの末しょう神経障害や脊髄や脳にまで影響を及ぼしかねません。さらに…・平衡感覚障害・うつ病・認知症・記憶の低下など、の症状がでることも報告されています。神経系を損傷してしまうと、体内のビタミンB12量が正常になったとしても、元には戻らない可能性もあるため、ビタミンB12不足に早期に気づき、治療を開始する必要があるでしょう。また、乳幼児がビタミンB12不足になると…・発育障害・運動障害・特有の成長遅延・巨赤芽球性貧血になる可能性があるといわれています。そもそも、健康体のお母さんから生まれてくる赤ちゃんは、胎児のときにお母さんのビタミンB12を受け取って生まれてくるため、ビタミンB12不足にはなりにくいです。このことから、妊娠中~授乳中の女性は、赤ちゃんがビタミンB12不足にならないよう、日々の食事に気をつけることが大切でしょう。まとめDNAの生成や神経機能、ヘモグロビンの合成など、人の生命維持に大きな役割を担っているビタミンB12。多くの動物性食品に含まれ、吸収率も高いため不足しにくい栄養素といえますが、ビタミンB12不足になると巨赤芽球性貧血や神経系に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。また、乳幼児の場合、発達遅延が起こることもあるので、妊娠中~授乳中の女性は、不足しないように食生活に気をつけましょう。摂取が難しい人は、サプリメントも活用しながら健康に過ごしてくださいね。参考文献恩賜財団 済生会eJIM「ビタミンB12」令和元年国民健康・栄養調査結果公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット日本食事摂取基準2020年J-STAGE 聖マリアンナ医科大学雑誌国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

葉酸以外に必要な栄養素「ビタミンB1」

ビタミンB1はどんな栄養素?そもそもビタミンは、体内で十分に合成することが難しいため、食物などから摂取する必要があります。脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられ、ビタミンB1、B2などのビタミンB群は水溶性ビタミンに分類されます。ビタミンB群とは多くの物質からなる化合物で、「ビタミン複合体」とも呼ばれています。ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、葉酸(ビタミンB9)、ビオチン(ビタミンB7)の8種類からなり、生きるために必要なエネルギーを作ります。3大栄養素である糖質・たんぱく質・脂質は、十分なエネルギーを生み出すことはできないため、ビタミンB群の分解や代謝のサポートを受けることで、体の機能を維持するために必要なエネルギーを作り出しているのです。しかしアルコール、妊娠や授乳、ストレスなどによってビタミンB群が足りなくなることがあります。不足すると栄養素をエネルギーに変えることができず、疲れやすくなり心身の健康に影響を与えてしまうのです。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB1は、体の活動の源となる栄養素で、糖をエネルギーに変換する際に役立ちます。脳神経の働きもサポートしており、疲労回復にも大きな役割を果たします。特にエネルギー需要の高まる妊娠中や授乳中は、エネルギーの生成に関連が深いビタミンB1、B2の摂取量を増やす必要があります。さらに妊娠中、つわりの症状が重く栄養を十分に摂取できないときは、ビタミンB1が欠乏しやすく、重要な神経学的後遺症を発症する可能性があるので注意が必要です。ビタミンB1の役割は?ビタミンB1は胎児の育成や母乳の生成のサポートをするため、妊娠中や授乳中には特に欠かせない栄養素です。さらに胎児の神経細胞形成にも必要な栄養素で、ビタミンB1が著しく欠乏すると、奇形性を引き起こす可能性があるとも言われています。またつわりを予防する働きもあるという研究もあります。つわりは一般的に妊娠4~7週ではじまり、14週までには落ち着きます。症状が悪化すると食物摂取が損なわれて代謝異常を起こします。この状態を妊娠悪阻といいます。強く症状が出る女性の特徴としては、前回の妊娠でもつわりがひどかった場合や、双子の場合などと言われています。これらを予防するためには、マルチビタミン(ビタミンB、C、D、E、葉酸など)が推奨されており、特にビタミンB1、B6が重要と言われています。授乳中は母親の栄養は母乳となり赤ちゃんの栄養になるため、成人女性のエネルギー所要量は1日1,700kcal~1,750kcalですが、授乳中は350kcal多くエネルギーを必要とします。母乳にはビタミンB1も分泌されており、赤ちゃんの健康のためにビタミンB1は欠かせません。必要なエネルギー量が増え、妊娠中や授乳中はお腹がすきやすい時期ですが、食欲につられて甘いものや脂質を多く摂取していますとカロリー過多となってしまうため、必要な栄養素をバランスよく摂取する必要があります。ビタミンB1はいつ必要?ビタミンB1は、成人女性は約0.22mg足りておらず、一般的にも不足しているため食物やサプリメントで補う必要があります。しかし、妊娠中・授乳中は通常時よりもさらに多く推奨量が設定されているため、約0.42mgも不足しているのです。妊娠中や授乳中はより意識的にビタミンB1の摂取をすることをおすすめします。ビタミンB1はどれくらい摂取すればいいの?妊娠中や授乳中の女性はビタミンB1の必要量が増え、成人女性よりも多く摂取する必要があります。それぞれの摂取推奨量、またどのような食材から摂取できるのかをご紹介します。摂取推奨量以下の表はビタミンB1の女性における一日あたりの平均摂取量と、推奨摂取量です。妊娠中・授乳中の女性はビタミンB1の摂取推奨量が成人女性と比べて0.2mg多くなります。しかし現状は一日の平均摂取量が成人女性とあまりかわりません。そのため成人女性も摂取推奨量に少し足りていませんが、妊娠中の女性や授乳中の女性はさらに不足しているということがわかります。ビタミンB1が含まれている食材ビタミンB1が豊富なおすすめの食べ物について、動物性と植物性にわけて以下の表にまとめました。動物性の食べ物では、豚肉が代表的です。そのためヴィーガンの方はビタミンB1が不足しやすくなります。以下のビタミンB1の豊富な植物性の食べ物を食卓に取り入れるなどして、摂取を心がけましょう。ビタミンB1を効率よく摂取するには、主食は白米より玄米がおすすめです。またパンは、全粒粉のものがおすすめです。豆類を摂取する場合、一度にたくさんの量を摂るのは難しいですが、手軽に取り入れやすく、毎日でも摂取できるというメリットがあります。またビタミンB1を摂取する際には、調理方法に十分に気をつけなければなりません。ビタミンB1はニンニクやタマネギなどに含まれているアリシンと結合してアリチアミンになると、吸収率が高くなります。しかし、熱に弱いため、調理による損失が大きいといった欠点があります。食品はできるだけ新鮮な物を選び、生で摂るようにすると無駄なくビタミンB1を摂取することができます。このように多くの食物に含まれていますが、体に貯蔵できず排泄されやすいため、知らない間に不足している場合もあります。ビタミンB1が不足すると(リスク)ビタミンB1はアルコールをよく呑む人、スポーツをする人、ストレスの多い人は不足しやすい傾向にあります。一般的なビタミンB1不足の症状は倦怠感・だるさ肩こり手足のしびれ食欲低下むくみ記憶力の低下集中力の低下脚気(イライラ、むくみ、食欲低下、しびれ、歩行障害)ウェルニッケ脳症(倦怠感、ふらつき、物忘れ、意識障害)乳酸アシドーシス(吐き気、嘔吐、呼吸障害)などがあります。妊娠中、授乳中におこりやすい症状はむくみ食欲不振便秘神経炎などがあります。つわりなどで絶食状態が続くとビタミンB1欠乏症からウェルニッケ脳症を引き起こす可能性があります。妊娠中・授乳中はマイナートラブルが多くなりがちな時期なので、栄養素の欠乏による食欲不振や便秘は防ぐ必要があるでしょう。ビタミンB1が不足すると多くの症状が現れますが、取り過ぎても体に貯蔵できず排泄されやすいため、過剰摂取になる心配はありません。まとめこのようにビタミンB1は妊娠中や授乳中の女性、胎児の健康に欠かせない栄養素です。しかし、食べ物から必要量を摂取するのが難しく、妊娠中や授乳中に必要とされる「ビタミンB1」を摂取するためには豚肉や白米、「鉄」を摂取するためには牛肉や納豆、「亜鉛」を摂取するためには牡蠣や赤身の肉などと、それぞれ摂取できる食べ物がバラバラで毎日の食事を考えるのがとても大変です。そのため、サプリメントで必要な栄養素を正確に簡単に摂取するのも体調管理の一つの手段になるのではないでしょうか。参考文献”日本人の食事摂取基準(2020年版)”厚生労働省”令和元年国民健康・栄養調査報告”厚生労働省“ビタミンB1の働きと1日の摂取量”健康長寿ネット”栄養教養学部/カラダ整え学科 ビタミンB1”栄養素カレッジ”ビタミンB1”glico“ビタミンB1の効果とは?豊富に含まれている食べ物まで解説”健康ねっと”ビタミンB1を含む食品とは?おすすめの食品や効果を解説!”健康ねっと”ビタミンB1"あくつクリニック”「ビタミンB1」(チアミン)の働きとは?役割や含まれる食べ物、一日の摂取量について解説”SNUTRY”ビタミンB解説”国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所”糖質をエネルギーに変え、元気をつくるビタミン”大正健康ナビ”【管理栄養士監修】ビタミンB1とは?働き・摂取量・食品について”Nestle“ビタミンB1 含まれる食べ物は?妊活・妊娠中に必要?”elevit“妊娠中のビタミン剤やサプリメント 院長コラム#010”MCL”ビタミンB1、B2”ベビーカレンダー“妊活・妊娠中に妊活に必須の成分解説【2022年最新版】”JinekoShop“Q:つわりがひどいです。対処法はありますか?”医療法人小塙医院“これで安心!妊娠中に感じやすい不安のワケと解消法を教えます【医師監修】”ヒロクリニック”授乳期は食生活にも気くばりを”小阪産病院”ビタミンB群ってどんな栄養素?取りすぎは体に悪いってほんと?摂取目安についても解説”スマート脳ドック”5.ビタミン”愛知県薬剤師会”川崎医大川崎病院産婦人科院長 田中雅彦”⑵つわりと妊娠悪阻”岡山の医療健康ガイドMEDICA

葉酸以外に必要な栄養素「DHA」

DHAはどんな栄養素?「日本人の食事摂取基準(2020年版)脂質」を元に作成まずは、DHAとは何なのかを紐といていきましょう。DHAの正式名称は「ドコサヘキサエン酸」といい、不飽和脂肪酸のひとつです。脂肪酸とは、脂質の主な構成要素で、動物性の脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」と、植物や魚の脂肪に含まれる「不飽和脂肪酸」の2種類から成り立っています。さらに、不飽和脂肪酸には「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」があり、DHAは多価不飽和脂肪酸の「n-3系脂肪酸(通称:オメガ3)」に分類されている栄養素です。DHAは、脳や神経細胞、精子などに多く存在し、記憶力や血流の改善、アレルギーの予防などに効果があるといわれています。「脂肪」や「脂質」と聞くと、「太る」「体に悪い」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、脂質は「糖質」と「タンパク質」に並ぶ3大栄養素のひとつであり、活動のエネルギー源体となったり、細胞膜や核膜を作ったりする、とても大切な栄養素です。脂質のイメージの悪さは、肉や乳製品などの飽和脂肪酸の摂りすぎによる肥満や病気といった健康リスクや、マーガリンなどに含まれ、極力摂取しないほうが良いとされているトランス脂肪酸に由来していると推測できます。つまり、トランス脂肪酸以外の脂質を適量に摂取することは体にとって好ましい状態なのです。さらに、DHAは脳の活性化を促したり、動脈硬化や血栓を防いだり、脂肪燃焼を促したりするなど、さまざまな効果が期待できるため、積極的に摂りたい栄養素といえるでしょう。また、DHAは「必須脂肪酸」と呼ばれる体の中で合成することができない栄養素なので、食事から摂る以外、体の中に入れることはできません。DHAを含む食べ物を知り、選ぶことで積極的に摂取しましょう。DHAの役割は?次に、DHAの持つ役割について詳しく見てみましょう。【DHAの持つ役割】・脳の神経細胞の情報伝達を促す・体内の免疫反応を調整する・脂肪燃焼を促す・血管壁の細胞膜を柔らかくする多くの人が持つ「DHAを摂れば頭が良くなる」というイメージは、DHAの“脳の神経細胞の情報伝達を促す”という役割から来ているのがお分かりいただけるでしょう。そのほかにも、血液の流れを正常に保ったり、脂肪を燃焼させたりと、体にさまざまな良い影響がある栄養素なのです。そのため、DHAを適切に摂取し続けると・アレルギー疾患・皮膚炎・肥満・高血圧・動脈硬化・記憶力や認知能力などの予防と改善に効果が期待できるといわれています。DHAの役割を聞くと、「大人こそ摂りたい栄養素だな」と思われるかもしれませんが、胎児や乳幼児といった子供にとっても、DHAは脳や神経の発達に必要な大切な栄養素のひとつです。さらに、妊娠期にDHAを含むオメガ3脂肪酸を追加摂取することで、早期産児数が減少したり、低出生体重児が生まれる確率が低下したりする可能性があるという研究結果もでています。DHAはいつ必要?DHAは、脳細胞の活性化や血流の改善が期待できるなど、さまざまな働きを持つため、どの年代の人でも積極的に摂りたい栄養素のひとつです。特に胎児発生期間や胎児発育期間の妊婦の方と授乳期の女性は、積極的に摂取すると良いでしょう。前述したように、妊娠期にDHAを摂ることで、早産や低体重児出産のリスクを下げる効果が期待でき、また授乳期の母親が摂取することで母乳中のDHA濃度が高まり、栄養価の高い母乳を赤ちゃんに届けることができます。DHAが胎児や乳児期の赤ちゃんの成長に大切な栄養素であることは生物学的に証明されており、DHAが栄養補助成分として添加されている乳児用ミルクも多く販売されています。妊娠中や授乳中の女性は、必要カロリー内に収まるように摂取することを目指しましょう。ただし、人体や胎児に害を及ぼす可能性があるメチル水銀の含有量が低い海産物などから摂取するなど、どの食べ物から摂取するかも大切です。DHAはどれくらい摂取すればいいの?目安となる摂取量は?DHAのみでの食事摂取基準値は決められていませんが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、DHA・EPA・DPA・α-リノレン酸を合わせたn-3系脂肪酸としての目安量が示されています。1日の摂取目安量:30~49歳女性…1.6g/日(授乳婦は1.8g/日)さまざまな種類の海産物を、週に8から12オンス(約224gから336g)ほど摂取することが望ましいとされています。文部科学省の「日本食品表示成分表2020年版」を見てみると、スーパーでよく売られているサバの水煮缶は、可食部100gに対しDHAが1.3g含まれています。メーカーによって差はありますが、サバ缶は1缶につき内容量が150g〜200gのものが主流なので、1日にサバ缶を2/3〜1缶程度食べれば、授乳中の女性であっても1日のDHA摂取目安量を十分達成できそうですね。何を食べたら良いの?DHAは脂肪が多い魚や甲殻類に多く含まれています。【DHAを含む食べ物の一例】脂肪が多い魚:サバ、マグロ、いわし、サンマ、マスなど甲殻類:カニ、ムール貝、牡蠣などサバ類やいわし類といった青魚には、DHAが多く含まれていると覚えておきましょう。旬のものには栄養価が多く含まれているので、秋はサンマやサバ、いわし、冬はマグロというように、新鮮な旬のものを積極的に摂りたいですね。DHAは熱に弱いため、お刺身として食べるのがおすすめです。手軽に手に入り、調理せずに食べられるサバやいわしの缶詰も常備しておくと便利でしょう。サバやいわしの缶詰に入っている汁にも、DHAが含まれています。汁は、もちろんそのまま飲んでも大丈夫ですが、味噌汁のだし汁やパスタや炒め物でも使えるため、捨てずに活用すれば効率良く摂取できますね。また、DHAは酸化しやすいので、抗酸化作用のあるビタミンCやEと一緒に摂るのが理想的です。海産物でDHAを摂取する際に注意してほしいのが、メチル水銀の含有量。メチル水銀は食物連鎖によって濃縮されていき、大型の魚の中には高濃度のメチル水銀を含んでいるものも多くいます。人が食べ物からメチル水銀を摂取すると、一定期間体内に蓄積されますが、その後尿や便などから排出されるため、普通の食事からメチル水銀の影響を受けることはほぼありません。しかし、大量のメチル水銀を妊娠期の女性が摂取した場合、摂取したメチル水銀が母体を通じて胎児にまで届いてしまい、神経の発達に影響を及ぼす可能性があります。そのため、妊娠中や授乳中の女性は、白マグロ(ビンナガマグロ)なら週に6オンス(約168g)以内が摂取目安とされています。また、メチル水銀を多く含むアマダイ、メカジキ、サメ、キングマッカレルなどは食べるべきではありません。「毎日青魚ばかり食べられない」「そうはいってもメチル水銀が不安」「つわりで魚の匂いが気になる」という人は、サプリメントでDHAを補うことも視野に入れると良いでしょう。DHAが不足すると(リスク)DHAは、体にとってさまざまな良い働きをしてくれるため、不足するとさまざまなリスクを引き起こす可能性があります。【DHAの不足によって起こるリスク】・血管障害・中性脂肪の増加・皮膚炎・記憶力や学習能力の低下・胎児・乳児期の脳の発育に影響上記のように、さまざまな健康障害や発達に影響が起こる可能性があります。妊娠期や授乳期を始め、DHAはどの年代でも積極的に摂っていきたい栄養素であるということがお分かりいただけるでしょう。食生活を見直すと共に、サプリメントでの摂取も検討しながら、効率良くDHAを摂取し、母子共に健康な体を目指しましょう。まとめ脳細胞の活性化や脂肪燃焼の促進だけでなく、胎児や乳児の脳の発達に影響を与え、早産や低体重児出産の確率を低下させる可能性もあるDHA。しかし、DHAは体内で作ることができないため、食事から摂取することが不可欠です。DHAは青魚に多く含まれますが、青魚の中には人体や胎児に害を及ぼすメチル水銀を多く含むものもあるため、食べ物を選ぶ際は気をつけなくてはなりません。食事にも気を配りつつ、足りない部分はDHAのサプリメントで補うのもひとつの手段といえるでしょう。参考文献・e‐ヘルスネット「不飽和脂肪酸」・株式会社食環境衛生研究所「食環研コラム」・農林水産省「脂質による健康影響」・eJIM「オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと」・コクラン「妊娠期のオメガ3脂肪酸の追加摂取」・日本人の食事摂取基準(2020年版)・文部科学省「日本食品表示成分表2020年版」・内閣府 食品安全委員会事務局「食品から摂取する水銀と、その人体への影響とは?」 

葉酸以外に必要な栄養素「亜鉛」

亜鉛はどんな栄養素?体内には特別な亜鉛の貯蔵システムがなく、亜鉛を作り出すこともできません。そのため定常状態を維持するためには亜鉛を毎日摂取することが必要です。亜鉛は多くの食物に含まれますが、サプリメントで摂取することもできます。風邪薬として販売されている多くの風邪用トローチや一部の市販薬にも含まれています。亜鉛は体内に約2g含まれ、そのほとんどが筋肉と骨中に含まれます。他にも皮膚、肝臓、膵臓、前立腺などの多くの臓器に存在します。亜鉛の役割は?亜鉛には風邪を予防する効果や、美肌・美髪効果なども期待されています。またそれだけではなく、活性酵素を抑制する効果があるため、生殖機能の老化を予防する働きもあります。亜鉛は妊活中の男女、妊娠中の女性、胎児や乳児の発育や生命維持にも非常に重要な役割を果たしているのです。健康的な体を維持することが重要であるため、免疫力を高める亜鉛は欠かせない栄養素の一つです。男性の場合は精子量の増加や、精子の運動率の低下予防といった効果があり、「精子をつくるミネラル」「セックスミネラル」とも呼ばれています。一方で、不足するとDNAが正しく分裂できず、傷のあるDNAが発生し不健全な精子が作られてしまう可能性も高まります。女性の場合、ホルモンバランスを整える、生理痛を軽減する、生理不順を改善するといった効果が期待されます。亜鉛は下垂体で作られる卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの働きを高めています。これらの働きが弱いと卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌量が低下し、卵胞の成長が遅れる、排卵が遅くなる、無排卵月経が起こる、子宮内膜の成長が不足するまたは遅くなる、子宮内膜を保つ働きが低下するリスクがあります。このように妊活中・妊娠中の女性に亜鉛は必要不可欠です。また細胞分裂が活発な胎児の成長にも重要です。亜鉛はいつ必要?もちろん妊活中の夫婦にも必要ですが、特に妊娠中の女性は、鉄分やカルシウムなどと同様に亜鉛も不足しやすくなる傾向にあります。成人女性の平均摂取量は摂取推奨量より少なく、さらに妊娠中は摂取推奨量も増えるため、亜鉛の摂取量をさらに増やす必要があります。亜鉛はどれくらい摂取すればいいの?摂取推奨量は成人女性と妊娠中の女性では異なります。また男女でも異なり、男性は女性よりも多く必要になります。亜鉛の摂取方法としては肉類、魚介類が主にあげられます。ではそれぞれどのくらい、どのように摂取したら良いのでしょうか。推奨摂取量男女ともに一日の摂取量が推奨量を下回っており、近年亜鉛不足が指摘されています。亜鉛の一日の推奨量は、成人男性では約12mg、成人女性で約9mgとされています。妊娠中・授乳中は亜鉛の必要量が増えるため、通常より2mg多く摂ることが推奨されています。しかし亜鉛の平均摂取量は成人男性で9.2mg、成人女性で7.7mgです。亜鉛を過剰摂取した場合、嘔吐、食欲不振、下痢などの体の不調を起こしてしまう可能性があるため気をつけなければなりません。鉄や銅の吸収を妨げ、貧血の原因になります。また亜鉛はクエン酸やビタミンC、動物性タンパク質と一緒に摂ると吸収が高まる一方で、インスタント食品や穀類、豆類に含まれるフィチン酸やコーヒーや緑茶に含まれるタンニン、ほうれん草などに含まれるシュウ酸は吸収を妨げます。これらを摂る場合は、時間をずらすなど工夫をしましょう。亜鉛が含まれている食材亜鉛が含まれている食材として牡蠣鶏肉カニロブスターチーズなどがあります。生牡蠣は、亜鉛が100gあたり14.5mgと多く含まれていて最良の亜鉛摂取源です。赤身の肉、鶏肉、カニやロブスターなどの魚介類および朝食用栄養強化シリアル類にも亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛は肉類や魚介類などに多く含まれていますが、食物繊維や青菜に含まれるシュウ酸は亜鉛の吸収を阻害するためベジタリアン、ビーガンなどは不足しやすくなります。菜食主義者は特に多くの亜鉛を摂取する必要があります。また加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛欠乏になる場合もあるため注意が必要です。亜鉛が不足すると(リスク)不足する原因は主に偏った食事や、極端なダイエット、アルコールの摂取があげられます。亜鉛が不足すると、貧血下痢脱毛皮膚炎体重減少食欲不振免疫力低下味覚障害神経感覚障害など多くの症状が現れます。また、乳児および小児の成長の遅れ生殖機能の低下男性インポテンス男性の性腺機能低下などのリスクもあるため、男女ともに妊活中、妊娠中は亜鉛は欠かせません。妊娠中の女性は特に最低限の亜鉛摂取量で妊娠が開始した場合、胎児の亜鉛必要量が多いことからも、亜鉛不足になるリスクが高くなります。まとめ亜鉛は、妊活中の夫婦、妊娠中の女性、また胎児の健康のためにも欠かせない栄養素です。食事での摂取が理想的ですが、サプリメントで摂取すれば、不足することも過剰になることもなく、必要量を「簡単に」「正確に」摂取することができます。妊活中、妊娠中だからといって、食事を気にしすぎずストレスなく摂取できるためサプリメントでの摂取がおすすめです!参考文献eJIM 厚生労働省eJIM 厚生労働省厚生労働省令和元年国民健康・栄養調査 厚生労働省“清涼飲料水評価書 亜鉛” 厚生労働省公益財団法人長寿科学振興財団“亜鉛の働きと1日の摂取量”健康長寿ネット“亜鉛”LaBelle Vie“不妊症と亜鉛”TOZAI PHARMACY GROUP“亜鉛が豊富な食べ物は?手軽にしっかり亜鉛を摂取する方法”家族の介護と健康を支える学研の情報サイト“亜鉛が多い食材は?亜鉛を多く含むおすすめレシピもご紹介”dmarket“亜鉛不足は怖い!起きる症状や原因を解説します”POWER PRODUCTION“亜鉛は男性妊活に欠かせない栄養素”elevit“亜鉛が妊婦や妊活中の男女に与える効果とは”BELTA