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葉酸以外に必要な栄養素「ビタミンB1」

ビタミンB1はどんな栄養素?そもそもビタミンは、体内で十分に合成することが難しいため、食物などから摂取する必要があります。脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられ、ビタミンB1、B2などのビタミンB群は水溶性ビタミンに分類されます。ビタミンB群とは多くの物質からなる化合物で、「ビタミン複合体」とも呼ばれています。ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、葉酸(ビタミンB9)、ビオチン(ビタミンB7)の8種類からなり、生きるために必要なエネルギーを作ります。3大栄養素である糖質・たんぱく質・脂質は、十分なエネルギーを生み出すことはできないため、ビタミンB群の分解や代謝のサポートを受けることで、体の機能を維持するために必要なエネルギーを作り出しているのです。しかしアルコール、妊娠や授乳、ストレスなどによってビタミンB群が足りなくなることがあります。不足すると栄養素をエネルギーに変えることができず、疲れやすくなり心身の健康に影響を与えてしまうのです。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB1は、体の活動の源となる栄養素で、糖をエネルギーに変換する際に役立ちます。脳神経の働きもサポートしており、疲労回復にも大きな役割を果たします。特にエネルギー需要の高まる妊娠中や授乳中は、エネルギーの生成に関連が深いビタミンB1、B2の摂取量を増やす必要があります。さらに妊娠中、つわりの症状が重く栄養を十分に摂取できないときは、ビタミンB1が欠乏しやすく、重要な神経学的後遺症を発症する可能性があるので注意が必要です。ビタミンB1の役割は?ビタミンB1は胎児の育成や母乳の生成のサポートをするため、妊娠中や授乳中には特に欠かせない栄養素です。さらに胎児の神経細胞形成にも必要な栄養素で、ビタミンB1が著しく欠乏すると、奇形性を引き起こす可能性があるとも言われています。またつわりを予防する働きもあるという研究もあります。つわりは一般的に妊娠4~7週ではじまり、14週までには落ち着きます。症状が悪化すると食物摂取が損なわれて代謝異常を起こします。この状態を妊娠悪阻といいます。強く症状が出る女性の特徴としては、前回の妊娠でもつわりがひどかった場合や、双子の場合などと言われています。これらを予防するためには、マルチビタミン(ビタミンB、C、D、E、葉酸など)が推奨されており、特にビタミンB1、B6が重要と言われています。授乳中は母親の栄養は母乳となり赤ちゃんの栄養になるため、成人女性のエネルギー所要量は1日1,700kcal~1,750kcalですが、授乳中は350kcal多くエネルギーを必要とします。母乳にはビタミンB1も分泌されており、赤ちゃんの健康のためにビタミンB1は欠かせません。必要なエネルギー量が増え、妊娠中や授乳中はお腹がすきやすい時期ですが、食欲につられて甘いものや脂質を多く摂取していますとカロリー過多となってしまうため、必要な栄養素をバランスよく摂取する必要があります。ビタミンB1はいつ必要?ビタミンB1は、成人女性は約0.22mg足りておらず、一般的にも不足しているため食物やサプリメントで補う必要があります。しかし、妊娠中・授乳中は通常時よりもさらに多く推奨量が設定されているため、約0.42mgも不足しているのです。妊娠中や授乳中はより意識的にビタミンB1の摂取をすることをおすすめします。ビタミンB1はどれくらい摂取すればいいの?妊娠中や授乳中の女性はビタミンB1の必要量が増え、成人女性よりも多く摂取する必要があります。それぞれの摂取推奨量、またどのような食材から摂取できるのかをご紹介します。摂取推奨量以下の表はビタミンB1の女性における一日あたりの平均摂取量と、推奨摂取量です。妊娠中・授乳中の女性はビタミンB1の摂取推奨量が成人女性と比べて0.2mg多くなります。しかし現状は一日の平均摂取量が成人女性とあまりかわりません。そのため成人女性も摂取推奨量に少し足りていませんが、妊娠中の女性や授乳中の女性はさらに不足しているということがわかります。ビタミンB1が含まれている食材ビタミンB1が豊富なおすすめの食べ物について、動物性と植物性にわけて以下の表にまとめました。動物性の食べ物では、豚肉が代表的です。そのためヴィーガンの方はビタミンB1が不足しやすくなります。以下のビタミンB1の豊富な植物性の食べ物を食卓に取り入れるなどして、摂取を心がけましょう。ビタミンB1を効率よく摂取するには、主食は白米より玄米がおすすめです。またパンは、全粒粉のものがおすすめです。豆類を摂取する場合、一度にたくさんの量を摂るのは難しいですが、手軽に取り入れやすく、毎日でも摂取できるというメリットがあります。またビタミンB1を摂取する際には、調理方法に十分に気をつけなければなりません。ビタミンB1はニンニクやタマネギなどに含まれているアリシンと結合してアリチアミンになると、吸収率が高くなります。しかし、熱に弱いため、調理による損失が大きいといった欠点があります。食品はできるだけ新鮮な物を選び、生で摂るようにすると無駄なくビタミンB1を摂取することができます。このように多くの食物に含まれていますが、体に貯蔵できず排泄されやすいため、知らない間に不足している場合もあります。ビタミンB1が不足すると(リスク)ビタミンB1はアルコールをよく呑む人、スポーツをする人、ストレスの多い人は不足しやすい傾向にあります。一般的なビタミンB1不足の症状は倦怠感・だるさ肩こり手足のしびれ食欲低下むくみ記憶力の低下集中力の低下脚気(イライラ、むくみ、食欲低下、しびれ、歩行障害)ウェルニッケ脳症(倦怠感、ふらつき、物忘れ、意識障害)乳酸アシドーシス(吐き気、嘔吐、呼吸障害)などがあります。妊娠中、授乳中におこりやすい症状はむくみ食欲不振便秘神経炎などがあります。つわりなどで絶食状態が続くとビタミンB1欠乏症からウェルニッケ脳症を引き起こす可能性があります。妊娠中・授乳中はマイナートラブルが多くなりがちな時期なので、栄養素の欠乏による食欲不振や便秘は防ぐ必要があるでしょう。ビタミンB1が不足すると多くの症状が現れますが、取り過ぎても体に貯蔵できず排泄されやすいため、過剰摂取になる心配はありません。まとめこのようにビタミンB1は妊娠中や授乳中の女性、胎児の健康に欠かせない栄養素です。しかし、食べ物から必要量を摂取するのが難しく、妊娠中や授乳中に必要とされる「ビタミンB1」を摂取するためには豚肉や白米、「鉄」を摂取するためには牛肉や納豆、「亜鉛」を摂取するためには牡蠣や赤身の肉などと、それぞれ摂取できる食べ物がバラバラで毎日の食事を考えるのがとても大変です。そのため、サプリメントで必要な栄養素を正確に簡単に摂取するのも体調管理の一つの手段になるのではないでしょうか。参考文献”日本人の食事摂取基準(2020年版)”厚生労働省”令和元年国民健康・栄養調査報告”厚生労働省“ビタミンB1の働きと1日の摂取量”健康長寿ネット”栄養教養学部/カラダ整え学科 ビタミンB1”栄養素カレッジ”ビタミンB1”glico“ビタミンB1の効果とは?豊富に含まれている食べ物まで解説”健康ねっと”ビタミンB1を含む食品とは?おすすめの食品や効果を解説!”健康ねっと”ビタミンB1"あくつクリニック”「ビタミンB1」(チアミン)の働きとは?役割や含まれる食べ物、一日の摂取量について解説”SNUTRY”ビタミンB解説”国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所”糖質をエネルギーに変え、元気をつくるビタミン”大正健康ナビ”【管理栄養士監修】ビタミンB1とは?働き・摂取量・食品について”Nestle“ビタミンB1 含まれる食べ物は?妊活・妊娠中に必要?”elevit“妊娠中のビタミン剤やサプリメント 院長コラム#010”MCL”ビタミンB1、B2”ベビーカレンダー“妊活・妊娠中に妊活に必須の成分解説【2022年最新版】”JinekoShop“Q:つわりがひどいです。対処法はありますか?”医療法人小塙医院“これで安心!妊娠中に感じやすい不安のワケと解消法を教えます【医師監修】”ヒロクリニック”授乳期は食生活にも気くばりを”小阪産病院”ビタミンB群ってどんな栄養素?取りすぎは体に悪いってほんと?摂取目安についても解説”スマート脳ドック”5.ビタミン”愛知県薬剤師会”川崎医大川崎病院産婦人科院長 田中雅彦”⑵つわりと妊娠悪阻”岡山の医療健康ガイドMEDICA

葉酸以外に必要な栄養素「DHA」

DHAはどんな栄養素?「日本人の食事摂取基準(2020年版)脂質」を元に作成まずは、DHAとは何なのかを紐といていきましょう。DHAの正式名称は「ドコサヘキサエン酸」といい、不飽和脂肪酸のひとつです。脂肪酸とは、脂質の主な構成要素で、動物性の脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」と、植物や魚の脂肪に含まれる「不飽和脂肪酸」の2種類から成り立っています。さらに、不飽和脂肪酸には「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」があり、DHAは多価不飽和脂肪酸の「n-3系脂肪酸(通称:オメガ3)」に分類されている栄養素です。DHAは、脳や神経細胞、精子などに多く存在し、記憶力や血流の改善、アレルギーの予防などに効果があるといわれています。「脂肪」や「脂質」と聞くと、「太る」「体に悪い」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、脂質は「糖質」と「タンパク質」に並ぶ3大栄養素のひとつであり、活動のエネルギー源体となったり、細胞膜や核膜を作ったりする、とても大切な栄養素です。脂質のイメージの悪さは、肉や乳製品などの飽和脂肪酸の摂りすぎによる肥満や病気といった健康リスクや、マーガリンなどに含まれ、極力摂取しないほうが良いとされているトランス脂肪酸に由来していると推測できます。つまり、トランス脂肪酸以外の脂質を適量に摂取することは体にとって好ましい状態なのです。さらに、DHAは脳の活性化を促したり、動脈硬化や血栓を防いだり、脂肪燃焼を促したりするなど、さまざまな効果が期待できるため、積極的に摂りたい栄養素といえるでしょう。また、DHAは「必須脂肪酸」と呼ばれる体の中で合成することができない栄養素なので、食事から摂る以外、体の中に入れることはできません。DHAを含む食べ物を知り、選ぶことで積極的に摂取しましょう。DHAの役割は?次に、DHAの持つ役割について詳しく見てみましょう。【DHAの持つ役割】・脳の神経細胞の情報伝達を促す・体内の免疫反応を調整する・脂肪燃焼を促す・血管壁の細胞膜を柔らかくする多くの人が持つ「DHAを摂れば頭が良くなる」というイメージは、DHAの“脳の神経細胞の情報伝達を促す”という役割から来ているのがお分かりいただけるでしょう。そのほかにも、血液の流れを正常に保ったり、脂肪を燃焼させたりと、体にさまざまな良い影響がある栄養素なのです。そのため、DHAを適切に摂取し続けると・アレルギー疾患・皮膚炎・肥満・高血圧・動脈硬化・記憶力や認知能力などの予防と改善に効果が期待できるといわれています。DHAの役割を聞くと、「大人こそ摂りたい栄養素だな」と思われるかもしれませんが、胎児や乳幼児といった子供にとっても、DHAは脳や神経の発達に必要な大切な栄養素のひとつです。さらに、妊娠期にDHAを含むオメガ3脂肪酸を追加摂取することで、早期産児数が減少したり、低出生体重児が生まれる確率が低下したりする可能性があるという研究結果もでています。DHAはいつ必要?DHAは、脳細胞の活性化や血流の改善が期待できるなど、さまざまな働きを持つため、どの年代の人でも積極的に摂りたい栄養素のひとつです。特に胎児発生期間や胎児発育期間の妊婦の方と授乳期の女性は、積極的に摂取すると良いでしょう。前述したように、妊娠期にDHAを摂ることで、早産や低体重児出産のリスクを下げる効果が期待でき、また授乳期の母親が摂取することで母乳中のDHA濃度が高まり、栄養価の高い母乳を赤ちゃんに届けることができます。DHAが胎児や乳児期の赤ちゃんの成長に大切な栄養素であることは生物学的に証明されており、DHAが栄養補助成分として添加されている乳児用ミルクも多く販売されています。妊娠中や授乳中の女性は、必要カロリー内に収まるように摂取することを目指しましょう。ただし、人体や胎児に害を及ぼす可能性があるメチル水銀の含有量が低い海産物などから摂取するなど、どの食べ物から摂取するかも大切です。DHAはどれくらい摂取すればいいの?目安となる摂取量は?DHAのみでの食事摂取基準値は決められていませんが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、DHA・EPA・DPA・α-リノレン酸を合わせたn-3系脂肪酸としての目安量が示されています。1日の摂取目安量:30~49歳女性…1.6g/日(授乳婦は1.8g/日)さまざまな種類の海産物を、週に8から12オンス(約224gから336g)ほど摂取することが望ましいとされています。文部科学省の「日本食品表示成分表2020年版」を見てみると、スーパーでよく売られているサバの水煮缶は、可食部100gに対しDHAが1.3g含まれています。メーカーによって差はありますが、サバ缶は1缶につき内容量が150g〜200gのものが主流なので、1日にサバ缶を2/3〜1缶程度食べれば、授乳中の女性であっても1日のDHA摂取目安量を十分達成できそうですね。何を食べたら良いの?DHAは脂肪が多い魚や甲殻類に多く含まれています。【DHAを含む食べ物の一例】脂肪が多い魚:サバ、マグロ、いわし、サンマ、マスなど甲殻類:カニ、ムール貝、牡蠣などサバ類やいわし類といった青魚には、DHAが多く含まれていると覚えておきましょう。旬のものには栄養価が多く含まれているので、秋はサンマやサバ、いわし、冬はマグロというように、新鮮な旬のものを積極的に摂りたいですね。DHAは熱に弱いため、お刺身として食べるのがおすすめです。手軽に手に入り、調理せずに食べられるサバやいわしの缶詰も常備しておくと便利でしょう。サバやいわしの缶詰に入っている汁にも、DHAが含まれています。汁は、もちろんそのまま飲んでも大丈夫ですが、味噌汁のだし汁やパスタや炒め物でも使えるため、捨てずに活用すれば効率良く摂取できますね。また、DHAは酸化しやすいので、抗酸化作用のあるビタミンCやEと一緒に摂るのが理想的です。海産物でDHAを摂取する際に注意してほしいのが、メチル水銀の含有量。メチル水銀は食物連鎖によって濃縮されていき、大型の魚の中には高濃度のメチル水銀を含んでいるものも多くいます。人が食べ物からメチル水銀を摂取すると、一定期間体内に蓄積されますが、その後尿や便などから排出されるため、普通の食事からメチル水銀の影響を受けることはほぼありません。しかし、大量のメチル水銀を妊娠期の女性が摂取した場合、摂取したメチル水銀が母体を通じて胎児にまで届いてしまい、神経の発達に影響を及ぼす可能性があります。そのため、妊娠中や授乳中の女性は、白マグロ(ビンナガマグロ)なら週に6オンス(約168g)以内が摂取目安とされています。また、メチル水銀を多く含むアマダイ、メカジキ、サメ、キングマッカレルなどは食べるべきではありません。「毎日青魚ばかり食べられない」「そうはいってもメチル水銀が不安」「つわりで魚の匂いが気になる」という人は、サプリメントでDHAを補うことも視野に入れると良いでしょう。DHAが不足すると(リスク)DHAは、体にとってさまざまな良い働きをしてくれるため、不足するとさまざまなリスクを引き起こす可能性があります。【DHAの不足によって起こるリスク】・血管障害・中性脂肪の増加・皮膚炎・記憶力や学習能力の低下・胎児・乳児期の脳の発育に影響上記のように、さまざまな健康障害や発達に影響が起こる可能性があります。妊娠期や授乳期を始め、DHAはどの年代でも積極的に摂っていきたい栄養素であるということがお分かりいただけるでしょう。食生活を見直すと共に、サプリメントでの摂取も検討しながら、効率良くDHAを摂取し、母子共に健康な体を目指しましょう。まとめ脳細胞の活性化や脂肪燃焼の促進だけでなく、胎児や乳児の脳の発達に影響を与え、早産や低体重児出産の確率を低下させる可能性もあるDHA。しかし、DHAは体内で作ることができないため、食事から摂取することが不可欠です。DHAは青魚に多く含まれますが、青魚の中には人体や胎児に害を及ぼすメチル水銀を多く含むものもあるため、食べ物を選ぶ際は気をつけなくてはなりません。食事にも気を配りつつ、足りない部分はDHAのサプリメントで補うのもひとつの手段といえるでしょう。参考文献・e‐ヘルスネット「不飽和脂肪酸」・株式会社食環境衛生研究所「食環研コラム」・農林水産省「脂質による健康影響」・eJIM「オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと」・コクラン「妊娠期のオメガ3脂肪酸の追加摂取」・日本人の食事摂取基準(2020年版)・文部科学省「日本食品表示成分表2020年版」・内閣府 食品安全委員会事務局「食品から摂取する水銀と、その人体への影響とは?」